77 / 338
2章 スティルド王国編
第77話 登場
しおりを挟む
いまだに開始されない試合。
観客たちも登場しない琉海に不信感を覚え始めたのかざわめきだす。
『ま、まだ現れないルイ。どうしたのか……』
司会者も盛り下がってくるのを何とかしようとするが、中々難しいようだ。
騎士武闘大会は賭けが行われている興行事業でもある。
盛り上がっているほうが、いいに決まっている。
始まらない試合に嫌気を差した観客たちが声を上げた。
「次の試合に行けよ!」
「もう、次でいいよ!」
「早く進めろよ!」
「賭けた金返せよ!」
「「「「進め! 進め! 進め!」」」」
観客たちから次の試合に進めとコールが飛ぶ。
観客たちの怒号は伝染し、ひとりひとり広がっていく。
会場が怒号の嵐となり、雰囲気も悪くなってくる。
これ以上は待つのは危険であることを察したのか、審判が動いた。
舞台で待つシェイカーは視界の端で審判が動いたのを捉える。
「やれやれ、楽しめるかと思ったけど、文字通り、勝負にならなかったか」
シェイカーは自分の不戦勝を告げにきたであろう審判が、舞台の中央に立つのを待つ。
審判はゆっくり中央まで歩を進める。
そして――
審判の口が開いた。
言葉が紡がれた瞬間、この試合は終了する。
貴族たちはこの試合に注目していた。
なんせ、公爵家が博打を打ったのだ。
博打に失敗して没落すれば公爵家の席が一つ空く。
そうなれば莫大な金や土地が動くことになるだろう。
その土地や金を狙っている貴族は多い。
この試合の後のことを夢想する貴族たちは審判の動きに瞬きをせずに待つ。
今か今かと審判の言葉を待つシェイカーと貴族たち。
審判は小さく息を吸い――
「しょ――」
ドゴン!!
大きな音が舞台の中央から轟いた。
審判が判定を出す前に何かが舞台のど真ん中に落ちてきたようだ。
凄まじい音と粉塵で舞台がどうなったのか誰もわからない。
『な、何が起きた!』
司会者側からでも何が起きたのかわからない。
そして、司会の声は威容に大きく聞こえる。
いつの間にか観客たちの怒号は鳴りを潜めていた。
沈黙が会場を支配している中、少しすると砂煙は風に流されて晴れてくる。
シェイカーにも落ちてきたものが何か視界に捉える。
そして、観客たちも何が落ちてきたのか見えて息を呑む。
まさかの登場。
今までここまで派手な登場をした者はいただろうか。
晴れ切った場所には少年が立っていた。
少年の着地した地面には小さな蜘蛛の巣状のヒビが入っている。
そんな場所になんでもないかのように平然と立つのは、ティニアをお姫様抱っこした琉海だった。
観客たちも登場しない琉海に不信感を覚え始めたのかざわめきだす。
『ま、まだ現れないルイ。どうしたのか……』
司会者も盛り下がってくるのを何とかしようとするが、中々難しいようだ。
騎士武闘大会は賭けが行われている興行事業でもある。
盛り上がっているほうが、いいに決まっている。
始まらない試合に嫌気を差した観客たちが声を上げた。
「次の試合に行けよ!」
「もう、次でいいよ!」
「早く進めろよ!」
「賭けた金返せよ!」
「「「「進め! 進め! 進め!」」」」
観客たちから次の試合に進めとコールが飛ぶ。
観客たちの怒号は伝染し、ひとりひとり広がっていく。
会場が怒号の嵐となり、雰囲気も悪くなってくる。
これ以上は待つのは危険であることを察したのか、審判が動いた。
舞台で待つシェイカーは視界の端で審判が動いたのを捉える。
「やれやれ、楽しめるかと思ったけど、文字通り、勝負にならなかったか」
シェイカーは自分の不戦勝を告げにきたであろう審判が、舞台の中央に立つのを待つ。
審判はゆっくり中央まで歩を進める。
そして――
審判の口が開いた。
言葉が紡がれた瞬間、この試合は終了する。
貴族たちはこの試合に注目していた。
なんせ、公爵家が博打を打ったのだ。
博打に失敗して没落すれば公爵家の席が一つ空く。
そうなれば莫大な金や土地が動くことになるだろう。
その土地や金を狙っている貴族は多い。
この試合の後のことを夢想する貴族たちは審判の動きに瞬きをせずに待つ。
今か今かと審判の言葉を待つシェイカーと貴族たち。
審判は小さく息を吸い――
「しょ――」
ドゴン!!
大きな音が舞台の中央から轟いた。
審判が判定を出す前に何かが舞台のど真ん中に落ちてきたようだ。
凄まじい音と粉塵で舞台がどうなったのか誰もわからない。
『な、何が起きた!』
司会者側からでも何が起きたのかわからない。
そして、司会の声は威容に大きく聞こえる。
いつの間にか観客たちの怒号は鳴りを潜めていた。
沈黙が会場を支配している中、少しすると砂煙は風に流されて晴れてくる。
シェイカーにも落ちてきたものが何か視界に捉える。
そして、観客たちも何が落ちてきたのか見えて息を呑む。
まさかの登場。
今までここまで派手な登場をした者はいただろうか。
晴れ切った場所には少年が立っていた。
少年の着地した地面には小さな蜘蛛の巣状のヒビが入っている。
そんな場所になんでもないかのように平然と立つのは、ティニアをお姫様抱っこした琉海だった。
51
あなたにおすすめの小説
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!!
2巻2月9日電子版解禁です!!
紙は9日に配送開始、12日発売!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
クラスまるごと異世界転移
八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。
ソレは突然訪れた。
『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』
そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。
…そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。
どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。
…大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても…
そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる