おれのあばずれお姫さま――ノースキルで異世界転生。「大丈夫! 養ってあげる」おれは巨乳の姫のヒモになる

ほろのやかん

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第六話:へ。―尻から出るガスについて―

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 急いで食いすぎた。スープが脂身たっぷりすぎるのも良くない。
 しばらくすると下腹がちくちくしてくる。
 続いて、ケツ穴がむずむずしてくる。
 うむ、大丈夫だ。これは固形でも液体でもない。気体のヤツだ。
 密閉された部屋だが、放屁ぐらいはいいだろう。
 腹痛はまたたくまに耐えがたいものになる。
 ガス圧は増し、抵抗する肛門の括約筋かつやくきんは引き裂けんばかりだ。
 限界だね。出すね。
 おれは外肛門括約筋を緩め、出口を求め腸壁にひじうちするくさいガスを下の口から吐き出した。

 ぷーーーーーーーーーーーーーー。
 長い放屁。
 においも量も強烈だった。
 あっという間に洞穴にガスが充満する。
 うーん、くさい。刺激を感じおれは目をつぶった。
 もちろん鼻もつまみたい。が、あいにく手は後ろに縛られたままだ。
 尻のひり出す悲鳴が土壁に反響し、充満するガスがほの暗い部屋を黄色く染める。

 ロウソクが揺らいだ。
 小指の爪ほどの炎があかね色から透き通った空色へと変わっていく。
 炎は頭サイズへと膨れ上がる。
 な、なにが起こった!?
 本能は危機のアラートをけたたましく鳴らす。
 おれは無意識に目の前の炎から顔をそむけていた。
 否や――数千発の花火を同時に炸裂さえたような爆音と閃光。
 目はくらみ、耳はしびれ、意識は闇へと沈む――。

 熱風と衝撃波が扉に打ちつけ、腐りかけたドアを枠ごと吹き飛ばす。
 爆風はオンボロドアを砕くに飽き足らず、たけなわな宴会にも乱入する。
 熱風が大広間を吹き抜け、酒、食い物をひっくり返し、いい気分で酔っぱらう山賊を焼く。
 賊どものボサボサ頭にも、ボロ服にも火がついた。
 火のついた賊たちは金切り声を上げながら、無秩序な狂乱の踊りに熱中し始めた。

「XXXX、XXXXXX」
 踏み荒らされた獣道をたどるふたつの影があった。
 先頭を行くは長身のたくましい女。
 背にはその素朴なドレス姿に似合わない巨大なハンマー。
 ハンマーの頭部には白い土がこびりついている。
 武器として準備されたものではなく、道路工事の現場からパクってきたような代物だった。
 木々の隙間から時折もれる日の光が長い金髪をあでやかに照らす。
 Vの字型の眉と不敵な笑み。
 青いマントをひるがえす戦士が小走りで金髪を追い越した。
 戦士は胸甲と古ぼけたフルフェイスの兜を装備している。
 女のようだ――ざっくりと編まれた赤髪が兜からはみ出し、ふくらんだ鎧の胸元で揺れている。
 兜の面頬バイザーを下ろしている。目鼻立ちは鉄面皮に隠され、うかがい知ることはできない。
「XXXX、XXXXXXX」戦士がいう。
 ――XXXX、XXXXXXXひめさま、あぶないですよ、とでもいいたげなようすだ。
「XX! XXXXXXXXXxXXXX?」
 金髪は不満げに頬をふくらませた。
「XXXX、XXXxXXXXXXXXXX」
 兜の戦士は根気よくなだめる――が、金髪はお構いなしだ。
 意地を張るように金髪が女戦士を抜き返し、今度は女戦士も競うように前に出て、ふたりは火花を散らしながら森を駆けぬていく。
 遅れること百歩。十人ほどのお付きたちが肩で息をしながら三位争いを繰り広げている。
 先に山賊のアジトを発見したのは鎧の女戦士だった。
 切り立った崖の下には馬がつながれている。
 女戦士はすぐさま木陰に隠れあたりをうかがう。
 金髪にはそんな思慮深しりょぶかさはなかった。
 戦士に続いて洞穴ほらあなを発見し、いや、洞穴を発見したからこそ、勇んで進む。
 戦士が足を止め、偵察するなんて思いもしない。
 金髪の豊満な胸が戦士の背中を突き飛ばした。
「あふん」
 押し出された戦士は目の前の木に頭をぶつける。
 兜がごーんと鳴いた。
 兜をかぶっていても痛いものは痛いようだ。
 戦士はひっくり返った。
「XX!」金髪女は小さな叫び声をあげひざまずき、地面にひっくり返った戦士の手を取る。
「XXX。XXXxXX」
 返答はない。
 当たり所が悪かったのか戦士は失神してしまったようだ。
「XXXxX?」
 ――禍福かふくは糾える縄の如し。
 洞穴で大爆発が起こったのは、戦士を助け起こすべく金髪がひざまずいた瞬間だった。

 皿やジョッキやらが金髪の頭上をかすめ飛ぶ。
 続いて火だるまとなった山賊たちが巣から飛び出してきた。
 金髪は山賊の姿を見て立ち上がる。一歩でも洞窟から離れようとする山賊とは対照的に入口へと突き進む。
 巨大ハンマーはまだその背にあった。
 金髪の口元に浮いた不敵な笑みは物語る。――丸腰、しかもパニックの相手に武器など不要よ。
 山賊は火のついた衣服をてる。
 燃える毛のないひとりのハゲが笑みを浮かべながら、ちりちり頭から煙をあげる仲間を見守った。
 恩着せがましく毛皮の上着を手に取り、仲間の火を押し消していく。
 賊はてんやわんやで、接近する金髪には気が付かない。
 金髪は右手を掲げた。
 手の甲に筋張った三本の骨が浮かび立つ。
 ゆっくりと握りしめた拳が小刻みに震えた。
 金髪は右手を引いた。
 両手で頭を押さえていた山賊に拳を見舞う。
 悲鳴もなく山賊のからだが宙を飛んだ。
 不意の爆発で狼狽ろうばいする山賊にとって、さらなる乱入者に対応するだけの余力はない。
 金髪は右往左往うおうさおうする山賊たちを次々と殴り飛ばしていく。
 女戦士もようやく意識を取り戻した。
 起き上がると、主に加勢する。
 サーベルを抜き、刀の腹で山賊を叩きのめす。
 見る間に穴の入り口には気絶した悪党の山ができた。
 おもての山賊はあらかた片付くと、金髪は即座に洞窟の奥へと突撃する。
「XXXXXX!」女戦士の制止など気にも留めない。
 待つや数分。
 女戦士はうつむきながら、入り口の前を行ったり来たりしている。
 再び、金髪が入り口に姿を現した。
 女戦士の安堵あんどのため息をつく。
 金髪の右肩には手足をしばられた半裸の捕虜ほりょの姿があった。
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