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第10話 まずは朝ごはん食べな
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今日も今日とていい天気。美しく輝く朝日に照らされた街並みは、私たちに活気を与えてくれる。多分。
朝日なんか眺めて何をしているのか、と思われる方もいるだろう。それには、マリアナ海溝よりも深い訳があるのだ。
事の発端は先日の18:00頃。私たちはとある難題に立ち向かっていた。
唐突に始まった会話の内容は「アイドルなんだから持ち曲の一つや二つ持ってないとおかしい」というものだった。
まあ、当然のように既存曲を歌う姿では、オーディション合格の称号もあってないようなものなのである。
「それじゃあ、まずは曲の主題を考えよう。メロディとかよりも今は『Tri clap』らしい歌詞だとかを重視したほうがいいかも」
宮古の言葉に続くよう挙手をはかるいろはちゃんの「熊」の一言を全力で無視して、思考をフル回転させる。視界の端の方でいろはちゃんがなにかにツッコミを入れているが、今はどうでもいい。どうせ熊のことなんだから。
22時。もう明らかに限界が近づく時間だ。いろはちゃんに至っては、肌に悪いと建前を残して睡眠欲求の餌食になってしまったらしい。もしかしてこの子、中身は小学生なのかもしれない。
23時。大量に出てきた語群をあらかたまとめ、言葉をグループごとに分類する。明るい前向きな印象が大半を占めるなか、数個はみ出ていた「餃子」だとか「LED」だとか訳の分からない単語も数個確認できた。
私はそれらに微笑みかけ、消しゴムを手に取る。
1時。遂に日を跨いでしまったが、ここまできたら引くに引けない。完全に明かりが消滅した廊下に怯えながらお手洗いに向かったりもしながら、遂に語群たちが詩の形を作り始めた。
2時。よく考えたら、誰一人メロディ作成だとかそういう事が出来ないということに気付く。あまりに遅過ぎる発覚だが、今更悔やんでもどうにもならない。とりあえず字数とかを綺麗に整えていく事に集中しよう。
3時。この辺りから記憶がない。
そして今に至る訳だ。恥ずかしいの極みだろう。これがTri clapなのだ。
quartetto社内に泊まり込み、かなり無駄な一夜を明かした我々。目の下にクマを作りゾンビのように唸る。
よかったねいろはちゃん、大好きなクマだよ。
このquartetto社内で倉庫と化していた一室で朝を迎える私たちは、もう何が何だか分からなくなっていた。
机の上に乱雑に並べられた紙を手に取り、あくびをかます。適当に選んだのは、餃子が書いてあった紙だった。
「んぉ……まじかもう朝……」
背景で宮古がむくりと起き上がる。冬も近くなる中、暖房をほぼ最大と言っていいレベルで効かせている部屋には、毛布だとか気の利いたものは無かった。
「とりあえず、コンビニにでも朝ごはん買いに行かない?」
「え、蕣お前それで行くつもりかよ」
寝起きのボッサボサ髪と、学校指定の体操服。確かにこんな姿でご近所コンビニだとかは普通にアウトである。
なので、持参していた道具たちで髪を整え、鞄の中に乱雑に詰め込まれた制服を取り出して羽織る。多少シワがあるものの、別に不自然ではない筈だ。
シャツから透けるクソダサ指定体操服の『七海』の文字を隠す為にブレザーを着て、先ほどと比べて軽くなった鞄片手に戸を開く。
宮古と相談の結果、小学生並みに起床能力がないいろはちゃんは置いて行こうということになった。サンドイッチくらいは買ってきてあげようと思う。
「ああ、蕣これ」
「ん?」
宮古の手に乗せられた使い捨てマスクがこちらに向けられる。今からとは、少し気が早いのではないだろうか。冬場に猛威を振るうインフルさんも涙目の早期対策である。
「別にそういう使い方じゃねえからな?顔バレ防止だよ」
ああ、そういう事か。やはり少し早いなとは思っていたのだ。
確かにquartetto社を構える土地の近隣で経営するコンビニなんて、かなり面倒なことが起こりかねない場所だ。
「発信地に近けりゃ近いほど知名度上がるからな、ご当地アイドルとおんなじ要領だよ」
「な、成る程」
あまり階数は高くないという点を踏まえ、階段を使って一階まで降りることにした。朝の眠気覚まし兼、ちょっとした運動のかわりだ。
しかし、朝だというのに社内はバタバタとスタッフが駆け回っている。スタジオがある訳でもないので、こんな事はあまりない筈だが……
非常階段出口前を通り過ぎる若いスタッフが、不意にこちらへ声を向ける。
「あっ蕣ちゃん宮古ちゃん‼︎早く上の階行きな‼︎」
唐突な言葉に、あまり意味が汲み取れなかった。何を言っているのだろうか。
その言葉に答えるよう、都が問う。
「なっ……なんかあったんですか?」
「今ね、なんかエントランスに不審者?が出たらしくて……‼︎」
なんか、実感が湧かないが、とんでもない状況に巻き込まれているのかも知れない。
スタッフが駆けていくのを見送り、宮古と顔を合わせた。
「どうしよう宮古」
「どうするよ蕣」
こんな事を言っているが、スタッフの言動が不確定な事。そして、空腹が結構限界に近い事を悟る。
ついでに、ちょっと見てみたいと思った。
一人の女性の声が響く一階エントランスへ向かって、コソコソと非常階段を降りる影が二つ。
不審者だなんて言われると、基本は中年男性を想像してしまうのだが、今回聞こえてくるのは女性の声だった。
非常口のマークの下に身を潜め、ゆっくりとエントランスを覗いてみる。すると、そこには異様過ぎる光景が広がっていた。
いや、もう本当に異様だった。
おそらくその不審者と思われる女性は、緑がかった長髪を靡かせながら———地に、伏していた。
顔はマスクとサングラスと、あとなんか包帯で隙間を埋めている。そんな、どっかの特撮作品で見たことあるような感じの人が、警備員に確保されていた。
しきりに聞こえてくる女性の声は、なんかどっかで聞いたことがある気がする。
「ちょっ……痛い痛いやめてほんと怪しいものとかじゃないんですって……あぁ今胸触ったな⁉︎ちょっと何し痛い痛いってちょギブギブギブ」
なんか、ものすごい緊張感のある雰囲気なんだろうけど、全く緊張感がない。バラエティ番組の隙間時間でやってるコントを見せられている気分だ。
そんな事を考えていると、後ろからカン、カンと、急いで非常階段を降りる音が聞こえる。それに対して、反射的に顔を振り向かせる。
——そこにいたのは峯森さんでした。
「何してんのあんたら早く逃げなさい‼︎」
「あっいや……つい好奇心といいますか……」
今度は、振り向いた背景から声が飛ぶ。不審者さんのものだ。警備員との格闘は、すでに諦めたらしい。
「あっ……ちょ峯森‼︎助けて‼︎たーすーけーてぇぇ‼︎」
「えっ……?」
峯森さんが、とてつもなく面倒くさそうな顔をしていたのは、おそらく私たち二人だけが知っているだろう。峯森さんの顔は、無表情を極めた人みたいになっていた。
峯森さんは、歩調を進めて不審者さんの前に立つ。「危ないですよ」という、警備員の声を一蹴して、地に伏す不審者さんと対峙するためしゃがみ込む。
「何やってんの雪音」
「プライベートだから変装してきたんだよ!そしたら捕まった!」
変装というか、もうコスプレの域に達しているだろうというツッコミが飛びそうになる。しかし、それ以前の疑問的な感情がその思考を統べていた。
「雪音……って……」
峯森さんの手によって外された、女性の顔の重装備が床に落ちて、タイルに反射しカランと音を立てる。不審者さんが、正体を表した。
「かっ……かな……⁉︎」
「えぇ……」
「いやー、まさか不審者に間違えられるとはねー‼︎」
黒いコートに身を包んだ、顔が公に出てしまった不審者さん改め———
ETERNAL BEATの、華凪雪音。
華凪さんは、髪をくしゃくしゃと掻きながら「まいったまいった」と続ける。
なんでこんなすごい人がこんなとこにいるんだとか。
なんであんな訳わかんない格好してたのかだとか。
お腹すいたなぁ、だとか。
言いたい事は色々とあるが、今は深く考えずに華凪さんに会えたという事を喜ぶべきなのだろう。同じ道を歩んできた先輩として、聞きたいことも山ほどあったり……
「で、どんな用件でわざわざquartettoまで?」
腕を組みながら壁にもたれ、依然として不機嫌そうに問う峯森さん。なぜ機嫌が悪いのかは分からないが、とりあえずそこに触れてはいけない気がしたので、とりあえず相槌を打っておく。
「あーうん、用件あるのはね、この子達にだよ」
ビシッとこちらに指を向ける華凪さん。
私たちに用がある。今、私の内心では「マジか」という単語がずっと暴れ回っているらしい。
「まさか、Tri clapが気に入らないから解散させろとか……」
「んな訳ないだろ⁉︎峯森は私をなんだと思ってんだよ!その逆だよ!」
二人の茶番劇に発展してしまった会話を、ただはにかんで見つめていた。こうする以外の手段があるなら、是非教えて欲しいものだ。
「あの……華凪さんと峯森ってどういった関係?」
宮古の挙手と、少々戸惑い混じりの言葉が固唾を呑んで疑問を飛ばす。それに対し、華凪さんは不敵な笑みを浮かべて、疑問の答えを口にする。
「あー、あのね、実は峯森も昔アイドル志望で育成校入って」
「ああああああやめなさいやめなさい‼︎雪音ぇぇぇぇ‼︎」
峯森さんにそんな過去があったのかと、勝手にステージで歌う峯森さんを想像してみる。うん。案外しっくりくるな。
しかし、想像とは裏腹に眼前の峯森さんは頭を抱え、丸くなって呻いていた。
「……峯森さん、大丈夫ですか?」
「もう要件だけ聞いて早く帰ってもらって……」
完全に地雷を踏んだらしく、しばらくは再起不能だろう。諦めて、華凪さんに問う。
「それで、私たちに用って……」
峯森さんの背中をぽんぽんと叩く華凪さんは、立ち上がってこちらに真剣な眼差しを向けた。
「私の母校である育成学校に、Tri clapを推薦しにきましたー!」
朝日なんか眺めて何をしているのか、と思われる方もいるだろう。それには、マリアナ海溝よりも深い訳があるのだ。
事の発端は先日の18:00頃。私たちはとある難題に立ち向かっていた。
唐突に始まった会話の内容は「アイドルなんだから持ち曲の一つや二つ持ってないとおかしい」というものだった。
まあ、当然のように既存曲を歌う姿では、オーディション合格の称号もあってないようなものなのである。
「それじゃあ、まずは曲の主題を考えよう。メロディとかよりも今は『Tri clap』らしい歌詞だとかを重視したほうがいいかも」
宮古の言葉に続くよう挙手をはかるいろはちゃんの「熊」の一言を全力で無視して、思考をフル回転させる。視界の端の方でいろはちゃんがなにかにツッコミを入れているが、今はどうでもいい。どうせ熊のことなんだから。
22時。もう明らかに限界が近づく時間だ。いろはちゃんに至っては、肌に悪いと建前を残して睡眠欲求の餌食になってしまったらしい。もしかしてこの子、中身は小学生なのかもしれない。
23時。大量に出てきた語群をあらかたまとめ、言葉をグループごとに分類する。明るい前向きな印象が大半を占めるなか、数個はみ出ていた「餃子」だとか「LED」だとか訳の分からない単語も数個確認できた。
私はそれらに微笑みかけ、消しゴムを手に取る。
1時。遂に日を跨いでしまったが、ここまできたら引くに引けない。完全に明かりが消滅した廊下に怯えながらお手洗いに向かったりもしながら、遂に語群たちが詩の形を作り始めた。
2時。よく考えたら、誰一人メロディ作成だとかそういう事が出来ないということに気付く。あまりに遅過ぎる発覚だが、今更悔やんでもどうにもならない。とりあえず字数とかを綺麗に整えていく事に集中しよう。
3時。この辺りから記憶がない。
そして今に至る訳だ。恥ずかしいの極みだろう。これがTri clapなのだ。
quartetto社内に泊まり込み、かなり無駄な一夜を明かした我々。目の下にクマを作りゾンビのように唸る。
よかったねいろはちゃん、大好きなクマだよ。
このquartetto社内で倉庫と化していた一室で朝を迎える私たちは、もう何が何だか分からなくなっていた。
机の上に乱雑に並べられた紙を手に取り、あくびをかます。適当に選んだのは、餃子が書いてあった紙だった。
「んぉ……まじかもう朝……」
背景で宮古がむくりと起き上がる。冬も近くなる中、暖房をほぼ最大と言っていいレベルで効かせている部屋には、毛布だとか気の利いたものは無かった。
「とりあえず、コンビニにでも朝ごはん買いに行かない?」
「え、蕣お前それで行くつもりかよ」
寝起きのボッサボサ髪と、学校指定の体操服。確かにこんな姿でご近所コンビニだとかは普通にアウトである。
なので、持参していた道具たちで髪を整え、鞄の中に乱雑に詰め込まれた制服を取り出して羽織る。多少シワがあるものの、別に不自然ではない筈だ。
シャツから透けるクソダサ指定体操服の『七海』の文字を隠す為にブレザーを着て、先ほどと比べて軽くなった鞄片手に戸を開く。
宮古と相談の結果、小学生並みに起床能力がないいろはちゃんは置いて行こうということになった。サンドイッチくらいは買ってきてあげようと思う。
「ああ、蕣これ」
「ん?」
宮古の手に乗せられた使い捨てマスクがこちらに向けられる。今からとは、少し気が早いのではないだろうか。冬場に猛威を振るうインフルさんも涙目の早期対策である。
「別にそういう使い方じゃねえからな?顔バレ防止だよ」
ああ、そういう事か。やはり少し早いなとは思っていたのだ。
確かにquartetto社を構える土地の近隣で経営するコンビニなんて、かなり面倒なことが起こりかねない場所だ。
「発信地に近けりゃ近いほど知名度上がるからな、ご当地アイドルとおんなじ要領だよ」
「な、成る程」
あまり階数は高くないという点を踏まえ、階段を使って一階まで降りることにした。朝の眠気覚まし兼、ちょっとした運動のかわりだ。
しかし、朝だというのに社内はバタバタとスタッフが駆け回っている。スタジオがある訳でもないので、こんな事はあまりない筈だが……
非常階段出口前を通り過ぎる若いスタッフが、不意にこちらへ声を向ける。
「あっ蕣ちゃん宮古ちゃん‼︎早く上の階行きな‼︎」
唐突な言葉に、あまり意味が汲み取れなかった。何を言っているのだろうか。
その言葉に答えるよう、都が問う。
「なっ……なんかあったんですか?」
「今ね、なんかエントランスに不審者?が出たらしくて……‼︎」
なんか、実感が湧かないが、とんでもない状況に巻き込まれているのかも知れない。
スタッフが駆けていくのを見送り、宮古と顔を合わせた。
「どうしよう宮古」
「どうするよ蕣」
こんな事を言っているが、スタッフの言動が不確定な事。そして、空腹が結構限界に近い事を悟る。
ついでに、ちょっと見てみたいと思った。
一人の女性の声が響く一階エントランスへ向かって、コソコソと非常階段を降りる影が二つ。
不審者だなんて言われると、基本は中年男性を想像してしまうのだが、今回聞こえてくるのは女性の声だった。
非常口のマークの下に身を潜め、ゆっくりとエントランスを覗いてみる。すると、そこには異様過ぎる光景が広がっていた。
いや、もう本当に異様だった。
おそらくその不審者と思われる女性は、緑がかった長髪を靡かせながら———地に、伏していた。
顔はマスクとサングラスと、あとなんか包帯で隙間を埋めている。そんな、どっかの特撮作品で見たことあるような感じの人が、警備員に確保されていた。
しきりに聞こえてくる女性の声は、なんかどっかで聞いたことがある気がする。
「ちょっ……痛い痛いやめてほんと怪しいものとかじゃないんですって……あぁ今胸触ったな⁉︎ちょっと何し痛い痛いってちょギブギブギブ」
なんか、ものすごい緊張感のある雰囲気なんだろうけど、全く緊張感がない。バラエティ番組の隙間時間でやってるコントを見せられている気分だ。
そんな事を考えていると、後ろからカン、カンと、急いで非常階段を降りる音が聞こえる。それに対して、反射的に顔を振り向かせる。
——そこにいたのは峯森さんでした。
「何してんのあんたら早く逃げなさい‼︎」
「あっいや……つい好奇心といいますか……」
今度は、振り向いた背景から声が飛ぶ。不審者さんのものだ。警備員との格闘は、すでに諦めたらしい。
「あっ……ちょ峯森‼︎助けて‼︎たーすーけーてぇぇ‼︎」
「えっ……?」
峯森さんが、とてつもなく面倒くさそうな顔をしていたのは、おそらく私たち二人だけが知っているだろう。峯森さんの顔は、無表情を極めた人みたいになっていた。
峯森さんは、歩調を進めて不審者さんの前に立つ。「危ないですよ」という、警備員の声を一蹴して、地に伏す不審者さんと対峙するためしゃがみ込む。
「何やってんの雪音」
「プライベートだから変装してきたんだよ!そしたら捕まった!」
変装というか、もうコスプレの域に達しているだろうというツッコミが飛びそうになる。しかし、それ以前の疑問的な感情がその思考を統べていた。
「雪音……って……」
峯森さんの手によって外された、女性の顔の重装備が床に落ちて、タイルに反射しカランと音を立てる。不審者さんが、正体を表した。
「かっ……かな……⁉︎」
「えぇ……」
「いやー、まさか不審者に間違えられるとはねー‼︎」
黒いコートに身を包んだ、顔が公に出てしまった不審者さん改め———
ETERNAL BEATの、華凪雪音。
華凪さんは、髪をくしゃくしゃと掻きながら「まいったまいった」と続ける。
なんでこんなすごい人がこんなとこにいるんだとか。
なんであんな訳わかんない格好してたのかだとか。
お腹すいたなぁ、だとか。
言いたい事は色々とあるが、今は深く考えずに華凪さんに会えたという事を喜ぶべきなのだろう。同じ道を歩んできた先輩として、聞きたいことも山ほどあったり……
「で、どんな用件でわざわざquartettoまで?」
腕を組みながら壁にもたれ、依然として不機嫌そうに問う峯森さん。なぜ機嫌が悪いのかは分からないが、とりあえずそこに触れてはいけない気がしたので、とりあえず相槌を打っておく。
「あーうん、用件あるのはね、この子達にだよ」
ビシッとこちらに指を向ける華凪さん。
私たちに用がある。今、私の内心では「マジか」という単語がずっと暴れ回っているらしい。
「まさか、Tri clapが気に入らないから解散させろとか……」
「んな訳ないだろ⁉︎峯森は私をなんだと思ってんだよ!その逆だよ!」
二人の茶番劇に発展してしまった会話を、ただはにかんで見つめていた。こうする以外の手段があるなら、是非教えて欲しいものだ。
「あの……華凪さんと峯森ってどういった関係?」
宮古の挙手と、少々戸惑い混じりの言葉が固唾を呑んで疑問を飛ばす。それに対し、華凪さんは不敵な笑みを浮かべて、疑問の答えを口にする。
「あー、あのね、実は峯森も昔アイドル志望で育成校入って」
「ああああああやめなさいやめなさい‼︎雪音ぇぇぇぇ‼︎」
峯森さんにそんな過去があったのかと、勝手にステージで歌う峯森さんを想像してみる。うん。案外しっくりくるな。
しかし、想像とは裏腹に眼前の峯森さんは頭を抱え、丸くなって呻いていた。
「……峯森さん、大丈夫ですか?」
「もう要件だけ聞いて早く帰ってもらって……」
完全に地雷を踏んだらしく、しばらくは再起不能だろう。諦めて、華凪さんに問う。
「それで、私たちに用って……」
峯森さんの背中をぽんぽんと叩く華凪さんは、立ち上がってこちらに真剣な眼差しを向けた。
「私の母校である育成学校に、Tri clapを推薦しにきましたー!」
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