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第011部 イレギュラー過ぎる召喚は神々も知らない内に/500年の孤独と独夜と独りと到達に至る導 回顧録

第030話 特特特盛り朝ご飯と到着

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『おはよーございまちゅ』
朝、ニスムの孤児院では各所で握られたおにぎりが届く、味噌汁と腸詰ソテーに目玉焼きサラダに果物がテーブルに並べられている、外神も訪れおにぎりを握る。
「皆さん2時間後に《ガルディア》にギルドと商会の皆さんが到着します」
「飯とかは食べてる?」
「朝は食べているようです」
「なら、崇幸さんのスキルでパンとか出して貰おう。昼はここの子達もパンとサラダとスープにするから」
「はい、ありがとうございます」
「外神っちオフィスはカジノタワー用意してるから、足りない物あれば風早っちに言って」
「…………」
「ダメな感じ?」
「いえ、耐久性に問題無ければ…よく揉めて…建物を壊してしまうんです。ご迷惑が掛かるかもしれません。一応建物は《ゼロ商会》の店以外全て収納に入れて欲しいと頼んだので…」
「ふうん、壊れたら直せばいんじゃない」
「僕の再生魔法!腕振るいます!」
お味噌汁をよそう燈火が声を上げる、外神は頭を下げおにぎりを握る、無表情で手慣れた手付きで素手で握っていった。
「《アタラクシア》米大粒で食べ応えあるわ」
「はい、子供達も好きで良く食べてくれます」
「海苔もあるんだねーおいしいよ!」
手伝いに来た晴海も外神が出した海苔を食べて笑う、食堂では子供達がおにぎりを1人4個と決められていて他のおかずもしっかり個数も分けられていた。
「外神さんみなさん、ありがとうございます。みなさんも食べて下さい」
子供達と朝食を食べていたニスムが交代でキッチンに入ってくるので、燈火と晴海が食卓で子供達の世話を行う。
良く食べるが取りあい等もケンカもせず、只々勢いがすごい。
「外神さん、僕たちも此処でもお仕事を…」
「すぐに始めなくてもいいですよ」
「いえ、子供たちのお小遣いが…お金や売り上げ全て行方分からないですし…」
「お小遣い?」
「はい、お仕事やお手伝いをしてくれる子供たちにお小遣いを渡しているんです、孤児院ごとに特色があるんですが」
「俺達の孤児院は革小物や加工が得意……道具とか商品ぜーんぶ燃えた……はぁ」
子供たちの食事が終わりネイナもやって来て…思い出しどよんとしている、ニスムも少し落ち込んでいるがあまり顔には出さないようにする。
「ウェントスさんやケトさんが来たらダンジョン行って調達してこようよ」
「道具も僕が出しますよ、加工場も新しく造りましょう。ストックもありますから」
「商品見たかったですね、僕もお手伝い出来たら良いけど…」
ネイナが言い外神が小さめのおにぎりと味噌汁を飲み、食事を終えた燈火と晴海も戻って来る。
「人気ですよ、子供たちも加工出来ますし。質が良くて冒険者の方達にも好評です…」
そう言いふと何かに気づいた外神の動作が僅かに止まる、懐記がその機微に視線が向くが何も言わなかった。
【他の孤児院もすごいんですよー宝飾加工とか、パンを酵母から作っていますし、国を運営してるし温泉街を仕切っていたり】
『え?』
「国?逆じゃなくて?」
「そうですね…その説明も後ほどします」
【マスター《ガルディア》の手前の丘に皆さん到着しました】
「分かりました、《ガルディア》のカジノタワー前に転移で連れてきます」
外神が立ち上がり転移で移動を行う、懐記が他にラインを送り《ガルディア》へ移動した。

「みなさん、こちらが《アウトランダース商会》の皆さんです。僕たちの上司ですから……」
「外神本気で《ゼロ商会》と裏手放したんだな、ま、いっかー」
「あらー移動中にお話ししてくれた子達はどこかしらぁー」
「おなか…すいた…」
「さけーさけはどこだー」
「魔王や番外個体に古代種の龍に…なんだこりゃ」
「いやあ、さすがにきつい丸2日飛びっぱとかないわー」
「ネイナ!ニスム!子供ら!狩り行くぞ!」
「い、いや、待って無理、つうか誰よレトやん絶対この国来ないから騙して酒飲ましっぱで運ぼうとか言ったやーつ、飲み過ぎたー」
「共に飲む必要はなかろう?」
「あ~外神~賭け負けたー3億ちょーらい、うへへー飲み過ぎたー」
「うぷ…」
『…………』
総勢40名程の《ゼロ商会》と裏ギルドのメンバー、個性豊かというか濃い面々でいた。
「レト?」
「あ、あんの!クソドラゴン!!」
「うぇーさけ……ここ何処だ!?げ!あの顔ヤバいというかあそこにいるのは!お前ら!」
「うわ、レトいきなり酔い覚めたの?」
「おや珍しいですね、明日はおかしな事でも起きるかもしれませんね」
「ふふ、ああ怖い」
アルケールとアゲイルによく似た男が酒でトローンとした表情だったが、嫌そうな顔をするジラとイシュターにチグリスの顔を見て血相を変えた。
「長…レト…いる」
「おい!ふざっけんな!チグリスてめ!外神!俺はやめっからなあばよ!」
ドラゴンの姿に転じ飛び去ろうとすると、何処か妖艶さを含む目元の紅い美青年が軽くレトの尾を掴み飛行を阻止した。
『はなせ!おい!』
「せっかくの帰郷なのだから楽しむといい」
「そうなのじゃ、ほらきたようだ」
『げぇ!兄貴!ナイデル!』
「随分元気そうだな、レト」
「はい、お久しぶりです。レト」
「………あ、すみませんレトさん。ご家族に会うのは気まずかったんですよね……」
『離せ!』
「煮るなり焼くなりお好きに」
「それでは」
「さっさと人型に戻って下さい、大きいと運べませんよ、久しぶりの再会です。積る話もありますからいきましょう」
『マユラ!てめ!覚えておけよ!!」
「おお、怖い」
ナイデルとアルケールが転移で一瞬でやって来てレトを人型に戻し、首根っこを掴んで引き摺って何処かへと連れて行った…。
「あ、えーと……」
「あー最悪ーひっさびさに見たなあの顔…」
「以前大敗して負けたとレトさんが言っていたのはジラさんだったんですね…」
「まあ、こっちも死に掛けたけどな…」
詠斗が目の前の流れに付いて行けない、ジラが忌々しげに言うと外神が以前レトが話していた事を思い出す。
「なんだか、すごかったな。長旅だったんだろう?俺は皆藤崇幸だ!軽い飯の準備は出来ているから食べてくれ」
「お風呂の支度も出来ていますよ、僕は更科綴です」
「お話ししていたのは僕、成澤率と…」
「有守晴海だよ!」
「いやぁん、会いたかったん」
「率ちゃん!晴海ちゃん!」
「かわいいわあ」
わらわらと率と晴海やイザラ、イデア達の元へと集まる、誰もレトが連れて行かれたのを気にもしない、崇幸達が用意した軽食を食べつつ自己紹介や今後の事を話し合う事にした…。
「お!フォンじゃん!」
「げ…何でお前がここに」
ベルン達とミルクを持って来たフォンを見つけた人物が手を振れば、フォンが露骨に嫌そうな顔をした。
「会いたかったぞー、ここにいたのか」
「兄貴…っち!だりぃ」
『え?』
「俺はフェシュスタ、フォンのお兄ちゃんだよー」
よく似た面差しの2人、表情は対照的だがどうやら久々の兄弟の再会らしい…。
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