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15【白き力】

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「三十匹位は狩れたかな」

「そうね結構いたわね」

「そろそろ引き返すか」

「早く帰ってマタタビエールを飲みたいわ」

ニャー!来ないでニャー!

「悲鳴?」

「この声は?まさか!」

二人は一目散に声のする方へ向かった

「誰かー!助けてニャー!」

「「カンナちゃん!!」」

「お兄ちゃん!」

ウガァーー!

なんだあの巨大なモンスターは?

「サイクロプスよ!今の私達では到底敵わないわ!」

「何でこんな奴がここにいるんだ?」

「分からないわよ!取りあえずここは一旦引いて援軍を呼びましょう」

「そんな事出来るか、カンナちゃんが殺されちまう」

「でもあなたが死んでしまうわ」

「どうすればいいんだ?どうすれば?」

「助けて、お兄ちゃん!」

ウガァーー!

「クソー!考えるな!動け!動け!動け!ターニャ!俺があいつを引きつける!その間にカンナちゃんを救出して逃げろ!」

「わ、わかったわ!死なないでよ!」

「当たり前だ!こんな所で死んでたまるか!」

俺は奴めがけて石を投げつけた

「おい!クソヤロー!こっちだ!」

ウガァーー!

「よしこっちに来た!ターニャ頼むぞ!」

ドスン!ドスン!ドスン!

「クソ!コイツ意外と足が速いな」

ハァハァハァ

「そろそろ逃げれた頃合いだな後はコイツを撒ければ良いのだが」

ウガァーー!

サイクロプスは巨大な棍棒を俺めがけ投げはなった

ズドーーン!

「危ねぇー!こんな物一撃でも喰らったらお陀仏だ、!!」

その巨大棍棒が通路を塞いだ


「クソ!退路を断たれたか」

「お兄ちゃんを助けに行くの!」

「ダメよ!ここから早く逃げるのよ!」

「ヤダ!ヤダ!ヤダ!」

カンナはターニャの腕を振りほどき博の後を追いかけた

「カンナちゃん!ダメよそっちに行っては!」

「ハァハァハァ、クソッ!奴の攻撃をかわすので精一杯だ」

「お兄ちゃん!」

「カンナちゃん来ちゃダメだ!」

ウガァーー!

「クソッ!カンナちゃんを標的にしたな、そうはさせない!」

俺は奴の太もも目掛け大きく振りかぶった

ガン!

「何て硬さだ」

「ウガ?」

「クソッ!もういっちょ、オラー!」

ガン!パキーン!

「えっ?」

俺の剣が真っ二つに折れた

「ええーーーっ!?」

「ニャーーー!?」

「ウソーーーッ!?」

「俺のロングソード(銀貨五枚)がーーー!」

ウガァーー!」

サイクロプスは拳を振り下ろす

「あぶねぇーー!」

ウガァーー!

「!何っ?二段モーション!コイツ俺の避けかたを学習したのか?クソッ!かわせない!!」

サイクロプスの拳が博の身体をくの字に曲げて吹き飛ばす

「グハッ!」

「お兄ちゃん!」

「クソッ!意識が.....」

「お兄ちゃん!お兄ちゃーーん!」

「お兄ちゃん!起きて!お兄ちゃん!」

「あれっ?この感覚覚えがある、そうだ死んだ日の感覚だ」

「お兄ちゃん!」

「!?君は確か前に現れたよね?君は一体誰なんだ?」

「そんな事はどうでもいいの、それよりも早くしないと時が動き出してしまうわ」

「俺は死んだのか?」

「まだ死んではいない、けれど生きるか死ぬかはお兄ちゃん次第」

「俺次第?」

「そう」

「どうすれば、あの二人を守れるんだ?」

「お兄ちゃんの中にある白き力を解放するの」

「白き力?」

「そう、何者にも防ぐ事の出来ない、全ての者を貫く、白き槍【ホーリーランス】」

「ホーリーランス?」

「そう、お兄ちゃんの心に眠る力」

「そんな力が俺の中に有るのか?」

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」

「博!博!」

「ほら、お兄ちゃん二人が呼んでるよ、またねバイバイお兄ちゃん」

「お兄ちゃん!」

「博!」

サイクロプスがもう一度拳を振り下ろした

ドガン!

「「イヤーーッ!」」

「ウガッ?」

「お兄ちゃん!」

瀕死の状態の俺が立ち上がっていた

「何者にも防ぐ事の出来ない全ての者を貫く槍、いでよホーリーランス!!」

博の右手に神々しい白き槍が現れた

「イケーーーッ!!」

白き槍は轟音を奏でながらサイクロプスの身体を突き抜けた

ズドーーン!

サイクロプスの身体には見事に大きな風穴が空いた

ドシーン!!

「やったの..か?」

倒れたサイクロプスを横目に俺は立っていられなくなった

「ウウッ!」

「お兄ちゃん!」

「博!」

二人が俺の身体を支えてくれる

「カンナちゃん、大丈夫か?」

「うんカンナは大丈夫だから、お兄ちゃんの方が...」

「俺は大丈夫さっ.....ガク」

「お兄ちゃん!?」

「早く町に運びましょう」

「うん」
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