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昔の話
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「これで終わりだ。魔王」
暗い空から霙が降り続く荒野で、空を連想させる髪をした青年が、目の前に膝をつく大男の喉仏に剣先を突きつける。青年が持つ剣はこの場には不釣り合いなほど、透き通った青色をしていた。
「終わり・・・か。それで?お前は儂を殺し、王になるのか?」
男は低く嗤う。
青年はそれでもなお、剣を男に向け続けた。いつの間にか降っていた霙も気がつけば、雪に変わっていた。
「俺は王にはならない。だが、お前が統べる国は誰も幸せになれない!お前は未来を潰す!」
剣を握る手に力が入る。
「だから殺す」
青年は剣を振りかざした。そして力の限り、振り下ろそうとした瞬間、男からは死を目前にした者とは思えぬ程の笑い声が戦地の荒野に響いた。
「はははははは!お前が?!儂を?!孤児院育ちの小僧が?!笑わせるな!」
男は青年が剣を持つ手を蹴りあげると、青年と距離をとる。
青年は蹴りあげられた衝撃で、剣を落としてしまった。青年は男から目を逸らさず、痺れた腕を押さえた。
「お前は先程、儂がいるとこの国は幸せにならんと言ったな?ならば、お前の言う幸せとはなんだ?あの者たちと共に居ることか?」
ゴオォォォ・・・
雪は風を伴い、二人を襲う。
「・・・違うな。あの蒼い・・・」
「・・・・っ貴様には関係ない」
青年は周囲に冷気を集め、両手に意識を集中し静かにその時を待つ。
「はっ!図星か?果たしてこの戦いが終ったとき、無事に幸せになれるか見物だな小僧?」
男も同じように集中する。
青年たちはそれ以上言葉を交わさなかった。そしてお互いに相手が動くのを待っている。暫くの静寂の後、どちらのものかわからない仲間たちの名前を呼ぶ声が聞こえた。
次の瞬間、男が動いた。と、同時に青年も動く。
青年から発せられた氷と男から発せられた氷がぶつかり合い、割れる音が響き、二人がいた荒野は一面鋭く尖った氷山と白い霧に覆われた。白い霧と僅かに舞った土埃で一時二人の姿は見えなくなる。
徐々に白い霧は晴れていった。
そこには、あの青い剣に体を貫かれた男の姿があった。
男はニヤリと笑い、青年に何かを告げた後そのまま動かなくなった。何を告げたのかは崩れ行く氷の山で聞くことはできなかった。
青年は踵を返し、あの青い剣を拾い上げると足早に去った。
「まだ終わらない。人間も魔族もまだいるじゃないか。全てに絶望を」
暗い空から霙が降り続く荒野で、空を連想させる髪をした青年が、目の前に膝をつく大男の喉仏に剣先を突きつける。青年が持つ剣はこの場には不釣り合いなほど、透き通った青色をしていた。
「終わり・・・か。それで?お前は儂を殺し、王になるのか?」
男は低く嗤う。
青年はそれでもなお、剣を男に向け続けた。いつの間にか降っていた霙も気がつけば、雪に変わっていた。
「俺は王にはならない。だが、お前が統べる国は誰も幸せになれない!お前は未来を潰す!」
剣を握る手に力が入る。
「だから殺す」
青年は剣を振りかざした。そして力の限り、振り下ろそうとした瞬間、男からは死を目前にした者とは思えぬ程の笑い声が戦地の荒野に響いた。
「はははははは!お前が?!儂を?!孤児院育ちの小僧が?!笑わせるな!」
男は青年が剣を持つ手を蹴りあげると、青年と距離をとる。
青年は蹴りあげられた衝撃で、剣を落としてしまった。青年は男から目を逸らさず、痺れた腕を押さえた。
「お前は先程、儂がいるとこの国は幸せにならんと言ったな?ならば、お前の言う幸せとはなんだ?あの者たちと共に居ることか?」
ゴオォォォ・・・
雪は風を伴い、二人を襲う。
「・・・違うな。あの蒼い・・・」
「・・・・っ貴様には関係ない」
青年は周囲に冷気を集め、両手に意識を集中し静かにその時を待つ。
「はっ!図星か?果たしてこの戦いが終ったとき、無事に幸せになれるか見物だな小僧?」
男も同じように集中する。
青年たちはそれ以上言葉を交わさなかった。そしてお互いに相手が動くのを待っている。暫くの静寂の後、どちらのものかわからない仲間たちの名前を呼ぶ声が聞こえた。
次の瞬間、男が動いた。と、同時に青年も動く。
青年から発せられた氷と男から発せられた氷がぶつかり合い、割れる音が響き、二人がいた荒野は一面鋭く尖った氷山と白い霧に覆われた。白い霧と僅かに舞った土埃で一時二人の姿は見えなくなる。
徐々に白い霧は晴れていった。
そこには、あの青い剣に体を貫かれた男の姿があった。
男はニヤリと笑い、青年に何かを告げた後そのまま動かなくなった。何を告げたのかは崩れ行く氷の山で聞くことはできなかった。
青年は踵を返し、あの青い剣を拾い上げると足早に去った。
「まだ終わらない。人間も魔族もまだいるじゃないか。全てに絶望を」
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