表裏の狭間で

シルヴィー

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今日も朝から特訓という名のスパルタ訓練……。

エリカはあれからずっと、青年から指南を受けている。青年自身の用事とか、優先すべきことはないのか聞くけど、「大丈夫だ」と言われるだけだった。

それに、名前も教えてくれない……。それどころか、個人情報すら何一つ知らない。実は性別も分からないし、何もかもが不詳だった。
分かるとすれば、実力がとてつもなくスゴいというだけ。

花屋の亭主であり、達者な筆で書かれたエリカ宛の手紙を読んでくれたイレインにも青年のことを聞くけど、「本人に聞け」としか言わず、有力な情報は何一つ教えてくれなかった。

エリカが身支度を整え、動きやすい服装で庭に来ると、定位置なのか、いつもの木の上から青年の声が降ってくる。

「おはよう、エリカ。今日は午前中のみ指南を引き受けてやるぞ」

「えっ? 何かあるの?」

今までご飯と寝る時以外は原則ずっと特訓をしている。あまりにもキツすぎて初めの頃は死んでいたが、3ヶ月以上経った今では体が慣れてきたため倒れるようなことはなくなった。……相変わらず厳しいが。

「昼食後、14時頃に4人の訪問者が来る予定だ。……場合によってはもう1人来るかもしれぬから、実質約5人だな」

「ふーん…。今まで用事もなくずっと私に付き合ってくれてたけど、その時は本当に何もなかったの?

私にその話はしてくれてなかったし、いきなりよね?」

「ああ、イレイン殿に頼まれていたからな。用は何もない。
今回は、向こう側からの用件だ。我は頼んでおらぬ」

青年が木の上から降りると、イレインとエリカの父シルディックが庭に入ってきた。

「エリカ、お前、シルディックと今から戦え」

「え?!」

突然、イレインはそう言った。今まで別々に行動していたが、急にそう言われると困る。

「エリカ、お前、あの時にこう言ったろ。半年じゃダメなのか? ってな。
だから、今日は実力を確かめる日にしようと思う。だが、ワシと青年こいつは実力がありすぎて話にならん。
戦闘を学び始めたエリカとシルディックなら何とか出来るだろ」

すっかり忘れていた。でも、あの時は必死だったから、1年と言われて、もっと早くがいいと言っていたと思う。

「……分かった。お父さんは、大丈夫?」

「ああ。大丈夫だ」

シルディックは笑顔で頷く。

「どちらかが強すぎたら、ワシか青年こいつのどちらかで手加減して相手してやるからな。じゃ、勝手に始めろ」

イレインは青年の肩に手をおいて、近くのベンチに座る。観戦するためだ。

シルディックとエリカは一瞬戸惑ったが、武器を手にし、庭の中央で距離をとった。シルディックは長剣、エリカは槍を目の前に構える。

「……じゃ、エリカ、5秒で開始しよう」
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