修学旅行のはずが突然異世界に!?

中澤 亮

文字の大きさ
124 / 338
2章 スティルド王国編

第124話 検証と報告

しおりを挟む
 スタント公爵の屋敷で宿泊させてもらっている部屋で琉海は実験を行っていた。

 エアリスはソファで横になって昼寝している。

 窓を開けた状態だったせいか、寝ているエアリスの頭にはいつの間にか小鳥が止まっていた。

 穏やかな雰囲気で琉海の口元にも笑みが浮かぶ。

 そして、実験に戻った。

 琉海は自分の掌にマナを纏ったり、飛散させたりしてみる。

 ドラゴンとの戦闘時、剣にマナを纏わせることができてから、マナの操作が飛躍的に向上していた。

 それを自覚した琉海は色々と試してみた。

 カップに満たされている紅茶に掌を近づけてマナを渦状に操作してみる。

 すると、カップ内の液体が渦を巻きはじめた。

「接触していなくても、影響は受けるみたいだな」

 今度はカップを持ってマナを纏わせる。

 カップの全体に流れ、液体までにもマナを纏わせようとする。

 しかし――

 液面が少し揺れるとマナは飛散してしまった。

「液体にマナを通すのは難しいか」

 これらの検証でわかったことは、形を変動しやすいものにはマナが流れ難く、完全に纏わせることができても制御するのがものすごく難しいことだった。

 それに比べて、固定の物体はわりかし簡単だ。

 そんな実験をしていると、扉をノックする音が聞こえてきた。

「はい。どうぞ」

 琉海がノックの音に答えると、扉が開かれた。

「失礼します」

 メイリが恭しくお辞儀をして入室してきた。

「どうされましたか?」

 琉海がメイリに用件を聞く。

「ご依頼されていた人探しの件でご報告があります」

「進展があったんですか?」

「はい。ただ、ルイ様が探している女性ではなく、もう一人の方の情報になります」

「連れ去った男の方ですか」

「はい。そうです」

 メイリはそう言って、琉海の前にある机の上に丸めた紙を置いて開いた。

 そこに描かれているのは、琉海が印象を伝えてメイリが描いてくれた似顔絵だ。

「まず、この人の所属している国はルダマン帝国になります」

「ルダマン帝国ってスティルド王国の隣国の国ですよね」

「そうです。現在も領土を拡大し、急成長し続けている国になります」

「その国にその男が所属しているということは、アンリはそこにいるということですか?」

「すみません。そこまで調査が進んでいません。その理由がスティルド王国とルダマン帝国の関係があまりいい関係ではないせいです。こちらから国境を越えようとすると、厳重な審査が行われ、調査員を潜り込ませることも難しいのが現状です」

 メイリは「申し訳ございません」と深々と頭を下げた。

「いえ、メイリさんが謝ることではないと思うので、大丈夫です。ただ、国境を超えるのに関所を通る必要ってあるんですか?」

 琉海は頭の中に地図を思い浮かべ、スティルド王国とルダマン帝国の国境付近を思い出す。

 国境付近には関所が所々にあるが、未開拓の森もあり、その辺りを通って行けば、見つかることなく、ルダマン帝国に侵入できるように思える。

 ただ、その先の町では、通行証がなくては入れない可能性が高い。

 それでも、何か方法がないかと琉海はメイリに聞いてみる。

「スティルド王国とルダマン帝国の国境にある関所の横には、未開拓の森がありますよね。そこを通って行けば、ルダマン帝国内に入ることができるんじゃないですか?」

「その森は通ることができません」

「通ることができないんですか?」

「はい。あそこを通ることができれば、ルダマン帝国には簡単に入ることができますが、スティルド王国の人間だけでなく、ルダマン帝国の人間や他の人間も立入ることのできない森になっています」

「ルダマン帝国の人間もですか?」

「そうです。あの森には魔女が住んでいると言われています。あの森に入った人間は魔女に殺され、戻ってくることはないと言われています。そのせいで誰も立入らず、切り開こうとしても、誰も入ろうとしないのが現状ですね」
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞 ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。 そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

処理中です...