焦点上の考察

filmerror

文字の大きさ
1 / 1

焦点上の考察

しおりを挟む

深い木々の中、ファインダーを覗き込む。


小鳥のさえずり、風のなびき、揺れる葉っぱ、それに紛れ込むように鳴るシャッターの音。
一枚、また一枚と切り撮る。

写真というのは不思議なもので、たとえ同じ風景、同じ位置で撮影したとしても、
自分の目で見た景色と実際に撮れる景色というのは、ほとんど違うものになる。

カメラを持ち始め月日は経つものの、それが揃うことは今までの一度も無い。

探り探りで露出を開き、どれだけ光を取り入れるかだったり、映すモノの速度に合わせコマの速度も変える。

ファインダーに表示されている水平点を確認しながら、パースを決め込む。

いつも決まったものではない。
風景も時間を重ねるに連れて変化していく。
誰かが全く同じ条件で撮ったとしても、出来上がってくるものはそれぞれに違いがある。
それが面白いのだから、写真は良い。

***

自分にとって良い写真というのは、直感で良いと思って決めている感じがする。

陽のあたり方や、構造物の存在感、いろいろあるが自分は全てその場その場で適当に撮っている。

あれこれ考えて、何を撮りに行くだとか、そういうのは自分に合ってないと、これも直感でそう思う。

気合を入れて撮るのも良い写真になるのだが、  それは自分が良いと思う写真ではなくあくまで撮りに行くことが先行してしまって、その実中身のない写真になってしまいがちだ。

そういう写真は、多分数年後には覚えていないだろう。そうなれば本分である記録にすらならない。

***

確か、いつの日だったかある女性が言っていた。
「ただの記録としてでなく、情景を写しとることで初めて写真になる」
自分は、そんなもの綺麗事だ、と言ってしまい会話が途切れてしまったことがあった。

今になって思い返すと、写真を基に景色に添って文を書いていることは、綺麗事なのではないか。

いくら綺麗にまとめたって、写真は写真だ。
その域を越えるには、それが必要なのか。
あれこれ考えるのは難しい。
綺麗事がない世界で良い写真は撮れないのだろうか。


今はただシャッターを下ろすばかりである。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...