平和な魔王とハゲの勇者

箸休九太郎

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魔王城問答

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平和な魔王とハゲの勇者~魔王城問答~

■キャラ紹介■

魔王   … 口から牙が生え、大きな二本角を持ったザ魔王な容貌。笑い方は「ガッハッハ!!」

魔王軍参謀 … リッチー(骸骨の魔術師)マントが臭い。笑い方は「カラカラカラ」

勇者  …  自分に誠実な勇者。ハゲ家系の為、兜は被りたく無い。武器は片手剣と盾。笑い方は「ハハハハ」

盗賊 …  冷徹な盗賊。盗むものが独特。武器は短剣と手甲。笑い方は「ケケケ」

魔法使い … 計算高く理知的。魔族を恨んでいる。武器は杖。笑い方は「クフフフッ」


~本編~


魔王「勇者よ!よくぞここまで来た!我は、35代魔王…ヴォルガヴィヴィヴィンランディアハウルフォーケンヴォルフラムケーンロードインダラマディアフロンフォン45世である。」

勇者「私は、ナ国のケン!悪逆非道を行う王よ!この、勇ましい者と書いて勇者と読むこの私が成敗してやろう!」

しばらくの沈黙

魔王「……参謀?」

参謀「闇よりいでて闇に沈むともがらよ、暗くは暗く、深くは深く、深淵から来たりし者は天上の光を求め、枯れた手を伸ばす、黄金の国を泥濘でいねいに沈める腐りし者達の主よ、我の前に顕現けんげんし、そのうろんだふところで、怨嗟と憎悪の糧とせよ。(ボソボソと魔王の次の台詞でマント臭いと言われるまで)」

魔王「(詠唱に被せる)……参謀?……マント臭い参謀?」

参謀「だー!!参謀参謀うるっさいな!!こちとら勇者一行を一撃で仕留める魔法を詠唱してんだよ!」

魔王「あーよかった、死んでなかった。」

参謀「リッチだから死んどるわ!」

魔王「それもそうだな!ガッハッハッハ!」

参謀「カラカラカラ!!もういいよ!」

魔法使い「クフフフ」

勇者「魔法使い…なぜ笑う、リッチは死んでるから事実ではないか?」

盗賊「ケケケ、頭が硬いんだよぉお前はぁ」

勇者「盗賊、頭が硬いと言うと言うのは、禿げてきていると言いたいのか?私の頭が先祖代々の魔王の呪いにかかっていると言いたいのか!?」

盗賊「そんなに気にしてるからハゲんだよぉ」

魔法使い「だから…呪術にかけられている様子は…」

勇者「憎き魔王め!!我が一族にかけた呪いとともに成敗してくれる!!」

魔王「そのようなことをした覚えはないが…我はさきの新月の夜に魔王になったばかりだしのぉ」

勇者「しらばっくれるか魔王!!」

参謀「そういえば、15代前の魔王が無駄に人に対して呪いをかけてたような…」

勇者「んんんんんん」

魔王「我ではない」

勇者「しかし!ナ国に対しての侵攻は事実!どちらにしても成敗だ!」

参謀「ここ15年ほど魔王軍は、ナ国を含めてどこの国にも攻め込んでおりません。農地改革を現魔王が農産省大臣の際に行った為、他国に攻める必要がなくなったのであります。」

魔王「あれは大変だったのぉ。利権を掻い潜り…他国と戦争するより遥かに大変だったわい。」

盗賊「あの噂は、本当だったと…」

勇者「噂?」

盗賊「あぁ、魔王の領地に入るとき意外とすんなり入れただろぅ?」

魔法使い「確かに、魔王領の魔物たちは、意外とすんなり会話ができたり、知的だった気がする…しかし…」

盗賊「しばらく前から言われていたことだが、現国王が魔法師団に命じて、魔王領で捕まえた魔物たちに洗脳魔法をかけて、戦争を継続しているように見せているという噂だぁ」

勇者「なに!?と言うことは、このハゲの呪いは国王が…」

魔法使い「ですから呪われておりませんと…」

魔王「(大きな咳払い)」

勇者「くそぅ!呪の根源を絶つことだけを使命と感じで勇者になったっていうのに!先祖代々、子々孫々!この呪を断ち切る事だけが生き甲斐で!」

盗賊「だからDTなんだってよぉ」

勇者「な、な…なにおー!!しししし失敬な!男気でモテてるんだよ!雄《おす》に者と書いて雄者ともちまたでは噂されているこの!勇ましい者!勇者ケンがそんな下等で下劣で品性が低い言葉に反応すると思っているのか!?ぐ、ぐおおおおお」

魔王「おいおい、仲間割れはやめろよ」

参謀「ブリザード!!」

魔王「おいちょっ!参謀!?」

魔法使い「ひ、卑劣なひゅ、ひゅれつな!」

盗賊「ひゅ油断させてひゅだんしゃせて魔法を放つとはまひょううおひゃなつとは

勇者「さ~~む」

参謀「頭は冷えましたか?そのまま冴えた頭で聞いて下さい。我々魔族は、人族と戦争を行いたいとは思っておりません。戦火を広げる事は容易です。しかしその火を消すのは、非常に困難。憎しみの中で、正義の心すら悪に染まる。向けた刃がいつの間にか自分に返ってくる。その様な馬鹿げたことわりから我々は脱したいのです。」

魔王「光が正面から当たったら眩しく、背面から当たったら影が色濃くなる。そういうことだ」

シーンとする

勇者「と言うことは、剣の先では切れるけど、側面だと切れない、みたいな事か…」

魔王「ほぅ…(やるじゃないか的な)」

参謀「何を下らないこと言い合ってるんですか。我々は戦争を終わらせたい。それだけですよ。」

魔法使い「そ、そんなわけ無いしょ、しょんにゃわけない!!…私の兄妹はお前達魔族に殺された!!血を抜かれ、すすられ!家畜同然に、扱われ!人族と仲良くしたい!?そんな事!今更許されるわけがない!!」

魔王「…ふむ。お前達人族は、生きる為に生物を食べないのか?植物は?それが違っただけのことではないのか?我々は、仲良くしたいと言ってはおらぬ。戦争は無意味だと言っておるのだ。今までは管理がされず、戦争の名の下に、暴力が許されてしまっていた。それは、お互いにだ。その秩序無き歴史に、終止符を打ちたいのだ。」

盗賊「ほ~う…じゃあよぉ!今まで人の血肉を糧にしてきた者たちは、どうするんだ?」

参謀「それが、農業政策、食の拡充と代替品の開発。近くの村の人族には、15年という間の期間で誤解をとき、献血には金などの対価を。血が必要な魔族には労働を…」

魔王「魔族全体が、つとめ、はげみ、そして律した。今、お主らと対話をし、剣を振るわないのが我らの姿だ」

勇者「いや、魔法打ったけど。」

魔王「今一度、国に帰り、お主らを納める王と対話の道を」

勇者「魔法打ったけどね。涼しげな顔で話をしてるけど…魔法!割と強めなの打ちましたよね」

魔王「勇み足勇者よ」

勇者「誰が、生き急いだ結果!あれ、ちょっと生え際後退してない?魔王領で勝ち進んでるそうだけど…頭は…ね…ね、な勇者よね。だ!!」

魔王「誰もそんなこと言うておらんわ。頭に血が上っておるようだったから冷ましたまで。ダメージ自体はお主ほとんど感じておらんであろう?」

勇者「まぁ、確かに。晩秋の夜を思わせる位にしか、寒さは感じなかった。」

魔王「我らはお主らを人族に、歩みを合わせることなど問題ではなくなっておる。勇者よ…いや、ナ国のケンよ、我らと手を取り合うことはできんか」

勇者「…まぁ、国王に伝えるくらいは…」

魔法使い「何を言っているのです!その行為が国王への背信行為!この短時間でまんまとたぶらかせてしまうとは情けない!智者は騙されはしません!!私の…私の兄妹を目の前で引き裂いた者共をどう信じろというのですか!話は聞きましたが、結局は生贄のようなことをしているようですし。私たちの目的は、魔王そして魔王軍を滅する事。ケンよ、ナ国の勇者ケン!貴方は誰の味方なのですか!」

勇者「…ん~人間ではある。だけど、元々勇者なんてやる気ないところに、ハゲなのは呪いだと言われたから始めただけであって…国王や国民達が望む勇者になんざ、なれないだろうなと思ってはいたよ。いやさ、一人に一方の正義をゆだねて、皆が背中押して何してんだろってずーと思ってたからさ。国が言うからとか、周りが言うからって感じで、巻き込まれるのもしゃくだったしさ。それに、敵だとか味方だとか俺が決めること自体重荷じゃん」

盗賊「だが道中、散々魔物倒してたじゃねぇか。お前が呪をかけたのか!?ってよぉ」

勇者「いや、それは呪いのせいだから」

盗賊「都合良すぎだろうよぉ…国王とか魔王とか魔法使いより俺は、お前おめぇが怖ぇよ」

魔法使い「つまりここにいる人間の中で、国を思い魔王を倒そうと考えているのは私ただ一人と…なんて…なんてことだ…」

盗賊「魔法使いは自分のためだろうよぉ。都合よく国を持ち出しちゃいけねぇよ。」

魔法使い「(ポツリと呟くようにから徐々に大きく)で生まれるは絶頂の、去りさらばえるは永久の、明けは暗く、宵は明るい、混沌と調和、我が力の前に顕現せよ…」

参謀「伝説級の魔法…見たかったですが、流石に看過出来ませんぬな。フリゾリュゼ」

魔法使い「ぐぅ…グラ…ヴァ…」(急速に体の深部から凍っていく)

盗賊「穏やかじゃねぇな。」(静かに剣を構えながら)

参謀「穏やかじゃないのはそちらですよ。戦術級魔法を放とうとしていましたからね。ここら一帯が全てなくなっていましたよ…もちろん貴方達もろともです。」

盗賊「……ふぅ…それは…俺らの仲間がすまねぇ」(剣を納めながら)

勇者「この状態で、魔法使いは生きているのか?」

参謀「……嘘を言っても仕方ありませんね。殺しました。」

勇者「…そうか」

盗賊「仕方ねぇ、俺らも巻き込まれるような戦術級魔法を止めるんだ、俺だって分かってりゃ同じことをしてたぜ」

勇者「…そうだな」

魔王「参謀のことを恨まないでほしい。コレはコレで我らを思って行動したまでの事。もしも、剣を向けるというのであれば、我に向けるが良い。その時は、にべもなくそなたらを潰すゆえな。」

勇者「…わかってるさ」

盗賊「えぇ~っと…取り敢えず、魔法使いは道中で病死した事にする。戦死じゃあんた方の話をする時に、変な感じになっちまうかもしれねぇし、ましてやコイツには、子供が9人もいる。誰がどうとは言わねぇが、結局戦争の火種が残る気がしてなぁ」

参謀「ご配慮痛み入る。」

盗賊「配慮ってもんでもねぇさ。俺は死にたくないだけだからなぁ」

勇者「魔王、リッチー、今回はコレで引き下がる事にする。帰国の道中、国王の不正に関しての調査を進めつつ帰る事とする。そのうえで国王には、魔王の話もしよう。戦争を無くすことが、私の使命だからな」

魔王「たのんたぞ勇者。平和への架け橋として我が国とそなたの国をつないでくれ。」

勇者(ナレ)それから俺と盗賊は、3日間魔王に歓待を受けた。魔王達が行った施策、その成果と実態。様々な能力を持った魔物たちを、どう上手く効率的に、適した職業へ振り分けたか。全てが新しいことだった。出会った魔族、魔物は口々にこう言った。恨む時間が無くなるくらい今は充実している。戦争は暇人がする事だと…
俺達は国へ向かって歩いている。足取りは重い、国に入った瞬間逆賊と言われるのか、英雄と言われるのか。
まずは、魔王たちが言った言葉の真偽を確かめねばならない。
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