【完結】BLが蔓延る異世界に転生したので大人しく僕もボーイズラブを楽しみます~愛されチートボーイは冒険者に溺愛される~

ひと息

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24.大きな剣と魔法石

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朝食を済ませた三人は、そのあとすぐに街へと出た。
そして二人の行きつけだという武器の店へとやってきた。

「いらっしゃいませ!」
耳がとがった種族の店員に出迎えられる。

「ラオルさん!久しぶり~」
シュビルが声をかけると、店員は顔をパッと輝かせて言った。
「シュビルさんにルリールさん!お久しぶりです!」

シュビルから前もってエルフ族のお店だとは聞いていた奏人だったが、
実際にエルフに会うのは今回が初めてのことで、まじまじと耳を見てしまった。

「お客様、そんなに気になりますか・・・」
ラオルに声をかけられはっと我に返る。奏人は恥ずかしそうに笑いながら謝った。
「ごめんなさい、珍しくて・・・」
「エルフはこの地域には少ないですからね。よくあることです」


「今日はどんなご用件で?」
「実は、この石で剣を作ってもらいたいなと・・・」

奏人がヘビの石を見せると、ラオルは驚いた様子で奏人を見た。
「このモンスターを倒されたのですか!奏人さんはお強いのですねぇ」
「人は見かけによらないでしょ」
「ラオルさんが倒すまであと何年かかるかなぁ~」
ルリールとシュビルががすかさず茶々を入れる。どうやらラオルとはかなり仲がいいようだ。

「私はお店で働いてるからそういうのはいいんですってばー・・・で、この剣でどのくらいのものをお作りに?」
「やっぱり、大きいのがいいなぁ・・・ルリールが持ってるみたいなやつ」
奏人はルリールの背中を指さす。

「奏人、こういうのがいいの?」
「あんなデケェの邪魔だぞ。俺の小さい剣みたいなのにしとけってー」
「ん~、でも、大きい剣でモンスター切るってやっぱ憧れだし」

悩む奏人にラオルは言った。
「じゃあ、サンプル持ってきますから、一番しっくりくるサイズのものにしましょう」



「どうぞ、自由に持ってみてくださいね」
ラオルが持ってきたのは、あらゆる大きさと形の剣だった。
刃や持ち手が個性的なものから、サイズが特大なものといろいろで奏人はますます悩む羽目になってしまった。


「奏人」
ルリールが奏人に声をかける。

「なに?」
「奏人には、大きい剣が似合うと思うんだけど、どう?」
ルリールは、サンプルの中で大きなサイズの剣を指さして言った。
「ルリールが持ってるのと同じくらい?」
「少し小さめか、同じくらい。使いやすいし、かっこいいよ」
ルリールは自分の剣を触りながら言うと、奏人はサンプルの剣を手に取った。
「似合ってんじゃん!」
シュビルが遠くから叫ぶと、奏人は照れ臭そうに笑ってまじまじと剣を眺めた。

「初心者の方だと、中くらいの剣が使いやすいと思うんだけど・・・奏人さんって初心者じゃぁ・・・?」
ラオルは不安そうに尋ねる。

すると、ルリールがすかさず答えた。
「この人は大丈夫。奏人は強いからね」
そしてそれに続くように、シュビルも答えた。
「そうそう!こいつほんと強いの。今度ラオルも奏人と一緒にダンジョンもぐれば?」

やめときます、と苦笑いしながらラオルは奏人を見る。
「二人のお墨付きなら問題ないですね。それで、ヘビの石は今ありますか?」
「あ、これ・・・」
奏人は昨日倒して手に入れたヘビの石を差し出す。
「これが、剣になるんですよね」
「えぇ。基本的にはこの持ち手の部分に。刃の部分にも多少ははいりますね」

へぇ、と奏人が剣を見ていると、ルリールがちょっと待って、と会話を遮った。
「ごめん、忘れてた!」
「どうしたの?」
「これ、レーバルから」

そういってルリールが差し出したのは、ひし形をした、虹色の宝石のような石だった。
「あ、魔法石。綺麗な色~!虹色なんて初めて見た」
「魔法石・・・?」

ラオルが宝石を手に取って目を輝かせる。
シュビルも寄ってきて、見せて見せてとラオルをせかした。


「ルリール、魔法石ってなに?」
「フェロモンから作れる宝石みたいな石のこと。レーバル、知らないうちに奏人のフェロモンで魔法石を作ってたみたい」
「じゃあ、これは僕のフェロモン?」
「虹色のフェロモンなんて、奏人しかいないからね。奏人のものだよ」


シュビルとラオルがきゃっきゃと魔法石を眺める。
それを横目に奏人は続けて質問した。

「でも、なんでこんなのを?」
「魔法石が自分の武器についてると、本当にピンチになった時に命を救ってくれることがあるんだ。でも、救われるか救われないから運。ま、ちょっとしたお守りかな」


へぇ、と奏人は言いながらシュビルから渡された魔法石を見る。

「これ、持ち手の部分にいれましょうか」
ラオルがサンプルの剣を見せながら聞く。
「真ん中に、あ、そうですね。その辺で・・・」
「じゃあ、これお預かりしますね。明日までには剣はできますから」
「よろしくお願いします」
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