鳥の詩

恋下うらら

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お手製のレモネード

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 僕は三人で、ヒカル君の家におじゃました。

ヒカルの父親はコックで、洋食店を駅前で開いていた。

一階は店、二階は住居になっていた。

僕たちがおじゃましたのは、一階の店の方だった。

「おじゃまします…。」

「よぉ、ソラ君、元気そうだなあ~…」

とヒカルの父さんが声をかけてくれた。

一週間ぶりに見たおじさんは、いつも生き生きと仕事をこなし、いつ見てもカッコイイ…。

「いつも店におじゃましてすみません…。」

「父さん、今日は男三人の会なんだからじゃましないでくれ…。」

とヒカルが言うと

「そっかぁ…。」

とおじさんは嬉しそうにした。

「いやいや、いつもソラ君たちがいて助かるよ…。」

と言った。

おじさんは他の人の注文を聞き、忙しそうだった。

「はい、今日のデザートは、キャラメルアイスとお手製のレモネードだよ…、召し上がれ…。」

と運んできてくれた。

「わっー、いつもスミマセン、いただきます!!」

いつ飲んでも美味しいレモネード。

甘酸っぱくて、レモンの香りがした。

ヒカルのおじさんが作るレモネードは最高だった。

僕の母さんも真似て作ってもらったけど、最悪だった。

ただのハチミツレモン水になっただけだった。

難しいなぁ~、料理って…。

ヒカルはそんなお父さんの事をエクセレント、素晴らしい、と尊敬してるみたいだ。

「実はね…。僕、大きくなったらこの洋食店、ついでもいいなぁーと思ってるんだ。それでも、コックとしてではなく、経営者としてだけどね…。」

ハッハッハッと大きな声で笑う。

僕もつられて大声で笑ったが、田口君は驚いて大きく目を見開いた。

「え!!もしかして社長?!」

というとヒカルはコクリと頷いた。

「…まじ?、うわ、すごい…。」

田口君は少し目をそらしてうつむいた。

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