【完結】乙女ゲームに転生した転性者(♂→♀)は純潔を守るためバッドエンドを目指す

狸田 真 (たぬきだ まこと)

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第三章 結婚してから乙女ゲームのヒロインである妻が愛してると言ってくれない

4.デートで欲しがっている物を買ってみる

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 2人で馬車に乗り込み、街の仕立て屋に向かう。だが、アンジェリカは馬車に乗るなり目を閉じてしまい、会話もなく、馬車は仕立て屋に到着した。

 再び不安な気持ちが込み上げる。

 アンジェリカは買い物をしたかっただけで、デートをしたかった訳ではないのでは?

 アンジェリカは伯爵令嬢だったが、結婚前は非常に貧乏だった。個人的な資産もほとんどない。浪費家だった訳ではない。むしろ倹約家で、領民のために資産を使っていた聖君である。

 私はアンジェリカのそんな所に惚れたのである。

 最初は推しキャラだから好きだっただけだが、アンジェリカを知れば知るほど、その天使の様な性格が好きになった。

 そうだ! そんなアンジェリカが、私の事を金づるだと思っているはずがない!

 馬車から降りると街人が集まって来る。

「アンジェリカ様! ブレイデン様! こんにちは!」

アンジェリカ
「皆、景気はどうだい?」

「お二人のお陰で商売繁盛ですよ!」

「この野菜、今日とれたてなんです! おひとつどうぞ!」

「これもどうぞ!」

アンジェリカ
「わぁ~! 皆、めっちゃ有難う! めっちゃ美味しそう!」

 次々と手渡されるプレゼントを小姓に手渡し、馬車に積ませた。

アンジェリカ
「何か困った事とか起きてない?」

「それが、聞いて下さい! ウチの亭主ったら、景気が良くなったからって、タバコやお酒を買う様になって、ちっとも貯金してくれなくて!」

「俺はそうやって経済を回しているんだ!」

アンジェリカ
「そかそか、じゃあ、今度、資金計画の相談役を派遣するから、この手帳に名前と住所を書いてね」

「アンジェリカ様! 私の相談も聞いて下さい! 学校が始まる前は、あんなに頑張るって言っていたのに、子供が勉強をサボって、遊んでいるみたいなんです!」

アンジェリカ
「友達と喧嘩したとか、いじめがあったりとか、大丈夫かな? ギルドアカデミーの監査に学校の調査をさせるね。奥さんもお子さんとよく話して、悩みがないか聞いてあげてね」

 ブレイデンはイライラしていた。

 民衆に慕われる妻を本当に尊敬しているし、誇りに思うが、今日は視察の日ではなく、デートなのである!

ブレイデン
「皆様、申し訳ありませんが、今日は視察日ではなく、私的な用事で来ておりますので!」

「あらヤダ! デートだったのですね!?」

「そりゃ、悪い事しちゃったねぇ~」

 ブレイデンは苦笑いしながら、強引にアンジェリカの手を引いて店に入った。


アンジェリカ
「ブレイデン君、有難う。ちょっと、疲れてたんだ」

ブレイデン
「いいえ、私も人混みから抜け出したかったんです」

 アンジェリカが私を見つめ、笑顔で私に微笑みかけている! なんて幸せなんだ!

 だが、その幸せな時間は5秒と続かなかった。

店員
「何かお探しでしょうか?」

 アンジェリカの視線は店員に向けられた。

 仕事なのは分かっているが、こちらが声をかけるまで黙っていて欲しかった! 何にも悪くないが、店員が忌々しく感じる!

アンジェリカ
「ベビー用品がみたいのですけど...」

ブレイデン
「デボラ様にですか?」

 デボラ様というのは、アンジェリカと私の共通の友人である。先日、妊娠が発覚した公女様だ。

アンジェリカ
「まぁ、そんな感じ」

店員
「かしこまりました」

アンジェリカ
「マタニティウェアとかも、どんなのが人気あるの?」

ブレイデン
「そういう買い物は、ギルドの商人に予算を渡して選ばせるのが一番ですよ?」

アンジェリカ
「あ、そっか、うぅ~ん...でも、良い機会だから自分でも見とこうかなぁ~? って思って」

ブレイデン
「そうですか」

店員
「プレゼント用でしたら、ノンカフェインのお茶やリラックス出来るアロマを使ったバスセットなども人気ですよ」

 正直なところ、アンジェリカが将来的に出産することを考えてくれているのは嬉しい。愛が覚めていないと考えていいのでは? いや、しかし、伯爵家としての義務だと考えている可能性もある。

 しかし、今日の目的は愛しているとアンジェリカに言ってもらう事だ。

 アンジェリカへのプレゼントではなく、デボラ様へのプレゼントを買うとなれば、『嬉しい! 有難う! 愛してるわ!』というシチュエーションは考え難い。

 ブレイデンがうぅ~んと唸っていると、アンジェリカがポンポンと肩を叩いてきた。

アンジェリカ
「やっぱり、全然分からないよね? 説明されても、何がいいのかチンプンカンプンというか...やっぱり予算をお店の人に渡して、見繕って貰おう」

ブレイデン
「あ、はい。そうですね」
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