失いし仲間そして奇跡

ハーマ

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廻り出す運命

残酷なる運命

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彪雅視点

彪雅  あいつと初めて出会ったのはもう随分と昔だ

当時俺はまだ子供で体から微かに血の匂いのする翼が何故「駿岐」と仲が良かったのかが分からず何度も首を傾けたが結局分からずじまい

だけど駿岐が翼と喋っているととても楽しそうで幸せそうに笑うから俺も嬉しく思う程に幸せな時間は駿岐の死で終わりを告げた……

彪雅「駿岐が死んだ?」

蓮「はい  死因は溺死だそうです」

彪雅  蓮のその言葉で思わず仕事を放置してその場に向かい越前家独特の髪色を持つ青年が駿岐を抱きしめて大声で泣き叫んでいた……翼だった……

数十年ぶりに見た翼の姿は昔見た時と大きく違くて……

翼「彪雅」

翼「ん?煌どうした?」

不意にかつての記憶を思い出していると翼に名前を呼ばれその方を向くと何やら翼が大きめのダンボールを持って仁王立ちしている

翼「捨てられてたんだ  珍しい髪色で目も左右色が違う  恐らく犬種は狼だと思うんだけど……」

彪雅「遠回しに飼いたいんだろ?煌って狼好きだもんな」

翼は人に想いを伝えるのが難しいらしくよく遠回しで言うが彪雅は言われた言葉を汲み取り会話を進める

翼「飼って良いのか?」

彪雅「流石に俺ん家には仲間がいるから無理だけど煌の家なら問題ないだろ?」

彪雅  ……そう言えば煌の家には他にも鷲と数匹の狼がいたな……

翼は動物の大きめの肉食動物が好きで家には鷲が3羽、狼が6匹、ライオン、豹が2匹いる

翼「敷地内に問題は無い  元々一人で住むには広過ぎるからな
彪雅  良かったら今日来るか?」

彪雅「行っていいのか?」

翼「毎日掃除してる
取り敢えず今日1日俺家にいるから」

そう言って翼は拾った狼を連れて自分の家に戻っていき彪雅もその後を追う

彪雅「家と言うより城だな」

翼「……気にするな」

一見城にしか見えない翼の家は門に入ると家ではなく本当に城なのだと認識させられる

翼「ただい……うわ!!」

彪雅「!?」

門を抜け城に入ってすぐ翼の目の前に翼の飼っている動物が翼に飛びつき彪雅もその被害を受ける

翼「お前ら……久々に帰ってきたからって客人にまで飛びつくな」

飛びついてきたペットを軽くあしらい拾ってきた狼を他の狼達の所にやるとその狼や他の狼達もすぐに馴染み仲良くなる

翼「まぁ茶でも飲めよ」

???『翼は茶と表して酒を飲ませる事があるから気をつけろ』

翼に案内され椅子に座り翼に渡されたお茶を飲もうとするとどこからともなく声が聞こえる

翼「「白蘭」突然喋り出すな」

翼が「白蘭」と呼び近くに寄らせたのは銀色の毛並みを持つ狼

白蘭『お客人  先程の友の無礼お許し下さい
暫く仕事で翼が帰ってこれずじまいで帰ってきた事が嬉しくついつい勢い余って飛びついてしまい貴方にまで被害がと及んでしまいました
ここにいる狼や鷲は必ずしも言葉を持ち翼の言葉や行動は理解ができます
つまり貴方の言葉、行動によって我々は翼と引き離したりもします
今まで貴方と出会う前翼は様々な目的で狙われてきた
それ故新人を除いて我々は貴方の行動や言語は細心の注意を払っていますので変に動かないで下さいね』

翼「白蘭の言っている事は全て事実だ
今まで彪雅と出会う前まで何回か命を狙われていた事があった
それで俺が家にいる間白蘭達が護ってくれてる」

彪雅「俺は命を懸けても約束や誓いは護るよ
俺も昔仲間を失ってるし煌の気持ちもわかる」

彪雅  と言っても俺は煌に話していない事があるんだが……

翼「彪雅?」

彪雅「ん?」

翼「大丈夫か?  朝もそうだが気づいたら放心状態になってる」

彪雅「悪い悪い  大丈夫だ  よくある」

その言葉に裏があると気がついたのは恐らく白蘭だけだろう

白蘭『お客人  少しお時間よろしいか?』

彪雅「構わない  煌悪い少し席を外す」

そう言って彪雅は白蘭の後ろをついていき2階に行く

白蘭『貴方  翼に話していない事があるでしょう?』

彪雅「ご名答  煌に話していない事は確かにあるがまだ話せないんだ
……ここ煌に聞こえるって事あるか?」

彪雅  翼に今話してはいけない……まだ時間が満ちていない……

白蘭『ここは私か後ろについて来た者しか入れない空間です  翼は入れませんし声は聞こえていません』

彪雅「分かった
……俺の本名は「白陵  彪雅」……つまり翼が初めて失った仲間である駿岐の実の弟
だからなんで煌のトラウマを知っているのかが分かるだろ?」

白蘭『成程……駿岐殿の生まれ変わりの魂が貴方の身体に宿っているのは貴方が弟だったからですか……』

彪雅「……俺が死ねば駿岐達が蘇る  俺の魂は本来この世界にはあってはならない物なんだ
だから俺がいる分駿岐達が死んだ  俺さえ死ねば今まで煌が亡くしてきた仲間達が蘇り俺の存在は永遠に消え去る」

それが彪雅の背負う残酷なる運命……彪雅が死ぬ代わりに翼の亡くしてきた仲間達が蘇り彪雅の存在は永遠に消え去り翼のトラウマもなくなる

白蘭『……貴方自身が駿岐殿達の生贄になるということですか?
そうしたら翼は?』

彪雅「……俺の存在そのものが消え去るからな……今までの俺との記憶がなくなって煌のトラウマも消え去る」

とても寂しげに……彪雅は白蘭に話した「自身が消え去れば煌が幸せになれる、俺は煌は幸せであって欲しい」と……
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