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第三幕 学生期
151.ダンスパートナー3 ❤︎
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アントニオ
「代わりに怒って下さって有難うございます。でも、私と踊りたくない女性の気持ちは何となくわかります。あまり、責めては可哀想ですよ。」
レオナルド
「トニー、この手紙をあげるよ。この手紙の女子は、今、間違いなくフリーだし、一緒に行って頼んであげるよ。」
アントニオ
「有難うございます。知り合いの女子生徒がいないので、とても助かります。」
アントニオはジュン王太子の方に向き直る。
アントニオ
「この手紙の方と知り合いになっても良いでしょうか?」
王太子は、ざっと手紙に目を通し、マジョルガ辺境伯の双子の姉妹からの手紙2通をピックアップしアントニオに返した。
ジュン王太子
「背はあまり高くないのですが、この2人でしたら、身元がしっかりしていますから、安全です。」
王太子は残りの手紙を従者に渡し、急いで身元を調べるように指示する。
アントニオ
「はい。有難うございます。」
アントニオが、不安そうに手紙を握り締めるのを見て、カレン王女は少し胸が痛んだが、『自分に焦茶が押し付けられなくてよかった』という思いの方が強かった。
_______
グレーザー伯爵家に仕える騎士の娘、クリスタ・ヒューゲル(12歳)は、物陰に隠れて、男子寮の玄関口からハンス・グレーザーがやって来るのを待っていた。
男子寮の玄関から、赤毛のクラスメイト、ディーデリック・バース(12歳)が出て来る。
ディーデリックはクリスタに気が付くと、挨拶をしに近付いてきた。
ディーデリック
「おはようございます。」
クリスタ
「お、おはよう! よく、気が付いたわね! 隠れていたのに...。」
ディーデリック
「隠れていたのですか? 割と見えていましたよ。ショートヘアの頭が。この学校ではショートヘアの女性は珍しいですし。」
クリスタ
「そ、そう。」
ディーデリック
「どうされたのですか?」
クリスタ
「い、いえ、ちょっと...」
クリスタが視線を寮の玄関口に戻すと、ハンス・グレーザー(14歳)とカール・イグナシオ(14歳)、ヤン・ツヴァインツィガー(14歳)の3人が出て来る所だった。
クリスタ
「あ、ハンス様!」
ハンス
「あれ? クリスタ。おはよう。」
クリスタ
「おはようございます!」
カール
「可愛い子じゃん! ハンス、パートナーを変えたのか?」
ハンス
「違う、グレーザー領の子なんだ。」
ハンスは、ニヤニヤするカールとヤンを押し退けた。
ハンス
「どうしたの? あ、今日はダンスの日だからパートナーをお願いしに来たんだね?」
ハンスは、そう言ってディーデリックをみる。
クリスタ
「あ、いえ、そうなのですけど! そうじゃないんです! この人はただのクラスメイトで! 私がダンスパートナーをお願いしたいのは...あの、おこがましいお願いだとは分かっているのですが...」
ハンス
「まさか、トニー様に!? 勇気があるね! 凄い倍率じゃないか? あ、でも、クリスタはトニー様のクラスメイトになったんだっけ?」
男子寮のメンバーはアントニオの歌を聴いている者がほとんどである。ハンスもアントニオの人気を信じて疑わない派である。
ヤン
「アントニオ様はもう、登校された後だよ。」
クリスタ
「ち、違います! ハンス様にです! もし、まだ、ダンスパートナーが決まっていらっしゃらなかったら私と...」
ハンス
「私と? 御免ね。私には、ずっと1年生のときから組んでいる子がいて、もう、その子にお願いしているんだ。」
クリスタ
「あ、そうですか...。」
ハンス
「落ち込まなくても、女子は人数が少ないし、ガイダンスの後の交流時間でも、選べる立場だから心配しなくていいよ。」
カール
「そうそう、むしろクラスメイトの男子の方が大変だと思うぞ! 何せ、トニー様と同じクラスだし。」
ヤン
「去年はレオナルド様に人気が集まって、履修登録最終日まで女子から返事がもらえない男子もいっぱいいたよな。レオナルド様だけであんな風になるんだから、トニー様がいらっしゃる今年はどうなるんだろうな?」
カール
「俺のパートナーも、突然ダメとか言いださなければいいけど。」
ヤン
「そうだな。」
ハンス
「では、クリスタ。私達はこれで! パートナー探し頑張って!」
クリスタ
「はい。有難うございます。」
3人が去って行くのを、クリスタはしばらく立ち尽くして見送っていた。
ディーデリック
「大丈夫ですか?」
途端にクリスタの瞳から涙が溢れる。
ディーデリックは、どうしていいのか分からずに狼狽(うろた)えた。
ディーデリック
「あの方は、クリスタ様の事が嫌(いや)で断ったわけではないですよ! もう、ずっと前からパートナーが決まっていただけです。」
クリスタは頷くが、涙が止まらない様子だ。
ディーデリック
「大丈夫ですよ! きっと、素敵なパートナーが見つかりますよ! ほら! あの方達も仰っていたじゃないですか、女子は選べる側だと! それに比べて、私のような赤毛の下層階級の者は悲惨ですよ、好きな相手どころか、きっと、誰にも相手にされませんから!」
クリスタは、涙を拭きながらディーデリックを見た。
そうよ。自分よりディーデリックの方が大変なんだわ。私の方が恵まれているのに、ディーデリックの前で悲しむなんて失礼よね。
ディーデリックはこんなにいい人なのに、パートナー探しが大変なんて可哀想だわ。身長も162cmある私と同じくらいで背が高いし、足が早くて運動神経もいい。ダンスも上手いんじゃないかしら? 魔力も高くて魔法も上手なのに、一般の女の子は明るい金髪じゃないと嫌がる子が多いのよね。私は気にならないけど...。そうよ! 私は、ディーデリックが平民の家の子でも気にしないわ!
クラスメイトで私よりも背が高いのはアントニオ様しかいない。でも、身分的に私からアントニオ様には話しかけられないし、もし、アントニオ様から話しかけてもらえても、怖くて一緒にダンスなんて無理。
もう1人、私と同じくらいの身長で男爵子息のエーリクがいるけど、男爵令嬢のリアナや、伯爵令嬢のフィオナが、家格が釣り合うエーリクをパートナーに希望する可能性は非常に高いわ。エーリクだって、騎士家のデカイ娘より、伯爵家や男爵家のご令嬢の方がいいに決まってる。
ハンス様に断られた今、優良なダンスパートナーの相手はディーデリックしかいないのでは?
クリスタ
「なら、私と組む?」
ディーデリック
「え...今何と?」
ディーデリックは、クリスタが想像もしていなかった言葉を口にしたので、理解出来ずに聞き返した。
クリスタ
「だから! 私とダンスパートナーになりませんか?」
ディーデリック
「え!? いいのですか? 私は赤毛の下層階級ですよ?」
ディーデリックは、皆には内緒にしているが、本当は奴隷階級である。平民の学生にも自分から話しかけられないし、ダンスパートナー探しは最初から諦めていたのだった。
クリスタ
「そんなこと気にしないわ。私も騎士の娘ってだけで、平民だもの。あなたは運動神経もいいし、背も私と同じだから、踊りやすいと思って...ダメかしら?」
ディーデリック
「とんでもないです! クリスタ様、有難うございます!」
クリスタ
「じゃあ、決まりね! もう、ダンスパートナーなんだから、敬語じゃなくていいし、敬称とかもいらないから! クリスタって呼んで!」
ディーデリック
「有難うございます。」
クリスタ
「『ございます』って要らないから!」
ディーデリック
「あ、有難う。クリスタ。」
クリスタ
「そうよ! 宜しくね! ディーデリック!」
2人は握手をした。
その手の温もりは、ディーデリックの顔を、自身の赤毛よりも赤くしたのであった。
「代わりに怒って下さって有難うございます。でも、私と踊りたくない女性の気持ちは何となくわかります。あまり、責めては可哀想ですよ。」
レオナルド
「トニー、この手紙をあげるよ。この手紙の女子は、今、間違いなくフリーだし、一緒に行って頼んであげるよ。」
アントニオ
「有難うございます。知り合いの女子生徒がいないので、とても助かります。」
アントニオはジュン王太子の方に向き直る。
アントニオ
「この手紙の方と知り合いになっても良いでしょうか?」
王太子は、ざっと手紙に目を通し、マジョルガ辺境伯の双子の姉妹からの手紙2通をピックアップしアントニオに返した。
ジュン王太子
「背はあまり高くないのですが、この2人でしたら、身元がしっかりしていますから、安全です。」
王太子は残りの手紙を従者に渡し、急いで身元を調べるように指示する。
アントニオ
「はい。有難うございます。」
アントニオが、不安そうに手紙を握り締めるのを見て、カレン王女は少し胸が痛んだが、『自分に焦茶が押し付けられなくてよかった』という思いの方が強かった。
_______
グレーザー伯爵家に仕える騎士の娘、クリスタ・ヒューゲル(12歳)は、物陰に隠れて、男子寮の玄関口からハンス・グレーザーがやって来るのを待っていた。
男子寮の玄関から、赤毛のクラスメイト、ディーデリック・バース(12歳)が出て来る。
ディーデリックはクリスタに気が付くと、挨拶をしに近付いてきた。
ディーデリック
「おはようございます。」
クリスタ
「お、おはよう! よく、気が付いたわね! 隠れていたのに...。」
ディーデリック
「隠れていたのですか? 割と見えていましたよ。ショートヘアの頭が。この学校ではショートヘアの女性は珍しいですし。」
クリスタ
「そ、そう。」
ディーデリック
「どうされたのですか?」
クリスタ
「い、いえ、ちょっと...」
クリスタが視線を寮の玄関口に戻すと、ハンス・グレーザー(14歳)とカール・イグナシオ(14歳)、ヤン・ツヴァインツィガー(14歳)の3人が出て来る所だった。
クリスタ
「あ、ハンス様!」
ハンス
「あれ? クリスタ。おはよう。」
クリスタ
「おはようございます!」
カール
「可愛い子じゃん! ハンス、パートナーを変えたのか?」
ハンス
「違う、グレーザー領の子なんだ。」
ハンスは、ニヤニヤするカールとヤンを押し退けた。
ハンス
「どうしたの? あ、今日はダンスの日だからパートナーをお願いしに来たんだね?」
ハンスは、そう言ってディーデリックをみる。
クリスタ
「あ、いえ、そうなのですけど! そうじゃないんです! この人はただのクラスメイトで! 私がダンスパートナーをお願いしたいのは...あの、おこがましいお願いだとは分かっているのですが...」
ハンス
「まさか、トニー様に!? 勇気があるね! 凄い倍率じゃないか? あ、でも、クリスタはトニー様のクラスメイトになったんだっけ?」
男子寮のメンバーはアントニオの歌を聴いている者がほとんどである。ハンスもアントニオの人気を信じて疑わない派である。
ヤン
「アントニオ様はもう、登校された後だよ。」
クリスタ
「ち、違います! ハンス様にです! もし、まだ、ダンスパートナーが決まっていらっしゃらなかったら私と...」
ハンス
「私と? 御免ね。私には、ずっと1年生のときから組んでいる子がいて、もう、その子にお願いしているんだ。」
クリスタ
「あ、そうですか...。」
ハンス
「落ち込まなくても、女子は人数が少ないし、ガイダンスの後の交流時間でも、選べる立場だから心配しなくていいよ。」
カール
「そうそう、むしろクラスメイトの男子の方が大変だと思うぞ! 何せ、トニー様と同じクラスだし。」
ヤン
「去年はレオナルド様に人気が集まって、履修登録最終日まで女子から返事がもらえない男子もいっぱいいたよな。レオナルド様だけであんな風になるんだから、トニー様がいらっしゃる今年はどうなるんだろうな?」
カール
「俺のパートナーも、突然ダメとか言いださなければいいけど。」
ヤン
「そうだな。」
ハンス
「では、クリスタ。私達はこれで! パートナー探し頑張って!」
クリスタ
「はい。有難うございます。」
3人が去って行くのを、クリスタはしばらく立ち尽くして見送っていた。
ディーデリック
「大丈夫ですか?」
途端にクリスタの瞳から涙が溢れる。
ディーデリックは、どうしていいのか分からずに狼狽(うろた)えた。
ディーデリック
「あの方は、クリスタ様の事が嫌(いや)で断ったわけではないですよ! もう、ずっと前からパートナーが決まっていただけです。」
クリスタは頷くが、涙が止まらない様子だ。
ディーデリック
「大丈夫ですよ! きっと、素敵なパートナーが見つかりますよ! ほら! あの方達も仰っていたじゃないですか、女子は選べる側だと! それに比べて、私のような赤毛の下層階級の者は悲惨ですよ、好きな相手どころか、きっと、誰にも相手にされませんから!」
クリスタは、涙を拭きながらディーデリックを見た。
そうよ。自分よりディーデリックの方が大変なんだわ。私の方が恵まれているのに、ディーデリックの前で悲しむなんて失礼よね。
ディーデリックはこんなにいい人なのに、パートナー探しが大変なんて可哀想だわ。身長も162cmある私と同じくらいで背が高いし、足が早くて運動神経もいい。ダンスも上手いんじゃないかしら? 魔力も高くて魔法も上手なのに、一般の女の子は明るい金髪じゃないと嫌がる子が多いのよね。私は気にならないけど...。そうよ! 私は、ディーデリックが平民の家の子でも気にしないわ!
クラスメイトで私よりも背が高いのはアントニオ様しかいない。でも、身分的に私からアントニオ様には話しかけられないし、もし、アントニオ様から話しかけてもらえても、怖くて一緒にダンスなんて無理。
もう1人、私と同じくらいの身長で男爵子息のエーリクがいるけど、男爵令嬢のリアナや、伯爵令嬢のフィオナが、家格が釣り合うエーリクをパートナーに希望する可能性は非常に高いわ。エーリクだって、騎士家のデカイ娘より、伯爵家や男爵家のご令嬢の方がいいに決まってる。
ハンス様に断られた今、優良なダンスパートナーの相手はディーデリックしかいないのでは?
クリスタ
「なら、私と組む?」
ディーデリック
「え...今何と?」
ディーデリックは、クリスタが想像もしていなかった言葉を口にしたので、理解出来ずに聞き返した。
クリスタ
「だから! 私とダンスパートナーになりませんか?」
ディーデリック
「え!? いいのですか? 私は赤毛の下層階級ですよ?」
ディーデリックは、皆には内緒にしているが、本当は奴隷階級である。平民の学生にも自分から話しかけられないし、ダンスパートナー探しは最初から諦めていたのだった。
クリスタ
「そんなこと気にしないわ。私も騎士の娘ってだけで、平民だもの。あなたは運動神経もいいし、背も私と同じだから、踊りやすいと思って...ダメかしら?」
ディーデリック
「とんでもないです! クリスタ様、有難うございます!」
クリスタ
「じゃあ、決まりね! もう、ダンスパートナーなんだから、敬語じゃなくていいし、敬称とかもいらないから! クリスタって呼んで!」
ディーデリック
「有難うございます。」
クリスタ
「『ございます』って要らないから!」
ディーデリック
「あ、有難う。クリスタ。」
クリスタ
「そうよ! 宜しくね! ディーデリック!」
2人は握手をした。
その手の温もりは、ディーデリックの顔を、自身の赤毛よりも赤くしたのであった。
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