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3章 ルダマン帝国編
第195話 築かれた信用
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朝になれば、町の門も開かれ商人や依頼を受けた冒険者が列を作り出す。
中には門前で野宿をして待っていた者もいる。
彼らは守衛の入場審査を待っていた。
琉海たちはその列を遠くから眺めている。
「行かないのか?」
琉海の問いにレオンスは日を見る。
「まだ、時間じゃない。この町の守衛は正午に当番が交代する。今の担当は俺たちの仲間じゃない。仲間が担当になったときに入る」
そこから数時間その場で待機し、守衛が交代するのを待った。
予定の時間になると守衛の交代する姿が見えた。
「よし。行こう」
レオンスの合図で琉海たちは列に並んだ。
列に並んでからも多少の時間はかかるが、無事に琉海たちの番が回ってくる。
「身分証を見せろ」
琉海たちは事前にレオンスから渡されている偽造した冒険者証明証を見せる。
木板に掘られた文字とXの紋章。
冒険者のランクによって材質が変わるようだ。
この板はEランクの冒険者に与えられるものだ。
精巧に作られているようだが、所詮は模造。
見る者が見れば、細部に違和感があるとわかってしまう。
ちなみに、冒険者に装っているのは琉海、エアリス、リーリア、レオンスでスミリアと子供2人は依頼者と言うことにしている。
また、冒険者のように見えるようにレオンスは着替えを済ませてもいた。
みすぼらしい恰好はルダマン帝国では滅ぼされた国の出身として扱われる。
そうみなすようにルダマン帝国はルールを作った。
そして、そういう待遇の人間がまともな服を入手することはかなり難しい。
それもルダマン帝国が作った仕組みのせいだった。
ルダマン帝国では滅ぼした国の民は奴隷にはしない。
奴隷にしてしまうと、奴隷保護の制度――奴隷は労働力だから最低限の人権を認めるというルールが適応してしまう。
蔑視の傾向が強いルダマン帝国の貴族はそれを良しとはしなかった。
だから、人間ではない扱いとするためにルダマン帝国民以外への資産の譲渡を強く取り締まるようにした。
その結果、一度すべての財産を没収された者たちが浮き上がってくることは難しい国となった。
そんな状況でも乗り越えられる見込みのある優秀な人間は事前に奴隷にしているから、なお難しかった。
レオンスはそんな状況で馬鹿なフリをして奴隷を免れ、反乱軍を創設した。
イラス王国がルダマン帝国に占領されてから、着々と広げていった人脈。
それを駆使して今回の作戦を実行しているとのことだった。
仲間である守衛に偽造の証明書を見せる。
「よし。通っていいぞ」
冒険者証明証を適当に確認して守衛が許可を出す。
レオンスに仲間であると教えてもらっているとはいえ、寝返っている可能性もあったから、内心でホッとする。
琉海達が町に入ろうとした時――
「ちょっと待て!」
仲間の守衛とは別のもう一人の守衛が琉海たちを止めた。
彼はこちら側に引き込んでいない。
偽造の証明証であることがバレたのかと琉海たちの間に緊張が走る。
「そいつらから通行料はもらったのか?」
彼が指差したのはスミリアと子供たち。
冒険者を証明した琉海たちには通行料が免除されるが、依頼者となるスミリアたちは通行料が発生する。
「ああ、そうだったな。通行料は一人銀貨5枚だ。3人だから15枚だ」
仲間の守衛がレオンスに視線を向ける。
予定にはなかったのだろうか。
それでも金を払えばいいだけなのだが、レオンスは動こうとしない。
銀貨15枚。
スミリアたちも払う素振りがないところを見ると、それだけの手持ちがないのかもしれない。
この場でジッとしていれば怪しまれる。
「おい、どうした。銀貨15枚だ」
指摘してきた守衛が疑わしい視線を向けてくる。
琉海は懐から銀貨を15枚取り出し、守衛に渡した。
「これでいいか?」
「あ、ああ、問題ない銀貨15枚だ」
仲間の守衛が銀貨15枚を受け取り、問題ないことを確認できたようだ。
琉海たちは晴れて町へ入ることができた。
「助かった」
レオンスが琉海の隣に近づいてそう言った。
「計画と違ったのか?」
「ああ、金は渡さずに通してもらう予定だったからな」
仲間にした守衛の相方が生真面目な奴だったのが想定外だったようだ。
「そうか」
「金は後で返す。この町には金銭調達の部隊がいるから、そいつらに頼んで返そう」
「いや、金はいい。それよりも、これからの作戦とエルフ達が収容されている場所を教えてくれないか」
「収容場所か。それなら問題ない。あんたには今さっきと脱出のときと世話になってるからな。この町での作戦会議に参加してもらうつもりだった。その時に収容場所の場所も説明する予定だ」
レオンスは琉海を評価し、作戦会議に参加させるだけの信用しているようだ。
これで琉海はアンリの居場所へ一歩近づいたのかもしれない。
中には門前で野宿をして待っていた者もいる。
彼らは守衛の入場審査を待っていた。
琉海たちはその列を遠くから眺めている。
「行かないのか?」
琉海の問いにレオンスは日を見る。
「まだ、時間じゃない。この町の守衛は正午に当番が交代する。今の担当は俺たちの仲間じゃない。仲間が担当になったときに入る」
そこから数時間その場で待機し、守衛が交代するのを待った。
予定の時間になると守衛の交代する姿が見えた。
「よし。行こう」
レオンスの合図で琉海たちは列に並んだ。
列に並んでからも多少の時間はかかるが、無事に琉海たちの番が回ってくる。
「身分証を見せろ」
琉海たちは事前にレオンスから渡されている偽造した冒険者証明証を見せる。
木板に掘られた文字とXの紋章。
冒険者のランクによって材質が変わるようだ。
この板はEランクの冒険者に与えられるものだ。
精巧に作られているようだが、所詮は模造。
見る者が見れば、細部に違和感があるとわかってしまう。
ちなみに、冒険者に装っているのは琉海、エアリス、リーリア、レオンスでスミリアと子供2人は依頼者と言うことにしている。
また、冒険者のように見えるようにレオンスは着替えを済ませてもいた。
みすぼらしい恰好はルダマン帝国では滅ぼされた国の出身として扱われる。
そうみなすようにルダマン帝国はルールを作った。
そして、そういう待遇の人間がまともな服を入手することはかなり難しい。
それもルダマン帝国が作った仕組みのせいだった。
ルダマン帝国では滅ぼした国の民は奴隷にはしない。
奴隷にしてしまうと、奴隷保護の制度――奴隷は労働力だから最低限の人権を認めるというルールが適応してしまう。
蔑視の傾向が強いルダマン帝国の貴族はそれを良しとはしなかった。
だから、人間ではない扱いとするためにルダマン帝国民以外への資産の譲渡を強く取り締まるようにした。
その結果、一度すべての財産を没収された者たちが浮き上がってくることは難しい国となった。
そんな状況でも乗り越えられる見込みのある優秀な人間は事前に奴隷にしているから、なお難しかった。
レオンスはそんな状況で馬鹿なフリをして奴隷を免れ、反乱軍を創設した。
イラス王国がルダマン帝国に占領されてから、着々と広げていった人脈。
それを駆使して今回の作戦を実行しているとのことだった。
仲間である守衛に偽造の証明書を見せる。
「よし。通っていいぞ」
冒険者証明証を適当に確認して守衛が許可を出す。
レオンスに仲間であると教えてもらっているとはいえ、寝返っている可能性もあったから、内心でホッとする。
琉海達が町に入ろうとした時――
「ちょっと待て!」
仲間の守衛とは別のもう一人の守衛が琉海たちを止めた。
彼はこちら側に引き込んでいない。
偽造の証明証であることがバレたのかと琉海たちの間に緊張が走る。
「そいつらから通行料はもらったのか?」
彼が指差したのはスミリアと子供たち。
冒険者を証明した琉海たちには通行料が免除されるが、依頼者となるスミリアたちは通行料が発生する。
「ああ、そうだったな。通行料は一人銀貨5枚だ。3人だから15枚だ」
仲間の守衛がレオンスに視線を向ける。
予定にはなかったのだろうか。
それでも金を払えばいいだけなのだが、レオンスは動こうとしない。
銀貨15枚。
スミリアたちも払う素振りがないところを見ると、それだけの手持ちがないのかもしれない。
この場でジッとしていれば怪しまれる。
「おい、どうした。銀貨15枚だ」
指摘してきた守衛が疑わしい視線を向けてくる。
琉海は懐から銀貨を15枚取り出し、守衛に渡した。
「これでいいか?」
「あ、ああ、問題ない銀貨15枚だ」
仲間の守衛が銀貨15枚を受け取り、問題ないことを確認できたようだ。
琉海たちは晴れて町へ入ることができた。
「助かった」
レオンスが琉海の隣に近づいてそう言った。
「計画と違ったのか?」
「ああ、金は渡さずに通してもらう予定だったからな」
仲間にした守衛の相方が生真面目な奴だったのが想定外だったようだ。
「そうか」
「金は後で返す。この町には金銭調達の部隊がいるから、そいつらに頼んで返そう」
「いや、金はいい。それよりも、これからの作戦とエルフ達が収容されている場所を教えてくれないか」
「収容場所か。それなら問題ない。あんたには今さっきと脱出のときと世話になってるからな。この町での作戦会議に参加してもらうつもりだった。その時に収容場所の場所も説明する予定だ」
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