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第9章 束の間の休息
第137話 それはトップシークレット
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「でも、教会の会合って、何するんすか?」
随分と前にセリナから神官の会合が行われていることは聞いていたが、内容までは知らされていない。
その時も各所の神官が不在にするから冒険者やギルド員は心構えやあらかじめ準備をしておいたほうがいいということだけで終わってしまった。
だが、ミドリーさんの代わりにアンジェが困り顔で端的に答えた。
「ムギちゃん、それは禁忌な質問よ」
「え、禁忌なんか?」
仰々しいことを言われ思わずきょとんとすると、アンジェの後ろでミドリーさんは「ははっ」と肩を揺らして笑った。
「まあ、企業秘密だな。こんな成りでも、一応『神官』なもので」
神官。つまり、神に仕える者。簡単にいうと「神様の代弁者」だ。この神官の会合も言うなれば『神様の命によって集められた会議』であり、一般市民がその内容を知ることはできない。そういう意味での禁忌ということらしい。
「そういえば、神官は『神様に一番近い役職』だからめちゃくちゃえらい人なんだっけ?」
そんなようなことを以前アンジェから聞かされた気がする。神官様のお言葉は神様のお言葉。治癒魔法も神様のご加護だし、クラスを知れる力だって神様の力だと言われている。神官自身が使っていないだけで、本当なら民を統べる権力もある人物だ。
「そうよ。神官様は市町さんよりも、なんなら国王様よりもえらいの。本来なら『さん付け』で呼んではいけないほどなのよ?」
とアンジェは言うが、それを聞いたミドリーさんは豪快に笑っていた。
「神官といっても役職がそれなだけで、ただの人だ。堅苦しいのは嫌だから本当はムギトくらいの距離感がちょうどいいんだがな」
「もう……神官様ったら」
ミドリーさんの弾ける笑顔にアンジェは「やれやれ」と頬を引き攣らせる。
ただ、こうして改めて神官のことを知ることで、ミドリーさんが『オルヴィルカ』の人にここまで慕われている理由がわかった気がする。権力を持ちながらも横柄にならず、民を思う。彼こそが神官の鑑なのだろう。
――まあ、本物の神の使い様は窓の縁で寝転がって日向ぼっこしてるのだが。それを知っているのは俺しかいないし。
「そういう訳だ。しばらく留守にするから、よろしく頼んだぞ」
ミドリーさんはニッと笑ってパシンっと俺の背中を叩く。彼は軽く叩いたつもりだろうが、これだけでめちゃくちゃ痛かった。そんなことを言えるはずもなく、「了解っす……」と苦笑いで返した。
無論、どこへ行くだとか、何日空けるだとか、そういうのも言えない。ただ、俺たちは彼が無事に戻ってくるのを祈って待つだけだ。
「では、お気をつけて」
「いってらっしゃーい」
アンジェとリオンに見送られ、ミドリーさんは笑みを含めながら軽く手を掲げる。
――この旅立ちが、新たな事件の引き金になるとは知らずに。
◆ ◆ ◆
それは、ミドリーさんは旅立って三日程経った日のことだ。
まだ完全に出来上がってはいないが、この日から閉鎖していたギルドの集会所も再開となった。ようやく集会所付近にも活気が戻り、街の人やギルドの職員もホッと胸を撫で下ろしていた。
ギルドも再開し、クエストも受けられるようになったので、俺とアンジェはシスターからのクエストを受けた。内容はクーラの水と薬草の回収。薬草を回収する分、初めて受けたクエストよりも難易度は高いが、今の俺たちのレベルなら数時間で終わらせられる。
簡単なクエストということもあり、セリナにはリオンのお礼の買い出しはこの日に合わせてもらった。
そして俺たちのクエストと二人の買い物が終わるころにはちょうどお昼時。そこで街の中心部で待ち合わせ、一緒に昼飯を食べることになっていた。
クエストも約束の時間までには難なく熟し、アンジェと二人で待ち合わせ場所へと行く。すると、ちょうどセリナとリオンもたどり着いたところで俺たちの姿を見るとリオンは嬉しそうに手を振った。
「ムギト君! アンジェ君! 見て見て!」
そう言ってリオンが背中を向けると、木でできた杖が背負われていた。しかも背中で背負えるようにホルダーまで付いている。
随分と前にセリナから神官の会合が行われていることは聞いていたが、内容までは知らされていない。
その時も各所の神官が不在にするから冒険者やギルド員は心構えやあらかじめ準備をしておいたほうがいいということだけで終わってしまった。
だが、ミドリーさんの代わりにアンジェが困り顔で端的に答えた。
「ムギちゃん、それは禁忌な質問よ」
「え、禁忌なんか?」
仰々しいことを言われ思わずきょとんとすると、アンジェの後ろでミドリーさんは「ははっ」と肩を揺らして笑った。
「まあ、企業秘密だな。こんな成りでも、一応『神官』なもので」
神官。つまり、神に仕える者。簡単にいうと「神様の代弁者」だ。この神官の会合も言うなれば『神様の命によって集められた会議』であり、一般市民がその内容を知ることはできない。そういう意味での禁忌ということらしい。
「そういえば、神官は『神様に一番近い役職』だからめちゃくちゃえらい人なんだっけ?」
そんなようなことを以前アンジェから聞かされた気がする。神官様のお言葉は神様のお言葉。治癒魔法も神様のご加護だし、クラスを知れる力だって神様の力だと言われている。神官自身が使っていないだけで、本当なら民を統べる権力もある人物だ。
「そうよ。神官様は市町さんよりも、なんなら国王様よりもえらいの。本来なら『さん付け』で呼んではいけないほどなのよ?」
とアンジェは言うが、それを聞いたミドリーさんは豪快に笑っていた。
「神官といっても役職がそれなだけで、ただの人だ。堅苦しいのは嫌だから本当はムギトくらいの距離感がちょうどいいんだがな」
「もう……神官様ったら」
ミドリーさんの弾ける笑顔にアンジェは「やれやれ」と頬を引き攣らせる。
ただ、こうして改めて神官のことを知ることで、ミドリーさんが『オルヴィルカ』の人にここまで慕われている理由がわかった気がする。権力を持ちながらも横柄にならず、民を思う。彼こそが神官の鑑なのだろう。
――まあ、本物の神の使い様は窓の縁で寝転がって日向ぼっこしてるのだが。それを知っているのは俺しかいないし。
「そういう訳だ。しばらく留守にするから、よろしく頼んだぞ」
ミドリーさんはニッと笑ってパシンっと俺の背中を叩く。彼は軽く叩いたつもりだろうが、これだけでめちゃくちゃ痛かった。そんなことを言えるはずもなく、「了解っす……」と苦笑いで返した。
無論、どこへ行くだとか、何日空けるだとか、そういうのも言えない。ただ、俺たちは彼が無事に戻ってくるのを祈って待つだけだ。
「では、お気をつけて」
「いってらっしゃーい」
アンジェとリオンに見送られ、ミドリーさんは笑みを含めながら軽く手を掲げる。
――この旅立ちが、新たな事件の引き金になるとは知らずに。
◆ ◆ ◆
それは、ミドリーさんは旅立って三日程経った日のことだ。
まだ完全に出来上がってはいないが、この日から閉鎖していたギルドの集会所も再開となった。ようやく集会所付近にも活気が戻り、街の人やギルドの職員もホッと胸を撫で下ろしていた。
ギルドも再開し、クエストも受けられるようになったので、俺とアンジェはシスターからのクエストを受けた。内容はクーラの水と薬草の回収。薬草を回収する分、初めて受けたクエストよりも難易度は高いが、今の俺たちのレベルなら数時間で終わらせられる。
簡単なクエストということもあり、セリナにはリオンのお礼の買い出しはこの日に合わせてもらった。
そして俺たちのクエストと二人の買い物が終わるころにはちょうどお昼時。そこで街の中心部で待ち合わせ、一緒に昼飯を食べることになっていた。
クエストも約束の時間までには難なく熟し、アンジェと二人で待ち合わせ場所へと行く。すると、ちょうどセリナとリオンもたどり着いたところで俺たちの姿を見るとリオンは嬉しそうに手を振った。
「ムギト君! アンジェ君! 見て見て!」
そう言ってリオンが背中を向けると、木でできた杖が背負われていた。しかも背中で背負えるようにホルダーまで付いている。
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追記:2025/09/20
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