この恋は現実では厳しいので。

空野らん

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美しい少年。

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最悪だ…せっかく入った夢の会社だったのに、現実本当に甘くないな。
心ここに在らずな状態で事務作業をこなした。会社を後にし、家に向かっている最中に桜が綺麗な公園を発見して私の心は潤ったとか勝手に思い込んでいた。


ドンッと私の後ろから、人が当って来たらしい。


「あの、そんな所に立ってると邪魔になりますよ?」


ぶつかったのは声の主の筈なのに堂々としてやがるっと腹を立てた。


「どいてくれませんか?」


2度目の声掛けに完全にブチ切れそうだった。この声は少年だ。声変わりが始まったばかりの生意気な中坊だっと声フェチが発動した。


「ぶつかったのはそっちなんだから、先に謝りなさいよ!」

怒りに任せて後ろを振り返ると、有名な男子校の制服を纏った柔らかそうな栗毛が光り、琥珀色の瞳が輝く、まるで春の訪れを感じさせるような見た目とは正反対にジットリと私を見つめた少年がいた。


「それはすみません。でも公園の入口に立てるから当たったんですよ」


本を読んでいたのだろう。左手に持っている本が私の目に入ると少年はため息をついた。


「確かに俺も本を読みながら歩いていたので、お互い様という事で」


じゃっと言う感じで私を避けて公園に入っていくと、話を終えた様にベンチに座った。
おい待て少年ふざけるなよ。お姉さんがちゃんと君を教育し直してやるっと思い立って少年の隣に座った。
少年は気付かないふりをして、左手に持っていた本を読み進める。
だが流石に耐えられなかったらしい。


「なんですか?そんなに見られると気が散るんですけど…」


やっと少年の口が開くと私は自分でも思いもしたが言うつもりがなかった事を口走ってしまう。


「美しいね少年」


それを聞いた少年は真顔だった。
だがそれを言った私も真顔だった。


言うつもりはなかったのだ。少年なのに憂いに満ちた横顔、ピンッと筋の通った鼻、男子にしては睫毛が多くて、綺麗な瞳で、髪の毛サラサラなんだよ。美しいって念仏唱えるように心で思っていたら言ってしまったじゃないか。
やばい人って思われて警察呼ばれそうな勢いだよっと後悔した時だった。



「そんなに見た目って大事ですか?」

美少年の言葉に、私は戸惑った。

「大事だろうけど性格が最終的に1番じゃないかな? あ、少年は性格最悪だけど」


美少年は私の言葉を聞いている中で何か考えている様子だ。


「見た目も良くて性格も良かったら好きになってくれたんですかね?」

待てよ、この美少年…もしやと思って口が先走った。


「もしかして、好きな子にふられたの?」

「正確にはふられてないです」


私がニヤニヤすると嫌そうな顔で美少年は違うと言ってくる。強がってそう言ってるんだろうなぁ…今思うと可愛く思えてきた。


「好きな人が好きな人と両想いなんです」

つまりはそれを知ってしまったから、入る余地がないと?っと思うと何だか可哀想に思える。
性格は別として、少年は綺麗だから、あと話してみるとちゃんとしてる事は分かった。

「その2人は付き合ってるの?」

「まだ、というか付き合えないと思います」

「どうして?」

「好きな人に彼女がいるので」

「最近の中坊はよぉ……って事はだよ?!」

「っ…なんですか?」



私は思わず美少年の肩を掴んだ。


「入る余地あるじゃない! 俺の方がいい男だって惚れさせなさいよ!!!」

顔も良いんだし、ガンガン行けば大丈夫よっ!っと我ながら名案だと絶賛した。

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