追放された回復術師、実は復元魔法の使い手でした

理科係

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最終話決断

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昼になった。
 ドゥールが合流し、二人は先日行ったカフェに向かう。

「結局どうするのか決まったんですか?」
「うん、まあね」

 曖昧な返答で応える。不安と緊張で顔から血の気がひいていた。
 カフェに入ると、すでに真紅の眼のメンバーは席のついていた。エルディはラノイを見つけると、手招きして呼び寄せた。ラノイ達もそれに応えるようにして席に座る。

「先日はすみませんでした」

 開口一番、エルディはそう言いながら頭を下げて謝った。

「え……」

 突然の謝罪にラノイは困惑した。

「最後の方取り乱してしまいました。本当不快な思いさせてしまって本当申し訳ありませんでした」
「いやいや、頭をあげてください。全然大丈夫ですから」

 見た目からは想像できないほど丁寧な謝罪に、思わずたじろいでしまう。実際そんなに傷ついていないからむしろ申し訳なく思ってしまう。

「それでその、本題のパーティー加入の件は……」
「それなんですが……その……」

 言いにくそうにもごもごし、一瞬店全体に静寂が訪れた。
 短く深呼吸した後、ラノイはエルディの目を見て言った。

「加入の件は申し訳ありませんがお断りさせていただきます」
「……それはなんでですか?」

 さっきまでとは打って変わってハキハキとしたその物言いに、鳩が豆鉄砲を食ったような表情をエルディたちはしていた。

「正直誘ってもらったときは嬉しかったんです――」
「それなら、断ることもないんじゃ!」
「――でも、自分の魔法も付加もまだまだ未熟だし、このまま入っても足を引っ張ってしまうんじゃないかと……」
「そんなの、パーティーに入ってから努力すれば」
「とにかく今回の件はお断りさせていただきます。本当にすみません」

 しばしの沈黙の後、エルディが口を開いた。

「わかりました。無理して加入することもないですからね。でも、気が変わったらすぐ来てください。その時は歓迎しますから」
「はい、わかりました」

 程なくして真紅の眼はカフェを出た。それとほぼ同時にラノイ達もカフェを出た。その顔はいくらかシャッキリしていて、血色も元に戻っていた。

「ほんとに良かったんですか?」

 ドゥールが訪ねる。

「……うん。これでよかったんだよ」

 その言葉に迷いはなかった。
 途中ドゥールと別れ、宿屋に戻ると、扉の前にエルマがいた。エルマはチラリと顔を見ると、ふっと小さく笑った。

「どうやら、一区切りついたみたいね」
「うん。で、なんでここにいるの?」
「クエストに行く前に、あんたに話があって」
「何?」
「…………これからも頑張ってねって」
「それを言いにわざわざ来たのかい?」
「なによ。駄目なわけ?」
「いや、ありがとう。エルマも頑張って」

 それだけ言うと、エルマは足早に去っていった。
 ラノイは明日の準備を終え、ベッドに入った。

 明日はどこへ行こう、そんなことをぼんやりと考えながら、目蓋を閉じ、眠りについた。
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