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第8部 晴れた空の下手を繋いで…
第3幕 第18話 《名も無き島》 4
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「治療は済みましたが申し訳ない、上に戻り早くここから移動したいので着いて来て下さい。詳しい話や食事などもそちらで…」
廃棄奴隷全員の治療を済ませ崇幸や大河達が意識が朦朧としている奴隷達の肩を持ち外へと上がれば、支払いと契約を済ませたニジェルガ達も奴隷達を連れて外へと出ていた、状態が良くないとの事、グローリーが気にしていた奴隷も身体の傷は癒したが眼は虚ろでずっとぼそぼそと何かを話していた。
「支払いはした、戻ろう」
「待った」
「すみません、時間を少し下さい」
ニジェルガの言葉に懐記とラジカだけがそれを止める、理由は序列第12位の魔王の件だった。
「12位の魔王に会いたいんだけどどうしたら会えるのか知りたいんだわ、いくら?」
「彼が何をしているのかこの島に彼の痕跡が微かですがわざ残すように存在しています」
「私も知りたいな、あの魔王には借りがある」
ラージュも懐記達に並び奴隷商人に問いかける、奴隷商人の表情は動かないがゆっくりと口を開いた。
「用が済んだのなら早く出ろ、一刻も早く。そして出たら首輪をすぐに外せ」
「っち、仕込んでいるのか。全員いますぐ皆の首輪を外せ」
「早く出ろ、転移は出来る筈だ…」
奴隷商人の接客口調を止めた言葉にすぐさま懐記が反応し大河達が首輪を外そうとする、奴隷商人が懐からスマートフォンのような板を取り出し、確認し出る事を促した途端にそのスマートフォンのような板の画面が操作できなくなった。
「この首輪!?まさか!?みなさん!その首輪から全員いますぐ手を放して下さい!!無理に外せば罠が発動します!」
ユナイドの判断にすぐ全員が首輪から手を放す、奴隷商人が諦めの表情を浮かべた。
「最初から私のことなど…転移魔法は使えない、来る…」
「蒐刻魔王が来る…」
「キリング…」
千眼の言葉にいち早く反応し剣を構え宙を見たのはグローリーだった、それに続きにラージュ、ニジェルガ、ライガル、ティスも剣を構えその他のラジカ、大河、千歳、懐記以外の面々は奴隷達を背後に隠すように護衛の体制を取った。
「貴方には目を掛けていたのですが、残念です」
「私の処分はどうぞお好きにして下さい」
宙から現れたのは青白い顔の正に不吉な事が起こる前兆のような黄昏色の瞳をした、序列第12位蒐刻魔王だった。
「腕と足は綺麗に元に戻っているじゃん」
「ええ…魔王ですから、こんにちは皆さん」
「キリングを返せ」
「せっかちな方だ」
グローリーが跳躍し魔聖剣を振りかざすが結界によって弾かれ、羽の様にふわりと着地した。
「……今日は本物…」
「弱体化したのにそれを視るとはやはり化け物ですね」
「アシュアを返して貰おうか」
「お断りします、それに本日は貴方方に用があるわけではないのですよ。貴方の裏切りに彼が少々機嫌が悪くなり仕方なく此処に来たまでですよ。せっかくの皆さんへの贈り物を台無しにされ私も困っているんです、機嫌を損ねると大変なんですから」
「なら、その彼と一緒にお茶でもどうかな?アシュア君とキリング君の事も聞きたいからね。他の魔王の皆と一緒にどうかな?」
「それは魅力的ですが、お断りします。増々彼の機嫌が悪くなりますから、新しくこちらに来た序列第7位暴樂魔王(ぼうらくまおう)にもよろしくお伝えください」
「情報が早いね」
「ええ、私の自慢の1つですよ」
「ならもっと教えて欲しいな」
崇幸とラジカが綴の縛鎖魔法を展開し、グローリーが前回と同様魔王を閉じ込める鳥の檻を生み出し呑み込んだ。
「こっちも何度も逃げられたくないんでー」
「でしょうね、私もこうします」
蒐刻魔王の笑みは崩れない一度は抜けた結界だ余裕なのだろうそこに、懐記がカルナラー石を放り込んだ。
「成程、吸収はこれにさせるんですね」
「そ、グリっちに吸収させない。いくらでもあるから」
「でしょうね」
「もうじき完成…」
「悪いけれど檻が完成したら僕の収納に暫く入っていて貰うよ」
「おや、それは所謂詰みですね」
真摯な眼差しの千歳に緩く笑う蒐刻魔王、千歳もグローリーも懐記も誰も油断はしていない何を起こすか分からない。
「もういい、つまらない」
「出ますか?」
檻が完成し縛鎖魔法が周囲を囲っていく、蒐刻魔王の背後から声が聞こえ檻と鎖が粉々に砕け散った。
「来た…」
奴隷商人の顔が元より白い顔が更に白くなる、カタカタと身体を小刻みに震わせているのを崇幸が支えた。
「誰が貴方を怯えさせているんだ?」
「何故…?12位は2名いるのか?」
傍らにいた千眼が驚愕の顔を浮かべる、すぐさま蝶を大量に飛ばし蒐刻魔王の身体に鎖のように巻き付かせ拘束した。
「よわ…これが3位ねー」
その蝶の拘束を1匹残らず引き裂いて蒐刻魔王の影から、1人の少年が禍々しい笑みを浮かべて現れた。
「う…」
「千眼さん!」
「問題ない…」
千眼の髪が何本も千切れその場で燃え消える、崇幸が焦るが千眼の眼は蒐刻魔王の隣に立つ少年から少しも離れない。
「はじめましてぇ!偽善者ども、俺は蒐刻魔王その2ってとこ、宜しくはしない」
「日本人か」
「せっかちなおっさんだなー」
高らかに宣告する少年…その2に対して大河がそう告げれば大河をおっさん呼ばわりする、周囲の空気は色々な意味で凍り付いた。
「君から見ればそうだろう、君がその外見年齢通りならな」
「俺は見た目も中身もずっとこのままだから」
晴海と変わらない華奢な背丈、晴海よりも痩せた身体にパーカーとダメージジーンズにスニーカー、パーカーのポケットに手を突っ込んだ反抗的な態度の少年に全員晴海や元気で素直な子供達に会いたくなった。
「君も魔王だね、ではそのおっさんたちと少しおしゃべりして欲しいな」
「ふぅん、ダメ。俺はそっちの裏切り者の粛清に来ただけ、お前は邪魔だから戻れ」
「…分かりました、皆さん失礼致します」
「行かせない…」
「これが当代の魔神ね、よわ」
その2のが手を振り蒐刻魔王が何か言いたげにしたが指示に従い、転移魔法で移動しようとした所再び宙えお跳躍したグローリーが剣を振りかざすがその2がポケットに手を突っ込んだまま蹴り1発でグローリーを吹っ飛ばした。
『なっ!?』
「あいつこんな弱いのに腕と足持ってかれたのかよ、ゴミだな」
ライガルがグローリーを受け止め地面への衝撃は免れたが、この中では最高戦力を誇る魔神を一蹴りで吹っ飛ばせる魔王…に全員戦闘態勢を整えた。
「ライガルさん…大丈夫」
「グローリーさん!」
「グリ!回復札だ」
「ん…視えない」
「お前みたいな弱い魔神に俺が視れるわけないだろう、雑魚魔神」
宙に浮かび全員を見下す少年の黒い瞳は何処までも澄んで冷たい、外見は間違いなく少年だが瞳は年月を感じさせる。
「もう、偽善者やゴミに弱い魔王の相手は良いだろう。俺はそこの裏切り者に用があんだよ」
「そう言われてもこっちには用があるんだ」
「はー、弱いのに無駄に時間を取らせんなよ。クズども」
崇幸が奴隷商人の身体を抱え千眼が前に立つ、どうすればこの目の上の魔王を止められるのか考えているが分からない。
「そいつをこっちに貰ってそれで俺は帰る、裏切り者には粛清…死だがそいつを気に入っている奴がいてなー裏切った場合はそいつのおもちゃとして滅茶苦茶にされるって事になっているんだよ。良かったなー気に入られてて」
「お好きに…」
崇幸の腕の中で声を絞り出す震えは収まらないその2は嗤う、千歳が千眼の前に立つ。
「彼は渡さない、君と話がしたい」
「無難にそこそこまともな人生を送り奇跡を起こさず、召喚で帰還した魔王ねー。おっさんアンタも俺より弱い魔王だけどやる?」
「戦うのでは無く君とまず話しがしたいんだ」
「じゃ、それ寄越せ」
「断る」
「だから偽善者なんだよお前ら全て、あーダル」
千歳との話が破綻しその2が指を鳴らす特に何も起こらないが注意するに越したことはない。
「ちょっと聞きたいんだけど、これあげるから」
「何?飴?」
空気を敢えて読まず会話に割って入った懐記がその2に向かって詠斗から貰った飴を投げる、受け取ったその2が嘆息した。
「そこの商人、左側が大変な事になってるってグリっちが言ってたんだけどグリっち吹っ飛ばす位強いなら薬草ダンジョンとか入り放題でしょ。どうして治さないわけ?廃棄奴隷って人々を治さない理由はまあ分かるわ」
「おにーさん、くっだらない事聞くなよ。決まってんじゃん、そいつの願いは身体を治す事じゃない、自分の全てを奪った国への復讐だからじゃん」
懐記は一応おにーさんとして見れるようだ、大きく笑みを歪ませるその2に少し懐記の怒りが湧く、それに呼応した元合成獣3匹のがその2に飛び掛かった。
「なんだお前ら?また俺にバラバラにされてツギハギにされたいのか?神々に可愛くされたみたいじゃん、バラし甲斐あるわ」
3匹が一斉に攻撃を放つ、雷刃と灼熱と風迅の3属性同時魔法をその2にぶつけ周囲に爆風が起こる。
「みんな!!」
グローリーが風の鳥を生み出し爆風で吹き飛ぶ3匹を救出する、他の面々も結果で爆風を逃れた。
「俺の怒りか」
千歳の僅かな怒りが3匹を動かした、しかも彼らを一度は惨い姿にした相手に…千歳の肩に千眼が手を置き首を振る、爆風が収まりその2の姿が現れる、無傷…傷も綻びもない厭な笑みを浮かべたままだった。
「ま、涼しかったわ。時間も頃合いか、しっかたない。なあ、偽善者共に奇跡を起こした弱い虫けら3位に平凡4位にゴミクズ共、花火は好きか?俺は好きだ!」
そう高らかに嗤うと空の彼方から嘶きと共に全身を炎に包まれた鳥が飛んでくる、ラジカの眼が見開き驚愕した。
「あれは!不変鳥!絶えた筈!?」
「おーお前古い生物か、そりゃ化石の卵を孵化させたからなーほら上手に孵化出来ただろ?」
「皆さん逃げて下さい!あの不変鳥は業火魔法生物です!定めた対象を焼き尽くすまで舞う鳥です!すみません気づけなかった!ドラゴンの皆さんいますぐドラゴンの姿へ」
「急げ!」
「いや、遅いんだなーこれが」
「可哀想な事をするけれど、使おうか」
ラジカが叫びニジェルガが命令を出す、一斉に全員ドラゴンの姿に戻るが不変鳥の速度が速い、千歳が空を駆ける鳥に目を向ける、ここを燃やされる訳にはいかない。
「破壊魔法発動」
『パスワード承認イタシマシタブレイカーズシステム起動シマス島ノ爆破マデノコリ3分デス』
「なっ」
奴隷商人が持っていたスマホから自動音声のような声が響く、不変鳥は破壊されてもいない、それを見たその2が心底楽し気に歪んだ笑みを受かべて高らかに嗤った。
「あーははははっ!あー受ける面白!だからいったじゃん花火は好きかって。おっさんの破壊魔法がこの島の破壊プログラムの起動パスワードでしたーあの不変鳥は因みに破壊魔法の対象外でしたー残念!」
「これはやられたね、僕の負けか。空間魔法発動」
千歳がすぐさま思考を切り替える、千歳、大河、崇幸、懐記、千眼、残しそれ以外を千歳の収納に収めた。
「僕らは状態異常無効があるからね」
「それ、何処まで持つか興味ある」
「それまでおしゃべりしようか」
「面白くしてくれたし、ま、いいけどー」
『きゅ!』『ぱしゃ』
不変鳥が島へ着き同時に島が大きく揺れ大きく火花が空へと昇って瞬間、きゅうがふーが転移で皆の元へやってきた。
廃棄奴隷全員の治療を済ませ崇幸や大河達が意識が朦朧としている奴隷達の肩を持ち外へと上がれば、支払いと契約を済ませたニジェルガ達も奴隷達を連れて外へと出ていた、状態が良くないとの事、グローリーが気にしていた奴隷も身体の傷は癒したが眼は虚ろでずっとぼそぼそと何かを話していた。
「支払いはした、戻ろう」
「待った」
「すみません、時間を少し下さい」
ニジェルガの言葉に懐記とラジカだけがそれを止める、理由は序列第12位の魔王の件だった。
「12位の魔王に会いたいんだけどどうしたら会えるのか知りたいんだわ、いくら?」
「彼が何をしているのかこの島に彼の痕跡が微かですがわざ残すように存在しています」
「私も知りたいな、あの魔王には借りがある」
ラージュも懐記達に並び奴隷商人に問いかける、奴隷商人の表情は動かないがゆっくりと口を開いた。
「用が済んだのなら早く出ろ、一刻も早く。そして出たら首輪をすぐに外せ」
「っち、仕込んでいるのか。全員いますぐ皆の首輪を外せ」
「早く出ろ、転移は出来る筈だ…」
奴隷商人の接客口調を止めた言葉にすぐさま懐記が反応し大河達が首輪を外そうとする、奴隷商人が懐からスマートフォンのような板を取り出し、確認し出る事を促した途端にそのスマートフォンのような板の画面が操作できなくなった。
「この首輪!?まさか!?みなさん!その首輪から全員いますぐ手を放して下さい!!無理に外せば罠が発動します!」
ユナイドの判断にすぐ全員が首輪から手を放す、奴隷商人が諦めの表情を浮かべた。
「最初から私のことなど…転移魔法は使えない、来る…」
「蒐刻魔王が来る…」
「キリング…」
千眼の言葉にいち早く反応し剣を構え宙を見たのはグローリーだった、それに続きにラージュ、ニジェルガ、ライガル、ティスも剣を構えその他のラジカ、大河、千歳、懐記以外の面々は奴隷達を背後に隠すように護衛の体制を取った。
「貴方には目を掛けていたのですが、残念です」
「私の処分はどうぞお好きにして下さい」
宙から現れたのは青白い顔の正に不吉な事が起こる前兆のような黄昏色の瞳をした、序列第12位蒐刻魔王だった。
「腕と足は綺麗に元に戻っているじゃん」
「ええ…魔王ですから、こんにちは皆さん」
「キリングを返せ」
「せっかちな方だ」
グローリーが跳躍し魔聖剣を振りかざすが結界によって弾かれ、羽の様にふわりと着地した。
「……今日は本物…」
「弱体化したのにそれを視るとはやはり化け物ですね」
「アシュアを返して貰おうか」
「お断りします、それに本日は貴方方に用があるわけではないのですよ。貴方の裏切りに彼が少々機嫌が悪くなり仕方なく此処に来たまでですよ。せっかくの皆さんへの贈り物を台無しにされ私も困っているんです、機嫌を損ねると大変なんですから」
「なら、その彼と一緒にお茶でもどうかな?アシュア君とキリング君の事も聞きたいからね。他の魔王の皆と一緒にどうかな?」
「それは魅力的ですが、お断りします。増々彼の機嫌が悪くなりますから、新しくこちらに来た序列第7位暴樂魔王(ぼうらくまおう)にもよろしくお伝えください」
「情報が早いね」
「ええ、私の自慢の1つですよ」
「ならもっと教えて欲しいな」
崇幸とラジカが綴の縛鎖魔法を展開し、グローリーが前回と同様魔王を閉じ込める鳥の檻を生み出し呑み込んだ。
「こっちも何度も逃げられたくないんでー」
「でしょうね、私もこうします」
蒐刻魔王の笑みは崩れない一度は抜けた結界だ余裕なのだろうそこに、懐記がカルナラー石を放り込んだ。
「成程、吸収はこれにさせるんですね」
「そ、グリっちに吸収させない。いくらでもあるから」
「でしょうね」
「もうじき完成…」
「悪いけれど檻が完成したら僕の収納に暫く入っていて貰うよ」
「おや、それは所謂詰みですね」
真摯な眼差しの千歳に緩く笑う蒐刻魔王、千歳もグローリーも懐記も誰も油断はしていない何を起こすか分からない。
「もういい、つまらない」
「出ますか?」
檻が完成し縛鎖魔法が周囲を囲っていく、蒐刻魔王の背後から声が聞こえ檻と鎖が粉々に砕け散った。
「来た…」
奴隷商人の顔が元より白い顔が更に白くなる、カタカタと身体を小刻みに震わせているのを崇幸が支えた。
「誰が貴方を怯えさせているんだ?」
「何故…?12位は2名いるのか?」
傍らにいた千眼が驚愕の顔を浮かべる、すぐさま蝶を大量に飛ばし蒐刻魔王の身体に鎖のように巻き付かせ拘束した。
「よわ…これが3位ねー」
その蝶の拘束を1匹残らず引き裂いて蒐刻魔王の影から、1人の少年が禍々しい笑みを浮かべて現れた。
「う…」
「千眼さん!」
「問題ない…」
千眼の髪が何本も千切れその場で燃え消える、崇幸が焦るが千眼の眼は蒐刻魔王の隣に立つ少年から少しも離れない。
「はじめましてぇ!偽善者ども、俺は蒐刻魔王その2ってとこ、宜しくはしない」
「日本人か」
「せっかちなおっさんだなー」
高らかに宣告する少年…その2に対して大河がそう告げれば大河をおっさん呼ばわりする、周囲の空気は色々な意味で凍り付いた。
「君から見ればそうだろう、君がその外見年齢通りならな」
「俺は見た目も中身もずっとこのままだから」
晴海と変わらない華奢な背丈、晴海よりも痩せた身体にパーカーとダメージジーンズにスニーカー、パーカーのポケットに手を突っ込んだ反抗的な態度の少年に全員晴海や元気で素直な子供達に会いたくなった。
「君も魔王だね、ではそのおっさんたちと少しおしゃべりして欲しいな」
「ふぅん、ダメ。俺はそっちの裏切り者の粛清に来ただけ、お前は邪魔だから戻れ」
「…分かりました、皆さん失礼致します」
「行かせない…」
「これが当代の魔神ね、よわ」
その2のが手を振り蒐刻魔王が何か言いたげにしたが指示に従い、転移魔法で移動しようとした所再び宙えお跳躍したグローリーが剣を振りかざすがその2がポケットに手を突っ込んだまま蹴り1発でグローリーを吹っ飛ばした。
『なっ!?』
「あいつこんな弱いのに腕と足持ってかれたのかよ、ゴミだな」
ライガルがグローリーを受け止め地面への衝撃は免れたが、この中では最高戦力を誇る魔神を一蹴りで吹っ飛ばせる魔王…に全員戦闘態勢を整えた。
「ライガルさん…大丈夫」
「グローリーさん!」
「グリ!回復札だ」
「ん…視えない」
「お前みたいな弱い魔神に俺が視れるわけないだろう、雑魚魔神」
宙に浮かび全員を見下す少年の黒い瞳は何処までも澄んで冷たい、外見は間違いなく少年だが瞳は年月を感じさせる。
「もう、偽善者やゴミに弱い魔王の相手は良いだろう。俺はそこの裏切り者に用があんだよ」
「そう言われてもこっちには用があるんだ」
「はー、弱いのに無駄に時間を取らせんなよ。クズども」
崇幸が奴隷商人の身体を抱え千眼が前に立つ、どうすればこの目の上の魔王を止められるのか考えているが分からない。
「そいつをこっちに貰ってそれで俺は帰る、裏切り者には粛清…死だがそいつを気に入っている奴がいてなー裏切った場合はそいつのおもちゃとして滅茶苦茶にされるって事になっているんだよ。良かったなー気に入られてて」
「お好きに…」
崇幸の腕の中で声を絞り出す震えは収まらないその2は嗤う、千歳が千眼の前に立つ。
「彼は渡さない、君と話がしたい」
「無難にそこそこまともな人生を送り奇跡を起こさず、召喚で帰還した魔王ねー。おっさんアンタも俺より弱い魔王だけどやる?」
「戦うのでは無く君とまず話しがしたいんだ」
「じゃ、それ寄越せ」
「断る」
「だから偽善者なんだよお前ら全て、あーダル」
千歳との話が破綻しその2が指を鳴らす特に何も起こらないが注意するに越したことはない。
「ちょっと聞きたいんだけど、これあげるから」
「何?飴?」
空気を敢えて読まず会話に割って入った懐記がその2に向かって詠斗から貰った飴を投げる、受け取ったその2が嘆息した。
「そこの商人、左側が大変な事になってるってグリっちが言ってたんだけどグリっち吹っ飛ばす位強いなら薬草ダンジョンとか入り放題でしょ。どうして治さないわけ?廃棄奴隷って人々を治さない理由はまあ分かるわ」
「おにーさん、くっだらない事聞くなよ。決まってんじゃん、そいつの願いは身体を治す事じゃない、自分の全てを奪った国への復讐だからじゃん」
懐記は一応おにーさんとして見れるようだ、大きく笑みを歪ませるその2に少し懐記の怒りが湧く、それに呼応した元合成獣3匹のがその2に飛び掛かった。
「なんだお前ら?また俺にバラバラにされてツギハギにされたいのか?神々に可愛くされたみたいじゃん、バラし甲斐あるわ」
3匹が一斉に攻撃を放つ、雷刃と灼熱と風迅の3属性同時魔法をその2にぶつけ周囲に爆風が起こる。
「みんな!!」
グローリーが風の鳥を生み出し爆風で吹き飛ぶ3匹を救出する、他の面々も結果で爆風を逃れた。
「俺の怒りか」
千歳の僅かな怒りが3匹を動かした、しかも彼らを一度は惨い姿にした相手に…千歳の肩に千眼が手を置き首を振る、爆風が収まりその2の姿が現れる、無傷…傷も綻びもない厭な笑みを浮かべたままだった。
「ま、涼しかったわ。時間も頃合いか、しっかたない。なあ、偽善者共に奇跡を起こした弱い虫けら3位に平凡4位にゴミクズ共、花火は好きか?俺は好きだ!」
そう高らかに嗤うと空の彼方から嘶きと共に全身を炎に包まれた鳥が飛んでくる、ラジカの眼が見開き驚愕した。
「あれは!不変鳥!絶えた筈!?」
「おーお前古い生物か、そりゃ化石の卵を孵化させたからなーほら上手に孵化出来ただろ?」
「皆さん逃げて下さい!あの不変鳥は業火魔法生物です!定めた対象を焼き尽くすまで舞う鳥です!すみません気づけなかった!ドラゴンの皆さんいますぐドラゴンの姿へ」
「急げ!」
「いや、遅いんだなーこれが」
「可哀想な事をするけれど、使おうか」
ラジカが叫びニジェルガが命令を出す、一斉に全員ドラゴンの姿に戻るが不変鳥の速度が速い、千歳が空を駆ける鳥に目を向ける、ここを燃やされる訳にはいかない。
「破壊魔法発動」
『パスワード承認イタシマシタブレイカーズシステム起動シマス島ノ爆破マデノコリ3分デス』
「なっ」
奴隷商人が持っていたスマホから自動音声のような声が響く、不変鳥は破壊されてもいない、それを見たその2が心底楽し気に歪んだ笑みを受かべて高らかに嗤った。
「あーははははっ!あー受ける面白!だからいったじゃん花火は好きかって。おっさんの破壊魔法がこの島の破壊プログラムの起動パスワードでしたーあの不変鳥は因みに破壊魔法の対象外でしたー残念!」
「これはやられたね、僕の負けか。空間魔法発動」
千歳がすぐさま思考を切り替える、千歳、大河、崇幸、懐記、千眼、残しそれ以外を千歳の収納に収めた。
「僕らは状態異常無効があるからね」
「それ、何処まで持つか興味ある」
「それまでおしゃべりしようか」
「面白くしてくれたし、ま、いいけどー」
『きゅ!』『ぱしゃ』
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彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
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気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
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