あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第013部 序列第13位と生きた山脈×まだまだ続くよ空の旅

Stage.7-25 罪を犯した者たち

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「対戦相手用意しましたぁー全部で6回闘って下さいー」
「相手の情報はないのか?」
「ありませ~ん当日をお楽しみにー6回勝てば支配者様と闘えますぅ」
蒐集家の店で手伝いを行う大河と住民達の様子を伺い話しを聞く千歳達の元にふらりとフゥが訪れ、決闘会の対戦内容を簡潔に知らせた。
「分かった、ありがとうフゥさん。良ければ今からお茶を飲むんだけれどどうかな?」
「わぁーうれしい~ありがとうございますぅ」
「支配者さんにも用意したから渡してくれる?」
「りょーかいしましたぁ」
千歳がテントの中にフゥを誘いラジカが準備してくれていたテーブルには、既にお茶が淹れられクッキーやパウンドケーキが各椅子の前に置かれていた。
「どうぞ」
「わぁ美味しそうですぅ」
大河が蒐集家を連れ5名での茶会が行われる、紅茶に花の砂糖漬けを浮かばせた飲み物は最近のラジカのお気に入りだ。
「どうですか?フゥさん?お茶の味は?」
「おいしいですぅ~」
「その花は食べられますよ、中々の高級品です」
「ん~そうなんですね~」
ラジカが美味しいか尋ね蒐集家は花について捕捉する、薬草ダンジョンのドロップ品の花を外神の魔法で木に咲かせた物だ、疲労回復の豪華がある、魔人のフゥには単なる砂糖のオマケだが彼はその花をカップに残して茶を飲み干した。
「お気に召さないようで残念」
「あはは~妖精さんや精霊さんではないのでお花はたべませんよぉ~」
「フゥさん、タナトスさんが勝ったらここを療養街にするつもりです」
「そ~なんですかぁ」
「勝てばお前はこちらの所有物になる、協力して貰う」
「あはは~勝てば新しい支配者様の物になりますしねー千歳さん達は忘れてますがここの住民はほとんどか罪人ですよー罪人を生かして得があるんですかぁ?死んでいても生きていても同じ者達ばかりですよぉ」
「…罪人ではない人々もいますよね、罪人…罪を犯した人達には償いはして貰います」
「犯した罪によって与える罰を変える、労働、奉仕、期間等で分けるつもりだ」
「ふうんいいんじゃないですかぁ~」
間延びした声とは裏腹な嫌な言葉に千歳も大河も真摯に返す、フゥはつまらなさそうに言いクッキーに手を伸ばそうとする手を止めた。
「皇国から塵がきました~見に行きますかぁ?」
「ああ、この街の住民の貴重な収入源の1つですか」
「そうでーす奪い合いで殺し合いもおきますよぉ」
「ああ、案内して貰おう…住民が行かない様に識、放送を流してくれ」
『りょーかいよん』
ニコニコと笑うフゥに大河が嘆息し識に放送を掛けるように言い、蒐集家が薄く嗤った…。

《ナイジアナ皇国》ヴリトゥユ・イラカース・ナイアジナ・ケスネトは執務室で宰相右翼のウォンツ・コーウェン、他の臣下達と共に各領地、首都からの嘆願書や支援、兵の派遣等の采配を行なっていた。
塵1つない豪奢な刺繍が施された青を主とした絨毯、魔法攻撃や物理攻撃を防ぐ鉱物ダンジョン産の窓、魔石を練り込まれた壁は限られた者以外の侵入を阻む、皇城内において皇帝の私室に次ぐ堅牢さを誇る執務室で書類を淡々と片付けていた。
「失礼致します」
重厚な扉が開かれる、音も無く外の守を固める騎士から通された鎧に身を包んだ者がトレイに載せた手紙をヴリトゥユに差し出す。
手袋を嵌めているヴリトゥユがその手紙を手に取る、既に手紙の内容は閲覧されている為綺麗に封が切られ中を改めれば手紙が1枚開いて中を確認後、火魔法で燃やした。
「2日後の夜だ」
「承知致しました」
短くヴリトゥユが口にし書類を確認中のウォンツが頷く、そしてヴリトゥユは淡々と職務に戻った…。

「此処が塵を捨てる穴ですぅたぁのしぃですよ~」
愉しそうに歩くフゥに案内されて来たのは千歳達がいた蒐集家の薬屋から歩いて10分程の街の終わり、傍に人もいない建物も柵もない道が途切れた穴、穴の広さは直径20m程の底のない深い真っ暗な穴だった。
「これは…このしたの生物の穴だね…これは口なのかな?」
「ないしょですぅ」
「塵がきましたね、随分多い」
「はぁいたすかりますぅかれは食欲旺盛なのでぇ」
千歳が穴の様子を伺っていれば貧民街の壁が焼失し荷車に乗せられた塵が次々と運ばれていく、罪人達の逃走防止や危害を加えられない様に兵士達が武装しに荷車ではなく出入口を固めていた。
ラジカが途切れない荷車に眼を細め、フゥはご機嫌だった。
千歳も大河もどんな物が捨てられるのかと眺めていれば、生活で出る一般的な生ゴミや木材の端切れ、腐っているような色や匂いを放つ肉、解体され使う所も食べる所もない魔物や動物達の残骸等、基本《アタラクシア》は非常にエコといえば聞こえが良い程ゴミは出ない、物を大事にする、壊れた物は直し破れた物は縫い、使い物にならなくなった道具は中古で売り出しまたは潰して他の物に再利用する、運ばれて来たのは荷車数十台、運んでいるのは粗末な服に首輪、種族は様々な奴隷達だった。
「うう…」
「あれは…待て、人が荷車に乗せられているぞ」
「フゥさん、まさか彼らも…」
「はい~使えないから棄てられるんですぅ」
『……』
荷車から漏れ聞こえる微かな声に大河の目が見開かれ千歳がフゥに聞けば、当然だという風に笑って答え、ラジカも蒐集家も無言で荷車を見ていた。
「彼らはここで罪人扱いになるという事だよな?」
「いいえ~あの荷車に乗せられたものは全て穴に棄てられますぅ」
「ふざけるな!生きているんだぞ!降ろせ!」
「ダメダメですぅ~生きているエサも必要なんですぅ~大丈夫ですよぉどうせすぐ死んじゃいますからぁ~だから彼のお腹を満たすのに役に立ってもらわないとぉ」
「止めろ!チッ」
「ダメですぅ」
「フゥさん、お願いします。生きている人々はこちらに」
「ダメです」
「千歳、大河さん、引いて下さい。此処では立場は向こうが上です」
「ええ、そうですね。荷車に乗っている彼らは何もしなければ間も無く死ぬでしょう」
「そうですよぉどうせ死んでもすぐ転生するからいいじゃないですかぁ死んで転生すれば今の苦しみから解放されますよぉ~死んだ方がマシでしょぅこんな人生~」
「ふざけるな!?蒐集家!お前が救え!」
「まあ、私が手を貸せば彼らは生き延びると思いますが赦さないと思いますよ?」
「大河さん引いて下さい、お願いします。ここは牢獄です」
激昂した大河がフゥに掴み掛かり蒐集家に治療しろと言えば、嗤って了承するが視線の先には大河ではなくフゥがいる…チリン…千歳はどうにか出来ないものかと思案するがラジカの一言に魔王でも異世界からの救世主と言われていた自分の無力さを叩きつけられた様な気がした。
「ラジカ、僕は諦められない。彼らを…生きている彼らを穴に落とす…見殺しにしろと…」
「はい」
「あ~わっかりましたぁ生きているから止めるんですね~仕方ありませんー勿体ないですけどぉ殺しましょうかぁ」
『止めろ!』
服を掴まれたままのフゥが良い案を思いついたと荷車に乗せられている人々に向かって手を伸ばす、どうやらフゥの指示が無ければ塵は落とされないようで列を成して無言で待っている、奴隷達も兵士達も何処か怯えた目でなるべくこの中を視界に入れない様にとなるべく目を逸らして自分達があちらに戻れるのを待つ、塵を運び穴に流すだけ…たとえそれが生きていたとしても…それが明日の自分の姿なのかもしれないと…そんな日々が今変わろうとした瞬間を見たのかもしれない…。

「魔王の魔法ですぅ~固有スキルですかぁ~すごいぃすごい」
「あ…あ…そんな」
「千歳さん!?」
「千歳!」
無意識にフゥの攻撃を阻止しようとした結果放った魔法はフゥの右半身を吹き飛ばしていた、血も出てはいない歪に半身が消えていたがフゥは哂ってはしゃいでいる。
「痛くないでう~すぐ戻りますぅでもぉ掟は掟ですよぉ~そのまま穴におとすかぁー殺して落とすかぁしかありません」
すぐにフゥの半身は再生されニコニコしている、千歳は混乱しラジカが身体を支えてはいるがフゥの異変に気付き大河に千歳を託しフゥに向けて収納から出した剣を向けた。
「ん~」
「救世主と魔王の御前です、殺気と剣を向けるとは不敬ですよ。たかが半身を吹き飛ばされた程度で」
「怒ってないですぅでも掟ですぅ~アタシは代理者ですからぁー」
「何をしているんです?魔力の異常を感じて来てみれば…」
辛辣なラジカの普段決して見せない冷えた部分にフゥが慌てて首を振る、そんな中タナトスが呆れた声と表情で現れる。
「タナトス、何か案は無いか?このままでは生きている人々が穴に落とされるんだ」
「放っておけば死にますし良いのでは?この穴は墓場でもありますよ。この皇国にいる者達は皇族以外死ねば此処に放り込まれます、死んで葬られるか死に掛けで葬られるかの差ですね」
「流石タナトスさん、良い言い方ですね」
「そうですぅそうですぅ~」
蒐集家とフゥが同意する、フゥが手にしていた剣を穴に放りコクコクと大げさに何度も頷いた。
「それに納得は出来ない」
「……僕もだよ」
「…はぁ、これを」
どうしても引かない2人にタナトスが溜息1つ吐き出し、収納空間から拳大の黒い石を出しフゥに放りフゥが両手で受け止めた。
「それと引き換えにその荷車の人々を此方へどうですか?」
「あららぁ~いいんですかぁこんなすごいもの~」
「別に要らないので」
「ん~ん~わっかりましたぁ」
「結構な物を出しましたね」
少し考えてフゥが了承し、人を乗せた荷車を手を振り千歳達の元へ運ばせ、黒い石を穴へと放り込む音もなく暗闇に吸い込まれて行った。
「すまない、タナトス」
「ありがとうタナトスさん」
「……まあ、この魔人の半身吹き飛ばしたのは見ものでしたしね」
「フゥさん…申し訳ない…僕はなんて事を…」
「いいですよぉ~でも掟は掟ですぅ~皆さんが敗ければこれが続きますからぁ」
「私が勝ちますから」
「はぁい」
半身が吹き飛ばされた事など無かったかの様なフゥ、勝気なタナトスにまだ顔色の悪い千歳だが、荷車に乗せられた人々の方が深刻だと店に運び治療を施す事にした…。


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