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第11章 ダンジョン名『旧灯台』
第155話 なんか出た
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その途端杖の先で小さな竜巻が起こり、振るうと同時に風の刃が壁に向かって飛んで行く。そしてその刃が壁に当たると、パリンと何かガラスが割れたような音がした。
「なっ……」
「なんですって……」
続けざまにガラガラと音を立てて崩れる壁を見て俺とアンジェは口を開けて愕然とする。
リオンが硬いレンガの壁を一撃で壊したということだけではない。壊れた壁の先に階段が現れたからだ。
「か、階段が……隠されてた?」
「ええ……まんまとやられたわね」
舞う砂埃を払いながらアンジェは頬を引きつらせる。
「さっきの何かが割れる音聞こえたでしょ? あれ、多分結界よ」
つまり、リオンが杖で割ったのはレンガの壁でなく魔法で貼られた結界だった。階段が急に現れたのではない。最初から存在していた階段を丸ごと隠していたということだ。レンガだというのも結界が見せた錯覚。現に崩れて床に転がるはずのレンガも跡形もなく消えてなくなっている。
「要するに俺たちは随分と弄ばれていたって訳な……」
「いえ……あれだけ高度な結界だったらあたしたちじゃわかるはずがないわ。お手柄よ、リオちゃん」
アンジェに褒められて、リオンは嬉しそうに頬を綻ばせる。すると、ノアがリオンの横に立ち、珍しく補足の解説をした。
「【風使い】は何も風を操るだけでない。マジックパワーの流れもわかる。その気になれば他人のマジックパワーも探れるぞ。まあ、こやつが自分の力にどれだけ気づいているかという話であるけれどな」
リオンを見上げながらノアがにたつく。だが、当の本人は不思議そうに首を傾げるだけだ。
――さて、階段も見つけたからには、立ち止まる理由はない。
上の階から冷たい空気が流れ落ちてくる。ここから先はいつ魔物が出てくるかわからないから、俺もアンジェもそれぞれ武器を構えた。
緊張しながら階段を上がっていく。ここからは壁に穴が開いており、ロウソクに灯りが点いていなくても外からの光で辺りは明るかった。ただ、下の階は円形のフロアだったのに対し、二階はただひたすら長い廊下が続いていた。
一本道だから迷うことはなさそうだが、どうしてこんな形状をしているのだろう。その疑問は俺だけでなく、他のメンバーも感じていたはずだ。
「次は迷路ってことかしらね」
かぶったハットを手で押さえながらアンジェは辺りを見回す。今のところ変わったトラップはなさそうだ。
「ところでリオン。さっきみたいに風の流れが違うところってあるか?」
尋ねてみると、リオンは「う~ん」と唸りながらじっと進行方向を見つめる。
「まだよくわからないけど……こっちに流れてる」
そう言ってリオンは斜め先に指を差す。向こう側に何かあるということだろうか。リオンも気配が遠いようで核心は持てていないようだし、警戒はしておこう。
だが、歩いても歩いても階段は現れなかった。一本道なのに同じところをぐるぐる回っているような感覚だ。
ただ、進んでいるのは確かで、奥に進むほどどんどん廊下は暗くなっていった。壁の穴もなくなり外の光も入ってこない。その代り、壁に点々とランタンがついており、中でゆらゆらと炎が揺れていた。
しかし、さらに奥に進んだところでついに行き止まりになった。分かれ道はないから迷うはずなんてないのに。
結界を見過ごしたか?
嫌な予感に思わず振り返る。すると、一部の壁の色が違うことに気づいた。
色が違う壁に近づき、そっと手で触れる。薄暗くて気づかなかったが、やはりここだけ壁の色が違う。そしてよく見るとここだけランタンの設置距離が他のところより離れており、ぽつぽつと壁に穴が開いているように見えた。
「……なんだこの穴」
怪しい感じがして、じっと見つめる。その瞬間、壁からぎょろりと大きな両眼が見開き、俺を見降ろした。
「おわぁぁぁ!」
血走った両眼に声をあげると、行き止まりの壁を見つめていたアンジェとリオンが慌てて振り向いた。
「ムギト君!?」
「どうしたの!?」
二人が声を揃えた途端、色が違う壁が勢いよく倒れる。いやこれは壁ではない。魔物だ。俺が穴と言ったところはこいつの鼻で、人が近づくまでずっと目を閉じて奇襲できる時を待っていたのだ。
現れた魔物は見事に色の違うところだけが胴体で、四角形の体に腕と足がついていた。
「なっ……」
「なんですって……」
続けざまにガラガラと音を立てて崩れる壁を見て俺とアンジェは口を開けて愕然とする。
リオンが硬いレンガの壁を一撃で壊したということだけではない。壊れた壁の先に階段が現れたからだ。
「か、階段が……隠されてた?」
「ええ……まんまとやられたわね」
舞う砂埃を払いながらアンジェは頬を引きつらせる。
「さっきの何かが割れる音聞こえたでしょ? あれ、多分結界よ」
つまり、リオンが杖で割ったのはレンガの壁でなく魔法で貼られた結界だった。階段が急に現れたのではない。最初から存在していた階段を丸ごと隠していたということだ。レンガだというのも結界が見せた錯覚。現に崩れて床に転がるはずのレンガも跡形もなく消えてなくなっている。
「要するに俺たちは随分と弄ばれていたって訳な……」
「いえ……あれだけ高度な結界だったらあたしたちじゃわかるはずがないわ。お手柄よ、リオちゃん」
アンジェに褒められて、リオンは嬉しそうに頬を綻ばせる。すると、ノアがリオンの横に立ち、珍しく補足の解説をした。
「【風使い】は何も風を操るだけでない。マジックパワーの流れもわかる。その気になれば他人のマジックパワーも探れるぞ。まあ、こやつが自分の力にどれだけ気づいているかという話であるけれどな」
リオンを見上げながらノアがにたつく。だが、当の本人は不思議そうに首を傾げるだけだ。
――さて、階段も見つけたからには、立ち止まる理由はない。
上の階から冷たい空気が流れ落ちてくる。ここから先はいつ魔物が出てくるかわからないから、俺もアンジェもそれぞれ武器を構えた。
緊張しながら階段を上がっていく。ここからは壁に穴が開いており、ロウソクに灯りが点いていなくても外からの光で辺りは明るかった。ただ、下の階は円形のフロアだったのに対し、二階はただひたすら長い廊下が続いていた。
一本道だから迷うことはなさそうだが、どうしてこんな形状をしているのだろう。その疑問は俺だけでなく、他のメンバーも感じていたはずだ。
「次は迷路ってことかしらね」
かぶったハットを手で押さえながらアンジェは辺りを見回す。今のところ変わったトラップはなさそうだ。
「ところでリオン。さっきみたいに風の流れが違うところってあるか?」
尋ねてみると、リオンは「う~ん」と唸りながらじっと進行方向を見つめる。
「まだよくわからないけど……こっちに流れてる」
そう言ってリオンは斜め先に指を差す。向こう側に何かあるということだろうか。リオンも気配が遠いようで核心は持てていないようだし、警戒はしておこう。
だが、歩いても歩いても階段は現れなかった。一本道なのに同じところをぐるぐる回っているような感覚だ。
ただ、進んでいるのは確かで、奥に進むほどどんどん廊下は暗くなっていった。壁の穴もなくなり外の光も入ってこない。その代り、壁に点々とランタンがついており、中でゆらゆらと炎が揺れていた。
しかし、さらに奥に進んだところでついに行き止まりになった。分かれ道はないから迷うはずなんてないのに。
結界を見過ごしたか?
嫌な予感に思わず振り返る。すると、一部の壁の色が違うことに気づいた。
色が違う壁に近づき、そっと手で触れる。薄暗くて気づかなかったが、やはりここだけ壁の色が違う。そしてよく見るとここだけランタンの設置距離が他のところより離れており、ぽつぽつと壁に穴が開いているように見えた。
「……なんだこの穴」
怪しい感じがして、じっと見つめる。その瞬間、壁からぎょろりと大きな両眼が見開き、俺を見降ろした。
「おわぁぁぁ!」
血走った両眼に声をあげると、行き止まりの壁を見つめていたアンジェとリオンが慌てて振り向いた。
「ムギト君!?」
「どうしたの!?」
二人が声を揃えた途端、色が違う壁が勢いよく倒れる。いやこれは壁ではない。魔物だ。俺が穴と言ったところはこいつの鼻で、人が近づくまでずっと目を閉じて奇襲できる時を待っていたのだ。
現れた魔物は見事に色の違うところだけが胴体で、四角形の体に腕と足がついていた。
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