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第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

第2幕 第10話 見学 

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「ここが《トタラナ》…」
千歳に連れられ孤児院を訪れたケークス家族一行、まずはその隣りのもう片づけをしている店に向かい、ベルン達から人数分のミルクを千歳が購入し皆に振る舞う。
「モギのミルク…」
「おいしい…」
「この値段で…飲めるなんて」
家族みんなモギのミルクの美味しさにうっとりしている、母親の腕に抱えられた末娘はもっととコップに手を伸ばす。
「いつもはベルン君のお店はとても混んでいて購入するのにも時間が掛かりますが、《アウトランダーズ商会》の従業員は別途事前に予約をすれば店の営業中はいつでも並ばず購入できますよ」
モギも増え栄養失調気味のモギ達からもミルクを搾乳出来るようになったので、新たに導入した従業員特典として非常に人気だった。
「小さい子供いるからありがたいわね」
「あ、ああそうだな」
「次は家ですね孤児院の隣の…あの辺りが良いかな」
千歳がみんなを移動させ孤児院の隣の空いた土地に、懐記から貰っていた空き家の平屋を2軒収納から出して並べた。
「これは…」
「すごーい!」
「皆さんがこちらに移住を決めた場合にプレゼントする家です、もちろん《エットナ》の家もここに運びますから」
「俺自分の部屋が持てるのかな!」
「わ、私も欲しいわ!」
「お前たち…」
「中を見ましょう、個人の魔力を識別して開きますから」
千歳がドアを開け皆を中に入れる、玄関で靴を脱いで…ケークス一行にはそこが正に異世界のような家だった…。

『よろしくお願いしまーす!』
「はい、よろしくお願いします」
部屋の説明を行い貴族屋敷の教室の見学に皆で作った昼食を食べ、そこでケークスの雇用主のユラヴィレオとユラヴィカに会い緊張で両親と祖母は口から心臓が出る程ど緊張したが、ユラヴィレオの後押しと子供達の教育、貴族屋敷か《ガルディア》のカジノでの店を開業する話も含め説明すればもう断る余地は無かった。
《エットナ》に戻り家を何1つ残さず収納、土地は借地だったのとケークスの家族が経営しているリサイクルショップ基修繕屋にも向かい全て回収して手続きを簡単に済ませた。
「ではこれを、これは転移札という物で魔力を込めれば《トイタナ》から《エットナ》まで転移出来ます。魔力を込めてここを思い浮かべれば来れますから10枚どうぞ。足りなければ言って下さい追加をお渡しします」
「こ、こんなすごいものを?」
「急に移住する事になりましたし、ここに戻る用事もまだあるでしょうから使って下さい」
「で、ではありがたく」
「では、《トイタナ》に戻りましょうか。家を出しますね、店の物は収納袋に入れてお渡しします。そしてこれは移住の祝いです、どうぞ」
「こ、こんなに!?」
千歳が収納から小さな巾着袋を父親に渡す、中を改めれば100万ログ分のコインが入っていて父親が驚愕した。
「お祝いですから」
「感謝します…」
「はい、では《トイタナ》へ戻りますね。今日はゆっくり過ごして下さい」
「千歳さん、ありがとうございます、なんと言ったらいいか…」
「いいんですよ、これからよろしく」
『はい!』
全員が鼻息荒く頷く俄然やる気が出たようだ、千歳はケークス一行を連れて《トイタナ》に戻る。

そしてカイネやバルタルに孤児院の紹介を頼み、綴と合流し《ガルディア》に向かった。
「観光地のようで見応えがあるね」
「沢山買い物しました!」
「僕もです!」
千歳と綴も買い物を楽しみ街を出て転移魔法を使い車まで戻る、今度は懐記が運転しフラットシートで詠斗や大河達が購入した品々をジラに見せた。
「んーこれ俺かー、増えたな。俺も沢山持ってるぞー、旅していると色々貰うからな。ほら」
収納袋を取り出しひっくり返し魔力で調整しフラットシートに並べていく、重厚な絨毯のようなタペストリー、石を削って彫り上げた彫刻、石板にジラの歴史を魔力で一文字一文字刻んだ物が何枚もあり、宝石を嵌め込んだ鈍器のような本が幾つも積み重ねられた品々が転がる。
「これはすごいですね、1品1品が資産ですよ」
「んーそう?貰ったもんだし売るのも悪いからずっと持ってるだけ」
ラジカが品を手に取り関心を寄せ率も興味深そうに眺めている、街で購入した上位互換の品々に皆目を奪われる、どれもこれも素晴らしいという言葉に尽きる物だった。
「すごいですね、でもこれだけの物が日の目を見ないなんてもったいないですね…そうだジラさんこれ貸してくれませんか?」
「貸す?別に良いけど」
「何かいい考えが?」
「はい!きゅうちゃんの博物館に展示ブースを作ろうかな思って!こんな見事な品々ですよもっと沢山の人に見て貰いたいです」
「それは素晴らしい考えですね」
「まあ、ずっと収納袋にしまっておくよりかは良いか…」
救った国人々から貰った物、1つ1つがジラに対しての感謝が込められている。
「さっそくきゅうちゃんに連絡します」
きゅうも2つ返事で了承しきゅうの博物館に傭兵王の展示ブースが出来る事となる、これが博物館で1、2を争う人気ブースになり今後も数多くの作品が集まり皆の目を楽しませるのは少し先の話し…。
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