206 / 249
第三幕 学生期
204.音楽の授業再び
しおりを挟む
再び、音楽の授業の日がやってきた。
アントニオは事前に、クラス全員に手紙を出していた。音楽の授業では歌魔法は使わないので、授業は安全に受けられるといった内容の手紙だ。
次期辺境伯の手紙を無視することは不敬になるため、クラスメイトは全員、承知したという内容の手紙を返送してきている。だが、音楽の授業を履修すると明記してあったのは、ディーデリックと、元から履修しているエーリクからの手紙だけであった。
でも、ディーデリックが履修してくれることになったんだ!
アントニオは喜びと残念な気持ち半分ずつで、学校へと向かった。
今日も寮の自室に立ち寄り、バルドに髪と目の色を染めてもらう。今日の髪は黄金色の髪、瞳はスカイブルーだ。
これなら、レオと一緒だし、俺を嫌いな学生も悪口を言い難(にく)いはずだ!
寮の部屋を出ようとすると、部屋の前に、先に出発したはずのメアリーが立っていた。
メアリー
「トニー! これはどういうことなの!?」
アントニオ
「は、母上...先に職員室へ向かったはずでは?」
メアリー
「何やら、こそこそとしているからおかしいと思ったのです! どうして髪や目の色を変えているのです!?」
アントニオ
「お、お洒落をして、女子学生からの人気を得ようと思いまして...」
メアリー
「焦茶の髪や目の方が可愛いわ! どうして、色を変えてしまうの!? トニーの良さが分からない女の子からモテても意味がないでしょう!?」
アントニオ
「は、母上が思っていらっしゃるほど、焦茶は人気がある色ではないのです...レオと同じ色にした方がモテるかなぁ~と思いまして...」
メアリー
「戻しなさい!!」
アントニオ
「で、ですが...」
メアリー
「私が焦茶に生んだ事を嘆いているのね?」
メアリーがハンカチを取り出して泣き始める。
アントニオ
「あ、いえ、私は焦茶も綺麗な色だと思うのですが...」
メアリー
「トニーは私を恨んでいるんだわ!」
メアリーの悲痛な涙にアントニオは心が折れた。
アントニオ
「戻します」
アントニオは結局、本来の色に戻して学校に通うこととなった。
_________
音楽室にたどり着くと、すでにエーリクが来ていた。
アントニオ
「おはようございます。」
エーリク
「おはようございます! 誘拐がどうとかお聞きしたのですが、大丈夫だったのですか?」
アントニオ
「あれはただの勘違いでして、実際は体調不良のため寮で寝ていただけなのです。お騒がせして申し訳ありません。」
エーリク
「具合は、もう、大丈夫なのですか?」
アントニオ
「はい。お陰様で、すっかり良くなりました。」
エーリク
「それは良かった!」
しばらくすると、ディーデリックがクリスタと一緒にやってきた。
アントニオ
「ディック! おはようございます!」
ディーデリック
「おはようございます!」
クリスタは頭を下げて挨拶をする。
アントニオ
「ヒューゲル嬢(クリスタ)も来て下さったのですね!」
ディーデリック
「クリスタは、私とダンスのペアでして、昨日、一緒に出てみないか誘ったのです」
アントニオ
「嬉しいです! 人数が増えれば合奏なども出来ますね!」
音楽室の扉を開けてリアナ・ジャニエスとマークが入って来た。
リアナ
「おはようございまぁ~す!」
今日のリアナの髪には小さなピンクのお花の髪飾りがついていて、襟元には学校の指定ではないピンクのスカーフをリボン結びしている。スカートの丈もいつもの様に短めで、ぶりっ子モード全開である。
マーク
「おはようございます!」
アントニオ
「おはようございます! マーク様もいらっしゃったのですね! 嬉しいです! ジャニエス嬢も! 昨日は大丈夫だったのですか?」
リアナ
「はい!」
アントニオに問われて、リアナはぶりっ子で答えた。
心配して下さるなんてお優しいのね! だけど、今日は焦茶でガッカリ。でも、いつも本当(銀髪)の姿だとライバルが増えちゃうから、いつもは焦茶くらいでいいのかも?
マーク
「あの後、誰よりも元気に踊っていましたから...」
アントニオ
「本当に? それは良かった!」
アントニオが笑うと太陽の光がさしたように、その場が明るくなった。
心からリアナの無事を喜んでいることがわかる。
醜い焦茶だと思っていたのに、人間というものは不思議である。一度、美しい姿を認識すると、もう、焦茶でも格好良く見えてしまうのである。
むしろ、白銀色で非の打ち所がない美しい姿であるよりも、焦茶の髪でシミそばかすのある顔の方が可愛くて、好きかもしれないとさえ思えるのだった。
リアナはなんだか自分が恥ずかしくなって、自分の顔を手で覆いながら、頭でコクコクと頷くだけの返事をアントニオにかえすと黙りこんだ。
クリスタは、そんなリアナの変化に気が付いた。
焦茶だと毛嫌いしていた癖に、どうして態度が変わったのかしら? あの後の誘拐事件騒ぎで、少しは反省したのかも? あれには私も肝が冷えたわ。皆でアントニオ様の悪口を言っているところを聞かれてしまって、その後で、アントニオ様が行方不明になられて、絶対に刑罰が与えられると思ったのに、クラスメイトの誰も処罰されなかった。それどころか、音楽の授業を受けませんか? と、私達を気遣う手紙が来て、本当に驚いた。
今日も、リアナの体調を気にされていたみたいだし、アントニオ様って、本当に優しい人なのね。今なら、護衛騎士の2人が心酔しているのも分かる気がする。
音楽室の扉が再び開き、ラドミールとルーカス、フィオナ、ユーリも入室した。
ラドミール
「アントニオ様、おはようございます」
ルーカス
「おはようございます!」
アントニオ
「皆様、来て下さったのですね!」
ラドミール
「はい。アントニオ様からお手紙を頂きましたので、御意向にそうべく参りました」
ルーカス
「同じく! 御意向にそうべく参りました!」
アントニオ
「あ、申し訳ありません。あの手紙に書いた内容は命令ではないのです!」
ラドミール
「ご命令でも、ご命令でなくとも、アントニオ様のご希望にそって、音楽の授業に参加することは大変な光栄でございます」
ラドミールは命令でなかったとしても、アントニオからの誘いを断ることは、実質的に出来ないと思っていた。自分が悪口を言った訳ではないが、一週間前の事件は、そうとられてもおかしくない状況だった。不敬罪に問われないで済んだのはアントニオ様が処罰を望まなかったからだという。その上、アントニオ様が魔力を使わないなどの約束をして、皆が授業に参加できるように配慮して下さったのに、出席しないとあっては、ジーンシャン家や王家と敵対する意思があると思われかねない。
フィオナもラドミールと同じ様に考えていた。ジーンシャン家を敵に回すことは、絶対に避けなければいけない事だ。
どうやら、リアナやユーリも、今回ばかりは反抗的な態度をとらずに従うようね。本当は、音楽の授業には出たくなかったけど仕方がないわ。
ユーリは、そこまで考えていたわけではなかった。ユーリの両親は、ジーンシャン家から手紙が届いた事で、ユーリが勇者様の息子と仲良くしていると勘違いした。そして、『絶対に音楽の授業を履修しろ』とユーリに言い渡したのだ。そういう事情で、ユーリは音楽の授業をとらざるを得なかったのだ。
結果的に、1年の市松クラスの皆が音楽の授業を履修することになった。
音楽教師のフランチェスカは、履修者が増えたことを喜んだ。
アントニオは事前に、クラス全員に手紙を出していた。音楽の授業では歌魔法は使わないので、授業は安全に受けられるといった内容の手紙だ。
次期辺境伯の手紙を無視することは不敬になるため、クラスメイトは全員、承知したという内容の手紙を返送してきている。だが、音楽の授業を履修すると明記してあったのは、ディーデリックと、元から履修しているエーリクからの手紙だけであった。
でも、ディーデリックが履修してくれることになったんだ!
アントニオは喜びと残念な気持ち半分ずつで、学校へと向かった。
今日も寮の自室に立ち寄り、バルドに髪と目の色を染めてもらう。今日の髪は黄金色の髪、瞳はスカイブルーだ。
これなら、レオと一緒だし、俺を嫌いな学生も悪口を言い難(にく)いはずだ!
寮の部屋を出ようとすると、部屋の前に、先に出発したはずのメアリーが立っていた。
メアリー
「トニー! これはどういうことなの!?」
アントニオ
「は、母上...先に職員室へ向かったはずでは?」
メアリー
「何やら、こそこそとしているからおかしいと思ったのです! どうして髪や目の色を変えているのです!?」
アントニオ
「お、お洒落をして、女子学生からの人気を得ようと思いまして...」
メアリー
「焦茶の髪や目の方が可愛いわ! どうして、色を変えてしまうの!? トニーの良さが分からない女の子からモテても意味がないでしょう!?」
アントニオ
「は、母上が思っていらっしゃるほど、焦茶は人気がある色ではないのです...レオと同じ色にした方がモテるかなぁ~と思いまして...」
メアリー
「戻しなさい!!」
アントニオ
「で、ですが...」
メアリー
「私が焦茶に生んだ事を嘆いているのね?」
メアリーがハンカチを取り出して泣き始める。
アントニオ
「あ、いえ、私は焦茶も綺麗な色だと思うのですが...」
メアリー
「トニーは私を恨んでいるんだわ!」
メアリーの悲痛な涙にアントニオは心が折れた。
アントニオ
「戻します」
アントニオは結局、本来の色に戻して学校に通うこととなった。
_________
音楽室にたどり着くと、すでにエーリクが来ていた。
アントニオ
「おはようございます。」
エーリク
「おはようございます! 誘拐がどうとかお聞きしたのですが、大丈夫だったのですか?」
アントニオ
「あれはただの勘違いでして、実際は体調不良のため寮で寝ていただけなのです。お騒がせして申し訳ありません。」
エーリク
「具合は、もう、大丈夫なのですか?」
アントニオ
「はい。お陰様で、すっかり良くなりました。」
エーリク
「それは良かった!」
しばらくすると、ディーデリックがクリスタと一緒にやってきた。
アントニオ
「ディック! おはようございます!」
ディーデリック
「おはようございます!」
クリスタは頭を下げて挨拶をする。
アントニオ
「ヒューゲル嬢(クリスタ)も来て下さったのですね!」
ディーデリック
「クリスタは、私とダンスのペアでして、昨日、一緒に出てみないか誘ったのです」
アントニオ
「嬉しいです! 人数が増えれば合奏なども出来ますね!」
音楽室の扉を開けてリアナ・ジャニエスとマークが入って来た。
リアナ
「おはようございまぁ~す!」
今日のリアナの髪には小さなピンクのお花の髪飾りがついていて、襟元には学校の指定ではないピンクのスカーフをリボン結びしている。スカートの丈もいつもの様に短めで、ぶりっ子モード全開である。
マーク
「おはようございます!」
アントニオ
「おはようございます! マーク様もいらっしゃったのですね! 嬉しいです! ジャニエス嬢も! 昨日は大丈夫だったのですか?」
リアナ
「はい!」
アントニオに問われて、リアナはぶりっ子で答えた。
心配して下さるなんてお優しいのね! だけど、今日は焦茶でガッカリ。でも、いつも本当(銀髪)の姿だとライバルが増えちゃうから、いつもは焦茶くらいでいいのかも?
マーク
「あの後、誰よりも元気に踊っていましたから...」
アントニオ
「本当に? それは良かった!」
アントニオが笑うと太陽の光がさしたように、その場が明るくなった。
心からリアナの無事を喜んでいることがわかる。
醜い焦茶だと思っていたのに、人間というものは不思議である。一度、美しい姿を認識すると、もう、焦茶でも格好良く見えてしまうのである。
むしろ、白銀色で非の打ち所がない美しい姿であるよりも、焦茶の髪でシミそばかすのある顔の方が可愛くて、好きかもしれないとさえ思えるのだった。
リアナはなんだか自分が恥ずかしくなって、自分の顔を手で覆いながら、頭でコクコクと頷くだけの返事をアントニオにかえすと黙りこんだ。
クリスタは、そんなリアナの変化に気が付いた。
焦茶だと毛嫌いしていた癖に、どうして態度が変わったのかしら? あの後の誘拐事件騒ぎで、少しは反省したのかも? あれには私も肝が冷えたわ。皆でアントニオ様の悪口を言っているところを聞かれてしまって、その後で、アントニオ様が行方不明になられて、絶対に刑罰が与えられると思ったのに、クラスメイトの誰も処罰されなかった。それどころか、音楽の授業を受けませんか? と、私達を気遣う手紙が来て、本当に驚いた。
今日も、リアナの体調を気にされていたみたいだし、アントニオ様って、本当に優しい人なのね。今なら、護衛騎士の2人が心酔しているのも分かる気がする。
音楽室の扉が再び開き、ラドミールとルーカス、フィオナ、ユーリも入室した。
ラドミール
「アントニオ様、おはようございます」
ルーカス
「おはようございます!」
アントニオ
「皆様、来て下さったのですね!」
ラドミール
「はい。アントニオ様からお手紙を頂きましたので、御意向にそうべく参りました」
ルーカス
「同じく! 御意向にそうべく参りました!」
アントニオ
「あ、申し訳ありません。あの手紙に書いた内容は命令ではないのです!」
ラドミール
「ご命令でも、ご命令でなくとも、アントニオ様のご希望にそって、音楽の授業に参加することは大変な光栄でございます」
ラドミールは命令でなかったとしても、アントニオからの誘いを断ることは、実質的に出来ないと思っていた。自分が悪口を言った訳ではないが、一週間前の事件は、そうとられてもおかしくない状況だった。不敬罪に問われないで済んだのはアントニオ様が処罰を望まなかったからだという。その上、アントニオ様が魔力を使わないなどの約束をして、皆が授業に参加できるように配慮して下さったのに、出席しないとあっては、ジーンシャン家や王家と敵対する意思があると思われかねない。
フィオナもラドミールと同じ様に考えていた。ジーンシャン家を敵に回すことは、絶対に避けなければいけない事だ。
どうやら、リアナやユーリも、今回ばかりは反抗的な態度をとらずに従うようね。本当は、音楽の授業には出たくなかったけど仕方がないわ。
ユーリは、そこまで考えていたわけではなかった。ユーリの両親は、ジーンシャン家から手紙が届いた事で、ユーリが勇者様の息子と仲良くしていると勘違いした。そして、『絶対に音楽の授業を履修しろ』とユーリに言い渡したのだ。そういう事情で、ユーリは音楽の授業をとらざるを得なかったのだ。
結果的に、1年の市松クラスの皆が音楽の授業を履修することになった。
音楽教師のフランチェスカは、履修者が増えたことを喜んだ。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
異世界召喚された巫女は異世界と引き換えに日本に帰還する
白雪の雫
ファンタジー
何となく思い付いた話なので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合展開です。
聖女として召喚された巫女にして退魔師なヒロインが、今回の召喚に関わった人間を除いた命を使って元の世界へと戻る話です。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に行った、そのあとで。
神宮寺 あおい
恋愛
新海なつめ三十五歳。
ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。
当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。
おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。
いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。
『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』
そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。
そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる