あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第017部 お祭りは片付けまでがお祭りです/お祭りは最後まで楽しむのがお祭りです 

プロローグ≠000×EXTRA MYROAD 枯魏 結羅

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ありのままの自分を受け入れてくれる人…それが理想…

「いいか、結羅。枯魏の家に生まれた男子ならば男らしく堂々とあれ」
「はい、お父さん」
今どき時代錯誤な思考の家、早朝5時の日課の離れでの父親からの話し…結羅は正座をし内心うんざりしながらも真剣な表情で聞く振りをしている。
物心ついた頃からの話し、時代錯誤な両親の元結羅は窮屈な生活を送っていた。
「では日課を始める」
「はい」
離れの部屋に置かれた竹刀を取り父親と共に庭で素振りを1時間行う、ああ…嫌だ…こんな事はしたくないと唯羅は思いながら竹刀を振り続けた…。

「おはようございます、結羅さん」
「おはようございます、お母さん、お姉さん達」
『おはようございます』
素振りが終わりシャワーを浴びて学生服に着替えてきしきしと音が鳴る廊下を歩き茶の間のふすまを開ければ、先に畳に座っていた姉達3人と着物姿で朝食の支度をしている母親と挨拶を交わして自分の場所に座り、家長である父親を待つ。
大学生の姉2人と1つ上の姉、黒髪に前髪をまっすぐに切り揃えた少女達に息苦しさを感じる。
『おはようございます、お父様』
父が入り姉達が声を揃える、父親は鷹揚に頷き上座に座り食べ始め子ども達もそれに倣い食べ始める、母は食卓を共にしない家族の誰よりも遅くに就寝し誰よりも早く起きる。
いつもと変わらない朝食、この家で洋食等出た事はない堅苦しいだけの家、味気ない朝食を無理に咀嚼し飲み込みんだ。

「みんな、進路調査の用紙提出今日までだからまだ出していなければ出すように」
朝のホームルーム中年の担任から言われ皆相槌を打つ、名門進学校の特進クラスの授業態度は真面目そのものだった。
結羅は白紙の進路希調査票を眺め内心溜息を吐く、書くの簡単だ言われた大学を書けばいいだけだ。
でも、結羅には夢がある美容師になり都心で暮らすという夢だ、分かっている叶う訳もないと、だから親が望む進路を書いて提出するだけだった。

テンプレート通りの学校生活、帰りのホームルームで進路調査票を提出し家に帰る前に図書館へ足を運ぶ。
図書館ならば両親も許可を出す、結羅にとって唯一の息が楽に出来る場所だった。
親へ歯向かった事も成績を落した事もなく、品行方正で学校での評価も高い結羅だこれ位の息抜きは許される。
「……いいな…」
学習室で本を読む小さな声で呟いてしまう程、本の内容は家庭内に問題がある高校生の少年が家出をし旅に行くと言う物、様々な人々と出会い成長し家に戻され金を貯め独立するという物だった。
結羅はその本を何度読んでいる、現実はこうは出来ない結羅は腕時計の時刻を確認し本を棚に戻して家に向かった…。

「ただいま、戻りました…」
「おかえりなさい…結羅さん」
家に帰ると出迎えてくれた母親は浮かない顔をしている、部屋の前ですぐ上の姉が待っていた。
「あなたの隠していた物お父様にばれた長男だからって男だからって甘やかされて可愛がられて…ずっと嫌いだった、あなたの趣味可愛いのね」
「っ!」
よく似た姉の顔が歪な笑みを浮かべる、絶対にバレないようにしていたささやかな物、カバンを放り庭へと向かえば父親が焚火をしている、一家の家長はそんな事はしない焚火の中を見れば隠し持っていた1冊の雑誌と白いレースのリボンが燃え雑誌の燃えカスが宙に舞う。
「結羅!こんなものを!お前は俺の跡継ぎだ!枯魏の当主は軟弱であってはならぬ!」
「いっ!」
呆然とする結羅の姿を見つけた父親が結羅の胸倉を掴み頬を叩く、結羅はふらつき膝を付いてしまった。
「立て!」
「…こんな時代遅れの家…姉さんが告げ口したのもこんな家で沢山嫌な思いをしたから…」
「なんだと!」
結羅は立ち上がり青筋立てる父親を睨みそして玄関へと走り靴を履きそのまま家を飛び出す、行く当てもないのに飛び出したがとにかく走る。
「あんな家…あんな時代遅れな家でこれからも生き続けるならこの世界からいなくなってもいい!」
結羅は走りながら吠える、生まれて初めて怒りで声を上げたその瞬間足元に宇宙のような空間が広がり滑り落ちて行った…。

「なんで…どうして…どこに行くんだろう…あんな世界にいたくないって言ったから…?」
宇宙のような空間が流れ、驚いている間に明るい出口が見え宇宙空間を抜けた…。
「……ここは?どうしよう…」
抜けた先はどうやら森の中らしく見た事もない木々が生い茂り、先ほど夜だった空は今は青い。
ここが日本ではないという事しか分からない、結羅は途方に暮れたがどこかすっきりとし身体が軽く息がしやすく結羅は笑った。
「ふふふ…あははは…もういいんだあんな生活しなくて…もう死んでもいいや…あー」
心の底から笑いその場に仰向けに倒れる、良い風が吹き心地良かった。
「おや、見慣れぬ方。旅の方ですか?」
どれだけそうしていただろう、かさりと音がすれば穏やかな声と共に2足歩行し服を着た狐の獣人に声を掛けられた。
「え、あ、えーと……」
「旅人におもてなしをすると良い事があると昔から言われています、旅の方お茶でもどうですか?」
「…はい」
優しそうな雰囲気の狐の獣人の誘い、ここでずっとこうしている訳には行かないと頷いて誘いに乗る事にした…。

そして今…
「私は本当に《アーケディア》に来れて良かったですわ」
「俺も、それで結羅に会えたしね」
「ああ、異界暮らしも悪くないな。日々刺激がある」
結羅、チェカ、そして呪いが解けて人型に戻ったウズラの3名で昼下がりに茶を飲む…これはもう少しだけ未来の話し…彼らの左手の薬指には揃いのきらりと光る指輪が嵌められていた…。


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