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第010部 魔人達に捧げる禍つ謳

第017話 盛況

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「みんなカッコいい!お店オープンおめでとう」
「良く似合っているね」
「写真撮らせてくれるか?」
「皆さんに似合ってますね」
「俺も写真撮ろ」
詠斗、千歳、大河、綴、懐記がスマホを出し出迎えてくれた率達を写真に納めていく、率達が照れながらも店内に案内した。

「率さんきたよー」
「みんなよく似合うね」
「カッコいいじゃん」
晴海達も合流し、写真を撮り店を見ている。
ネイルの練習にとエピシュとキートがイザラとイデアを連れて3階に上がる、チナスがカウンターでゴーレム達に手伝って貰いお客様達に茶をもてなした。
「こんにちはー来たよーおめでとう率ちゃん、素敵なお店ー」
「良い店だ、おめでとう」
舵と崇幸も訪れみんなでお茶を飲みながら、周囲を見渡し所々置かれたフォンからや蒐集家からプレゼントでくれた観葉植物達、鮮やかな壁の絵、爽やかな香り、棚に並べられた
この世界では目新しい数々の品、柔らかな照明、落ち着く雰囲気の店に率もとても満足そうに笑う。
「みんなで良いお店を作っていきます」
「必要な備品があったら作るから言ってくれ」
「はい!」
崇幸が伝え率が柔らかない微笑みを浮かべ、詠斗達も個人の生活用品を買い足し店を後にした。

「開店おめでとうございます!」
「良い店だ!」
「こんにちはー」
「わぁ、素敵なお店」
「うー」
「わー」
「きゃー」
ロックス、テュフ、カイネ、バルタルと魔人の赤ん坊達が訪れ、チナスからのお茶を飲みながらテスカとエツィアから気になった商品やお勧めの商品の説明をして貰った。
「ホテルの個室に置いた消臭剤は冒険者の皆さんにすごい評判がいいんですよー洗濯室にお風呂も、お客様達は皆清潔に使ってくれて」
「やっぱり匂いとか気になりますね、それでこれうちの新商品の練り香水なんですが…」
「ねりこうすい?」
テスカがトレイに幾つか木で出来た小さい蓋付きの箱、蓋には色が塗られていてそを出してくれる、ロックスが青い蓋の物を開ければ淡い色が付いた清涼な香りのするクリームを固めた物があり全員で興味津々にテスカの説明に聞き入る。
「こちらは、香りは弱いですが保湿…肌の乾燥にも効果があり、手首や首辺りに塗るとふわりと香ります」
「落ち着きますね」
「俺たちは食べ物扱うからなー」
「そうですね」
「でも、1つ買おうかな」
それぞれ蓋を開けて好みの香りを見つける、よしとロックスが覚悟を決めた。
「従業員の皆さんと各お部屋にサービスで置きます!各50個お願いします!……従業員の皆さんの贈り物は僕のお金で、お部屋の物は経費で!」
「ありがとうございます、ご用意します」
本日の大口のお客様テスカが準備している間今度はエツィアが、爪ヤスリを持って来る。
「接客業の方や料理をする方には自分で爪先を整えられる爪やすりセットです」
「お、自分で出きるのかいいな!」
テュフの食い付きが良い、エツィアが実演で説明しテュフが1つ、バルタルとカイネが孤児院にと多量に購入してくれた。
魔人の赤ん坊達はゴーレムと遊んで満足そうにしている、幾つか商品を購入してテュフ達は帰っていった。

「来たぞ」
「いらっしゃいませ」
テーデやカーテスにイビヤとカテスが訪れ、エツィアが出迎えてくれる。
「グリちゃんは夕方に来るからね」
「ねーテーデ」
「なんだよ」
「ネイルやらせて」
「…好きにしろよ」
「ありがと」
「俺は客だろ」
「ふふ、知ってまーす」
ちょうどネイルが終わり戻ったイザラ達と入れ替えで、エツィアがテーデの手を引き嬉しそうに上へ上がっていく。
「いらっしゃいませ!カーテスさん」
「おめでとう、率ちゃん」
「ありがとうございます、ゆっくりしていって下さい」
率がカウンターの奥から出てくる率がニコニコと出迎え、晴海も来店していたニトやトイとフォンの接客をしていた。
「このシャンプーと石鹸ハンドソープを各3個と…」
「あ、このボディクリームもー」
「練り香水いいな、全種類くれ」
「はーい」
「晴海さん手伝います」
「ありがとうチナスちゃん」
晴海とチナスが言われた商品を準備し、率もカーテスの買い物を用意していく。
「お風呂広くしたからみんなの好みの物が置けるし、家族の好みが皆バラバラだからねー。こだわりがないのはグリちゃんだけだねー」
「グローリーさんは日替わりで皆さんのを使うのが好きみたいですね」
「それもあるよね、グリちゃん皆の事大好きだから」
「そうですね」
最近のグローリーは相も変わらず無表情だが、感情が伝わりやすくなり愛情深いとそんな事を話していると、ゴーレム達と遊んでいたイビヤとセスカがグズリ始めた、どうやらお腹が空いたらしい。
「ちょうど良いですね、お昼にしませんか?看板出しますからスタッフルームでお昼にしましょう。識さんお客様来たら教えて下さい。今日はプレオープンですから。エツィアちゃんとテーデ君は終わったらお昼にして貰いますから、ニトさん達も」
『はーい』
『わかったわ~ん』

「詠斗さん、こんにちは!」
「エッジさん、どうもー」
商業エリアで調味料とお茶等の買い込みをしていた詠斗に《エットナ》の《ラズライール商会》支店長のエッジが笑みを浮かべて詠斗の元へと向かってくる、今は商業エリアの《ラズライール商会》の職員も兼任し忙しそうにしていた。
「2日後に《エットナ》に大規模な商隊(キャラバン)が来るんですよー良かったら皆さんで来て下さいー支配人達も来ますよー異国の珍しい品も沢山来ますよー」
「へえ。面白そう!」
「ボクも初めて見る規模ですよ、もしお店とか出して貰えるなら嬉しいです!急な話しですけど」
「おっけー聞いてみるよ」
「よろしくお願いします、率さんのお店明日行きますね」
「了解ー」
タタタ…と世話しなくエッジが走って行く、《ラズライール商会》も相当忙しいらしい、詠斗はその背を見送り楽しみだなーと思い買い物を続けた。

『千歳様…』
「風早、どうかしたのかい?」
『フォン様の裏の件ですが…』
「どうだったかな?」
『何も掴めませんでしたね…見事です』
「風早さんが褒めるのは珍しいですね」
「なら、聞いてみようかなタナトスさん」
「……どうしてここで仕事をするんですかね?」
グローリー宅の4階のタナトスの奴隷ギルドのオフィスで、何故か一緒に仕事をしているラジカと千歳とケークス、そして奴隷ギルドの職員のテナス、ソーン、ワンズが共に仕事をしていた。
「今更でしょう」
「このオフィス気に入ったからね、流石は崇幸さん」
「とても落ち着く雰囲気ですね、あ、お茶淹れますよ。コーヒーにします?」
ケークスが立ち上がり奥の給湯室に向かう、広い窓に控えめに置かれた観葉植物タナトスには重役席を用意し反対側に千歳の席があり、各自上司の近くの机に座って仕事を行っていた。
『裏…《裏ギルド》は大陸や国に潜み何者かが秘密裏に動いているようですね』
「私も噂程度ですね、この大陸では印象は薄いですし。父なら何か知っていると思いますがあれですし」
「私も《裏ギルド》の話しはあまり、賞金を懸けられた人物の噂が時々出回るくらいですね」
「こちらもです、」
ラジカ、テナス、ワンズがそう答え、視線はタナトスに向かう。
「………《裏ギルド》の支配者は魔神(・・)以上の頭がイカれた生き物です、以上」
「もう少し」
「……《盗賊喰らい》の懸賞金の取り下げは簡単です、こちらが公に《盗賊喰らい》を引き入れたと言えばいい、それだけです」
「それでいいなら、風早頼むよ」
『承知しました、タナトス様1つお尋ねしてもいいですか?』
「その質問ならば、独りですよ。《裏ギルド》を運営しているのは」
『分かりました、ありがとうございます』
「1人?本当ですか?400年以上前から《裏ギルド》は存在していますよ、1人ならばドラゴンや妖精、魔人か魔王か」
「……私も知りませんよ、あれをやってのけられる者ならばそれ位の存在でしょう。独りでやっているというのも確実な噂というだけです」
「興味が湧いたね、情報を集めてみようかな」
「無駄ですよ、《裏ギルド》という名前、表で懸けられない賞金が掛けられる、依頼する場合の報酬は金ではない物、それ以外は一切不明です」
「依頼をしたい場合は?」
「………分かりません」
「それは残念」
ケークスがお茶とコーヒーを淹れてくる、後でラジカを連れて蒐集家の元へと向かおうかと仕事に戻った。
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