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さがしもの
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「あれは、まだエリカが7つだった時の話ね……。
突然、誘拐されたのよ。
アイスショーと言って、氷の造形が展示されてて…、それを見に来ていたの。シルがアイスキャンディーを買いに行くと言って、エリカと一緒にお店に行ってる間、私はラリサと一緒にいたのね。ラリサは当時5つの時だった。
手を繋いで歩いてたはずなのに、気がつけば居なくて、急いで辺りを見回したら、敵に捕まったラリサがいたの。ラリサは泣きながら必死に、私に手を伸ばしてきていた。
ハッとしてラリサを取り返そうとしたけど、位置が特定出来ない転移陣を使われてしまったから、追いつけなかった。もし、元を辿って特定できたら、すぐにでも助けられたかもしれないのに…。
……母親失格よ。一緒にいたのに、気づけば敵の手に渡ってたんだもの」
母はそこで話を切った。過去を思い出して話せなくなったのだ。すすり泣く母の背中をエリカはさする。
静かに聞いていたギルは、ベッドサイドテーブルに立てかけられた家族写真を見て言った。
「……この方がラリサ様ですか?」
「そうよ。私の妹。今もずっと捜してるけど、見つからないの。……もしかしたら、死んじゃったのかもしれないけど、やっぱり希望は捨てられない」
エリカが母の代わりに答える。
長い沈黙の後、ギルは一言呟くように言った。
「僕は、この方に似た方を知っています」
「え?」
ギルの言葉にエリカと母が反応する。しかし、話はそこで中断してしまった。父の容態を診るためだ。
ギルが再び紫色の光を彼に浴びせ、容態を確認すると治療を終えた。解毒剤の副作用である吐き気と葛藤し、疲れたのだろう。ただ寝ているだけの父の姿があった。
「もう、これで大丈夫でしょう」
「ありがとうございます……」
「それで、どこにいるの?!」
母がお礼を言う横から、エリカは食いつくようにギルに問いかけた。
「それは言いかねます……。ですが、僕が知っている方とこのラリサ様は同一人物ではないかもしれませんよ?」
「そんなの構わない!少しでも希望があるなら、それに賭けたいの!」
ギルは少しため息を吐いて、両手で制をした。
「落ち着いてください。僕の知っている方のご意思もあります。会えない可能性もありますが、よろしいですか?」
「ダメ、絶対会う!!」
「……僕もできる限りのことはします。ご希望に添えない場合は申し訳ございません」
「そんな事言わないで!」
「エリカ!私のことはいいの。そんなに無理に言っても、ギル君が困るだけよ。ここは1歩引きなさい」
母はエリカの手を引きながらたしなめる。
「だって、お母さん!」
「だってじゃない。……ギル君、うちの娘がごめんなさいね。出来れば会えるといいのだけど……、協力してくれてありがとう」
「いえ、父上様の容態が回復して何よりです。では、僕はこれで失礼致します」
ギルはそう言って父の寝室から出て行った。父はぐっすりと眠っているのか、身動ぎもせずに横たわっている。
「さて、エリカ。シルのギルドメンバーの人に伝言をお願いしていいかしら?」
「ええーーーー!!」
母のお願いにエリカの不満が、家中に響き渡ったのだった。
突然、誘拐されたのよ。
アイスショーと言って、氷の造形が展示されてて…、それを見に来ていたの。シルがアイスキャンディーを買いに行くと言って、エリカと一緒にお店に行ってる間、私はラリサと一緒にいたのね。ラリサは当時5つの時だった。
手を繋いで歩いてたはずなのに、気がつけば居なくて、急いで辺りを見回したら、敵に捕まったラリサがいたの。ラリサは泣きながら必死に、私に手を伸ばしてきていた。
ハッとしてラリサを取り返そうとしたけど、位置が特定出来ない転移陣を使われてしまったから、追いつけなかった。もし、元を辿って特定できたら、すぐにでも助けられたかもしれないのに…。
……母親失格よ。一緒にいたのに、気づけば敵の手に渡ってたんだもの」
母はそこで話を切った。過去を思い出して話せなくなったのだ。すすり泣く母の背中をエリカはさする。
静かに聞いていたギルは、ベッドサイドテーブルに立てかけられた家族写真を見て言った。
「……この方がラリサ様ですか?」
「そうよ。私の妹。今もずっと捜してるけど、見つからないの。……もしかしたら、死んじゃったのかもしれないけど、やっぱり希望は捨てられない」
エリカが母の代わりに答える。
長い沈黙の後、ギルは一言呟くように言った。
「僕は、この方に似た方を知っています」
「え?」
ギルの言葉にエリカと母が反応する。しかし、話はそこで中断してしまった。父の容態を診るためだ。
ギルが再び紫色の光を彼に浴びせ、容態を確認すると治療を終えた。解毒剤の副作用である吐き気と葛藤し、疲れたのだろう。ただ寝ているだけの父の姿があった。
「もう、これで大丈夫でしょう」
「ありがとうございます……」
「それで、どこにいるの?!」
母がお礼を言う横から、エリカは食いつくようにギルに問いかけた。
「それは言いかねます……。ですが、僕が知っている方とこのラリサ様は同一人物ではないかもしれませんよ?」
「そんなの構わない!少しでも希望があるなら、それに賭けたいの!」
ギルは少しため息を吐いて、両手で制をした。
「落ち着いてください。僕の知っている方のご意思もあります。会えない可能性もありますが、よろしいですか?」
「ダメ、絶対会う!!」
「……僕もできる限りのことはします。ご希望に添えない場合は申し訳ございません」
「そんな事言わないで!」
「エリカ!私のことはいいの。そんなに無理に言っても、ギル君が困るだけよ。ここは1歩引きなさい」
母はエリカの手を引きながらたしなめる。
「だって、お母さん!」
「だってじゃない。……ギル君、うちの娘がごめんなさいね。出来れば会えるといいのだけど……、協力してくれてありがとう」
「いえ、父上様の容態が回復して何よりです。では、僕はこれで失礼致します」
ギルはそう言って父の寝室から出て行った。父はぐっすりと眠っているのか、身動ぎもせずに横たわっている。
「さて、エリカ。シルのギルドメンバーの人に伝言をお願いしていいかしら?」
「ええーーーー!!」
母のお願いにエリカの不満が、家中に響き渡ったのだった。
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