星降る村のパン屋さん

月森こもれ

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あとがき

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最後までお読みいただきありがとうございました。

「星降る村のパン屋さん」はほんの小さな村とひとりの少女の物語です。

もしあなたの心の中に少しでもあたたかな香りが広がったなら、それはきっとこの物語が持つ灯のおかげだと思っています。



私はもともとパンの焼ける音や匂いがとても好きでした。

朝、家族のために焼くトーストの香ばしさや、パン屋さんの前を通り過ぎるときのほっとする感じ。

それらがどんな困難な日でも「今日も大丈夫」と思わせてくれる。

そんな力があるように感じていたのです。



だからこそ「パンを焼く」という行為を通して、失われたものをもう一度灯す物語を書きたいと思いました。

そして、主人公のリゼットには「諦めない強さ」よりも「信じて手を動かす優しさ」を託しました。



彼女は、ただ一人で戦ったわけではありません。

心をこめて土を耕し、声をかけ、想いをパンにこねていくことでやがて村の人々も手を貸し支え合うようになりました。

それはまさに、火が人を集める瞬間だったと思います。



この物語を読んでくださったあなたの中にも、きっと小さなかまどがあるはずです。

もしかすると、まだ火は灯っていないかもしれません。けれど、水をあげ星に願いをかければいつか芽が出る。

そしてあなた自身がその火を守る人になれると信じています。



願わくば、この物語があなたのなかの星をひとつだけでも灯せますように。

リゼットのパンの香りとともに——。


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