修学旅行のはずが突然異世界に!?

中澤 亮

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3章 ルダマン帝国編

第250話 仇の殲滅

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『良かったの? 殺しちゃって』

「ああ、構わない。情報は十分だ」

『どういうこと?』

「俺がアンリの居場所を聞いたときに一瞬、視線があっちに泳いだ」

 琉海はそう言って視線を向ける。

 視線の先には収容所があった。

「アンリはあそこにいる。それだけわかれば十分だ」

『そういうことね』

 見えないが、琉海の中にいるエアリスが納得したように頷いているのがわかる。

 そして――

「それを邪魔する奴らには容赦する気はない」

 琉海は別の方向に視線を向けた。

 そこにはディルクスを殺されて狼狽している奴らがいた。

 おそらく、ディルクスの部下だろう。

 琉海は風の精霊術で風の刃を作り出した。

「特に村を襲ったお前らには情状酌量の余地もない」

 標的になっていること感じたのか土の壁に体を隠すディルクスの部下たち。

「欲しい情報は貰ったからな。もう手加減する必要もない」

 琉海は風の刃を放つ。

 見る者が見れば琉海が放った風の刃がさっきまでとは明らかに違うとわかっただろう。

 しかし、土壁に逃げた者たちにそれを知る術はなかった。

 豆腐を切るかのように土壁を真っ二つにし、隠れている人間まで胴体を両断した。

 さっきまで被弾を回避していた土壁が意味をなくすと、阿鼻叫喚となる。

 今まで防げたはずの攻撃が貫通してくる情景は、相手にとって絶望的だろう。

「全員! 撤退!」

 ディルクスを失って対抗できないと判断したのだろう。

 撤退の命令が聞こえてくる。

 だが――

 琉海に逃がす気はなかった。

「徹底的にやってやる」

 村を壊滅させた連中だ。

 琉海の記憶には、はっきりとそのときの情景が浮かぶ。

「やられる側の気持ちを教えてやる」

 琉海はさらに自然力と魔力を混ぜてマナを生成し、風の刃で蹂躙する。

 収容所の外壁の外へ出ようと考える者もいるが、扉は重く数人ですぐに開くようにはできていない。

 外壁の扉を開く前に琉海に追い詰められて、最後を迎える。

 そのほかにも隠れようとする者もいたが、自然力を使ったソナーで簡単に特定できる。

 結局、ディルクスの部下たちは逃げ道を失い、あっという間に胴体を両断されてしまった。

「これで全部か」

 琉海の周りには多くの死体が転がっていた。

「仇は取ったよ。ヤンばあ」

 琉海がそう呟くと――

「こっちも終わったわよ」

 外壁の上から声が聞こえてきた。

 琉海はそちらに視線を向ける。

 外壁の上で待機してもらっていたリーリアとスミリアだ。

 外壁の上で外を警戒している奴らを掃除してくれたようだ。

「こっちも終わったから降りてきていいぞ」

「わかったわ。私たちも降りるから、待ってて」

 リーリアがそう言い終わると、事前に用意していたロープを取り出し、外壁上のどこかに結んだのだろう。

 そのロープを辿って降りてくる。

 精霊術の身体強化で降りられる高さだが、マナの消費を嫌ったのかもしれない。

 エアリスが言っていたが、琉海の魔力量は他の者よりもだいぶ多いようだ。

 琉海の物差しで測られたらリーリアもスミリアも堪ったものじゃないだろう。

 琉海がそんなことを思っていると、リーリアとスミリアが琉海の元に辿りついた。
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