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1. 燃やされた愛の手紙
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銀色に輝く髪、大きなエメラルドの瞳、真珠のような肌。柔らかい頬は桃色に色付き、形の良い唇は薔薇のように水々しい。絵画で描かれる妖精や女神だって、彼女よりも美しくはないだろう。
公爵を祖父に持つ高貴な血筋、美貌の男爵令嬢ドリス・シルバーの誕生日会には、国中から山のように贈り物が届く。
13歳の少女に贈るには、どの贈り物も高価過ぎるものばかり。結婚したい家名からの贈り物はとりわけ高価である。
宝石、ドレス、靴、バッグ、化粧品はもちろんのこと、馬やラバ (ロバ と馬の混合種)といった家畜、農園や商店など不動産の権利書に至るまで。
そんな中、変わった贈り物を持参する少年がいた。
彼の名前はニコラス・ホワイト。ドリスの幼馴染みである。
ニコラスはドリスの前に頑丈そうなトランクケースを置いた。
ドリスは溜息をつく。
そんな仕草すら美しくて、会場からは複数の溜息が聞こえる。
ドリス
「鞄のプレゼントなんて売るほどあるわ」
ニコラス
「オレのプレゼントは鞄じゃないのでっす! 中身の方!」
ニコラスは鞄を広げて紙の束を取り出した。
ドリス
「それは何?」
ニコラス
「オレのプレゼントは愛の言葉なんだ!」
自信満々に微笑むニコラスの顔をドリスは見つめた。
ドリス
「それは何枚あるの?」
ニコラス
「365枚! ありきたりな愛の言葉じゃダメだって言ってたから毎日頑張って書いてきたんだ!」
ドリス
「何が書いてあるの?」
ニコラス
「愛の言葉だよ?」
ドリス
「それは聞いたわ。何て書いたのよ?」
ニコラス
「オレの世界で一番愛するドリちゃんへ! 今日もオレは君の事で頭がいっぱい、胸いっぱい。君の事を考えていると喉が渇くから甘酸っぱいジュースを飲んで、渇きを潤しました。恋愛指南書を何十冊と読んだら、シンプルな言葉が一番心に響くと書いてあったから、シンプルに『素直に好きだ! 結婚しよう!』と伝えたら、ドリちゃんはありきたりな愛の言葉じゃダメだと言いましたね。誰にでも使える、一番お手軽な言葉で、お手軽に告白するなと! 上手い言葉が思い付かないからといって、安易な告白をするのは、ワタクシを世界一素晴らしい女性だと思っていない証拠だと。男の人は仕事のプロジェクトのプレゼンは、努力に努力を重ねて勉強し、知恵を絞りだして文言を考え、失敗しないように練習までするのに、女性へ贈るプロポーズの言葉には、同じ手間暇をかけない。それは愛しているからプロポーズするのではなく、手に入りそうなお手軽な女性にプロポーズしているからだと。そこでオレは考えたんだ! いっぱい考えたらお腹が空いたから、ショートケーキに銀に輝くアラザンを振りかけて、ミントの葉っぱを飾って、ドリちゃんみたいにして食べました。食べちゃいたいくらいにドリちゃんが好きで...」
ドリス
「もういいわ。要するに何が言いたいの?」
ニコラス
「愛してるから結婚してと言いたいのです」
ドリス
「そう...」
ドリスは紙束を受け取った。
ドリス
「たった一言で済むような内容を伝えるのに、どうしてワタクシの貴重な時間を消費させようとするのです?」
紙束を空いている大皿の上に置く。
ニコラス
「ドリちゃんを愛しているからです!」
ドリス
「いいえ、ニコはワタクシを愛してなんかいないわ。ワタクシの都合など一切考えていないもの」
味付け用で卓上に置かれていたオリーブオイルを紙束にかける。
ドリス
「これを読むのに何時間かかると思っているの? しかも、1枚目から気が遠くなるような内容じゃない」
卓上のキャンドルを持ち上げ、紙束に点火した。
一気に燃え上がる炎。
燃えるラブレターを茫然と見つめ、ニコラスは呟いた。
ニコラス
「オレの愛が燃えている...」
ニコラスの母親であるアンジェリカ・ホワイト伯爵は青ざめた。
アンジェリカ
「酷い...ニコが毎日苦労して懸命に書いたのに...」
ドリス
「毎日、無駄なことに時間を使って、馬鹿なのでしょ? そんな暇があったら、政治経済や剣術を勉強するべきですわ。ニコはホワイト伯爵領の次期領主なのですから。領民の事を考えるべきですわ」
アンジェリカ
「お、仰る通りです...」
ドリスの母親であるデボラ・シルバー男爵夫人は頭を抱えた。
デボラ
「やり過ぎだわ...」
ドリス
「ちっともやり過ぎではありませんわ! ニコにはきちんと現実を見せてあげないと!」
お目付役のブラウン卿が悲鳴に近い声で叫び飛んで来た。
ブラウン卿
「何て事をするのですか!? レディあるまじき行為ですよ! 今日は多くの高貴な方がパーティーに来て下さっているのに! お客様からの、しかも、身分が上である次期伯爵様からのプレゼントに火をつけて燃やすだなんて! 信じられない! シルバー家の品格に傷が付いたらどうするのです!? 社交界の秩序が乱れたら!? 侮辱罪や不敬罪に問われたらどうするのです!?」
ドリス
「大丈夫よ。ニコの方がワタクシよりも身分は上かもしれないけれど、親も親友同士ですし、家格はシルバー家の方が上だから。罪に問われたら公爵のお祖父様が何とかしてくれるもの」
名前の上がったシルバー公爵は笑顔のまま無言だ。
ドリスの父ピーター・シルバー男爵は優しい声で静かに話した。
ピーター
「ドリス、人の書いた詩を目の前で燃やしてはいけません」
ドリス
「どうして? お父様はいつも不出来な詩は燃やしているじゃない?」
ピーターは男爵だが有名な詩人でもある。特に、ピーターが詩を書き、ニコラスの父ブレイン・ホワイトが挿絵を描いた詩集は大ベストセラーとなっている。
ピーター
「あれは自分で書いた物だから良いのです。ニコラス君の書いたラブレターを本人の目の前で燃やしたら、ニコラス君が傷付いてしまうでしょう?」
ドリス
「ニコは傷付いたりなんかしないわ」
そう言って、ドリスは視線をニコラスに向けた。
ニコラス
「...恋心は一瞬のうちに燃え上がり、灰になって消えてしまった...」
ニコラスの目から涙が溢れる。
ドリス
「あ、あれ? もしかして、本当に傷付いた...? ご、ごめんなさ...」
ニコラス
「美しい!」
ドリス
「はい?」
ニコラス
「何て美しいんだ! これこそ芸術だ! 流石ドリちゃん! ドリス『神様からの贈り物』という意味の名前! ドリちゃんは正しく、神様からの贈り物! 一瞬で燃え尽きてしまう愛など本当の愛ではなかったのだ! そんな物は初めから燃やしてしまうべきだった! ここに芸術は完成したのだ! だが、待っていてくれ! 今度こそ、本物の愛を見つけてくる!」
そういうとニコラスはパーティー会場を飛び出して行った。
ドリス
「...ほらね?」
_________
狸田真より
突っ込み、一言感想、パートナーへの不満、感想欄でお待ちしております! お気軽に!
公爵を祖父に持つ高貴な血筋、美貌の男爵令嬢ドリス・シルバーの誕生日会には、国中から山のように贈り物が届く。
13歳の少女に贈るには、どの贈り物も高価過ぎるものばかり。結婚したい家名からの贈り物はとりわけ高価である。
宝石、ドレス、靴、バッグ、化粧品はもちろんのこと、馬やラバ (ロバ と馬の混合種)といった家畜、農園や商店など不動産の権利書に至るまで。
そんな中、変わった贈り物を持参する少年がいた。
彼の名前はニコラス・ホワイト。ドリスの幼馴染みである。
ニコラスはドリスの前に頑丈そうなトランクケースを置いた。
ドリスは溜息をつく。
そんな仕草すら美しくて、会場からは複数の溜息が聞こえる。
ドリス
「鞄のプレゼントなんて売るほどあるわ」
ニコラス
「オレのプレゼントは鞄じゃないのでっす! 中身の方!」
ニコラスは鞄を広げて紙の束を取り出した。
ドリス
「それは何?」
ニコラス
「オレのプレゼントは愛の言葉なんだ!」
自信満々に微笑むニコラスの顔をドリスは見つめた。
ドリス
「それは何枚あるの?」
ニコラス
「365枚! ありきたりな愛の言葉じゃダメだって言ってたから毎日頑張って書いてきたんだ!」
ドリス
「何が書いてあるの?」
ニコラス
「愛の言葉だよ?」
ドリス
「それは聞いたわ。何て書いたのよ?」
ニコラス
「オレの世界で一番愛するドリちゃんへ! 今日もオレは君の事で頭がいっぱい、胸いっぱい。君の事を考えていると喉が渇くから甘酸っぱいジュースを飲んで、渇きを潤しました。恋愛指南書を何十冊と読んだら、シンプルな言葉が一番心に響くと書いてあったから、シンプルに『素直に好きだ! 結婚しよう!』と伝えたら、ドリちゃんはありきたりな愛の言葉じゃダメだと言いましたね。誰にでも使える、一番お手軽な言葉で、お手軽に告白するなと! 上手い言葉が思い付かないからといって、安易な告白をするのは、ワタクシを世界一素晴らしい女性だと思っていない証拠だと。男の人は仕事のプロジェクトのプレゼンは、努力に努力を重ねて勉強し、知恵を絞りだして文言を考え、失敗しないように練習までするのに、女性へ贈るプロポーズの言葉には、同じ手間暇をかけない。それは愛しているからプロポーズするのではなく、手に入りそうなお手軽な女性にプロポーズしているからだと。そこでオレは考えたんだ! いっぱい考えたらお腹が空いたから、ショートケーキに銀に輝くアラザンを振りかけて、ミントの葉っぱを飾って、ドリちゃんみたいにして食べました。食べちゃいたいくらいにドリちゃんが好きで...」
ドリス
「もういいわ。要するに何が言いたいの?」
ニコラス
「愛してるから結婚してと言いたいのです」
ドリス
「そう...」
ドリスは紙束を受け取った。
ドリス
「たった一言で済むような内容を伝えるのに、どうしてワタクシの貴重な時間を消費させようとするのです?」
紙束を空いている大皿の上に置く。
ニコラス
「ドリちゃんを愛しているからです!」
ドリス
「いいえ、ニコはワタクシを愛してなんかいないわ。ワタクシの都合など一切考えていないもの」
味付け用で卓上に置かれていたオリーブオイルを紙束にかける。
ドリス
「これを読むのに何時間かかると思っているの? しかも、1枚目から気が遠くなるような内容じゃない」
卓上のキャンドルを持ち上げ、紙束に点火した。
一気に燃え上がる炎。
燃えるラブレターを茫然と見つめ、ニコラスは呟いた。
ニコラス
「オレの愛が燃えている...」
ニコラスの母親であるアンジェリカ・ホワイト伯爵は青ざめた。
アンジェリカ
「酷い...ニコが毎日苦労して懸命に書いたのに...」
ドリス
「毎日、無駄なことに時間を使って、馬鹿なのでしょ? そんな暇があったら、政治経済や剣術を勉強するべきですわ。ニコはホワイト伯爵領の次期領主なのですから。領民の事を考えるべきですわ」
アンジェリカ
「お、仰る通りです...」
ドリスの母親であるデボラ・シルバー男爵夫人は頭を抱えた。
デボラ
「やり過ぎだわ...」
ドリス
「ちっともやり過ぎではありませんわ! ニコにはきちんと現実を見せてあげないと!」
お目付役のブラウン卿が悲鳴に近い声で叫び飛んで来た。
ブラウン卿
「何て事をするのですか!? レディあるまじき行為ですよ! 今日は多くの高貴な方がパーティーに来て下さっているのに! お客様からの、しかも、身分が上である次期伯爵様からのプレゼントに火をつけて燃やすだなんて! 信じられない! シルバー家の品格に傷が付いたらどうするのです!? 社交界の秩序が乱れたら!? 侮辱罪や不敬罪に問われたらどうするのです!?」
ドリス
「大丈夫よ。ニコの方がワタクシよりも身分は上かもしれないけれど、親も親友同士ですし、家格はシルバー家の方が上だから。罪に問われたら公爵のお祖父様が何とかしてくれるもの」
名前の上がったシルバー公爵は笑顔のまま無言だ。
ドリスの父ピーター・シルバー男爵は優しい声で静かに話した。
ピーター
「ドリス、人の書いた詩を目の前で燃やしてはいけません」
ドリス
「どうして? お父様はいつも不出来な詩は燃やしているじゃない?」
ピーターは男爵だが有名な詩人でもある。特に、ピーターが詩を書き、ニコラスの父ブレイン・ホワイトが挿絵を描いた詩集は大ベストセラーとなっている。
ピーター
「あれは自分で書いた物だから良いのです。ニコラス君の書いたラブレターを本人の目の前で燃やしたら、ニコラス君が傷付いてしまうでしょう?」
ドリス
「ニコは傷付いたりなんかしないわ」
そう言って、ドリスは視線をニコラスに向けた。
ニコラス
「...恋心は一瞬のうちに燃え上がり、灰になって消えてしまった...」
ニコラスの目から涙が溢れる。
ドリス
「あ、あれ? もしかして、本当に傷付いた...? ご、ごめんなさ...」
ニコラス
「美しい!」
ドリス
「はい?」
ニコラス
「何て美しいんだ! これこそ芸術だ! 流石ドリちゃん! ドリス『神様からの贈り物』という意味の名前! ドリちゃんは正しく、神様からの贈り物! 一瞬で燃え尽きてしまう愛など本当の愛ではなかったのだ! そんな物は初めから燃やしてしまうべきだった! ここに芸術は完成したのだ! だが、待っていてくれ! 今度こそ、本物の愛を見つけてくる!」
そういうとニコラスはパーティー会場を飛び出して行った。
ドリス
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