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2章 スティルド王国編
第50話 貴族との邂逅
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精霊術で強化された身体能力は桁違いに上がり、風を切り裂くように駆ける。
徐々に目標の馬車が見えて来た。
そして、想定していた状況になりつつあった。
馬と御者が真っ先に狙われたのか、首や体から血を流して倒れていた。
馬車自体はかなり丈夫に作られているようで、噛みついたり引掻かれたりしているが、破壊までは至っていなかった。
だが、それも長くは持たないだろう。
確実に車体に傷が付けられ、所々破片が飛び散っている。
一つの馬車に群がる狼たちは、まるで砂糖に集まる蟻のようだ。
琉海はその中に躊躇なく突っ込んだ。
さきほど創造した剣で道を切り開く。
一振りで数匹が吹き飛んだ。
切り返しでもう一閃。
全体の半分が消え去った。
同時に剣にも限界が訪れる。
ヒビが入り、そこから一気に広がり砕けてしまう。
「二回で限界か……」
一気に数体の魔物を力任せに切り裂いているのだ。
あっという間に耐久値を超えてしまう。
だが、琉海にそんなことは関係なかった。
砕けたのなら、また作ればいい。
瞬時に《創造》で新しい剣を生み出し、残りを斬り伏せる。
残り三匹ほどになったとき、包囲が緩んだことで、馬車の中から人が飛び出した。
銀色の長い髪をポニーテールにした鎧を着た女性だ。
その女性を狙うかのように近くの一匹が襲いかかった。
女騎士はそれを剣で牽制するが、倒すまでには至らない。
琉海はその間に他の二匹を始末し、再び女騎士に飛び掛かろうとしたところを一閃。
魔物は首から上が無くなり、動きを止めた。
「す、すごい……」
女性騎士は、辺り一帯が狼の魔物の死骸に埋め尽くされ、そこに唯一立っている琉海に視線を向けた。
この風景を生み出したのが琉海であることは明らか。
琉海は生き残りがいないか、魔物の死体を眺めつつ、女性騎士にも警戒を怠らなかった。
助けたとはいえ、いきなり襲い掛かってくる可能性もある。
油断して死にましたじゃ、笑い話にもならない。
ただ、女性騎士は剣を下ろし、こちらに何かをしてくるような仕種もないので、とりあえず、いまのところは大丈夫だろうと推測する。
琉海がそんなことを思っていると、
「どうしたの?」
馬車の中から女性の声が聞こえた。
入り口に立つ女騎士に外の状況でも聞いているのだろうか。
「あ、はい。もう、大丈夫です。魔物が襲ってくる心配はありません」
女騎士は馬車の中に視線を向けるも、琉海に一瞥してくる。
「そう。それで、魔物が突然いなくなったなんて何があったの?」
「えっと、それがですね……」
女騎士は何と言ったらいいのかわからないのか、口ごもる。
「何を隠しているの?」
馬車の中の声が女騎士に強めの口調で聞く。
返答がないことに焦れたのか、声の主が馬車の中から姿を見せた。
金髪のウェーブのかかった長い髪を揺らしながら姿を現した。
歳は同じくらいだろうか。
赤を基調としたドレスのような服装は、清潔であり豪奢でもあった。
貴族だとわかる風格。
ドレスのデザインで胸も強調され、大きく見えた。
「ティ、ティニア様!」
焦る女騎士。
ティニアと呼ばれた金髪の少女は、女性騎士のことなど、意にも介さず、辺りを見回し一点に視線を止めた。
琉海のいる場所だ。
琉海と視線が交わり、数秒経つと琉海の足元に転がる魔物たちを見る。
「あれは彼がやったのかしら?」
「はい。おそらくですが……」
女騎士は自信なさげに頷く。
「そう」
ティニアは女性騎士から聞きたいことを聞き終えると、琉海のほうへ歩いてきた。
徐々に目標の馬車が見えて来た。
そして、想定していた状況になりつつあった。
馬と御者が真っ先に狙われたのか、首や体から血を流して倒れていた。
馬車自体はかなり丈夫に作られているようで、噛みついたり引掻かれたりしているが、破壊までは至っていなかった。
だが、それも長くは持たないだろう。
確実に車体に傷が付けられ、所々破片が飛び散っている。
一つの馬車に群がる狼たちは、まるで砂糖に集まる蟻のようだ。
琉海はその中に躊躇なく突っ込んだ。
さきほど創造した剣で道を切り開く。
一振りで数匹が吹き飛んだ。
切り返しでもう一閃。
全体の半分が消え去った。
同時に剣にも限界が訪れる。
ヒビが入り、そこから一気に広がり砕けてしまう。
「二回で限界か……」
一気に数体の魔物を力任せに切り裂いているのだ。
あっという間に耐久値を超えてしまう。
だが、琉海にそんなことは関係なかった。
砕けたのなら、また作ればいい。
瞬時に《創造》で新しい剣を生み出し、残りを斬り伏せる。
残り三匹ほどになったとき、包囲が緩んだことで、馬車の中から人が飛び出した。
銀色の長い髪をポニーテールにした鎧を着た女性だ。
その女性を狙うかのように近くの一匹が襲いかかった。
女騎士はそれを剣で牽制するが、倒すまでには至らない。
琉海はその間に他の二匹を始末し、再び女騎士に飛び掛かろうとしたところを一閃。
魔物は首から上が無くなり、動きを止めた。
「す、すごい……」
女性騎士は、辺り一帯が狼の魔物の死骸に埋め尽くされ、そこに唯一立っている琉海に視線を向けた。
この風景を生み出したのが琉海であることは明らか。
琉海は生き残りがいないか、魔物の死体を眺めつつ、女性騎士にも警戒を怠らなかった。
助けたとはいえ、いきなり襲い掛かってくる可能性もある。
油断して死にましたじゃ、笑い話にもならない。
ただ、女性騎士は剣を下ろし、こちらに何かをしてくるような仕種もないので、とりあえず、いまのところは大丈夫だろうと推測する。
琉海がそんなことを思っていると、
「どうしたの?」
馬車の中から女性の声が聞こえた。
入り口に立つ女騎士に外の状況でも聞いているのだろうか。
「あ、はい。もう、大丈夫です。魔物が襲ってくる心配はありません」
女騎士は馬車の中に視線を向けるも、琉海に一瞥してくる。
「そう。それで、魔物が突然いなくなったなんて何があったの?」
「えっと、それがですね……」
女騎士は何と言ったらいいのかわからないのか、口ごもる。
「何を隠しているの?」
馬車の中の声が女騎士に強めの口調で聞く。
返答がないことに焦れたのか、声の主が馬車の中から姿を見せた。
金髪のウェーブのかかった長い髪を揺らしながら姿を現した。
歳は同じくらいだろうか。
赤を基調としたドレスのような服装は、清潔であり豪奢でもあった。
貴族だとわかる風格。
ドレスのデザインで胸も強調され、大きく見えた。
「ティ、ティニア様!」
焦る女騎士。
ティニアと呼ばれた金髪の少女は、女性騎士のことなど、意にも介さず、辺りを見回し一点に視線を止めた。
琉海のいる場所だ。
琉海と視線が交わり、数秒経つと琉海の足元に転がる魔物たちを見る。
「あれは彼がやったのかしら?」
「はい。おそらくですが……」
女騎士は自信なさげに頷く。
「そう」
ティニアは女性騎士から聞きたいことを聞き終えると、琉海のほうへ歩いてきた。
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