王様のナミダ

白雨あめ

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王様の涙2

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俺は、



「会長がすきっ」

「好きなんだ! 愛してるんだっ。だから俺と付き合って!」


そう。好きなんだ。
すき、すき......。



「え!?」


え、えっ!? なに今の!!

どこからともなく変な声がっ。俺の声が、どこかから勝手に!



「ぇ、......さくら、ば? いまの、」


狼狽える俺に向けられた、震えた声に我に返る。

目を大きく見開いて、こちらを見てくる会長に大急ぎで首を横に振る。


「え、ぁ。違う、違うっ! 今の俺じゃなくて」

「ちがう、のか。」

「ぇ、あ、いや。違うくはない。違うことはないけど......。」


えっと......。
言いながら、きょろきょろと辺りを見回す。

誰だ。

俺の言葉を遮って、会長に愛の告白をしたやつは。
俺の声に似すぎてて、一瞬分からなかった。ほんとに自分が言ったかと、




「おい。桜庭っ!」

「ぇ、あっ!」


突如、身体が引っ張られる感覚。足は意味もなく砂の上を蹴って。

ちょ、くるしい。


「かい、ちょ」


視界の端に、不自然に上がった紺色のネクタイが見える。

至近距離で合う視線。

会長の表情は、戸惑いと驚きで縁取られている。


「......会長? どうし」

「さっき言ったことは本当なのか?」

「え?」

「さっきの言葉は本当なのかって聞いてんだっ!」


会長の瞳に映る、俺が歪む。

なんでか分からない。どうしてか分からないけど。
会長の頬が、また濡れそうで。






「本当だよ。会長が好き。」






そう言った途端、ネクタイから離れていく会長の手。

それを反射的に捕まえて、ゆっくりと指を絡める。


どくどくと煩い心臓を押さえつけて、おそるおそる会長を伺う。


絡まる視線。

上気した頬。

固く結ばれた唇。


その一つ一つに見たことのない会長を見つける。


頬に残る涙のあとさえ、愛しくて。
ぎゅう、とたまらない気持ちになった。


指を、ほどく。

手を、離す。


本当はもっと。
ずっとこうしていたいけど。


胸がいたい。
締め付けられるみたいに。


「会長、ごめんね。急に手なんか握って。嫌、だったよね。......ごめん。」


あぁ、苦しい。

思わず下を向く。

会長の涙はもう止まっている。


「俺、勝手にごめん。会長に」


ーー好きな人がいるって知ってたのに。

そう言葉を続けようとして、舌が思うように動いてくれない。


なんだか目が熱くなってきて、頬も熱を持ちはじめて。
奥歯のへんがきゅう、と痛くなる。
鼻もつん、としてきて。

あぁ、もう嫌だ。

顔を手のひらで覆って隠す。


「ぁ。」


頬に触れた感触が予想外で声がでる。湿布を貼ってるのを忘れていた。


あー、もう。こんなのカッコ悪い。


と。




手に、何かが触れる感触。

反射的に、顔を上へ持ち上げていた。


「会長......。」


こちらを痛いくらいに見つめてくる鋭い目とかち合う。

表情は、......やはり嫌だったのか。怒ったように歪んでいる。


「かいちょ、」


「俺は。」


耳は、なぜか真っ赤で。

握られた手の力が強くなる。



「俺は。......俺も、お前が好きだ。」






............え。



「かっ、かいちょうっ。」


今なんて!

驚いて、手を握って、身体が震える。


「かい、ちょう。」


辛うじて声を出しながら、目の前の会長を伺う。

まだなにも理解できてない。そんな頭で、


「会長......?」


すると、どうしてか。会長の方も目を真ん丸くしてこちらを見ている。


まさか。さっきの言葉も、誰かの悪戯か!
一部の望みをかけて会長を見つめる。


「会長。さっきの、」

「あ、あぁっ。違う! さっきのは違って、」


あぁ、やっぱり......。

あー、もう!
ほんとに、一体誰なんだ。こんなたちの悪い嫌がらせ。

どこかにいるのは明白なのに。

一瞬でも一秒でも期待してしまった俺が恥ずかしい。



「そう、だよね。ごめん。」

「え、あっ。いやっ、謝ってんじゃねぇ。違うって、わけじゃなくて。俺がお前を......、その好きなのは本当で。」


「え............?」



いま、なんと。




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