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第7話 少女達の人格
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「あーあ、お兄ちゃんの役に立てなくて残念だったなあ。ねえ、お兄ちゃん。私のこと、怒ってないよね?」
馬車を走らせ始めた後で、ナナというピンク色の髪の少女が言いました。
「怒ってないさ。お前の能力はマニと戦うのに向いていない。それ以外の敵と戦う時に役に立てばいいんだ」
彼が、優しい表情を浮かべながら言いました。
「そう? 良かった!」
笑顔を浮かべながら、ナナは彼に抱き付きます。
そんな彼女の頭を撫でる彼の顔からは……何故か、とても薄気味悪い印象を受けました。
彼の態度は、愛する妹に対するものではない。
私は、そのことを確信していました。
「……その子は、御主人様の妹様なのですか?」
私がそう言うと、彼は案の定、首を振りました。
「いや。ナナも他の女達も、ミーシャと同じだ。マニに食われた女に、俺が創り出した新たな人格を与えた」
「……!」
それは、決して予想外の言葉ではありませんでした。
しかし……この男の不気味な正体を知ってしまい、私は激しい嫌悪感を覚えていました。
ミーシャの新たな人格は、目を覚まして、すぐに彼を「御主人様」と呼びました。
つまり、自身に与えられた役割を言葉で伝えられる前から、ミーシャは彼の「奴隷」だったのです。
おそらく、ナナは、新たな人格を与えられた時から、彼の「妹」だったのでしょう。
同じように、マリーという少女は、新たな人格を与えられた時から、彼の「娘」だったに違いありません。
他の少女達も、新たな魂を与えられてから、彼が望む役割を演じ続けているのです。
私は、彼に屈服しなかったことによって、私の魂が殺されることを阻止しました。
しかし、ミーシャ達は……彼の欲望に塗れた、作り物の魂を植え付けられてしまったのです。
そんな彼女達の無念を思うと、涙が出てきてしまいました。
「どうした? どんな人格であるにせよ、俺のおかげで、こいつらはまだ生きている。それなのに、お前は文句でもあるのか?」
「……いいえ、滅相もございません」
彼は、少しの間私のことを睨んでいましたが、すぐに興味が薄れた様子でした。
自分に抱き付いてきた「妹」の頭を、愛おしそうに撫でています。
「ナナばっかり、ずるーい! 私もナデナデして!」
そう言って、マリーが、ナナの反対側から彼に抱き付きます。
彼は、そんな彼女達を両方の手で、満足そうな顔をしながら撫でるのでした。
あまりにも醜悪な光景に、私は目を逸らします。
すると、赤い髪のレミという少女と、青い髪のセーラという少女、そしてミーシャが、ナナとマリーのことを羨ましそうに眺めていることに気付きました。
御者をしているドロシーという黒髪の少女も、彼のことを気にしているようです。
やはり、彼女達も、彼の欲望を満たすための人格によって、魂を踏みにじられているのでしょう。
ミーシャだけでは駄目です。
そのことに、私は気付きました。
彼女達は、全員が彼によって、不当に支配されています。
たとえ、本来の魂を失ってしまったのだとしても……彼の歪んだ欲望を満たすために、新たな魂を汚されて良いはずがありません。
彼女達を全員助けたい。
私は、新たな目標を、そのように定めました。
馬車を走らせ始めた後で、ナナというピンク色の髪の少女が言いました。
「怒ってないさ。お前の能力はマニと戦うのに向いていない。それ以外の敵と戦う時に役に立てばいいんだ」
彼が、優しい表情を浮かべながら言いました。
「そう? 良かった!」
笑顔を浮かべながら、ナナは彼に抱き付きます。
そんな彼女の頭を撫でる彼の顔からは……何故か、とても薄気味悪い印象を受けました。
彼の態度は、愛する妹に対するものではない。
私は、そのことを確信していました。
「……その子は、御主人様の妹様なのですか?」
私がそう言うと、彼は案の定、首を振りました。
「いや。ナナも他の女達も、ミーシャと同じだ。マニに食われた女に、俺が創り出した新たな人格を与えた」
「……!」
それは、決して予想外の言葉ではありませんでした。
しかし……この男の不気味な正体を知ってしまい、私は激しい嫌悪感を覚えていました。
ミーシャの新たな人格は、目を覚まして、すぐに彼を「御主人様」と呼びました。
つまり、自身に与えられた役割を言葉で伝えられる前から、ミーシャは彼の「奴隷」だったのです。
おそらく、ナナは、新たな人格を与えられた時から、彼の「妹」だったのでしょう。
同じように、マリーという少女は、新たな人格を与えられた時から、彼の「娘」だったに違いありません。
他の少女達も、新たな魂を与えられてから、彼が望む役割を演じ続けているのです。
私は、彼に屈服しなかったことによって、私の魂が殺されることを阻止しました。
しかし、ミーシャ達は……彼の欲望に塗れた、作り物の魂を植え付けられてしまったのです。
そんな彼女達の無念を思うと、涙が出てきてしまいました。
「どうした? どんな人格であるにせよ、俺のおかげで、こいつらはまだ生きている。それなのに、お前は文句でもあるのか?」
「……いいえ、滅相もございません」
彼は、少しの間私のことを睨んでいましたが、すぐに興味が薄れた様子でした。
自分に抱き付いてきた「妹」の頭を、愛おしそうに撫でています。
「ナナばっかり、ずるーい! 私もナデナデして!」
そう言って、マリーが、ナナの反対側から彼に抱き付きます。
彼は、そんな彼女達を両方の手で、満足そうな顔をしながら撫でるのでした。
あまりにも醜悪な光景に、私は目を逸らします。
すると、赤い髪のレミという少女と、青い髪のセーラという少女、そしてミーシャが、ナナとマリーのことを羨ましそうに眺めていることに気付きました。
御者をしているドロシーという黒髪の少女も、彼のことを気にしているようです。
やはり、彼女達も、彼の欲望を満たすための人格によって、魂を踏みにじられているのでしょう。
ミーシャだけでは駄目です。
そのことに、私は気付きました。
彼女達は、全員が彼によって、不当に支配されています。
たとえ、本来の魂を失ってしまったのだとしても……彼の歪んだ欲望を満たすために、新たな魂を汚されて良いはずがありません。
彼女達を全員助けたい。
私は、新たな目標を、そのように定めました。
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