修学旅行のはずが突然異世界に!?

中澤 亮

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3章 ルダマン帝国編

第332話 食料調達

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 食料も保存食があったため、野宿でも支障はなかった。

だが、食料も無限にあるわけではない。

この状況を続けられるかも時間の問題だった。

「エルフの里まではあとどれくらいかかりそう?」

 食料と距離を計算するためにエリザがクリューカに聞く。

「この調子なら6日はかかりそうだな」

「6日……ね。……それだと食料が途中で底を尽きそうね」

 エリザたちが通ってきた道で獣にでも遭遇すれば、解体して食料にでもできたのだが、残念ながら動物と遭遇する機会はなかった。

「なら、獣人族の町で調達するしかないな。3日も進めばちょうどいい町がある。そこで調達するしかない」

 クリューカの提案にエリザは少し悩むが、そうするしか手立てがないとわかっているのか頷いた。

「それしか方法がなさそうね」

 獣人族の町に辿り着くまでに獣を見つけられれば問題は解決するんだけど、と淡い期待もあったのだろうが、そんなことは起こらず、3日間が過ぎ去った。

 獣人族の町が遠くに見える場所で一度、馬車を止める。

「あれが虎人族によって統治されているカルトラルという町だ」

「あそこで食料を調達するのね」

「食料を調達するにしてもお金はどうするんですか?」

「お金ならあるわ」

 エリザはそう言って巾着袋を見せる。

「残念だが、デトラル連合国ではスティルド王国の金貨はなんの意味もなさない」

「!?」

 金が通用しないとなるとどうするんだという表情を全員がしていた。

 その疑問を解消するようにクリューカが話しを続ける。

「だから、魔物の素材と交換してもらうんだ。デトラル連合国は物々交換が基本だからな」

 クリューカはそう言って大きな麻袋を指差す。

 麻袋の中身はデトラル連合国とスティルド王国の国境となっている山岳部を通ったときに襲ってきた魔物たちの部位だ。

 エルフの里で使うために集めていたのかと思っていたが、このためだったようだ。

「それで全員で行くんですか?」

 トウカが聞くとクリューカが口を開いた。

「さすがに大人数だと目立つ。荷物持ちも含めて私をいれて3、4人が妥当だろう」

「なら、他はここで待機かしらね。馬車は使う?」

 そう言ってエリザは2台の馬車に視線を向けた。

「いや、エルフが荷馬車ならともかく、こんな馬車を使ってるところを見られれば、怪しまれるだろうから避けたい」

 静華たちが乗っていた馬車は人が乗るような馬車であり、荷馬車というには座席等の機能があまりにも優れていた。

 目立たないように家門や装飾が少ない馬車ではあるが、運搬で使うような馬車ではないことは一目瞭然だった。

「仕方がないわね。じゃあ、護衛兼荷物持ちとしてアンジュを連れて行って。ここはアルディとメイリがいれば十分でしょ?」

「はい。周囲への警戒であれば私がやりますし、メイリが王女殿下とティニア様のお側を対応できるかと」

 アンジュの提案にアルディが即答する。

「なら、残り2人はトウカとシズカを連れて行く」

 クリューカの突然の指名に静華は内心で驚く。

「二人なら身体強化も長時間使えるし、何か起きても安心して任せられるからな」

 修行を通してクリューカの信頼を静華とトウカは勝ち取っていたようだ。



 クリューカ、アンジュ、静華、トウカの4人はカルトラルに向かった。

 遠くに見えていた外壁を近くで見えるようになると壮観だった

「近くまでくるとなんかすごいわね」

 スティルド王国の防壁は整地された石を積み上げて作られているのに対して、この町の防壁は大きな岩をそのまま積み上げ、隙間を小さい石等で埋められている。

 粗雑に見えて、その重厚感に圧倒されそうになる。

「まだ少し距離があるが、あまり表情に出さないほうがいい。獣人族の町はだいたいがこんな感じだ」

 クリューカからの忠告で静華たちは表情を引き締める。

 変なリアクションをして疑われては、食料調達どころではなくなってしまう。

「気を付けるわ」

 静華たちは食料調達のため、カルトラルの門へ向かった。

 変化(へんげ)の魔道具によってエルフの姿に変わっている3人とクリューカは、門の前にいる守衛に止められることなく入ることができた。

 一瞬、視線が合ったときに止められるんじゃないかとドキドキしたが、そんなことはなかった。

「じゃあ、食料に交換しにいこう」

 クリューカは迷うことなく歩みを進める。
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