異世界転生システム

ぐら

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最終確認

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新しい管理世界へと転移させたあと、歪みバグがないか確認する。

少年と元老人たちは問題なく完了したようだった。
多少今までと勝手は異なるだろうが問題ない範囲だろうし、肉体操作を行ったのだからしょうがない部分もあるだろう。初めて行った転移にしては及第点ではないだろうか。
少しの間観察し、問題ないことを確認したあとに、元の世界の観察へうつる。


同じような人間が居れば新しい世界へと移す作業を行ううち、元の世界は緩やかに崩壊を辿っていった。
不要と判断したものは山へ捨て、生に執着するものは状況を打破することもせずに傲慢に暮らす。
欲しいものは心根の優しい他人から奪い、自分は何も差し出さない。そんな生活は長く保つはずがない。

そこかしこにある朽ち果てた遺体と争いの跡、そしてそこに住まう傲慢な者。
いずれ人間はほぼ居なくなり動物たちの楽園となろう。
動物だけの国も面白いかもしれない。口元に笑みが浮かび、観測者失格だと気を引き締める。
これが元の世界の人間たちへの最後の仕事だ。





『私はこの世界の観測者です。今回はあなた方に選択肢を与えに来ました』
新しい世界への最後の転生だ。もちろん、傲慢な人間は連れて行かない。
人口が増えれば同じような人間は増えるだろうが、初めからと分かっているものは不要だ。



それからしばらくの後、元の世界では人間はほぼいなくなったらしい。
傲慢だった者の中にはその後改心し、寿命を全うした者もいたようで、その子孫が少数ながら生き延びているようだ。
らしい、というのは観測者から外れ、状況がわからなくなったからだ。
観測者ではなく、新しい世界の管理者へ正式に変わった。元の世界の観測は後任の観測者が行っている。
私が観測していた時代のような人口ではないため、観測が楽だと漏らしていた。
それは良いことだと相槌を打ち、新しい世界の管理へと戻った。



それから観測者たちの間では、転生システムを上手く使えば管理者に昇格できる、と安易に考えた観測者が頻発し、一部の星で異世界転生が流行した。
断じて私のせいではない、と思いたいー


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