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2章 スティルド王国編
第129話 紹介
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静華とトウカをエルフのクリューカに任せることになり、琉海はルダマン帝国領に向かうための準備を始めた。
まあ、準備と言っても荷物はほとんどないため、すぐに終わるだろう。
最低限の荷物を整理していると、ドアをノックする音が聞こえてきた。
「はい」
琉海が返事を返すと、扉が開かれた。
入ってきたのは、ティニアだった。
「入ってもいい?」
「ええ、どうぞ」
琉海がそう答えるとティニアは入室して扉を閉めた。
ティニアの視線は、琉海が整理している鞄に向けられる。
「メイリから聞いたわ。探している人を攫った男がルダマン帝国にいるかもしれないって」
「そうみたいだ」
「ルイくんはルダマン帝国に行くの?」
「色々とお世話になった人から任されたことだから、必ず助けに行かないと」
ヤンばあに任されたんだ。
手掛かりがあるかもしれないのに行かないなどという選択肢はない。
「戻ってくるの?」
ティニアの声に緊張が帯びる。
「アンリを見つけたら一緒に戻ってくるつもりだよ」
「そう」
ほっとして顔が弛緩するティニア。
「だったら、帰ってくるのを待ってるわ」
ティニアは笑顔で送り出してくれた。
***
王都を出る前にクリューカとトウカの顔合わせをするため、静華にクリューカを連れてきてもらう。
スタント公爵家に馬車を借りて、シュライト侯爵家の屋敷に向かった。
シュライト侯爵家の屋敷はスタント公爵家の屋敷より一回り小さい。
屋敷に到着し、扉を叩くと、侍女が出迎えてくれた。
出迎えた侍女は今日の午前中にトウカと一緒にやってきた女性――ミレルナだ。
「あら? ルイ様ではないですか。さっき会ったばっかりでこちらに来たと言うことは、トウカ様と婚約することを決められたのですか?」
「いえ、その話で来たわけではないんですよ」
ぐいぐい来るミレルナに琉海は苦笑いで答える。
「そうでしたか。それで、どんなご用件で?」
残念そうに言うミレルナ。
「トウカさんに会わせたい人がいまして」
「トウカ様にですか?」
「はい。よろしいでしょうか?」
「トウカ様が良ければ、問題ないかと。聞いてきますので、少々お待ちください」
「よろしくお願いします」
しばらく待つと、ミレルナが戻ってきた。
「トウカ様がお会いになるそうです。ご案内します」
ミレルナに案内された部屋にはすでにトウカが待っていた。
「ルイ様、先ほどはありがとうございました」
「いえ、こちらこそ、お会いになってくださりありがとうございます」
「それで、私にお会いさせたい人がいるとお聞きしましたが」
トウカはそう言って琉海の後ろに立つ、クリューカに視線を向けた。
「ええ、トウカさんに会わせたかったのは彼女です」
琉海は横にずれ、クリューカを一歩前に歩ませる。
「彼女はどちら様ですか?」
「はじめまして。クリューカだ。君が異世界から来た娘《こ》ね」
クリューカの台詞に琉海は肩をびくッとさせる。
トウカは別の世界で生まれ育った記憶がない。
十中八九、トウカは琉海の知っている刀香であるが、トウカに真実を伝えていない。
ここで察してしまうと話しが別の方向に進んでしまうと思ったが――
「…………?」
トウカは首を傾げ、クリューカの言った意味を理解できていなかったようだ。
琉海は内心ほっとする。
「ふーん、なるほどね」
クリューカはトウカを頭から足先まで見て、納得したように頷いた。
「シズカと同じように魔力は高い。私が魔法を教える相手としては十分な素質があるようだ」
クリューカはうんうんと頷いていた。
まあ、準備と言っても荷物はほとんどないため、すぐに終わるだろう。
最低限の荷物を整理していると、ドアをノックする音が聞こえてきた。
「はい」
琉海が返事を返すと、扉が開かれた。
入ってきたのは、ティニアだった。
「入ってもいい?」
「ええ、どうぞ」
琉海がそう答えるとティニアは入室して扉を閉めた。
ティニアの視線は、琉海が整理している鞄に向けられる。
「メイリから聞いたわ。探している人を攫った男がルダマン帝国にいるかもしれないって」
「そうみたいだ」
「ルイくんはルダマン帝国に行くの?」
「色々とお世話になった人から任されたことだから、必ず助けに行かないと」
ヤンばあに任されたんだ。
手掛かりがあるかもしれないのに行かないなどという選択肢はない。
「戻ってくるの?」
ティニアの声に緊張が帯びる。
「アンリを見つけたら一緒に戻ってくるつもりだよ」
「そう」
ほっとして顔が弛緩するティニア。
「だったら、帰ってくるのを待ってるわ」
ティニアは笑顔で送り出してくれた。
***
王都を出る前にクリューカとトウカの顔合わせをするため、静華にクリューカを連れてきてもらう。
スタント公爵家に馬車を借りて、シュライト侯爵家の屋敷に向かった。
シュライト侯爵家の屋敷はスタント公爵家の屋敷より一回り小さい。
屋敷に到着し、扉を叩くと、侍女が出迎えてくれた。
出迎えた侍女は今日の午前中にトウカと一緒にやってきた女性――ミレルナだ。
「あら? ルイ様ではないですか。さっき会ったばっかりでこちらに来たと言うことは、トウカ様と婚約することを決められたのですか?」
「いえ、その話で来たわけではないんですよ」
ぐいぐい来るミレルナに琉海は苦笑いで答える。
「そうでしたか。それで、どんなご用件で?」
残念そうに言うミレルナ。
「トウカさんに会わせたい人がいまして」
「トウカ様にですか?」
「はい。よろしいでしょうか?」
「トウカ様が良ければ、問題ないかと。聞いてきますので、少々お待ちください」
「よろしくお願いします」
しばらく待つと、ミレルナが戻ってきた。
「トウカ様がお会いになるそうです。ご案内します」
ミレルナに案内された部屋にはすでにトウカが待っていた。
「ルイ様、先ほどはありがとうございました」
「いえ、こちらこそ、お会いになってくださりありがとうございます」
「それで、私にお会いさせたい人がいるとお聞きしましたが」
トウカはそう言って琉海の後ろに立つ、クリューカに視線を向けた。
「ええ、トウカさんに会わせたかったのは彼女です」
琉海は横にずれ、クリューカを一歩前に歩ませる。
「彼女はどちら様ですか?」
「はじめまして。クリューカだ。君が異世界から来た娘《こ》ね」
クリューカの台詞に琉海は肩をびくッとさせる。
トウカは別の世界で生まれ育った記憶がない。
十中八九、トウカは琉海の知っている刀香であるが、トウカに真実を伝えていない。
ここで察してしまうと話しが別の方向に進んでしまうと思ったが――
「…………?」
トウカは首を傾げ、クリューカの言った意味を理解できていなかったようだ。
琉海は内心ほっとする。
「ふーん、なるほどね」
クリューカはトウカを頭から足先まで見て、納得したように頷いた。
「シズカと同じように魔力は高い。私が魔法を教える相手としては十分な素質があるようだ」
クリューカはうんうんと頷いていた。
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