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第五章『開戦』
129話 開戦の閃光
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「大変です! アンタム都市連邦の連合軍が国境を越えたとのこと!」
駆け込んできたのは、義母さんと一緒に里帰りしてきた、うちの若手兵士だった。
「戦争です!」
荒々しく開けられて壊れてしまった蝶番に気づかず、兵士は鼻息荒く義母さんに手紙を渡す。封蝋は我が家の紋章なので、親父からのものらしい。
アンタム都市連邦に面した西側に多くの領地を持つ公国派貴族が、塩の売買で大損して税が払えなくなった話を聞いたあたりから、怪しいなとは思っていた。塩を売れという国王陛下の命令は、派閥が自分にきちんと従うかを試していたもののはずで、公国派はそれに堂々と反抗したのだ。許されるはずもない。
義母さんは、すぐさま手紙の封をナイフで切って、手紙を読み始めた。
「アンタムは、先王陛下を公王に即位させて、ログラムから独立させることを狙ってるみたいね。国王陛下は、第十五騎士団と第十三騎士団の派兵を決定したそう。予想通りではあるけど、少し早いわ」
「我々も原隊に復帰しましょう」
兵士は、床に積まれている剣を一瞥した。すでに運び込まれた剣の大半はメッキを終えているが、一部まだのものもある。今洗っているものや組み立てを考えると、あと半日ぐらいははかかるだろう。
派遣されるという第十五騎士団はうちの親父が副団長をしている騎士団なので、もうあまり時間はない。ちなみに、もう一つの第十三騎士団は、パール伯爵が率いる古典派貴族中心の騎士団だ。
「今から復帰しても遅いわね。武具は必要なものだし、最後までやってしまいましょうか。それとイント、前に手紙で頼んでいたことはどうなってるかしら」
「実戦で役に立つかとか数がそろっているかは別にして、だいたい形にはなってるよ。奇襲用の乗り物は、今テスト中だけど」
「奇襲用の乗り物? それはすごい楽しみね」
◆◇◆◇
「なんてこったーー」
ヴォイドは、昨日まで第十三騎士団が陣を張っていた場所に、気配を消した迷彩の狩人スタイルで立っていた。副団長が斥候にいくなんて、と部下には止められたが、やはり自分の目で見るのは大切だと思ったからだが、ここまで無惨なことになっているとは思わなかった。
周囲には、焼き払われたテントと、一部だけが焦げた遺体が散らばっている。
「やはり、神術士でも防げないか」
焦げた遺体の中には、聖紋神術士がよく使う杖を握ったままのものがチラホラと混じっていた。パール家は防御結界に長けた家で、同時展開できる枚数は少ないが、一枚あたりの結界強度で言えばそこらの冒険者より遥かに強力なのだ。
それが、なすすべもなく焼かれている。
「この傷は、火系統か? しかしそれなら護法結界が防ぐはず。まさか神の奇跡というわけでもあるまい」
ログラム王国が知らない新兵器を、教皇領ルップルや軍事都市サリアムの軍隊が戦利品として持ち帰ってきて使っている可能性はかなり高い。若い頃、東方から2年がかりの旅をして、両親の故郷であるこの国に帰ってきたが、途中で聖地争奪戦争の噂を聞いた。
その中には神術士を神の光で焼く兵器の話も確かあった。しかし、対策まではヴォイドも知らない。イントには当時聞いた噂を記憶の限り書きつけて送ったが、あまり期待はしていない。
「ふむ。早く戻らないとうちも危ないな」
神術や仙術を使える人間は、そうでない人間より圧倒的に強い。が、それでも無敵ではないのだ。
◆◇◆◇
「陛下、第十三騎士団が敗北し、総崩れになったようです」
第一騎士団、通称『近衛騎士団』の団長であるレールズ・ルビィは、頭を下げていたせいで国王の表情の変化を見逃した。
「損害は?」
一拍あけて、国王は感情を押し殺した声で聞く。
「騎士団長のパール伯爵は行方不明です。副団長のパール子爵を始め、有力な貴族士官は戦死、捕虜、敵前逃亡でほぼ戦場には残っていません。今は従士扱いで参加していた子爵の息子であるリシャス・パールが臨時の指揮官になって敗残兵をまとめようとしているようです」
リシャス・パールはまだ十二歳で、イント・コンストラクタと決闘騒ぎを起こした人物だ。そんな人物でも、古典派は血が濃ければ指揮官にする。笑えない話だ。
「従士としてでも若いな。なぜ従軍していたんだ?」
「さて、そこまでは」
近衛騎士団長のレールズは、リシャスに一片の興味もないようだった。
「第十五騎士団はどうしている?」
国王は机に両肘をついて俯いたまま、話題を変えた。レールズの位置から、表情はうかがえない。
「第十三騎士団が敗れた後、軍を細かく割って騎士団丸ごと潜伏しました。先の戦争でやった戦法の拡大版ですな。糧食を狙った奇襲と指揮官を狙った暗殺により、敵の進軍は止まっています」
「公国派は?」
「予定通り、開戦前に王都から脱出をはかった者はだいたい捕縛しましたが、プリーク・スカラ侯爵は取り逃しました。他の有力な者は元々領地に帰っていましたので……」
国王はため息を一つつく。
「君主とはままならないものだな。公国派は恭順のタイミングを与えたのに裏切るし、古典派は名誉挽回の機会を与えたにも関わらず無能ときた。一応、手を打ってはいたのだがな」
国の運営は難しい。意見が違うからと粛清すれば人材が不足するし、無能だからと配置転換しようとしても後任が前任より無能である可能性もある。
だからといって、国の方針に真っ向から反対して妨害を続ける人間に権力を与え続けると、方針が有名無実なものとなってしまうし、無能な人間は権力の源泉が血であるかのような錯覚をもってしまう。
「しかし、どちらに転んでも良いように、陛下は策を巡らしておられたではないですか。
ナログ共和国は国民と各ギルドから選ばれる議会の議員が元首を決め、アンタム都市連邦は自治を許された都市国家の代表が話し合って行動を決めます。
どちらの制度も、失敗すれば権力を失いますので、陛下のように失敗を組み込んだ策はなかなか打てるものではありません。今回、公国派はもう手遅れでしょうが、陛下は潰した後のこともお考えなのでしょう?」
国王は、一転して獰猛な笑いを浮かべた。
「ああ。新しい世代には優秀な者が多いからな。この難局を超えられれば、我が国はもっと強くなるぞ」
◆◇◆◇
「噂には聞いとったけど、これはすごいもんやな。人工的に作ったもんか?」
商業都市ビットを支配する商業ギルドの役員たちが居並ぶ会議室。そこに並べられていたのは、羅針盤と望遠鏡だ。そのどれにもヤーマン工房の刻印が入っている。
商業都市ビットは、アンタム都市連邦の連邦評議会の議決に従い、ログラム王国に出兵した。その初戦、王国の第十三騎士団を追撃した際に鹵獲したもだ。
「はい。磁針は天然の磁鉄鉱とは考えにくく、望遠鏡の心臓部に組み込まれていた宝石も、天然の水晶より脆い材質でした。そして同じ物が各斥候部隊に二つずつ配備されている模様です」
「つまり、このヤーマン工房ちゅうとこでは、すでにこれが安定して量産できとるっちゅうことか。ナログ共和国へは輸出されとるんか?」
「羅針盤については、国交回復時に輸出が開始された模様です。望遠鏡についても、輸出が検討されていたようですが、近衛騎士団長が騎士団への供給を優先するよう横槍を入れたそうです」
出席者たちが舌打ちして天を仰ぐ。
急に不機嫌な沈黙がおりてくる。
「あの、わたくしの報告に不備がございましたでしょうか?」
沈黙に耐えきれず、凹んだ円卓の内側に立っていた、報告者が口を開く。
「ああ、報告はわかりやすかったで。せやな、普通の船乗りと、ここに座れるほどの船乗りは何が違うかわかるか?」
「……わかりません」
「このテーブルをこの辺りの海に見立てたらな、あんさんが立ってる凹みがビットのある半島や。普通の船乗りはな、陸を見失わないように目的地までぐるっと迂回すんねん。でも星詠みができる船乗りは、風さえ良ければ一直線に航海できんねん。海岸から離れてしまえば、海賊に襲われる心配も、迂回して時間を無駄にする必要もあらへん。利益は桁違いや」
「なるほど。星詠みとは素晴らしい秘術ですね」
「せや。でもこれからは変わんねん。羅針盤があったら星詠みなんかいらへん。ちょっと目的地からずれても、望遠鏡があればすぐ地形と地図を照合できる。それに、もしかしたら外海でも同じことができるようになるかもしれん。放置したら、ナログ共和国においしいとこ全部持ってかれてまうで」
ナログ共和国と商業都市ビットは、内海に突き出た半島の表と裏で、共に海洋国家だ。いわばライバルなのである。
「マスター、外海でもというのはどういう意味でしょうか?」
話を聞いていた役員が手を挙げて説明する。
「それはやな。『ログラムの賢者』と呼ばれたゴート・コボル元侯爵がコンストラクタ家の支援に入ったからや。若い頃、陸が見えない状態で船の位置を知る方法を聞きに行ったことがあるんやけどな。方角を測る羅針盤と、星の角度を正確に測る道具と、時間を測る道具があればできるって言うとってん」
会議室がざわめく。
「つまり、この羅針盤と、星の角度を測る望遠鏡と、あとは時間を測る道具が実現すれば、遠洋航海が可能になると?」
「せや。まぁ今の状態でも十分脅威やけどな。こっちで掴んでる話では、他にもアンデッド対策になる聖水の再現、同等の性能で粉状の聖水もどき、石鹸、紙に真っ白な布、鋼の剣をミスリルの剣に錬成する技術に、あとは空中に浮かぶ袋なんてものも作ってるらしいねん。新技術のデパートや」
ざわめきが大きくなる。
「惜しいですね。交易できれば、その技術が手に入ったかもしれないんですが」
「せやな。勝てれば手に入るんやろけど、そう簡単にいくとは思われへんな。コンストラクタ家からさらなる隠し球が出てきたら、兵を退くことも考えなあかん」
駆け込んできたのは、義母さんと一緒に里帰りしてきた、うちの若手兵士だった。
「戦争です!」
荒々しく開けられて壊れてしまった蝶番に気づかず、兵士は鼻息荒く義母さんに手紙を渡す。封蝋は我が家の紋章なので、親父からのものらしい。
アンタム都市連邦に面した西側に多くの領地を持つ公国派貴族が、塩の売買で大損して税が払えなくなった話を聞いたあたりから、怪しいなとは思っていた。塩を売れという国王陛下の命令は、派閥が自分にきちんと従うかを試していたもののはずで、公国派はそれに堂々と反抗したのだ。許されるはずもない。
義母さんは、すぐさま手紙の封をナイフで切って、手紙を読み始めた。
「アンタムは、先王陛下を公王に即位させて、ログラムから独立させることを狙ってるみたいね。国王陛下は、第十五騎士団と第十三騎士団の派兵を決定したそう。予想通りではあるけど、少し早いわ」
「我々も原隊に復帰しましょう」
兵士は、床に積まれている剣を一瞥した。すでに運び込まれた剣の大半はメッキを終えているが、一部まだのものもある。今洗っているものや組み立てを考えると、あと半日ぐらいははかかるだろう。
派遣されるという第十五騎士団はうちの親父が副団長をしている騎士団なので、もうあまり時間はない。ちなみに、もう一つの第十三騎士団は、パール伯爵が率いる古典派貴族中心の騎士団だ。
「今から復帰しても遅いわね。武具は必要なものだし、最後までやってしまいましょうか。それとイント、前に手紙で頼んでいたことはどうなってるかしら」
「実戦で役に立つかとか数がそろっているかは別にして、だいたい形にはなってるよ。奇襲用の乗り物は、今テスト中だけど」
「奇襲用の乗り物? それはすごい楽しみね」
◆◇◆◇
「なんてこったーー」
ヴォイドは、昨日まで第十三騎士団が陣を張っていた場所に、気配を消した迷彩の狩人スタイルで立っていた。副団長が斥候にいくなんて、と部下には止められたが、やはり自分の目で見るのは大切だと思ったからだが、ここまで無惨なことになっているとは思わなかった。
周囲には、焼き払われたテントと、一部だけが焦げた遺体が散らばっている。
「やはり、神術士でも防げないか」
焦げた遺体の中には、聖紋神術士がよく使う杖を握ったままのものがチラホラと混じっていた。パール家は防御結界に長けた家で、同時展開できる枚数は少ないが、一枚あたりの結界強度で言えばそこらの冒険者より遥かに強力なのだ。
それが、なすすべもなく焼かれている。
「この傷は、火系統か? しかしそれなら護法結界が防ぐはず。まさか神の奇跡というわけでもあるまい」
ログラム王国が知らない新兵器を、教皇領ルップルや軍事都市サリアムの軍隊が戦利品として持ち帰ってきて使っている可能性はかなり高い。若い頃、東方から2年がかりの旅をして、両親の故郷であるこの国に帰ってきたが、途中で聖地争奪戦争の噂を聞いた。
その中には神術士を神の光で焼く兵器の話も確かあった。しかし、対策まではヴォイドも知らない。イントには当時聞いた噂を記憶の限り書きつけて送ったが、あまり期待はしていない。
「ふむ。早く戻らないとうちも危ないな」
神術や仙術を使える人間は、そうでない人間より圧倒的に強い。が、それでも無敵ではないのだ。
◆◇◆◇
「陛下、第十三騎士団が敗北し、総崩れになったようです」
第一騎士団、通称『近衛騎士団』の団長であるレールズ・ルビィは、頭を下げていたせいで国王の表情の変化を見逃した。
「損害は?」
一拍あけて、国王は感情を押し殺した声で聞く。
「騎士団長のパール伯爵は行方不明です。副団長のパール子爵を始め、有力な貴族士官は戦死、捕虜、敵前逃亡でほぼ戦場には残っていません。今は従士扱いで参加していた子爵の息子であるリシャス・パールが臨時の指揮官になって敗残兵をまとめようとしているようです」
リシャス・パールはまだ十二歳で、イント・コンストラクタと決闘騒ぎを起こした人物だ。そんな人物でも、古典派は血が濃ければ指揮官にする。笑えない話だ。
「従士としてでも若いな。なぜ従軍していたんだ?」
「さて、そこまでは」
近衛騎士団長のレールズは、リシャスに一片の興味もないようだった。
「第十五騎士団はどうしている?」
国王は机に両肘をついて俯いたまま、話題を変えた。レールズの位置から、表情はうかがえない。
「第十三騎士団が敗れた後、軍を細かく割って騎士団丸ごと潜伏しました。先の戦争でやった戦法の拡大版ですな。糧食を狙った奇襲と指揮官を狙った暗殺により、敵の進軍は止まっています」
「公国派は?」
「予定通り、開戦前に王都から脱出をはかった者はだいたい捕縛しましたが、プリーク・スカラ侯爵は取り逃しました。他の有力な者は元々領地に帰っていましたので……」
国王はため息を一つつく。
「君主とはままならないものだな。公国派は恭順のタイミングを与えたのに裏切るし、古典派は名誉挽回の機会を与えたにも関わらず無能ときた。一応、手を打ってはいたのだがな」
国の運営は難しい。意見が違うからと粛清すれば人材が不足するし、無能だからと配置転換しようとしても後任が前任より無能である可能性もある。
だからといって、国の方針に真っ向から反対して妨害を続ける人間に権力を与え続けると、方針が有名無実なものとなってしまうし、無能な人間は権力の源泉が血であるかのような錯覚をもってしまう。
「しかし、どちらに転んでも良いように、陛下は策を巡らしておられたではないですか。
ナログ共和国は国民と各ギルドから選ばれる議会の議員が元首を決め、アンタム都市連邦は自治を許された都市国家の代表が話し合って行動を決めます。
どちらの制度も、失敗すれば権力を失いますので、陛下のように失敗を組み込んだ策はなかなか打てるものではありません。今回、公国派はもう手遅れでしょうが、陛下は潰した後のこともお考えなのでしょう?」
国王は、一転して獰猛な笑いを浮かべた。
「ああ。新しい世代には優秀な者が多いからな。この難局を超えられれば、我が国はもっと強くなるぞ」
◆◇◆◇
「噂には聞いとったけど、これはすごいもんやな。人工的に作ったもんか?」
商業都市ビットを支配する商業ギルドの役員たちが居並ぶ会議室。そこに並べられていたのは、羅針盤と望遠鏡だ。そのどれにもヤーマン工房の刻印が入っている。
商業都市ビットは、アンタム都市連邦の連邦評議会の議決に従い、ログラム王国に出兵した。その初戦、王国の第十三騎士団を追撃した際に鹵獲したもだ。
「はい。磁針は天然の磁鉄鉱とは考えにくく、望遠鏡の心臓部に組み込まれていた宝石も、天然の水晶より脆い材質でした。そして同じ物が各斥候部隊に二つずつ配備されている模様です」
「つまり、このヤーマン工房ちゅうとこでは、すでにこれが安定して量産できとるっちゅうことか。ナログ共和国へは輸出されとるんか?」
「羅針盤については、国交回復時に輸出が開始された模様です。望遠鏡についても、輸出が検討されていたようですが、近衛騎士団長が騎士団への供給を優先するよう横槍を入れたそうです」
出席者たちが舌打ちして天を仰ぐ。
急に不機嫌な沈黙がおりてくる。
「あの、わたくしの報告に不備がございましたでしょうか?」
沈黙に耐えきれず、凹んだ円卓の内側に立っていた、報告者が口を開く。
「ああ、報告はわかりやすかったで。せやな、普通の船乗りと、ここに座れるほどの船乗りは何が違うかわかるか?」
「……わかりません」
「このテーブルをこの辺りの海に見立てたらな、あんさんが立ってる凹みがビットのある半島や。普通の船乗りはな、陸を見失わないように目的地までぐるっと迂回すんねん。でも星詠みができる船乗りは、風さえ良ければ一直線に航海できんねん。海岸から離れてしまえば、海賊に襲われる心配も、迂回して時間を無駄にする必要もあらへん。利益は桁違いや」
「なるほど。星詠みとは素晴らしい秘術ですね」
「せや。でもこれからは変わんねん。羅針盤があったら星詠みなんかいらへん。ちょっと目的地からずれても、望遠鏡があればすぐ地形と地図を照合できる。それに、もしかしたら外海でも同じことができるようになるかもしれん。放置したら、ナログ共和国においしいとこ全部持ってかれてまうで」
ナログ共和国と商業都市ビットは、内海に突き出た半島の表と裏で、共に海洋国家だ。いわばライバルなのである。
「マスター、外海でもというのはどういう意味でしょうか?」
話を聞いていた役員が手を挙げて説明する。
「それはやな。『ログラムの賢者』と呼ばれたゴート・コボル元侯爵がコンストラクタ家の支援に入ったからや。若い頃、陸が見えない状態で船の位置を知る方法を聞きに行ったことがあるんやけどな。方角を測る羅針盤と、星の角度を正確に測る道具と、時間を測る道具があればできるって言うとってん」
会議室がざわめく。
「つまり、この羅針盤と、星の角度を測る望遠鏡と、あとは時間を測る道具が実現すれば、遠洋航海が可能になると?」
「せや。まぁ今の状態でも十分脅威やけどな。こっちで掴んでる話では、他にもアンデッド対策になる聖水の再現、同等の性能で粉状の聖水もどき、石鹸、紙に真っ白な布、鋼の剣をミスリルの剣に錬成する技術に、あとは空中に浮かぶ袋なんてものも作ってるらしいねん。新技術のデパートや」
ざわめきが大きくなる。
「惜しいですね。交易できれば、その技術が手に入ったかもしれないんですが」
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