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転生システムの構築
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『聞こえますか』
辺りに突然響いた声に、老人たちは視線をキョロキョロと彷徨わせた。
無事聞こえているのようなので早速本題に入ろう。
『私はこの世界の観測者です。今回はあなた方に選択肢を与えに来ました』
途端に、胡散臭そうな表情になる2人。
その気持ちはわからないでもないが、助ける側としてはもうちょっと抑えていただきたい。
コホン、と咳払いをし、そのまま説明を続ける。
『選択肢とは2つ。1つはこの世界でこのまま死んで行くこと。もう1つは別の世界で生き直すこと』
この世界で亡くなった場合には、輪廻によりまた同じ世界に生まれ、状況が変わらなければまた同じ事が起こる。それを回避するためにも出来れば別の世界へ行ってもらいたい。
しばらく無言が続いた。
先に話しかけてきたのは老婆のほうだった。
「えぇと、なんと呼び掛けたら良いのかしら。観測者さん?生き直す、というのはどういうことなの?]
『そのままの意味にとってもらえれば結構です。全く違う世界で、全く違う人生を送ってもらうことになります』
その場合には、今の年齢のままか、産まれ直すのか、若返るのかも選択可能となること。
そして、一つだけその世界に持っていけることを伝える。
老人たちは少しの間話し合って、また話しかけてきた。
「一つだけ持っていける、ということですが制限はあるの?生き物はダメとか、そういう・・」
話し合いの内容も聞こえてはいたが、その内容に疑問を持つ。
彼らは先ほどの子供を連れていけないか相談しているようだった。
『特に制限はありません。しかし、先ほどの子供を連れていくのには疑問があります。彼はあなた方を捨てたのでしょう。何故救いを差し伸べるのです』
今度は、老人たちが驚いた顔をした。
会話が聞こえているとは思わなかったのだろう。
「観測者様にはそう見えたかもしれない。けれど、本当はあの子こそ救ってやらねばならない子なのよ」
老婆が悲しそうな顔で語った。
老人たちの住む土地では老人だけではなく子供も間引く対象になっていること。
そして、あの子供もその対象となっており、山に捨てるのは外聞が悪いため、老人を山に捨てた後迷子になって見つからない予定になっていること。
その事実を、あの子供は知らないこと。
なんということだろうか。
確かにここ最近、子供の遭難率は上がっていた。
そんなことに気づいていなかったとは、観測者としての失態だ。
『わかりました。その子供も一緒に連れていきましょう。しかし意思を持つ者の場合には同意が必要になります。同意しなかった場合には連れていけませんがよろしいですか?』
その言葉にゆっくり頷く二人。
それを見て、観測視点を変えた。
辺りに突然響いた声に、老人たちは視線をキョロキョロと彷徨わせた。
無事聞こえているのようなので早速本題に入ろう。
『私はこの世界の観測者です。今回はあなた方に選択肢を与えに来ました』
途端に、胡散臭そうな表情になる2人。
その気持ちはわからないでもないが、助ける側としてはもうちょっと抑えていただきたい。
コホン、と咳払いをし、そのまま説明を続ける。
『選択肢とは2つ。1つはこの世界でこのまま死んで行くこと。もう1つは別の世界で生き直すこと』
この世界で亡くなった場合には、輪廻によりまた同じ世界に生まれ、状況が変わらなければまた同じ事が起こる。それを回避するためにも出来れば別の世界へ行ってもらいたい。
しばらく無言が続いた。
先に話しかけてきたのは老婆のほうだった。
「えぇと、なんと呼び掛けたら良いのかしら。観測者さん?生き直す、というのはどういうことなの?]
『そのままの意味にとってもらえれば結構です。全く違う世界で、全く違う人生を送ってもらうことになります』
その場合には、今の年齢のままか、産まれ直すのか、若返るのかも選択可能となること。
そして、一つだけその世界に持っていけることを伝える。
老人たちは少しの間話し合って、また話しかけてきた。
「一つだけ持っていける、ということですが制限はあるの?生き物はダメとか、そういう・・」
話し合いの内容も聞こえてはいたが、その内容に疑問を持つ。
彼らは先ほどの子供を連れていけないか相談しているようだった。
『特に制限はありません。しかし、先ほどの子供を連れていくのには疑問があります。彼はあなた方を捨てたのでしょう。何故救いを差し伸べるのです』
今度は、老人たちが驚いた顔をした。
会話が聞こえているとは思わなかったのだろう。
「観測者様にはそう見えたかもしれない。けれど、本当はあの子こそ救ってやらねばならない子なのよ」
老婆が悲しそうな顔で語った。
老人たちの住む土地では老人だけではなく子供も間引く対象になっていること。
そして、あの子供もその対象となっており、山に捨てるのは外聞が悪いため、老人を山に捨てた後迷子になって見つからない予定になっていること。
その事実を、あの子供は知らないこと。
なんということだろうか。
確かにここ最近、子供の遭難率は上がっていた。
そんなことに気づいていなかったとは、観測者としての失態だ。
『わかりました。その子供も一緒に連れていきましょう。しかし意思を持つ者の場合には同意が必要になります。同意しなかった場合には連れていけませんがよろしいですか?』
その言葉にゆっくり頷く二人。
それを見て、観測視点を変えた。
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