137 / 249
第三幕 学生期
135.剣術の授業2 ♠︎
しおりを挟む
ムワナ
「勝者、ルストム!」
ユーリ
「ゲッ! 強!」
リアナ
「ヤダー! 絶対無理じゃん!」
ラドミール
「次は誰だ!?」
ルーカス
「ラドミール様の番では?」
ラドミール
「お前が負けたのに、俺が勝てるわけないだろ!? 言わせるな!」
ラドミールはルーカスの頭をはたきながらマークに目を向けた。
マーク
「私も剣術は苦手で...」
ラドミール
「見れば分かる!」
マークは、ラドミールの言葉にショックを受け、がっくり項垂れた。
ルーカス
「もう、1人も倒せないの確定ですか? わぁ~、めっちゃ恥ずかしい。」
アントニオ
「あ、では、私が...もう、負けが確定なら、プレッシャーなく出来ますよね?」
ラドミールはめっちゃ不機嫌な表情だが、口調は丁寧に答える。
ラドミール
「どうぞ。」
戦士科の学生達は色めきだった。
勇者の息子アントニオ・ジーンシャンが出てくる!
そして、誰が対戦するかで揉めはじめた。
「俺が!」
「いや、まだ戦っていない俺が!」
ボマニ
「1番強い俺に権利があるだろ?」
そうして、1番最初にルーカスと戦ったボマニが出てきた。
ジーンシャンの男に剣術で勝つ事は戦士科の誉れだ。特に、それが勇者の息子なら尚更だ!
ムワナ
「では、戦士科ボマニ・アナン対、魔法戦士科アントニオ・ジーンシャン様。」
「行け!ボマニ!」
「勇者の息子を倒せ!」
「魔法戦士科に負けるな!」
戦士科から、激励がとぶ。
166cmあるボマニより、アントニオは170cmあって立派な体格である。
剣を構えて向き合う。
ムワナ
「始め!」
剣を構えて向き合っているが、ボマニは不思議な感覚に陥った。
アントニオ・ジーンシャンからは殺気をまるで感じないし、隙だらけだ。だが、弱い奴にありがちな呼吸の乱れがない。フェイントが来るのか?
一方、アントニオは、完全にビビっていた。
え、めっちゃ怖い! この人、隙が無いっぽいし! でも、ビビってるのがバレちゃダメだって、キール(ユニコーン騎兵長でヤンの父)が言ってたし、呼吸だけは整えておこう。息を吸ったり吐いたりするのは得意だし。
相手は、戦士科のめっちゃ強い学生だし、思いっきり剣を振っても、避けられて当たらないかな?
アントニオは呼吸を変えないまま前に踏み出し剣を振った。
通常、余程の剣豪でない限り、剣を振る前には呼吸が変わる。
ボマニは、呼吸の音を注意深く聴いていた。
しかし、呼吸が変わらず、ノーモーションのままアントニオが攻撃を仕掛けて来たので、剣を迎え撃つ体勢を完璧に整えることが出来なかった。
こいつ、剣術は苦手とか言ってた癖に、ノーモーション攻撃だと!? クソッ! 体勢が間に合わない! カウンターは出来ないか...だが、どうせフェイントだろう。軽い一撃が来るだろうから、この一撃は受け流して、体勢を立て直す!
ボマニは剣を軽く流そうとした瞬間に、アントニオの呼吸が変化した音を聞いた。
アントニオは、ビビリながらも、心の中でいつもの言葉を反復していた。
アウフタクト(指揮棒の振り上げ)を支配しろ!
オペラ歌手は舞台上で芝居をしながらも、歌を歌う。オーケストラや共演者の息を聴きながら、指揮者の指揮棒(タクト)を常に見ており、タイミングを合わせて自分の声で音楽に切り込んでいくのである。
攻撃を当てる一瞬前に、急激にアントニオの呼気圧が高まる。
ダンスのステップを踏むように、フワッと動き出した足が突然リズムを変えて力強い体勢へと変わる。
後は、タイミングを合わせ、回転を加えて、思いっきり振り抜く!
突然加速したアントニオの剣を、ボマニは超人的な運動神経でなんとか受け止めた。
よし! これで軽く流せば!
だが、受け止めた剣に信じられないほど強い衝撃を感じた。
フェイントじゃない!? 剣の一撃が重い! ヤヴァイ! 剣が持っていかれる! だが、絶対に剣から手を離してはダメだ!
しかし、次の瞬間、更なる力が加えられた。
動体視力が弱いアントニオには、相手の動きはあまり見えていない。だから、自分の剣が、相手の体ではなく、剣に当たった手応えを感じるまで、無意識のうちに少し手加減をしていた。
剣に当てた感触を手に感じたアントニオは安心した。そして同時に、遠慮なく力を加えたのだ。
ボマニは自分の足が地面から離れて、宙に浮く感覚を味わった。
気が付くと大きく後方に吹っ飛ばされ、地面に強く身体を打ち付けられ転がった。
倒れるボマニの姿を見て戦士科の学生達は青ざめた。
これが、ジーンシャンの男! 勇者の息子!
だが、もっと青い顔になったのはアントニオだった。
自分の剣を捨てて駆け寄り、声をかける。
アントニオ
「大丈夫!?」
ボマニは目をあけ、体を起こそうとした。
フラつくボマニを見て、すかさずアントニオは体を両手で支えた。
リッカルド
「あ、トニー様! ダメです! まだ、勝負はついてないのに!」
だが、リッカルドの掛け声の所為で、アントニオよりもボマニの方が、事態に早く気が付いた。反射神経の鈍いアントニオより、ボマニの方が遥かに反応速度が速いのだ。
ボマニは剣を拾うと、ボンヤリしているアントニオの頭の的を軽くついた。
アントニオ
「あ...。」
ムワナ
「勝者、ボマニ!」
リッカルド
「坊ちゃん! ダメじゃないですか! 戦場で敵に情けをかけてはいけません。」
アントニオ
「はい...申し訳ありません。」
ボマニは舞台から降りるときに何度もアントニオに頭を下げた。試合には勝ったが、剣術ではアントニオに敵わないと思ったからだ。
結局、アントニオのいる市松クラスは戦士科の亀甲(きっこう)クラスに1人も勝てないまま終わった。
だが、王立学校の洗礼を受けたと思ったのは、戦士科の学生の方であった。
ジーンシャン家の男に、剣で勝てるような戦士になりたい!
それまで、魔法無しの武術では、自分達が最強の一族だと思っていた戦士科の学生達だったが、ジーンシャン家という新たな目標を見つけ、武術に邁進することとなる。
一方、逆の意味で、この剣術の模擬戦はアントニオに大きな衝撃を与えていた。
自分よりも体の小さな子供を吹き飛ばして、痛め付けてしまった! それなのに、試合で負けて、恥ずかしいにも程がある!
剣術はやっぱり向いていない...必修じゃないし、試験もないから、履修するのはやめよう。
剣術はルドやヤンに習えばいいし、もう、子供が倒れるような怖ろしい光景は見たくない。自分も、戦士科学生の攻撃が全然見えてなくて怖いし。そう、とにかく怖いから剣術の授業なんて無理!
以降、剣術の授業にアントニオが出席せず、履修をしないと聞いたムワナ先生と戦士科の学生達はガッカリする事となる。
「勝者、ルストム!」
ユーリ
「ゲッ! 強!」
リアナ
「ヤダー! 絶対無理じゃん!」
ラドミール
「次は誰だ!?」
ルーカス
「ラドミール様の番では?」
ラドミール
「お前が負けたのに、俺が勝てるわけないだろ!? 言わせるな!」
ラドミールはルーカスの頭をはたきながらマークに目を向けた。
マーク
「私も剣術は苦手で...」
ラドミール
「見れば分かる!」
マークは、ラドミールの言葉にショックを受け、がっくり項垂れた。
ルーカス
「もう、1人も倒せないの確定ですか? わぁ~、めっちゃ恥ずかしい。」
アントニオ
「あ、では、私が...もう、負けが確定なら、プレッシャーなく出来ますよね?」
ラドミールはめっちゃ不機嫌な表情だが、口調は丁寧に答える。
ラドミール
「どうぞ。」
戦士科の学生達は色めきだった。
勇者の息子アントニオ・ジーンシャンが出てくる!
そして、誰が対戦するかで揉めはじめた。
「俺が!」
「いや、まだ戦っていない俺が!」
ボマニ
「1番強い俺に権利があるだろ?」
そうして、1番最初にルーカスと戦ったボマニが出てきた。
ジーンシャンの男に剣術で勝つ事は戦士科の誉れだ。特に、それが勇者の息子なら尚更だ!
ムワナ
「では、戦士科ボマニ・アナン対、魔法戦士科アントニオ・ジーンシャン様。」
「行け!ボマニ!」
「勇者の息子を倒せ!」
「魔法戦士科に負けるな!」
戦士科から、激励がとぶ。
166cmあるボマニより、アントニオは170cmあって立派な体格である。
剣を構えて向き合う。
ムワナ
「始め!」
剣を構えて向き合っているが、ボマニは不思議な感覚に陥った。
アントニオ・ジーンシャンからは殺気をまるで感じないし、隙だらけだ。だが、弱い奴にありがちな呼吸の乱れがない。フェイントが来るのか?
一方、アントニオは、完全にビビっていた。
え、めっちゃ怖い! この人、隙が無いっぽいし! でも、ビビってるのがバレちゃダメだって、キール(ユニコーン騎兵長でヤンの父)が言ってたし、呼吸だけは整えておこう。息を吸ったり吐いたりするのは得意だし。
相手は、戦士科のめっちゃ強い学生だし、思いっきり剣を振っても、避けられて当たらないかな?
アントニオは呼吸を変えないまま前に踏み出し剣を振った。
通常、余程の剣豪でない限り、剣を振る前には呼吸が変わる。
ボマニは、呼吸の音を注意深く聴いていた。
しかし、呼吸が変わらず、ノーモーションのままアントニオが攻撃を仕掛けて来たので、剣を迎え撃つ体勢を完璧に整えることが出来なかった。
こいつ、剣術は苦手とか言ってた癖に、ノーモーション攻撃だと!? クソッ! 体勢が間に合わない! カウンターは出来ないか...だが、どうせフェイントだろう。軽い一撃が来るだろうから、この一撃は受け流して、体勢を立て直す!
ボマニは剣を軽く流そうとした瞬間に、アントニオの呼吸が変化した音を聞いた。
アントニオは、ビビリながらも、心の中でいつもの言葉を反復していた。
アウフタクト(指揮棒の振り上げ)を支配しろ!
オペラ歌手は舞台上で芝居をしながらも、歌を歌う。オーケストラや共演者の息を聴きながら、指揮者の指揮棒(タクト)を常に見ており、タイミングを合わせて自分の声で音楽に切り込んでいくのである。
攻撃を当てる一瞬前に、急激にアントニオの呼気圧が高まる。
ダンスのステップを踏むように、フワッと動き出した足が突然リズムを変えて力強い体勢へと変わる。
後は、タイミングを合わせ、回転を加えて、思いっきり振り抜く!
突然加速したアントニオの剣を、ボマニは超人的な運動神経でなんとか受け止めた。
よし! これで軽く流せば!
だが、受け止めた剣に信じられないほど強い衝撃を感じた。
フェイントじゃない!? 剣の一撃が重い! ヤヴァイ! 剣が持っていかれる! だが、絶対に剣から手を離してはダメだ!
しかし、次の瞬間、更なる力が加えられた。
動体視力が弱いアントニオには、相手の動きはあまり見えていない。だから、自分の剣が、相手の体ではなく、剣に当たった手応えを感じるまで、無意識のうちに少し手加減をしていた。
剣に当てた感触を手に感じたアントニオは安心した。そして同時に、遠慮なく力を加えたのだ。
ボマニは自分の足が地面から離れて、宙に浮く感覚を味わった。
気が付くと大きく後方に吹っ飛ばされ、地面に強く身体を打ち付けられ転がった。
倒れるボマニの姿を見て戦士科の学生達は青ざめた。
これが、ジーンシャンの男! 勇者の息子!
だが、もっと青い顔になったのはアントニオだった。
自分の剣を捨てて駆け寄り、声をかける。
アントニオ
「大丈夫!?」
ボマニは目をあけ、体を起こそうとした。
フラつくボマニを見て、すかさずアントニオは体を両手で支えた。
リッカルド
「あ、トニー様! ダメです! まだ、勝負はついてないのに!」
だが、リッカルドの掛け声の所為で、アントニオよりもボマニの方が、事態に早く気が付いた。反射神経の鈍いアントニオより、ボマニの方が遥かに反応速度が速いのだ。
ボマニは剣を拾うと、ボンヤリしているアントニオの頭の的を軽くついた。
アントニオ
「あ...。」
ムワナ
「勝者、ボマニ!」
リッカルド
「坊ちゃん! ダメじゃないですか! 戦場で敵に情けをかけてはいけません。」
アントニオ
「はい...申し訳ありません。」
ボマニは舞台から降りるときに何度もアントニオに頭を下げた。試合には勝ったが、剣術ではアントニオに敵わないと思ったからだ。
結局、アントニオのいる市松クラスは戦士科の亀甲(きっこう)クラスに1人も勝てないまま終わった。
だが、王立学校の洗礼を受けたと思ったのは、戦士科の学生の方であった。
ジーンシャン家の男に、剣で勝てるような戦士になりたい!
それまで、魔法無しの武術では、自分達が最強の一族だと思っていた戦士科の学生達だったが、ジーンシャン家という新たな目標を見つけ、武術に邁進することとなる。
一方、逆の意味で、この剣術の模擬戦はアントニオに大きな衝撃を与えていた。
自分よりも体の小さな子供を吹き飛ばして、痛め付けてしまった! それなのに、試合で負けて、恥ずかしいにも程がある!
剣術はやっぱり向いていない...必修じゃないし、試験もないから、履修するのはやめよう。
剣術はルドやヤンに習えばいいし、もう、子供が倒れるような怖ろしい光景は見たくない。自分も、戦士科学生の攻撃が全然見えてなくて怖いし。そう、とにかく怖いから剣術の授業なんて無理!
以降、剣術の授業にアントニオが出席せず、履修をしないと聞いたムワナ先生と戦士科の学生達はガッカリする事となる。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
異世界召喚された巫女は異世界と引き換えに日本に帰還する
白雪の雫
ファンタジー
何となく思い付いた話なので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合展開です。
聖女として召喚された巫女にして退魔師なヒロインが、今回の召喚に関わった人間を除いた命を使って元の世界へと戻る話です。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に行った、そのあとで。
神宮寺 あおい
恋愛
新海なつめ三十五歳。
ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。
当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。
おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。
いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。
『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』
そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。
そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる