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【第三章 国境への道】
2.ケインの指導
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昼過ぎになると、一座は小さな川沿いの林に入った。大きな木が陽差しを和らげ、流れる水の音が心地いい。
「ここで少し休憩だ。皆、腹ごしらえをしよう」
ケインがそう告げると、メンバーたちは馬車を適当に停めて弁当や飲み水を取り出す。リュートもサニーが作ってくれた包みを開き、パンやチーズをかじりながら川のせせらぎに耳を澄ませた。
すると、ケインがリュートのそばに腰を下ろす。
「調子はどうだ? 初めての長旅にしては、なかなか元気そうだな」
「はい、思ったより疲れは平気です。むしろ、いろいろ見られて楽しいですよ」
リュートが笑顔で応えると、ケインは満足そうに頷(うなず)いた。
「そうか。ならば、食事が済んだら少し稽古をしよう。お前さんが“あの力”をどの程度扱えるのか、試してみたいんだ」
「稽古……ですか?」
「旅の道中は、いつどこで魔物や盗賊に遭遇するかわからない。あの怪物を倒した力が頼りになるのは事実だが、使い方がわからなければ危険だ。自分自身が振り回されてしまう可能性もある」
ケインの言葉に、リュートはあの日の戦いを思い出す。エストの村で突然現れた魔物――その爪と牙はあまりにも凶悪だった。そして、リュートはカードがきっかけで謎の力を発動させたが、それがどういう原理だったのかさっぱり掴めていない。
「……わかりました。お願いします」
「ここで少し休憩だ。皆、腹ごしらえをしよう」
ケインがそう告げると、メンバーたちは馬車を適当に停めて弁当や飲み水を取り出す。リュートもサニーが作ってくれた包みを開き、パンやチーズをかじりながら川のせせらぎに耳を澄ませた。
すると、ケインがリュートのそばに腰を下ろす。
「調子はどうだ? 初めての長旅にしては、なかなか元気そうだな」
「はい、思ったより疲れは平気です。むしろ、いろいろ見られて楽しいですよ」
リュートが笑顔で応えると、ケインは満足そうに頷(うなず)いた。
「そうか。ならば、食事が済んだら少し稽古をしよう。お前さんが“あの力”をどの程度扱えるのか、試してみたいんだ」
「稽古……ですか?」
「旅の道中は、いつどこで魔物や盗賊に遭遇するかわからない。あの怪物を倒した力が頼りになるのは事実だが、使い方がわからなければ危険だ。自分自身が振り回されてしまう可能性もある」
ケインの言葉に、リュートはあの日の戦いを思い出す。エストの村で突然現れた魔物――その爪と牙はあまりにも凶悪だった。そして、リュートはカードがきっかけで謎の力を発動させたが、それがどういう原理だったのかさっぱり掴めていない。
「……わかりました。お願いします」
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