あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第8部 晴れた空の下手を繋いで…

第3幕 第37話 親子

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「おはよう、シア」
「お、おはようございます、お、おとうさん…」
「ああ、さ、着替えてご飯に行こう」
「う、うん」
朝シアが目を覚ますと目の前に崇幸が起きてシアの手を握っていてくれていた、シアが恥ずかしそうにおとうさんと囁けば崇幸が笑って身体を起こした。

「おはよう」
「おはようございます、昨日はよく眠れましたか?崇幸さんシア君」
「よく眠れたよ、今日は寝坊したな。大河君達が先に起きているんだからな」
「はい!おはようございます!」
手を繋いで大食堂に向かえば、大河、千歳、チグリスが朝食を食べ、厨房では懐記や綴に率が炊き出しの手伝いを行い、ラジカが大河達と同じテーブルでタブレットやスマホを片手に仕事をしていた。
「よし、シア、覚悟はいいな?」
「は、はい!」
手を互いに握りしめシアと崇幸がラジカの方へ向かう、千歳と大河とチグリスが食事の手を止めた。
「おはよう、ラジカ」
「お、おはようございます!ラジカさん」
「おはようございます、朝食を食べた後に首輪を外しに行きましょう」
「その前に君に話があるんだ」
「なんでしょうか?」
「シアを俺の子として迎えようと思う、そして君もだ」
「はあ!父上!崇幸さんに何をしたんですか!」
「びゃあ!何も…おとうさんになってくれるって」
「ゆき…何故だ…」
「せ、せん、千眼さん!?」
覚悟を決めてラジカに崇幸が伝えれば今まで誰も見たことない表情を浮かべたラジカにシアは崇幸の後ろに隠れ、更にその背後に千眼が現れ崇幸が狼狽えた。
「お、修羅場?」
「いや、これは不味いですね。間に入りましょうか」
「んや、ちょっと待って」
「頑張って下さい、崇幸お父さん!」
厨房で騒ぎを聞いた懐記、綴、率が崇幸にエールを送る、ちょっとした修羅場になっているような気がしなくもない。
「崇幸さん、彼に構う必要はありません。貴方のその慈悲深い心に漬け込んでいるんです。自分を憐れんで貰う自己陶酔者です」
「ラジカ、俺はそれでも良いよ。夢で大人のシアに会った、君に良く似ている。寂しいと言っていたんだ、寂しさを少しでも忘れたいから旅をし、子供の姿から大人になる事を繰り返していると、誰かに喜んで貰いたくて褒めて欲しくて、でも結局は誰かが辛い思いをしていると悲しそうにしていた。俺はそんなシアと約束を交わした、何度子供の姿になって大人になっていくシアの父親で在り続けると…これから先のシアが運ぶ新しい時代は誰も死なずに笑顔で迎えられるように俺が家族になるとだからラジカ、君も俺とシアの家族だ」
シアの手をしっかりと握りラジカの目を見つめる、確かに似ている、表情はシアの方が豊かだろう。
「私は、確かに父上から産まれましたが、父上を家族と思った事はありませんでした。父上は後ろを振り向かない、父上は《ラズライール商会》を作り様々な偉業を成し遂げてきましたが、それによって失った命から見てみぬ振りをしていました。称えられ称賛されそれに酔っているだけだと思ってました」
「それでもシアは寂しいと、唯一の家族の君からはそっぽを向かれていると」
「そうですか。父上、崇幸さんはこの世界の救世主です。彼らに何かあれば神々も黙ってはいないでしょう、新しい時代を貴方が運ぶ時は崇幸さんを、父親を哀しませないそうにして下さい」
「は、はい!ラジカさん!」 
「ラジカで良いですよ、朝食を食べて来てはどうですか?」
「ありがとう、ラジカ。で、俺の子供になる?それとも孫?」
「そこは保留で、崇幸さんも食べて来て下さい。首輪を外しましょう」
「そうだな」
「ゆき…お前がそれでいいなら良い…」
「千眼さん、心配しないでくれ。でも、見ていてくれ」
「分かった…」
シアの後を追う崇幸の隣に千眼が並び一言伝る、その後ろ姿をラジカが眺めた。
「すごい覚悟だな、異世界で父親か…」
「そうだね、でも崇幸さんならきっと良い父親としてシア君を導いてくれるさ。ラジカさんは崇幸さんを父親としてか祖父としてか…」
「どちらも魅力的ですが、保留にしますよ」
「へえ」
「崇幸が父なら良いだろう…あの鳥も寂しくなくなる…」
大河が呟き千歳がからかうようにラジカを見つめる、朝食のホットドッグを大量に食べながらチグリスも頷いた。

「では、お願いします。道具はこちらにありますから、私も解除を手伝います」
「は、はい!」
「シア、この人達を助けてやってくれ」
「う、うん」
朝食後会議室にはラジカ、崇幸、シア、ラピス、ユナイド、千歳、千眼、千華と首輪を掛けられた奴隷達が不安そうな顔をしていた。
「おい、鳥やるぞ」
「う、うん!よろしくね」
シアが赤ん坊の時から共にある手帳を開き細工物の解除を描いたページを開き、その場にいた全員に解き方の説明をしていく、
「この首輪はこの細工物と同じです、この細工物は毒と魔石で出来ているんです。カルナラー石と解毒薬を使えば後は簡単に壊せるんです」
《空廻る者》としての記憶は無いが知識と経験と危機察知能力は引き継がれ、本能的に自分に現在必要な情報を手帳といいう魔法具を使い引き出しているとラジカが教えてくれたが、元奴隷達は毒という言葉に身を震わせている。
「解毒薬は何でも良いのかな?」
「は、はい、効果が高い物であれば楽です」
「薬草ダンジョンの解毒薬とカルナラー石ならあるから、沢山使ってね」
「わーカルナラー石!本物だー」
シアが目を輝かせ早速解毒薬をカルナラー石に注ぎ、魔力を注げばカルナラー石が波紋を描いた。
「これで解毒石になりました、この解毒石がこの細工物の内部を壊してくれます」
「この解毒石は他に何にかに使えますか?」
「あ、えと人とかには使えないですけど、飲めない水とか毒の入った食べ物とかの側に置いておけば食べられるようになります。後は毒霧とかも解毒してくれます」
「それは…」
「どちらも入手は難しいですからね、この方法は余り浸透してないようです」
「た、確かに」
ユナイドの質問にシアが答えればユナイドが絶句する、毒に汚染された水や毒が盛られた食事が解毒できるようになる…聞いたこともない、そもそもカルナラー石などダンジョンの下層でしか手に入らない。
「首輪の中が壊れて鍵穴が出て来たぞ!」
「後はこちらに任せて下さい」
シア、ラジカ、ユナイド、ラピス達が手分けして鍵穴の開ける順序を、千華と千眼から聞き元奴隷全員の首輪を外す事に成功し元奴隷達が歓声を上げた。
「すごいぞ!シア!」
「えへへ」
「お疲れ様です」
「これから、孤児院の先生の所に行って養子の話をしよう。それが終わったらおやつにするからな」
「わーい」
崇幸がわしゃわしゃとシアの頭を撫で回す、シアもくすぐったそうに笑う。
「あ、千歳君。ショルダーバッグって余っているかな?孤児院の子やシアに収納バックにして渡してあげたいんだ」
「僕は収納袋なら沢山持っているんですが」
「ショルダーバッグなら私が用意してお持ちしますよ」
「ありがとう、後で支払いをするから」
「分かりました」
手を繋いで会議室を後にする、ラジカと千歳は奴隷達の状態の確認と希望の聞き取り、ユナイドは《ズィーガー商会》に戻り、ラピスはベルン達の元へ、千華は畑に戻り千眼は詠斗達がいる診療所へ向かった。
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