上 下
197 / 563
第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

第2幕 第8話 2日目 スカウト

しおりを挟む
「300ログだぞー」
「いらっしゃいませ、温かいの1つと冷たいの2つですね」
「900ログだ!ここに入れるんだぞ!」
翌日の朝、率と晴海が店にモギとカタン、ベルンを迎えに行けば魔王もエルダもラピスも行くと言って聞かず、赤ん坊のカルンは既にベルンに背負われていたので、良い子にしているのを条件にラピスも連れてくると意外な事に踏み台に乗って、拡大したスマホで計算やお金の遣り取りをしてくれる。
「かわいい子だねーミルク2つくださいな、暖かいのね。おばあちゃんには暖かいミルクはうれしいわぁー」
「600ログだぞ!あたたかいミルクはおいしい、つめたいのも!」
今日からコンロに寸胴の鍋でミルクを出す事にした、魔王が暖かいミルクの販売をし、孤児院の子供に冷たいミルクを売って貰いベルンはひたすらミルクを絞る、カタンは荷車で返却されたコップをせっせと体を泡まみれにして洗いその側でカルンは飛んで来た泡を割って遊んでいた。
モギの数も増やし出せるミルクの量は増えたが、いつも人が並ぶ人気商品だった。。
「ポップコーンもそろそろ今日はおしまいです」
「こっちもそろそろおしまいですね、お疲れ様」
カイネと孤児院の子供達と《ガルディア》の住民達のポップコーン屋の完売に合わせミルク屋も終る。
「終わったら片付けして教室いこー」
『はーい』
「オレも行くぞ!」
「いこー」
片付けを終わらせ他の子供たちと転移札を使い貴族屋敷へと向かう、ラピスもベルン達の言うことを聞いてカタンと手を繋いでいる。

《ガルディア》の貧民街に転移札で訪れたメルガドールとユラヴィレオ、ユラヴィカと侍従に眼鏡を掛けた神経質そうな面持ちの青年が後ろで控えていた。
「おはよ」
「お、おはよう」
「ご機嫌よう」
「本日も世話になる」
「随分様変わりしましたね」
「アンタは?」
ラウラスが炊き出しをこちらに運んで、メルガドール達の朝食の準備をしてくれる、ミルクシチューとここで焼いたパンとフルーツサラダを並べてくれた。
「ユラヴィカの家庭教師だ、どうしても《トイタナ》の教室の授業を見たいと言うのでな。構わないだろうか?」
「ユラヴィカお嬢様の家庭教師、ケークスと申します」
「ふぅん、いんじゃない。食べたら教室連れてくから」
「今朝の食事も美味しそうですね、では」
メルガドールはさっさと座り顔を綻ばせ食事を始める、ユラヴィレオ達も座って食事を始める。

「久しぶりの運転楽しいなあー」
「俺も運転してみたい」
詠斗が運転しているとジラがフラットシートから覗き込む、今は詠斗、綴、ジラ、寝ているチグリスにナイル、直したスーツを着てご満悦なラジカどいった面子だった。
「どうかな?ジラさん達に運転を教えるのどうですか?僕は少ししたら教室に行きますけど」
『はい、問題ありません。私が教えます、休息の時にご教授します』
「やった!」
「詠斗君、僕は行きますね。大河さんがそろそろ来ますから」
「はーい」
繋いだ空間から畑に戻り転移魔法で教室へと向かう、入れ替わりで大河が詠斗と運転を代わった。
「まさか、異世界で車を運転するとはな」
「俺もですよー、仕事以外で運転とかもした事ないですからー」
『大河様、この先30分程走らせた場所に小さな町があります、どうやら工芸品が盛んな場所のようです如何ですか?』
「もしや、その町は《カントン》という町ですか」
『すみません、名前はわかりません』
「せっかくだ行ってみるか、近くになったら車を降りて向かうから教えてくれ」
『承知しました』
「カントン、もうそこまで来たのですね。中々面白い町だとおもいますよ」
「なら率くんや晴海くんを呼ぼう」
「いいな、詠斗くんラインを頼む」
「はい!」
トランプの神経衰弱を楽しんでいたラジカが顔を上げ、大河と詠斗も賛成した。

「す、素晴らしい!私も是非ここで学ばせて頂きたい!」
授業終了後感極まったケークスが綴に涙を流しながら頼み込む、綴は少し考え千歳にラインを送り《ガルディア》からこちらに来て貰う事にした。
「ユラヴィレオ様!私家庭教師を辞めて1から此処で学び直します!」
「決断が早すぎないか?此処では我々も驚くような叡知があると思うが…」
「ここは人1人1人の適性を見、型に嵌めず自由があります!私が理想とするのは正に此処です!」
「素晴らしい見解だね、綴君。彼に生徒と謂わず授業も受け持ってもらうのはどうかな?給料や住居も用意して」
「千歳さん、それは良いですね。ケークスさんどうですか?」
「因みに事務作業や書類仕事はどうかな?」
「え?え、ええ故郷ではギルドの受付をしていました…」
千歳は綴からラインを貰いここに来た時点で鑑定を行っていた、ケークス:貧乏子沢山貴族の長男 家庭教師は出稼ぎ
事務仕事向き 他の兄弟や家族も中々有能 家族毎受け入れると良い 中々良い働きをする鑑定に千歳は満足しサラリーマン時代にこの笑顔でクレーム処理も契約もスムーズに片付くと謂われた上質な笑顔を浮かべた。
「是非、生徒としても教師としてもうちで働いて下さい。今後新しい事業で力を借りると思いますがその時はよろしくお願いします」
「は、はい!誠心誠意勤めさせて頂きます!」
「失礼ですが、ご家族でケークスさんのように出稼ぎやお仕事をしている方は?」
「あ、はい、お恥ずかしい話しうちは子沢山の貧乏貴族でして故郷で皆働いています。皆器用なのが自慢です」
「それは、素晴らしい。よければこちらに家を用意しますよ。皆さんで移住はどうです?」
「え、いえ簡単には…故郷は《エットナ》ですし…」
「近いですね、ではご一緒にご家族に顔を見せに行きましょう。綴君、そちらを送るのは頼んだよ」
「はい、行ってらっしゃい」
「え、ええ?」
綴に見送られ千歳とケークスで《エットナ》の実家に転移魔法で転移する、呆気に取られたユラヴィレオから一言。
「いつの間にか目の前で引き抜かれた…」
「お兄様、千歳さんには叶いませんわ。私はキッキちゃん達と魔法の練習をします」
「そうだな…、私も付き合おう」
「私は本を読んでからにします…」
「わかりました、お茶もありますからゆっくり過ごして下さい」
1時間足らずで千歳がケークスの家族を連れて帰り、さらにユラヴィレオ達を驚かせた…。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,611pt お気に入り:847

たまたま神さま、ときたま魔王

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:207pt お気に入り:5

【完結】転生後も愛し愛される

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,031pt お気に入り:860

美少女に転生しました!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:251

鮫嶋くんの甘い水槽

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:12

処理中です...