白と黒

更科灰音

文字の大きさ
8 / 73

第8話:面接開始

しおりを挟む
再びメールが届く。さっきの女性だ。
今からでも大丈夫です。30分で辿り着けます。との事。
いよいよ冷やかしか。30分後の時間を指定した。ここからなら5分、いやこの身体だと10分か?
それにしても、すぐにでも面接したいって、なんでそんなに焦ってるんだ?
確かに今日は土曜日でしかも祝日だ。休み中に決めたいのかも知れない。
それとも、今の住処を追い出されるようなことをやらかしたのか?
だとするとそんな人を雇いたくないんだが。

さて、そろそろ出かけよう。コーヒーを飲んだばかりなのに喫茶店に行かないといけないとは。
約束の喫茶店に3分前に到着する。店員に待ち合わせだと伝えて、さっきの写真を見せる。
まあ、居ないよな。しかし、店員の返事は違った。
奥の窓際のお席です。って来ている?この写真の本人が?
案内された席に向かうと、確かに写真の人物が座っている。だが、女子高生?制服を着ている。
そもそも今日は11月3日。文化の日で学校は休みだ。
19歳だから普通は高校を卒業している年齢だ。コスプレ?
しかし、コスプレして面接に来るか?一応確認しないと。
「あの、吉野川さんですか?」
本人だった。履歴書も持参している。
スーツは無いので学校の制服で来たそうだ。まあ、スジは通っている。
まだ注文していなかった彼女の分と、私の分の二人分の飲み物を注文する。

履歴書に目を通す。書式は特に問題ない。問題は内容だ。
年齢は19歳になっている。学歴は高校在学中となっている。入学年から計算すると留年したのか?
資格には調理師と普通運転免許が記載してある。
運転免許も見せてもらった。名前は吉野川佳乃と書かれている。写真も目の前の人物だ。
偽造ではなさそうだ。少なくとも素人目には本物に見える。

「まず、質問。仕事の内容は理解してる?」
これが答えられないとどうしようもない。
「家政婦とはいってみればメイド、メイドの仕事であれば、炊事洗濯掃除などの家事全般ですよね?」
まあ、ちょっと気になることはあるが、一応問題なさそうだ。
「それと車の運転も」
思い出した様に付け加えられた。募集要項に要普通運転免許と書いてあったのを思い出したのだろう。
だが、免許はあるけどペーパーかもしれない。ちゃんと運転できるのか?
「セバスチャン的に先に降りてドアを開けたりするのでしょうか?」
ちょっと知識に偏りがあるみたいだけど、大丈夫だろうか?
「そこまでしないで大丈夫です。詳しい話は家でしましょう」
実際の現場を見てもらったほうがはやいしな。

「それは採用していただけるということでしょうか?」
まあ、こちらとしても早急に家政婦はほしいから、あまり贅沢なことは言えない。
「一応その予定です。もっと詳しい話をしたい、実際の仕事場見てもらってから意見も聞きたいし」
住み込みで働いてもらうんだから、当然ではあるのだけれど。
掃除にしろ洗濯にしろ、規模を把握してもらわないといけない。
もともと俺一人でできていたのだから、問題ないはずではあるのだが。
「そうですね。ここでは人目もありますし」
人目?なんの話だ?
会計を済まして、二人で家へと帰る。

「ところで、ご主人様と呼べばよいのでしょうか?それともお嬢様?」
ああ、この子の中ではメイドという認識なのか。しかも割と間違った方の。
「私の名前は真白小姫。そうね小姫ちゃんとかでいいわよ?」
すぐに訂正された。
「雇い主をちゃん付けとか恐れ多いです。お嬢様」
お嬢様になったわけね。別にどうでもいいんだけど。
で、マンションに到着。部屋の中に招き入れる。
もしかしなくても女性が入るのはこれが初めてだ。自分を除けば。
「おじゃまします」
そう言って佳乃さんも中に入ってくる。
脱いだ靴をキチンと揃えるあたり、しつけが良い感じがする。俺が脱いだ靴まで揃えてくれる。

リビングに通して、コーヒーを淹れる。
今日すでに3度目のコーヒーだ・・・この身体にはカフェインの取り過ぎかもしれない。
ちゃぶ台しかないので、とりあえずは座ってもらう。
一人暮らしだと応接セットとか使わないし。
「色々と聞きたいことはあるの」
吉野川さんの顔がこわばる。緊張しているのだろう。

面接 -side:真白-
高校生って書いてあるけど、留年とかしてるの?
「ええ、恥ずかしながら3回目の2年生です」
高2?高3じゃなくて?2留って何やったんだろう。
そんなに勉強が出来ないのか?
「出席日数が足りずに進学できなくて」
素行が悪いのか?停学を何度か食らってるとか?
「実は、両親が離婚していまして、母親に引き取られたんですけど、母親も男癖が悪く」
複雑な家庭環境なのか。
「学費は父が出してくれてはいるのですが、それも高校卒業するまでとのことなので」
普通は大学卒業までじゃないのか?よく知らないが。
「であれば、高校在学中にいろいろ資格を取ろうかと思って」
なるほど。それで調理師か。

「更に母親も男と出ていってしまって、今の住まいも今月いっぱいで引き払われてしまったので・・・」
それで焦っていたのか。
「タイミング良く住み込みの募集がありましたので、これはチャンスかと思いました」
今月中に住む場所を探さないといけなかったわけだ。
高校生だと友達も実家住まいだろうから、泊めてもらうってわけにも行かないよな。
学校の寮とかは?
私立の女子校なら寮もありそうな気がするけど。
「新入生の入学の時期でもないので空きはありませんでした」
それもそうか。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...