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第64話 象牙のヘアピン
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私は、最後の望みを込めて言いました。
「御主人様は……女の子を集めることが楽しいから、もっと増やそうとなさっているのですね?」
「そうだ」
「では……もっと楽しいことがあれば、少女を集める趣味を中断しても、問題ないのではないでしょうか?」
「そんな楽しみがあるとは思えないが?」
「どの程度、楽しいのかは……体験しなければ分からないはずです」
「……なるほど。確かに、そうだな……」
そう言って、彼は下品な笑みを浮かべてから私に近寄り、肩を抱いてベッドまで連れて行き、その上に押し倒しました。
私は、逆らわずに、目を閉じました。
その後。
私と彼は、裸になって、ベッドに並んで寝ていました。
「……さっきの話だが」
「はい」
「この町は、人が多すぎる。定住するなら、もう少し、人の少ない場所がいい」
「……そうなのですか?」
どちらかといえば、人が多い方が、紛れやすいと思うのですが……?
ひょっとしたら、同じ場所に留まると、魔法の効果が弱まり、少女達に注目する人が増えてしまうのかもしれません。
「それに、9人が一緒に住むために借りるなら、それなりの住居が必要だ。ここよりも、もう少し田舎の方がいいだろう。適当な場所は、旅を続けながら探せばいい」
「でしたら、この街の人に、相応しい場所を尋ねてください。当面は、安く済む場所で、落ち着いた生活を送りましょう?」
「……それもいいかもな」
彼は、呟くように言いました。
事態の解決には程遠いものの、当分の間、時間稼ぎをすることはできるでしょう。
これで、魔力が回復するだけでなく、この男の収集癖が収まってくれれば良いのですが……。
夜になってから、妹達が帰ってきました。
胸に青いブローチを着けたマリーが、私に勢いよく飛び付いてきます。
「ねえさま!」
「お帰りなさい、マリー」
他の少女達も、それぞれにアクセサリーを着けています。
彼女達は、基本的には互いを嫌い合っているはずですが、時間をかけて、仲良く買い物を楽しんだようでした。
「ただいま帰りました。スピーシャさんにも買ってきたので、これを着けてください」
そう言って、銀色の指輪を着けているドロシーは、私に金色のネックレスを差し出しました。
「ありがとう。皆で選んでくれたのね?」
私は、それを受け取って、着けてみました。
「ねえさま、綺麗! やっぱり似合ってる!」
マリーが、目をキラキラさせて言いました。
「お姉様……お美しい……」
赤い髪飾りを着けたミーシャが、うっとりとした様子で言いました。
他の少女達も、嬉しそうな顔で、私のことを見つめています。
「貴方達……大袈裟よ」
私は、困ってしまい、とりあえずマリーの頭を撫でました。
他の少女達を見回しました。
レミは、ピンク色のブレスレットを着けています。
セーラは、紫色の宝石のイヤリングを着けています。
レベッカは、黒いチョーカーを着けています。
そして、ナナは、白いヘアピンを着けています。
私は、少し気になって、ナナに近寄りました。
「ナナ、これは……象牙じゃないの? かなり高い物のように見えるけど……?」
「どう? 私にはいい物を買うように、お兄ちゃんが言ってくれたの」
「……ドロシー、お金は大丈夫だったの?」
「はい、予算内に収まりました」
「そう……」
胸騒ぎがしました。
彼女達は、魔力さえ充分にあれば、この街の人間を全て抹殺することだって可能です。
ひょっとして……これらのアクセサリーは、盗んだり、奪い取ったりした物なのではないでしょうか?
そのようなことを考えてしまってから、少女達の無垢な笑顔を見て、その考えを打ち消しました。
仮に少女達が犯罪を行っていたとしても、悪いのは、それを命じたあの男です。
そんなことを考えながら、私は、少女達のことを褒めて回りました。
「御主人様は……女の子を集めることが楽しいから、もっと増やそうとなさっているのですね?」
「そうだ」
「では……もっと楽しいことがあれば、少女を集める趣味を中断しても、問題ないのではないでしょうか?」
「そんな楽しみがあるとは思えないが?」
「どの程度、楽しいのかは……体験しなければ分からないはずです」
「……なるほど。確かに、そうだな……」
そう言って、彼は下品な笑みを浮かべてから私に近寄り、肩を抱いてベッドまで連れて行き、その上に押し倒しました。
私は、逆らわずに、目を閉じました。
その後。
私と彼は、裸になって、ベッドに並んで寝ていました。
「……さっきの話だが」
「はい」
「この町は、人が多すぎる。定住するなら、もう少し、人の少ない場所がいい」
「……そうなのですか?」
どちらかといえば、人が多い方が、紛れやすいと思うのですが……?
ひょっとしたら、同じ場所に留まると、魔法の効果が弱まり、少女達に注目する人が増えてしまうのかもしれません。
「それに、9人が一緒に住むために借りるなら、それなりの住居が必要だ。ここよりも、もう少し田舎の方がいいだろう。適当な場所は、旅を続けながら探せばいい」
「でしたら、この街の人に、相応しい場所を尋ねてください。当面は、安く済む場所で、落ち着いた生活を送りましょう?」
「……それもいいかもな」
彼は、呟くように言いました。
事態の解決には程遠いものの、当分の間、時間稼ぎをすることはできるでしょう。
これで、魔力が回復するだけでなく、この男の収集癖が収まってくれれば良いのですが……。
夜になってから、妹達が帰ってきました。
胸に青いブローチを着けたマリーが、私に勢いよく飛び付いてきます。
「ねえさま!」
「お帰りなさい、マリー」
他の少女達も、それぞれにアクセサリーを着けています。
彼女達は、基本的には互いを嫌い合っているはずですが、時間をかけて、仲良く買い物を楽しんだようでした。
「ただいま帰りました。スピーシャさんにも買ってきたので、これを着けてください」
そう言って、銀色の指輪を着けているドロシーは、私に金色のネックレスを差し出しました。
「ありがとう。皆で選んでくれたのね?」
私は、それを受け取って、着けてみました。
「ねえさま、綺麗! やっぱり似合ってる!」
マリーが、目をキラキラさせて言いました。
「お姉様……お美しい……」
赤い髪飾りを着けたミーシャが、うっとりとした様子で言いました。
他の少女達も、嬉しそうな顔で、私のことを見つめています。
「貴方達……大袈裟よ」
私は、困ってしまい、とりあえずマリーの頭を撫でました。
他の少女達を見回しました。
レミは、ピンク色のブレスレットを着けています。
セーラは、紫色の宝石のイヤリングを着けています。
レベッカは、黒いチョーカーを着けています。
そして、ナナは、白いヘアピンを着けています。
私は、少し気になって、ナナに近寄りました。
「ナナ、これは……象牙じゃないの? かなり高い物のように見えるけど……?」
「どう? 私にはいい物を買うように、お兄ちゃんが言ってくれたの」
「……ドロシー、お金は大丈夫だったの?」
「はい、予算内に収まりました」
「そう……」
胸騒ぎがしました。
彼女達は、魔力さえ充分にあれば、この街の人間を全て抹殺することだって可能です。
ひょっとして……これらのアクセサリーは、盗んだり、奪い取ったりした物なのではないでしょうか?
そのようなことを考えてしまってから、少女達の無垢な笑顔を見て、その考えを打ち消しました。
仮に少女達が犯罪を行っていたとしても、悪いのは、それを命じたあの男です。
そんなことを考えながら、私は、少女達のことを褒めて回りました。
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