2 / 2
第2話 見守りの始まり —— 白線の手前で
しおりを挟む
娘が生まれる、少し前の話から始めよう。
友人に誘われて出かけたランドローバーのディフェンダーのオフロードイベント。春なのに、土の匂いが濃かった。箱みたいに角張った四駆が、背面タイヤを揺らしながら泥を蹴る。 改造車が段差に入るたび、サスがぐっと沈み、泥がタイヤハウスを叩いて鈍い音を立てる。俺は前夜ぎりぎりまで車庫でボルトを締め、バンパーの角度を勘で決め、即席のライトバーをタイラップで括り付けてきた。
勉強はからっきしだったが、好きなものには時間を忘れて潜る——昔からの性分だ。板金工場で覚えた手つきは荒いが、手の甲の小傷は自慢だった。
土手の上で腕を組み、コースの荒れ具合を双眼鏡で測っていたのが、正美だった。友人の連れだという。段差の高さ、進入角、減速ポイント——彼女は事前にぜんぶ、目で段取りをつけていく。
「そのバンパー、重心上がりすぎじゃない?」
「まあ、行ってみてから考えるタイプで」
「私は、行く前にだいたい考えておきたいタイプ」
違いは、最初こそ新鮮だった。俺が泥をはねて戻れば、彼女は紙コップのコーヒーを二つ持って待っていて、スマホのメモに次のイベントの日程を打ち込みながら、俺の車の下回りを覗く。彼女は公務員で、計画のひとつひとつに根拠がある。俺はタイヤの銘柄から工具の話、仕事の愚痴、好きな音楽まで、手当たり次第に喋った。泥の跳ねたフェンダーに並ぶ二人の影を見ながら、俺は思った——この人となら、先のことを少しは考えてもいいのかもしれない。
翌年、俺が二十五のとき、娘が生まれた。
分娩室の白い光の下、湿った産毛に包まれたその子は、か細い泣き声で世界に挨拶をした。小さな指が俺の親指にからみ、驚くほど強く握り返す。壊れものみたいに小さな身体のぬくもりが、胸の奥の、二度と消えない場所に押しピンで留められたみたいに刻まれた。
ベッド脇の正美は、予定日から逆算した家事の分担表や予防接種のスケジュールを小声で確認していた。几帳面で、少し神経質なところもある。でも、その几帳面さに救われる場面は多かった。俺はうなずきながら、「まあ、そのとき考えよう」で受け止めた。
けれど、結婚生活は二年で終わった。
冷蔵庫には正美の付箋が増えていく。「ミルク/◯時」「ゴミの日」「保育園見学」。俺のダッシュボードには、思いつきで買った部品の伝票と、からまったレシート。
「どうして今日、電話に出なかったの?」
「現場が長引いて。いや、ちょっと、その……」
正美は“問い詰める”というより、計画の穴を確認していたのだろう。それにうまく橋を架ける言葉を、俺は持っていなかった。埋め合わせの“その場しのぎ”を重ねるたびに、辻褄は余計に合わなくなる。沈黙は雪みたいに静かに積もり、扉の前に小山を作った。
役所の窓口でボールペンを走らせる音が、やけに大きく響いた。角ばったハンコの朱が紙に沈むのを見つめながら、俺は自分が何を失ったのか、輪郭すら掴めていなかった。
その後、仕事も少しずつ変わっていった。板金の現場から離れ、カメラを持ってWeb記事を作る仕事に移った。写真と記事——夢中でやっているうちに、データの方にのめり込む自分がいた。どんな見出しが読まれるのか、どの写真で滞在時間が伸びるのか。数字を追い、グラフを夜更けまでいじっていると、朝になっていることもあった。やがて広告の仕事に移り、独自の分析をまとめたレポートが評判になった。大手のコンサルから数字だけ買いたいと言われたこともあるし、縁があって大学でひとコマだけ話すこともあった。
それでも、胸の奥の空白は、埋まりきらない。
腕の中の重みは、記憶の中で少しずつ軽くなり、声の温度も遠のいていく。忘れることでやり過ごせる日もあったが、ふと、戻ってくる夜がある。
やがて、気持ちは二つに割れていった。
——会いたい。声を聞きたい。
けれど、踏みとどまる言葉もまた、そこにあった。
父親は会ってはいけない——離婚したら、父親は会いに行ってはいけない。 そう言い聞かせ、俺は幾年もを過ごした。
そんなある日、取引先の山崎が、書類を綴じながらふと口にした。
「うちの娘の莉緒のクラスに、いなちゃんと同じ苗字の、稲田って子がいるんだ」
山崎は昔から、名字で俺を「いなちゃん」と呼ぶ。軽口のつもりだろう。
稲田。胸の奥で、長いあいだ火の気を失っていた炭が、ぱちりと音を立てた。
——真結、なのか?
「へえ、そうなんですか」
努めて他人事みたいに返す。喉の奥は熱く乾いている。
「莉緒がさ、読書カードの話してて。クラスで本をいちばん読んでるの、その子らしい」
「そうなんだ」
平静を装う視界の端で、デスクの角が妙に鋭く光った。紙の端が指に触れ、ちいさく痛い。
帰りの車。幹線道路の赤信号で止まるたび、フロントガラスに映る自分の顔は、ひどくよそよそしかった。
会いたい。——いや、会ってはいけない。
会いたい。——いや、会ってはいけない。
前方のブレーキランプが延びては縮み、胸の内の掲示板みたいに、その二行が点滅を繰り返す。ハンドルを握る手に汗が滲み、指先で革の縫い目をたどると、過去の継ぎ目に触れた気がした。ウインカーの規則正しい音だけが、妙に落ち着いている。
家に戻って灯りを落としても、頭の中の往復運動は止まらない。もし、このまま何もしなければ——忘れられるか。もし、会いに行ったら——壊すか。
そのとき、不意に浮かんだ。
——旗振りだ。
父としてではなく、ただの通りすがりの大人として、通学路に立つ。「会う」のではなく「見守る」。線を越えずに、できることだけをする。オフロードのコースに入る前、正美が双眼鏡で段差を測って“見立て”をつけていたのを思い出す。無茶をしないための準備。今度は俺が、それを自分に適用する番だ。広告の仕事は朝が早くない日も多い。やろうと思えば、できる。
夜、山崎に短い電話を入れた。
「お疲れさまです、稲田です。急ぎではないのですが——朝の交通安全の旗、借りることはできますか?」
「急にどうした、いなちゃん。改心か?」
「近所の交差点、最近ちょっと危なくてさ」
本当の理由は、喉の手前で引っかかったまま。
「旗だけじゃなくてタスキも要るぞ。PTA倉庫にあるやつ、管理の人に言っとくよ」
「助かる」
通話を切る。会話はそれだけなのに、席を立つ足取りが妙に軽い。軽くて、少し怖い。
数分後、件名「交通安全の件」でメールが届いた。受け取り場所と連絡先、返却日の指定——必要なことが、簡潔に並んでいた。
週末、黄色い旗とタスキ、反射材のベストが紙袋に入って届いた。
旗のナイロンは新しい雨合羽みたいな匂い。ポールに軽くしなりがあり、振ると空気が小さく鳴る。俺は通学路を下見した。信号のサイクル、車の途切れ、横断歩道の白線の剥がれ。パン屋がシャッターを上げる時刻、学童の列が角で合流する位置。
——顔が見えすぎず、でも危険を先に見つけられる立ち位置。
歩幅で距離を測り、逆光にならない角度を探す。路面のひび割れ、ミラーの死角、朝日が差す時間帯の眩しさ。鏡の前でタスキをかけ、旗を持ち、「おはようございます」「気をつけてね」と、できるだけ個性の少ない声色を選んで小さく練習した。服は地味なキャップに無地のパーカー、膝までのチノ。靴は立ち続けても痛まないもの。髪は前夜に自分で少し切った。
当日の朝は、目覚ましより十分早く目が覚めた。
水で顔を洗うと、皮膚が一気に起動する。コーヒーは淹れたが、ほとんど飲めなかった。玄関で靴ひもを結ぶ手が少し震えたので、二度深呼吸して落ち着かせる。
外に出ると、空はまだ浅く、新聞配達の自転車がカラカラと通り過ぎた。角に立ち、タスキを整え、旗の布を一度だけパンと鳴らす。ナイロンが短く鳴り、空気が軽く震えた。
やがて、朝の流れが動き出す。エンジン音。自転車のベル。遠くから近づいてくる子どもたちの足音。色とりどりのランドセルが角でひとつに合流していく。
俺は右手で「止まって」を示し、左手で「どうぞ」と道を開く。白線の上を、靴底がトントンと刻む。
——薄いピンクのパーカー。
視界の端で色が跳ね、心臓が内側から扉を強く叩いた。八年ぶりに、鼓動が音を持った気がした。
こうして、あの朝が訪れた。
友人に誘われて出かけたランドローバーのディフェンダーのオフロードイベント。春なのに、土の匂いが濃かった。箱みたいに角張った四駆が、背面タイヤを揺らしながら泥を蹴る。 改造車が段差に入るたび、サスがぐっと沈み、泥がタイヤハウスを叩いて鈍い音を立てる。俺は前夜ぎりぎりまで車庫でボルトを締め、バンパーの角度を勘で決め、即席のライトバーをタイラップで括り付けてきた。
勉強はからっきしだったが、好きなものには時間を忘れて潜る——昔からの性分だ。板金工場で覚えた手つきは荒いが、手の甲の小傷は自慢だった。
土手の上で腕を組み、コースの荒れ具合を双眼鏡で測っていたのが、正美だった。友人の連れだという。段差の高さ、進入角、減速ポイント——彼女は事前にぜんぶ、目で段取りをつけていく。
「そのバンパー、重心上がりすぎじゃない?」
「まあ、行ってみてから考えるタイプで」
「私は、行く前にだいたい考えておきたいタイプ」
違いは、最初こそ新鮮だった。俺が泥をはねて戻れば、彼女は紙コップのコーヒーを二つ持って待っていて、スマホのメモに次のイベントの日程を打ち込みながら、俺の車の下回りを覗く。彼女は公務員で、計画のひとつひとつに根拠がある。俺はタイヤの銘柄から工具の話、仕事の愚痴、好きな音楽まで、手当たり次第に喋った。泥の跳ねたフェンダーに並ぶ二人の影を見ながら、俺は思った——この人となら、先のことを少しは考えてもいいのかもしれない。
翌年、俺が二十五のとき、娘が生まれた。
分娩室の白い光の下、湿った産毛に包まれたその子は、か細い泣き声で世界に挨拶をした。小さな指が俺の親指にからみ、驚くほど強く握り返す。壊れものみたいに小さな身体のぬくもりが、胸の奥の、二度と消えない場所に押しピンで留められたみたいに刻まれた。
ベッド脇の正美は、予定日から逆算した家事の分担表や予防接種のスケジュールを小声で確認していた。几帳面で、少し神経質なところもある。でも、その几帳面さに救われる場面は多かった。俺はうなずきながら、「まあ、そのとき考えよう」で受け止めた。
けれど、結婚生活は二年で終わった。
冷蔵庫には正美の付箋が増えていく。「ミルク/◯時」「ゴミの日」「保育園見学」。俺のダッシュボードには、思いつきで買った部品の伝票と、からまったレシート。
「どうして今日、電話に出なかったの?」
「現場が長引いて。いや、ちょっと、その……」
正美は“問い詰める”というより、計画の穴を確認していたのだろう。それにうまく橋を架ける言葉を、俺は持っていなかった。埋め合わせの“その場しのぎ”を重ねるたびに、辻褄は余計に合わなくなる。沈黙は雪みたいに静かに積もり、扉の前に小山を作った。
役所の窓口でボールペンを走らせる音が、やけに大きく響いた。角ばったハンコの朱が紙に沈むのを見つめながら、俺は自分が何を失ったのか、輪郭すら掴めていなかった。
その後、仕事も少しずつ変わっていった。板金の現場から離れ、カメラを持ってWeb記事を作る仕事に移った。写真と記事——夢中でやっているうちに、データの方にのめり込む自分がいた。どんな見出しが読まれるのか、どの写真で滞在時間が伸びるのか。数字を追い、グラフを夜更けまでいじっていると、朝になっていることもあった。やがて広告の仕事に移り、独自の分析をまとめたレポートが評判になった。大手のコンサルから数字だけ買いたいと言われたこともあるし、縁があって大学でひとコマだけ話すこともあった。
それでも、胸の奥の空白は、埋まりきらない。
腕の中の重みは、記憶の中で少しずつ軽くなり、声の温度も遠のいていく。忘れることでやり過ごせる日もあったが、ふと、戻ってくる夜がある。
やがて、気持ちは二つに割れていった。
——会いたい。声を聞きたい。
けれど、踏みとどまる言葉もまた、そこにあった。
父親は会ってはいけない——離婚したら、父親は会いに行ってはいけない。 そう言い聞かせ、俺は幾年もを過ごした。
そんなある日、取引先の山崎が、書類を綴じながらふと口にした。
「うちの娘の莉緒のクラスに、いなちゃんと同じ苗字の、稲田って子がいるんだ」
山崎は昔から、名字で俺を「いなちゃん」と呼ぶ。軽口のつもりだろう。
稲田。胸の奥で、長いあいだ火の気を失っていた炭が、ぱちりと音を立てた。
——真結、なのか?
「へえ、そうなんですか」
努めて他人事みたいに返す。喉の奥は熱く乾いている。
「莉緒がさ、読書カードの話してて。クラスで本をいちばん読んでるの、その子らしい」
「そうなんだ」
平静を装う視界の端で、デスクの角が妙に鋭く光った。紙の端が指に触れ、ちいさく痛い。
帰りの車。幹線道路の赤信号で止まるたび、フロントガラスに映る自分の顔は、ひどくよそよそしかった。
会いたい。——いや、会ってはいけない。
会いたい。——いや、会ってはいけない。
前方のブレーキランプが延びては縮み、胸の内の掲示板みたいに、その二行が点滅を繰り返す。ハンドルを握る手に汗が滲み、指先で革の縫い目をたどると、過去の継ぎ目に触れた気がした。ウインカーの規則正しい音だけが、妙に落ち着いている。
家に戻って灯りを落としても、頭の中の往復運動は止まらない。もし、このまま何もしなければ——忘れられるか。もし、会いに行ったら——壊すか。
そのとき、不意に浮かんだ。
——旗振りだ。
父としてではなく、ただの通りすがりの大人として、通学路に立つ。「会う」のではなく「見守る」。線を越えずに、できることだけをする。オフロードのコースに入る前、正美が双眼鏡で段差を測って“見立て”をつけていたのを思い出す。無茶をしないための準備。今度は俺が、それを自分に適用する番だ。広告の仕事は朝が早くない日も多い。やろうと思えば、できる。
夜、山崎に短い電話を入れた。
「お疲れさまです、稲田です。急ぎではないのですが——朝の交通安全の旗、借りることはできますか?」
「急にどうした、いなちゃん。改心か?」
「近所の交差点、最近ちょっと危なくてさ」
本当の理由は、喉の手前で引っかかったまま。
「旗だけじゃなくてタスキも要るぞ。PTA倉庫にあるやつ、管理の人に言っとくよ」
「助かる」
通話を切る。会話はそれだけなのに、席を立つ足取りが妙に軽い。軽くて、少し怖い。
数分後、件名「交通安全の件」でメールが届いた。受け取り場所と連絡先、返却日の指定——必要なことが、簡潔に並んでいた。
週末、黄色い旗とタスキ、反射材のベストが紙袋に入って届いた。
旗のナイロンは新しい雨合羽みたいな匂い。ポールに軽くしなりがあり、振ると空気が小さく鳴る。俺は通学路を下見した。信号のサイクル、車の途切れ、横断歩道の白線の剥がれ。パン屋がシャッターを上げる時刻、学童の列が角で合流する位置。
——顔が見えすぎず、でも危険を先に見つけられる立ち位置。
歩幅で距離を測り、逆光にならない角度を探す。路面のひび割れ、ミラーの死角、朝日が差す時間帯の眩しさ。鏡の前でタスキをかけ、旗を持ち、「おはようございます」「気をつけてね」と、できるだけ個性の少ない声色を選んで小さく練習した。服は地味なキャップに無地のパーカー、膝までのチノ。靴は立ち続けても痛まないもの。髪は前夜に自分で少し切った。
当日の朝は、目覚ましより十分早く目が覚めた。
水で顔を洗うと、皮膚が一気に起動する。コーヒーは淹れたが、ほとんど飲めなかった。玄関で靴ひもを結ぶ手が少し震えたので、二度深呼吸して落ち着かせる。
外に出ると、空はまだ浅く、新聞配達の自転車がカラカラと通り過ぎた。角に立ち、タスキを整え、旗の布を一度だけパンと鳴らす。ナイロンが短く鳴り、空気が軽く震えた。
やがて、朝の流れが動き出す。エンジン音。自転車のベル。遠くから近づいてくる子どもたちの足音。色とりどりのランドセルが角でひとつに合流していく。
俺は右手で「止まって」を示し、左手で「どうぞ」と道を開く。白線の上を、靴底がトントンと刻む。
——薄いピンクのパーカー。
視界の端で色が跳ね、心臓が内側から扉を強く叩いた。八年ぶりに、鼓動が音を持った気がした。
こうして、あの朝が訪れた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる