79 / 141
五種族会談編 一章 虚の王
アザレア達の日常 I
しおりを挟む
「———ハァハァ‥‥まだまだっ!」
金髪を靡かせる少女がまっさらな砂の上を全力で駆ける
ここは人族軍の専用訓練場。大陸の広大な湖とは反対側に位置する海の砂浜。そこで数百人の軍服を纏う兵士が砂浜の上を走っていた
季節は夏に刺さり掛かろうとする頃で太陽の光と熱が体を焼き、猛獣に追われているかのようにただひたすらに走っていた
「アザレア!どうした、もう終わりか!死ぬまで走れ!」
「はぁい!」
声を魔法で拡張させ、アザレアを追い込んでいる女性の鬼教官
アザレアだけではなくその他の兵士も怒鳴りつけ追い込んでいる
またアザレアの他にも見知った人物が数名いる。女性ではベラにカメリア。男性ではワルドスにコキンとテル‥‥‥
マルゲリータ町の同級生が数名アザレアと共に訓練に励んでいた‥‥
◊◊◊
———私の名前はアザレア
こうして登場するのも久しぶり過ぎて忘れちゃったかしら?
ふふ、まあ良いでしょう。私達が今こうしてなぜ訓練に励んでいるか?
そうね、説明しましょうか‥‥‥
マルゲリータ町で厄災の片鱗が確認されてから丁度3年‥‥‥
そしてレオンが旅立ってしまった時から3年の月日と年月が過ぎた
私達はレオンに‥‥皆んなに何も起こる事のない幸せな日々を過ごして欲しいと願った
そしてレオンが旅立ってしまった時は夜更けまで泣いたわ‥‥‥
だって何も相談なしに勝手に何処かに行ってしまうのだもの‥‥せめて私には手紙ではなく直接言って欲しかった。そしたら私もレオンと一緒に‥‥‥
———いいえ、もう過ぎた事。いくら想っていてもレオンは戻らない
ならば私も強く美しい女性になっていつかレオンに会った時に見返してやるんだから!
そう考えた3年前の私は、レオンが修行していたらしい近くの森で訓練しだした
最初はすごく怖かったわ。見たこともない魔獣がいるし変な植物は生えているしで大変だった。けど、皆と一緒に森を駆け回っていると自然に体も順応して楽しくなってきた
小さな魔獣を狩ったりして力を付けていた時、家の回覧板の張り紙を見つけ、そこには軍入隊試験が近々王都の軍本部で行われ年齢は13歳からと記されていた
私はこれだっ!と思った。やっと力を手に出来る環境が見つかったと思い、私は親を説得し皆で王都に向かった
王都の軍本部に着くと総勢数千人はいる人々。年齢性別はバラバラであまりにも多くて試験に合格できるか不安でしかなかったわ。それで到着するなり説明が行われた
説明の内容としては将来、軍での立ち位置、即ち上位ランクが約束される。私はCランクな為この訓練場にいる同級生や年上よりも階級は上だろう。しかし、それでも合格するかはまた別。実践と訓練では違いすぎる
また合格発表は当日で決定する。魔法力、戦闘での評価を主に決める。合格すれば厳しい訓練と魔法座学、教官が精神的に物理的に追い込み自分たちを強く鍛えるという
そしてここからが重要な内容
まだ学園に通ってもいない18歳未満の少年少女は合格した次の日から軍の寮に住む。そして学園に進学する事も可能。学園に通いながら訓練を続けるという
学園に通うと言う事は将来、軍関係に属する者と言うことになる。学園を卒業しても軍に入隊しなくても良くそこは個人の自由。ただ、ほとんどの卒業生は軍に入隊、配属される
そして学園に通う前に軍に入隊し数年訓練していた訓練兵はランクも上がり精鋭《エリティシタ》と呼ばれ小隊を一部隊受け持ち学園に入学する
しかし、そんな天才は稀で学園に入学する18歳までに軍の入隊試験で合格した者は数えるほどしか存在しない
例を挙げるとエミリア・ローマがその一人として有名。彼女は私達女性の軍人から見ても憧れの人物
そして合格できる者は毎年変わる。優秀な者が大勢いれば大勢とり、少なければ少数と変動する。人数は限定されないのが救いと言える
———そして試験を受けた結果、私達6人全員が合格する事ができた。同級生でしかも13歳の合格者が6人も出るのは史上初らしく、その日に私達6人は最強の世代と噂され周りからこう呼ばれるようになった
———六幻楼《アルターナ》———
どうしてこの意味を込めたかは分からない。だって私達が付けたんじゃなくて周
りが勝手に付けた名前だもの。別にそんな名前で言われようが同じ宿舎にいるのに理解できない。他のカメリア達も気にしていない様子だし私も気にしないようにしよう‥‥
そんな私たちは誰一人としてマルゲリータに帰らず寮生活で訓練を受けられる。これは軌跡なのかもしれない
———それから軍入隊を果たして2年と半年。私達は毎日訓練に座学に追われる日々を過ごしていた。今では16歳になり残り2年足らずで学園へと入学する
ここまで来るのに随分と時間が早く過ぎたと感じてしまう
毎日を訓練に費やしていて遊んでいた子供の頃とは世界が違っていた
一番驚いたのが魔法の種類の多さ。火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、雷魔法、光魔法、闇魔法、回復系魔法の八種類がこの世に存在している。この八種類を全て扱うのは不可能に近く、大抵が一種類の魔法を極める
一つの魔法の中でも下位と上位が存在し、二つや三つの魔法を下位で会得するよりも一つの上位魔法を会得した方が人個人の戦力は上でもある
また回復系魔法は回復魔法、治癒魔法、蘇生魔法の三種類が下位、中位、上位と別れている
回復魔法は状態以上などを回復させる魔法。治癒魔法は傷などを修復する魔法
そして蘇生魔法は人体などの損傷、肢体の切断箇所から蘇生する魔法。
そして一番有名なのが死人の蘇生。これは半日以内であれば死人を生き返らせる事ができる。しかし蘇生魔法には代償が必要。その代償が魔法を唱える術者の寿命。命を救う代わりに自身の命を犠牲にする
大神官様がこの魔法を習得しているけど代償があるので早々使用出来ないらしく、歴史の中で使用した人物は数人らしい
色々と覚える事が沢山ありすぎて頭がパンクしちゃいそうになる‥‥
これが大人に近づく感覚なの‥‥まあ、私はめげずにここまで頑張ってきた!
全てはみんなのため‥‥そしてレオンの為に!
———昔話はこの辺にしておくわ
今は訓練中、気をちらつかせないようにしなくちゃね!
「「「アザレア!休憩――!」」」
「はーい!」
金髪を靡かせる少女がまっさらな砂の上を全力で駆ける
ここは人族軍の専用訓練場。大陸の広大な湖とは反対側に位置する海の砂浜。そこで数百人の軍服を纏う兵士が砂浜の上を走っていた
季節は夏に刺さり掛かろうとする頃で太陽の光と熱が体を焼き、猛獣に追われているかのようにただひたすらに走っていた
「アザレア!どうした、もう終わりか!死ぬまで走れ!」
「はぁい!」
声を魔法で拡張させ、アザレアを追い込んでいる女性の鬼教官
アザレアだけではなくその他の兵士も怒鳴りつけ追い込んでいる
またアザレアの他にも見知った人物が数名いる。女性ではベラにカメリア。男性ではワルドスにコキンとテル‥‥‥
マルゲリータ町の同級生が数名アザレアと共に訓練に励んでいた‥‥
◊◊◊
———私の名前はアザレア
こうして登場するのも久しぶり過ぎて忘れちゃったかしら?
ふふ、まあ良いでしょう。私達が今こうしてなぜ訓練に励んでいるか?
そうね、説明しましょうか‥‥‥
マルゲリータ町で厄災の片鱗が確認されてから丁度3年‥‥‥
そしてレオンが旅立ってしまった時から3年の月日と年月が過ぎた
私達はレオンに‥‥皆んなに何も起こる事のない幸せな日々を過ごして欲しいと願った
そしてレオンが旅立ってしまった時は夜更けまで泣いたわ‥‥‥
だって何も相談なしに勝手に何処かに行ってしまうのだもの‥‥せめて私には手紙ではなく直接言って欲しかった。そしたら私もレオンと一緒に‥‥‥
———いいえ、もう過ぎた事。いくら想っていてもレオンは戻らない
ならば私も強く美しい女性になっていつかレオンに会った時に見返してやるんだから!
そう考えた3年前の私は、レオンが修行していたらしい近くの森で訓練しだした
最初はすごく怖かったわ。見たこともない魔獣がいるし変な植物は生えているしで大変だった。けど、皆と一緒に森を駆け回っていると自然に体も順応して楽しくなってきた
小さな魔獣を狩ったりして力を付けていた時、家の回覧板の張り紙を見つけ、そこには軍入隊試験が近々王都の軍本部で行われ年齢は13歳からと記されていた
私はこれだっ!と思った。やっと力を手に出来る環境が見つかったと思い、私は親を説得し皆で王都に向かった
王都の軍本部に着くと総勢数千人はいる人々。年齢性別はバラバラであまりにも多くて試験に合格できるか不安でしかなかったわ。それで到着するなり説明が行われた
説明の内容としては将来、軍での立ち位置、即ち上位ランクが約束される。私はCランクな為この訓練場にいる同級生や年上よりも階級は上だろう。しかし、それでも合格するかはまた別。実践と訓練では違いすぎる
また合格発表は当日で決定する。魔法力、戦闘での評価を主に決める。合格すれば厳しい訓練と魔法座学、教官が精神的に物理的に追い込み自分たちを強く鍛えるという
そしてここからが重要な内容
まだ学園に通ってもいない18歳未満の少年少女は合格した次の日から軍の寮に住む。そして学園に進学する事も可能。学園に通いながら訓練を続けるという
学園に通うと言う事は将来、軍関係に属する者と言うことになる。学園を卒業しても軍に入隊しなくても良くそこは個人の自由。ただ、ほとんどの卒業生は軍に入隊、配属される
そして学園に通う前に軍に入隊し数年訓練していた訓練兵はランクも上がり精鋭《エリティシタ》と呼ばれ小隊を一部隊受け持ち学園に入学する
しかし、そんな天才は稀で学園に入学する18歳までに軍の入隊試験で合格した者は数えるほどしか存在しない
例を挙げるとエミリア・ローマがその一人として有名。彼女は私達女性の軍人から見ても憧れの人物
そして合格できる者は毎年変わる。優秀な者が大勢いれば大勢とり、少なければ少数と変動する。人数は限定されないのが救いと言える
———そして試験を受けた結果、私達6人全員が合格する事ができた。同級生でしかも13歳の合格者が6人も出るのは史上初らしく、その日に私達6人は最強の世代と噂され周りからこう呼ばれるようになった
———六幻楼《アルターナ》———
どうしてこの意味を込めたかは分からない。だって私達が付けたんじゃなくて周
りが勝手に付けた名前だもの。別にそんな名前で言われようが同じ宿舎にいるのに理解できない。他のカメリア達も気にしていない様子だし私も気にしないようにしよう‥‥
そんな私たちは誰一人としてマルゲリータに帰らず寮生活で訓練を受けられる。これは軌跡なのかもしれない
———それから軍入隊を果たして2年と半年。私達は毎日訓練に座学に追われる日々を過ごしていた。今では16歳になり残り2年足らずで学園へと入学する
ここまで来るのに随分と時間が早く過ぎたと感じてしまう
毎日を訓練に費やしていて遊んでいた子供の頃とは世界が違っていた
一番驚いたのが魔法の種類の多さ。火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、雷魔法、光魔法、闇魔法、回復系魔法の八種類がこの世に存在している。この八種類を全て扱うのは不可能に近く、大抵が一種類の魔法を極める
一つの魔法の中でも下位と上位が存在し、二つや三つの魔法を下位で会得するよりも一つの上位魔法を会得した方が人個人の戦力は上でもある
また回復系魔法は回復魔法、治癒魔法、蘇生魔法の三種類が下位、中位、上位と別れている
回復魔法は状態以上などを回復させる魔法。治癒魔法は傷などを修復する魔法
そして蘇生魔法は人体などの損傷、肢体の切断箇所から蘇生する魔法。
そして一番有名なのが死人の蘇生。これは半日以内であれば死人を生き返らせる事ができる。しかし蘇生魔法には代償が必要。その代償が魔法を唱える術者の寿命。命を救う代わりに自身の命を犠牲にする
大神官様がこの魔法を習得しているけど代償があるので早々使用出来ないらしく、歴史の中で使用した人物は数人らしい
色々と覚える事が沢山ありすぎて頭がパンクしちゃいそうになる‥‥
これが大人に近づく感覚なの‥‥まあ、私はめげずにここまで頑張ってきた!
全てはみんなのため‥‥そしてレオンの為に!
———昔話はこの辺にしておくわ
今は訓練中、気をちらつかせないようにしなくちゃね!
「「「アザレア!休憩――!」」」
「はーい!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。
棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
「元」面倒くさがりの異世界無双
空里
ファンタジー
死んでもっと努力すればと後悔していた俺は妖精みたいなやつに転生させられた。話しているうちに名前を忘れてしまったことに気付き、その妖精みたいなやつに名付けられた。
「カイ=マールス」と。
よく分からないまま取りあえず強くなれとのことで訓練を始めるのだった。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる