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第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

STAGE.2-FINAL おかえりとただいま

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「おかえり、お疲れさま。すまないね、今回力になれなくて」
「ただいま、まあ、結果消化不良って感じだわ」
「おかえりなさい!懐記さん!」
「おかえりさない、お茶飲みますか?みなさんも」
「ん、温かい緑茶で」
「私が淹れよう…おかえり」
「おかえりなさい、話しはお茶とご一緒に」
「そだね、チグっち達は?」
「あー」
『缶詰中…』
「そ」
畑で皆が出迎え(ドラゴンチーム除く)いつものように千眼がお茶を淹れてくれ、千華が今夜はおやつを準備してくれる、折角だこの後お風呂にも行こうか…耳とか舐められたし。
「あ、おりがみ達貰うの忘れたわ、明日行こ。それとグリっちがティスっちの所で世話になるから、プレゼントに空き家あげようと思うんだけどー折角だからカスタマイズしたいから意見欲しいー」
「わ!いい!どんな部屋にする?俺もグリさんに会いたい!」
温かい緑茶を貰い飲みながら懐記が言うと、晴海と詠斗が食い付く。
「見た感じおりがみとかはしなさそうなタイプだったな」
「人形みたい…と言えば失礼ですが綺麗な人でしたね」
「あの目…どっちも綺麗だったなー」
「グリっちは、この世界では不気味なカテゴリらしいーもったいないけど」
大河達もグローリーの無表情な顔と黄昏と黄金の瞳を思い浮かべる、彼は魔王達とはまた違った美しさを持っていた。
「どんな部屋にする?」
「ん、小6~高校生が使うような部屋」
「俺に任せて!」
「オッケ、よろ晴海っち」
「晴海くんも部屋ほしい?」
「俺の部屋はここだよー、テントもテトラさんとこも俺の部屋ー」
「欲張り晴海っち」
「へへ」
晴海がグローリーに贈る部屋のレイアウトを担当する事になり、詠斗が部屋が欲しいか確認すれば首を横に振り、懐記が言うとはにかむ笑顔を浮かべる。
「冷蔵庫やレンジとかはどうだ…?」
「みんなで集まってお話し出来るように、食器も作りますか?」
「布団やクッションとか本とかも置くか」
「勉強机とか時計とか素敵なのをプレゼントしたいね」
晴海がワクワクし、魔王達も盛り上がり明日からグローリーの部屋造りも始まる。

「ティスおかえりーそっちがラインくれたグローリー、いらっしゃいいらっしゃい。ようこそー龍皇国の下街へ!俺はゴーシュ!ゴーシュパパって呼んで!」
「ジジィのくせに」
「ティス、グローリー君、ライガル様おかえりなさい。私はティスの父親のティータです、ようこそ」
「……はい」
「みなさん、私はこれで失礼します。来なさい、トラング」
「うぇへ~い」
「また、後日…ゆっくりおやすみ下さい…」
「おやおや、ライガル坊やちょっと怒ってんなぁー」
「ああ、色々あった…」
「ま、まずは休むのが先さき!」
龍皇国の下街に転移札で戻ったライガル達をゴーシュとティータが出迎えてくれるが、早々にライガルがトラングの腕を引いて皇城へと向かう、ライガルの夜はまだ長そうだった…。

「神様達からラインのメッセージが来たね、長…」
「えーと…依頼達成によるポイント付与及び今回の原因の調査報告…結局神様達が調べてくれましたね」
「懐記君が現地に行ってくれた結果だ…神々からは魔王と魔神の魔力が流れ幾重にも絡み《ガルディア》を特殊な場へと変容させ…」
「魔王の魔力で詠斗君達を拒絶し魔神の魔力で僕達魔王を否定し、その組み合わせでドラゴンとジラさんやラジカさんを弾き…ここに僕は1つの仮設を組み込みたいけど良いかな?」
風呂から戻りテーブルで今回の結果報告会を行う、千歳が神々からのラインの文章を噛み砕き、皆も頷いた。
「序列第10位洌獄魔王…キリングのスキルは…おそらく拒絶系だと思われる。それを無意識で自動で常に発動していたのを魔神…グローリー君のスキル、空間もしくは次元に作用するスキルもまた自動で発動し、それがまた新たなスキルに変貌を遂げ転移魔法を作動しないようにしていたと思われる」
「ぐちゃぐちゃで滅茶苦茶で神々も理解出来ない場所になったわけだ」
千歳の説明に大河が呟く、千眼、千華、ニアはその話しに耳を傾ける。
「キリングっちは永遠にあの場所でグリっちを囲って暮らしたいって願望があった訳、だから邪魔者を排除したいってのにグリっちの魔力が乗っかったって事でしょ」
「魔王と魔神…いつかは終わりがくる生活を少しでも長く続けて行きたかったんですね、では何故懐記さんは入れたのかという所は?」
「それは簡単、弱いから。人の出入り流れはあったからある程度のボーダーを作ってたんでしょ、俺はスキルを家にする為に能力削ったし」
「そうだね、しかしチグリス君とジラさんは弾かれライガルさんとティス君が入れたのは…」
「チグリス、ジラには負けるけどライガルとティスには勝てるという事か…」
「能力の合計値で測ったのかもしれませんが、今となっては…」
「でも、また会うよね」
「蒐刻さんと話しをしたいですね」
「思ったよりノリが良いタイプだったわ」
「お、ラインまた来たよ……『最期の召喚を間も無く行う』…って」
「きっとこの世界を気に入ってくれるよ!俺、《アタラクシア》大好き!」
詠斗がラインのメッセージを読み上げる、晴海がにこりと笑い皆も同意する。
「俺も大好き」
詠斗が笑う、風がするりと撫でていった…。

「ここは迷宮…魔王が造った迷宮です」
「暫くここにいなよ?向こうにいかれても面倒だから」
「……」
重い扉の暗闇に放り込まれたキリング、闇の中でも輝く存在だが扉は重く閉ざされ、孤独の牢獄に封じられた。
「グローリー…」
キリングの袖からポロと黄金の紙で作られた何かが舞って、キリングの肩に乗る、グローリーの魔力が宿るそれはグローリーが別れの餞別にと心を込めて折った鶴だった…。
「俺は…独りじゃない…」
折り鶴に触れゆっくりとキリングが目を閉じる、グローリーがいなければどこも彼には同じだった…。

「キリング?」
「ん?何か言った?」
「……」
「そうか、もう休もう」
呼ばれた気がしてグローリーが顔を上げる、ティスが尋ねれば首を振り頷いて足を動かす。
いつかまたキリングに逢えると真っ直ぐにグローリーは信じている、逢えたら……。

STAGE.2 END
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