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第016部 魔なる神たる人の子よ*尊き血と古き血/自己犠牲の先の解
Old Blood Iris
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彼は生れ落ちた瞬間から外れを引き、兄の付属品でしかなかった。
父から真名を母からはイリスという名を貰い、彼は《アタラクシア》に在る。
両親は互い以外の物を見たくなく、互いだけが存在していれば良いという者達で産まれた子に興味も感心も勿論愛情もない、そしてイリスもそれを求めなかった。
兄は古い魔人が連れて行きイリスは両親の元に戻ったり何処かへ行ったりを繰り返す、両親は変わらない何処までも、そしてイリスも両親は好きだがそれ以上も以下の感情もない。
『作れというから作ってみたけれどね』
『………』
両親は互い以外要らない必要ない求めない、2人だけで閉じている。
イリスはそんな両親と着かず離れず一定の距離を保ち生きていた、人の中で振りをして真似て……そんな中出逢ったのがヴァロニカだった。
ヴァロニカは痩せた子で皇子とは思えない粗末な身成をして、いつも腹を空かせていた。
イリスは遊んでくれる相手が欲しくて彼を生かそうと思った、彼を生かすのは結構大変だったと彼は思い出す。
「ヴァロニカ、僕は永久に君を愛しているんだ、愛しくて…堪らない死んだくらいで僕の愛は尽きない…君は首だけでも美しい…」
封印された匣の中は何もないが存外居心地は悪くはない、収納空間から首だけになって尚も美しい《カテラント帝国》前皇帝ヴァロニカ・バステル・カテラント・ツヴァルキアの薄い青を混ぜ緩く波打つ長い髪がさらりと流れた。
首を持ち嬉しそうに微笑み閉じた瞼に恭しく口づけする、それは崇拝にも似た仕草だった。
ヴァロニカと友人になり、イリスは彼を生かそうと思った。
イリスを生かすのは存外難しい、数多いる側室の下位の妃から産まれたヴァロニカには継承権などあってないような物、常に兄弟達が命を奪い合う環境、ヴァロニカは皇帝にも権力にも興味はない、碌な教育も受けていない、兄弟や兄弟の母達にどれが皇帝になれば自分達に優位になるかしか考えていない臣下達、その抗争に巻き込まれいつ死んでもおかしくないヴァロニカを生かすのに最も手っ取り早い方法をイリスは取った。
そしてあの時あの瞬間、今でも思い出せば心は弾み踊った。
ヴァロニカが皇帝に即位したあの瞬間、抵抗する皇子た皆殺し皇位継承を放棄する事を選んだ兄弟たちの名追放し、ヴァロニカがヴァロニカ・バステル・カテラント・ツヴァルキアと成ったあの瞬間、イリスは恋に落ちた。
ヴァロニカが学び成長し自分の背を抜き美しい皇帝へと成り、そしてイリスもまた子どもの姿を捨て大人へと成長しヴァロニカに想いを伝えた。
「ふふ…僕は君を選び君は僕を選んだ…そしてヴァルキアが産まれた…嫌われたけれど…僕に親は向いてないよねー」
イリスはクスクスと笑う、晴れやかな満足な笑み。
『約束だ、名を。私が真名を…』
ヴァルキアが産まれた時はとても嬉しかった、双子で産まれて来なかった事もヴァロニカに瓜二つだった事もイリスは嬉しかった、ヴァルキアと名付け自分が父親と名乗る事はしない、将軍として国をヴァロニカをいつか皇帝の座に就くヴァルキアの為にと帝国の安寧に務めた…。
「そう…君が死ぬあの時まで…僕を置いて死ぬなんて…《アタラクシア》は絶対に死者を蘇生させては貰えない、でも僕は何をしても君にもう1度逢う…僕たちの伴侶は生涯ただ1人、ここでずっと君と2人だけだなんてなんて素晴らしいんだろう、この匣は《アタラクシア》の理外素晴らしい、此処でなら君を蘇らせる、お兄ちゃんの心臓や腕や足と血…足りなければ僕自身を使うから……」
イリスは強く眠っているようなヴァロニカの首を抱きしめる、しばしそうして収納から黒いダイヤル式の電話を出し受話器を取った。
「やあ、素晴らしい匣に封印してくれたお礼が言いたくて電話しちゃったー所有者にはつながるんでしょー僕はイリスだよ」
『どうも、俺は佳月、居心地が良いなら何より』
「うん、大好きな人と一緒にいられて嬉しいんだーお礼がしたいんだけど」
『うらやましい、で、いらない、そのままいればいい』
「あははーだよねー」
受話器の向こうの声は淡々とし、イリスははしゃぐ。
『今回は余計な世話だったかもしれない、でも天帝?の弟を封印して良いもの?』
「んー僕たちは天帝と人魚の間の子だから別にお兄ちゃんは僕がいなくても大丈夫だよ」
『そう、ならずっといて退屈なら気が向いたら何か送る』
「わ、本当?佳月も僕の友達にしてあげるー気に入った!身体の1部くれない」
『やだ』
「ええーならそういう身体手に入ったら教えて」
『考えておく』
「ありがとー!うれしいなー楽しみだなー」
『……それでいいの?帝って変わってる』
「そうだよ、僕はそうでもないけど天帝って神だものーあの天帝もすごかったけれどー」
『ああ、《アタラクシア》にもいるんだっけ』
「いるいる、美人だったよー弟がいないから力削り落としているけれどあれも大変そう、伴侶になる相手が気の毒な感じー」
『へぇ、……呼ばれたから行く』
「うん、またねー佳月ー」
そう会話を行いイリスは受話器を置いてそのままにしておく、またいつでも友達から連絡が来ても言いようにと。
「《アタラクシア》で産まれて良かった…君に会えた、僕は今幸せ…ヴァルキアも今は幸せだね」
嬉しそうに楽しそうに優しく微笑む、イリスはヴァロニカの髪をいつまでも梳いていた…。
とあるいつかの日、《アタラクシア》は相も変わらず灰色の空だが風が心地良い昼下がり。
「約束通り名を決めたか?イリス」
「うん、この子はヴァルキア」
「そうか、ヴァルキア……抱いてやってくれ」
「う、うん」
「うぇ、うぇぇん」
「あ、わ、泣いちゃった!」
「赤ん坊は泣くものだ」
「う、うん」
「…いつもの不敵な態度はどこに行ったのだ、将軍も形無しか」
「だって、こんなに小さくて柔らかくて……かわいいね」
「ああ…」
親子の時間、それは瞬く間に過ぎた時間だった…。
父から真名を母からはイリスという名を貰い、彼は《アタラクシア》に在る。
両親は互い以外の物を見たくなく、互いだけが存在していれば良いという者達で産まれた子に興味も感心も勿論愛情もない、そしてイリスもそれを求めなかった。
兄は古い魔人が連れて行きイリスは両親の元に戻ったり何処かへ行ったりを繰り返す、両親は変わらない何処までも、そしてイリスも両親は好きだがそれ以上も以下の感情もない。
『作れというから作ってみたけれどね』
『………』
両親は互い以外要らない必要ない求めない、2人だけで閉じている。
イリスはそんな両親と着かず離れず一定の距離を保ち生きていた、人の中で振りをして真似て……そんな中出逢ったのがヴァロニカだった。
ヴァロニカは痩せた子で皇子とは思えない粗末な身成をして、いつも腹を空かせていた。
イリスは遊んでくれる相手が欲しくて彼を生かそうと思った、彼を生かすのは結構大変だったと彼は思い出す。
「ヴァロニカ、僕は永久に君を愛しているんだ、愛しくて…堪らない死んだくらいで僕の愛は尽きない…君は首だけでも美しい…」
封印された匣の中は何もないが存外居心地は悪くはない、収納空間から首だけになって尚も美しい《カテラント帝国》前皇帝ヴァロニカ・バステル・カテラント・ツヴァルキアの薄い青を混ぜ緩く波打つ長い髪がさらりと流れた。
首を持ち嬉しそうに微笑み閉じた瞼に恭しく口づけする、それは崇拝にも似た仕草だった。
ヴァロニカと友人になり、イリスは彼を生かそうと思った。
イリスを生かすのは存外難しい、数多いる側室の下位の妃から産まれたヴァロニカには継承権などあってないような物、常に兄弟達が命を奪い合う環境、ヴァロニカは皇帝にも権力にも興味はない、碌な教育も受けていない、兄弟や兄弟の母達にどれが皇帝になれば自分達に優位になるかしか考えていない臣下達、その抗争に巻き込まれいつ死んでもおかしくないヴァロニカを生かすのに最も手っ取り早い方法をイリスは取った。
そしてあの時あの瞬間、今でも思い出せば心は弾み踊った。
ヴァロニカが皇帝に即位したあの瞬間、抵抗する皇子た皆殺し皇位継承を放棄する事を選んだ兄弟たちの名追放し、ヴァロニカがヴァロニカ・バステル・カテラント・ツヴァルキアと成ったあの瞬間、イリスは恋に落ちた。
ヴァロニカが学び成長し自分の背を抜き美しい皇帝へと成り、そしてイリスもまた子どもの姿を捨て大人へと成長しヴァロニカに想いを伝えた。
「ふふ…僕は君を選び君は僕を選んだ…そしてヴァルキアが産まれた…嫌われたけれど…僕に親は向いてないよねー」
イリスはクスクスと笑う、晴れやかな満足な笑み。
『約束だ、名を。私が真名を…』
ヴァルキアが産まれた時はとても嬉しかった、双子で産まれて来なかった事もヴァロニカに瓜二つだった事もイリスは嬉しかった、ヴァルキアと名付け自分が父親と名乗る事はしない、将軍として国をヴァロニカをいつか皇帝の座に就くヴァルキアの為にと帝国の安寧に務めた…。
「そう…君が死ぬあの時まで…僕を置いて死ぬなんて…《アタラクシア》は絶対に死者を蘇生させては貰えない、でも僕は何をしても君にもう1度逢う…僕たちの伴侶は生涯ただ1人、ここでずっと君と2人だけだなんてなんて素晴らしいんだろう、この匣は《アタラクシア》の理外素晴らしい、此処でなら君を蘇らせる、お兄ちゃんの心臓や腕や足と血…足りなければ僕自身を使うから……」
イリスは強く眠っているようなヴァロニカの首を抱きしめる、しばしそうして収納から黒いダイヤル式の電話を出し受話器を取った。
「やあ、素晴らしい匣に封印してくれたお礼が言いたくて電話しちゃったー所有者にはつながるんでしょー僕はイリスだよ」
『どうも、俺は佳月、居心地が良いなら何より』
「うん、大好きな人と一緒にいられて嬉しいんだーお礼がしたいんだけど」
『うらやましい、で、いらない、そのままいればいい』
「あははーだよねー」
受話器の向こうの声は淡々とし、イリスははしゃぐ。
『今回は余計な世話だったかもしれない、でも天帝?の弟を封印して良いもの?』
「んー僕たちは天帝と人魚の間の子だから別にお兄ちゃんは僕がいなくても大丈夫だよ」
『そう、ならずっといて退屈なら気が向いたら何か送る』
「わ、本当?佳月も僕の友達にしてあげるー気に入った!身体の1部くれない」
『やだ』
「ええーならそういう身体手に入ったら教えて」
『考えておく』
「ありがとー!うれしいなー楽しみだなー」
『……それでいいの?帝って変わってる』
「そうだよ、僕はそうでもないけど天帝って神だものーあの天帝もすごかったけれどー」
『ああ、《アタラクシア》にもいるんだっけ』
「いるいる、美人だったよー弟がいないから力削り落としているけれどあれも大変そう、伴侶になる相手が気の毒な感じー」
『へぇ、……呼ばれたから行く』
「うん、またねー佳月ー」
そう会話を行いイリスは受話器を置いてそのままにしておく、またいつでも友達から連絡が来ても言いようにと。
「《アタラクシア》で産まれて良かった…君に会えた、僕は今幸せ…ヴァルキアも今は幸せだね」
嬉しそうに楽しそうに優しく微笑む、イリスはヴァロニカの髪をいつまでも梳いていた…。
とあるいつかの日、《アタラクシア》は相も変わらず灰色の空だが風が心地良い昼下がり。
「約束通り名を決めたか?イリス」
「うん、この子はヴァルキア」
「そうか、ヴァルキア……抱いてやってくれ」
「う、うん」
「うぇ、うぇぇん」
「あ、わ、泣いちゃった!」
「赤ん坊は泣くものだ」
「う、うん」
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「だって、こんなに小さくて柔らかくて……かわいいね」
「ああ…」
親子の時間、それは瞬く間に過ぎた時間だった…。
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