「声劇台本置き場」

きとまるまる

文字の大きさ
上 下
98 / 125
四人台本↓

「勉強と部活と恋、どれも完璧にこなしてこそ優等生です。」(比率:男2・女2)約30分

しおりを挟む


登場人物

 海老原 喜一えびはら きいち:♂ 高校二年生。顔はイマイチ、勉強もイマイチ、運動もイマイチ、でもゲームは上手い。

 十字じゅうじ ロラ:♀ 高校二年生。勉強ができ、運動もでき、性格もいい。さらに顔もよけりゃ胸もでかい優等生。

 多田 源太ただ げんた:♂ 高校二年生。喜一の唯一と言ってもいいお友達。元気でいい子。

 押引 牡丹おしびき ぼたん:♀ 高校二年生。ロラのお友達。ツンツンしてるけどいい子。

ポッポイ:♀ スマホアプリ「スマッシュッ!!」のナビゲーター。ポッポイが口癖。

ラスト:♂ スマホアプリ「スマッシュッ!!」のキャラ。侍がモチーフのキャラクター。

ニンニン:♀ スマホアプリ「スマッシュッ!!」のキャラ。忍者がモチーフのキャラクター。



役表
海老原:♂
十字、口:♀
多田、N、ラスト:♂
押引、ゲーム音、ポッポイ、ニンニン:♀

○所要時間:約30分

ーーーーー


海老原(M)顔はイマイチ、勉強もイマイチ、運動もイマイチ。そんな俺、海老原 喜一えびはら きいちが、周りに勝てるものといえば...。


 海老原の部屋。ベッドに寝転んだ海老原は、スマホを持ち、ゲームアプリを起動させる。


海老原「さーてと! 今日も今日とて、やってやるぜぇ!」

ゲーム音「「スマッシュッ!!」」


海老原(M)ゲームは、現実世界の俺とは真逆のステータスになれる。俺であって、俺でない。ゲーム以外に何の取り柄もない俺...だからこそ、ゲームでだけは負けたくない。特に、同年代のやつらには...絶対に...!


ゲーム音「YOU LOSE!」

海老原「うがぁぁぁ! ちくしょぉぉぉ! なんだよあいつ、強すぎか!? この海老原 喜一様をボコボコにするなんて、なかなかやるじゃねぇか...。くっそぉ...もっともっとやりこまねぇとなぁ...。」


 画面に「メッセージを受信しました!」と表示される。


海老原「ん? メッセージ? 誰だ...? あぁ、さっき対戦した人か。「ありがとうございました。」くらいは言っておくか。」


 海老原は、メッセージボックスをタッチする。


口「クソ雑魚乙!」

海老原「...は?」

口「そんだけ! じゃあな!」

海老原「な...な...なんだこのクソカスやろぉぉぉぉぉ!!」


海老原(M)しかし、負けた俺がなにを言い返したとしても、負け犬の遠吠えとなってしまう。俺がやることは、相手に対抗して暴言メッセージを送ることではない。もっともっと強くなって...そして...。


海老原「覚えたぞ...! てめぇのアイコンと名前は、脳に刻みこんだぞ...! いつか、ぜってぇ...ぶっ殺してやる!!」



十字「勉強と部活と恋、どれも完璧にこなしてこそ優等生です。」



 次の日、学校の教室。海老原は、険しい顔つきで座っている。


多田「おいーす! おはおは~!」

海老原「おう...!」

多田「なになに、どったの? 朝から機嫌悪そうだねぇ。悪い目つきが、さらに悪くなってるよ?」

海老原「うるせぇ、だまれ、こんちくしょう。」

多田「口も悪くなってるし。目つきも悪けりゃ口も悪い...それだから、いつまで経っても友達ができないんだぞ、喜一くん。」

海老原「うるせぇ。」

多田「マジでどったの? 寝不足? 昨日も遅くまで、ゲーム三昧ですかい?」

海老原「あのやろぉ...! 今度対戦する時は、フルボッコにしてやるからな...! 覚えてろよ、クソカスやろう...!」

多田「うーん...よくわからんが、元気がないということは確かだ。と、言うわけで~お前に、元気になる魔法をかけてやるぞ!」

海老原「は?」

多田「それでは~あちらを~!」


 多田は、海老原の顔を無理やり十字の方へと向ける。


多田「ご覧くださ~い!」

海老原「ほぐはっ!?」


 十字は、友達の押引と楽しそうに話している。


十字「うんうん、それでそれで?」

多田「あぁ...いつ何度見てもかわいい...! 十字さんと一緒のクラスになれるなんて...俺、生まれてきてよかった...! あのかわいいかわいい十字さんを見て、元気でない男はいないだろ~? これでお前も元気百倍! どうだ、喜一!?」


 喜一は、十字に目を向けることなく、首を押さえて俯いている。


海老原「あ...あぁ...!」

多田「ん? どうした?」

海老原「お前が...無理やり首を動かしたから...!」

多田「あっ、すまんすまん。十字さん見て治して。」

海老原「治るわけねぇだろ!!」


海老原(M)同じクラスの十字 ロラは、優等生だ。勉強ができ、運動もでき、性格もいい。さらに、顔もよけりゃ胸もでかい。ゲームで言ったらチートキャラである。

海老原(M)そう、言わなくてもわかるだろうが...俺とは真逆の存在なのである。だから、俺はあいつが嫌いだ。


 一限目の終わりを知らせるチャイムが鳴り響く。


海老原「えっと、次は数学かぁ。」


 十字は、スマホを取り出しアプリを起動する。


十字「ふんふんふ~ん♪」

押引「あんた、なにしてるの?」

十字「ん? アプリゲームだよ。牡丹ぼたんもやる?」

押引「あたしはいい。あんまゲームに興味ないから。」

十字「えぇ~面白いからやろうよぉ~! 課金しない限りは無料でできるよ~!」

押引「気が向いたらね。んで、なんてゲームしてるの?」

十字「「スマッシュッ!!」ってアプリだよ。」

海老原(なにぃ!? お、驚きだ...! あの優等生の十字が、休み時間にゲームをしているというところも驚きだが「スマッシュッ!!」をやってるのか...! もしかしたら、いいやつなのかもしれないな。)

N「単純な男、海老原 喜一であった。」

押引「楽しいの、それ?」

十字「楽しいよ~! 戦ってるところ、見る?」

海老原(今から一戦やるのか。ちょっと気になるなぁ...。よし、あの技を使うか。)

N「海老原は、スキル「トイレに行くふりをしてチラ見」を発動!!」

押引「ねぇ。」

十字「なに?」

押引「あんたの名前、なんて読むの? くち? ダサくない?」

十字「口じゃないよ~! しかくって読むのっ!」

押引「ふーん。」

海老原(ん? しかく? おいおい、まさか...!?)


 海老原はスキルを発動し、十字のスマホをチラ見する。昨日ボコボコにされ、メッセージで暴言を吐いてきたやつと同じアイコンと名前をしている。


海老原(こ、このアイコンは...!?)


口「クソ雑魚乙!」


海老原(う、嘘だろぉぉ!?)




 三限目の終了を知らせるチャイムが鳴り響く。


多田「やっと昼休みだぁぁぁ! 喜一くんや、今日は購買部行くか?」


 海老原は、険しい顔つきで十字を見つめている。


海老原「......!」

多田「どうした、喜一? なんかあったのか?」

海老原「......!」

多田「お前、ジッと十字さん見つめて...どうしたんだ?」

海老原「......!」

多田「全然聞いてねぇし...。俺は購買部行ってくるからなぁ~。」

海老原(マジか...マジなのか...!? 本当にあいつが、昨日俺をボコボコにしたやつなのか!? 名前とアイコンが、たまたま一緒ってだけじゃ...? いやいやいや、名前とアイコンが一緒って、どんな偶然? 奇跡? 絶対あいつじゃねぇか...!)

海老原(ってことは...あれか? 俺は、あの優等生に勉強でも負け、運動でも負け...ゲ、ゲームでも...!?)


 十字はスマホと取り出して「スマッシュッ!!」を起動する。


十字「ふんふんふーん♪」

押引「あんた、またゲームしてんの?」

十字「ご飯食べる前に、一回だけ!」

押引「何してんの? スマッシュってやつ?」

十字「そうだよ~。」

押引「それってさ、一人でやるの? 誰かと対戦するの?」

十字「一人でもできるし、対戦もできるよ。今から対戦してるとこ、見せてあげようか?」

押引「あんた、勝てんの?」

十字「やってみないとわかんない! オンライン対戦するか~!」

海老原(オンラインだと!?)

押引「どうやってすんの?」

十字「えっとね...まず、ここのオンライン対戦ってとこ押して...部屋、作るかぁ~!!」

海老原(部屋を作るだと!?)


 海老原は、ポケットから素早くスマホを取り出すと、流れるように「スマッシュッ!!」を起動する。


十字「まず、対戦のルールを決めます。どうしよ? サクッと1ストック、5分でいっか。」

海老原(1ストック、5分...!!)

十字「んで、次にステージを決めます。サハラの森でいいかなぁ。」

海老原(ステージは、サハラの森...!!)

十字「誰でも対戦オッケーにして...これで、お部屋が完成! ここに、対戦してくれる人が来たら勝負開始!って感じ。」

押引「ふーん。あっ、対戦開始だって。」

十字「おっ、マッチング早いなぁ。」

海老原(ぶっ潰すぶっ潰すぶっ潰すぶっ潰す!!)

十字「よ~し、ゲームスタート!」


N「3分後。」


ゲーム音「YOU LOSE!」

海老原「あ、あぁ...あぁ...!?」

十字「おっし、大勝利!」

押引「あんた、結構強いのね。」

十字「結構、やり込んでますからね~!」

海老原(そ、そんな...ま、また負けた...? 俺が...負けーーー)


 口から、メッセージが飛んでくる。


口「おい、クソ雑魚! 負ける気分はどうだい!?」

海老原(なっ!? あ、あいつぅぅぅ!)

口「おい、クソ雑魚! 今日の放課後、まるまる公園に来いよ! 別に、来たくないなら来なくてもいいぞ! 負け犬は負け犬らしく、お家できゃんきゃん鳴いてるんだなぁって思うだけだからな!」

口「じゃあな! クソ雑魚負け犬!」


 海老原は、メッセージを読み終えると、十字を睨みつける。十字は、海老原を見下すように見ながら、美味しそうにパンを食べている。


十字「いや~~勝った後に食べるパンは、美味しいですなぁ~!」

海老原(あ、あ、あのやろぉぉぉぉ!!)

N「喜一は激怒した。必ず、かのクソ優等生をのぞかなければならぬと決意した。」

N「放課後、喜一は学校を出発し、少し離れたのまるまる公園にやって来た。」


 まるまる公園。十字がブランコに座ってキーキー揺られている。


十字「おっ、きたきた。よっ、クソ雑魚負け犬くん!」

海老原「なんだと!? このクソ優等生が!」

十字「そのクソ優等生に負ける気分は、どうですか?」

海老原「なんだ、てめぇ!? 俺に恥かかせたいのか!? 何がしたいんだよ!?」

十字「うーん、何でしょうねぇ~?」

海老原(なんなんだよ、こいつ...? 一体何考えてやがんだ...?)

十字「ねぇ、クソ雑魚負け犬の海老原 喜一くん。」

海老原「クソ雑魚負け犬って呼ぶな!!」

十字「それは無理~。だって、本当のことだも~ん。」

海老原「うぐぐぐぐ!!」

十字「もう一回、クソ雑魚負け犬くんにチャンスをあげるよ。」

海老原「チャンス?」

十字「うん。一週間後の放課後、ゲー研の部室でもう一度勝負してあげる。もし君が勝てたら、クソ雑魚負け犬って呼ぶのやめてあげるし、一つだけなんでも言うこと聞いてあげるよ。」

海老原「なんでも?」

十字「うん、なんでも。例えば...。」

N「そう言って、十字 ロラはシャツのボタンを上から一つ、二つと外していき...。」

十字「こういうことでも、いいよ。」

N「胸の谷間を、これでもかと見せつけてくる。誘っている、明らかに誘っている。男なら誰しもそう思うだろうし、このチャンスをものにしようと必死に努力するだろう。」

N「しかし...海老原 喜一は、いやらしい気分にはならない。目の前に突如現れた胸の谷間には見向きもせずに、自分のプライドをズタボロに傷つけた優等生の顔を、睨み殺す勢いで見つめている。目の前にある大きな二つの膨らみ以上に、彼の怒りは膨れ上がっているのである。」

海老原「おいこら、優等生...! なんでもってことはつまり...俺には絶対に負けない自信があるってことだよなぁ?」

十字「そう聞こえたのなら、そうかもね。」

海老原「いいぜ、やってやるよ...! てめぇが負けたら...負けたら...! 教室で「海老原 喜一様、調子乗ってすいませんでした」って土下座しろよ、このクソ優等生がぁぁぁぁ!!」

N「海老原 喜一は、童貞を捨てるチャンスを失った。」




ポッポイ「やっほーい! みんな元気ー!? ポッポイだよ~! 今から「スマッシュッ!!」はどんなゲームなのかを説明するポッポイ!」

ポッポイ「このゲームは、最大4人まで対戦できる、格闘ゲームなんだポッポイ! 制限時間内に、相手の体力を0にした方が勝ちなんだポッポイ!」

ポッポイ「「スマッシュッ!!」の魅力は、沢山のキャラクター、広いステージ...そしてそして、キャラクターのステータスを自分好みにカスタマイズできるんだポッポイ! だから、同じキャラクターでも、攻撃特化のキャラにできたり、防御特化のキャラにできたりと、可能性は無限大なんだポッポイ!」

ポッポイ「キャラクターには、固有のスキル、必殺技があるポッポイ! だから、それに合わせてステータスをいじるのが良いポッポイよ~!」

ポッポイ「必殺技は沢山あるポッポイ! でも、戦うときは3回しか使えないから、気をつけるポッポイ~! 違う必殺技を選択するも、同じものを3回使うのも、使用者の自由ポッポイ! 3回使っちゃったら、そのバトル中は必殺技が使えなくなっちゃうから、タイミングはしっかり考えるポッポイ!」

ポッポイ「相手がどんな装備してて、どんなステータスで、必殺技はどれを選んでるのか...などなど、そんなことを考えながら戦うのが、すごーく面白いポッポイ!」

ポッポイ「「スマッシュッ!!」は基本プレイは無料ポッポイ! だから、君も今すぐダウンロードするポッポイ! ゲームの世界で、待ってるポッポイ~!!」



 一週間後の放課後、ゲー研部。


十字「ここがゲー研部よ、いらっしゃい。」

海老原「......。」

十字「ん? どうしたの?」

海老原「ゲー研って、お前一人なの?」

十字「他にもいるよ。」

海老原「今日は休みなのか?」

十字「ううん、今日は来ないでって言ってある。」

海老原「は? なんで?」

十字「だって、うるさくて集中できなかったとかいう言い訳は聞きたくないからね。」

海老原「はぁぁ!?」

十字「早速、やりましょ!」

海老原「てめぇ...ぜってぇぶっ潰す!」

十字「あっ、そうだ。喜一くん。」

海老原「んだよ!?」

十字「喜一くんって、部活入ってなかったよね?」

海老原「入ってないけど、それがなんだよ?」

十字「喜一くんが私に負けたら、ゲー研に入部してね。」

海老原「は?」

十字「嫌だったら、私に勝ってねぇ~。まぁ、無理だと思うけど。」

海老原「こ、このやろぉ!!」

十字「勝負は、5分。1ストックの一回勝負でいいよね?」

海老原「なんでもいいわ! なんだろうと、てめぇをぶっ潰す!!」

十字「おーおー、やる気に満ち溢れてていいねぇ。私も...燃えてきちゃう。」

N「海老原 喜一VS十字 ロラ、ゲームスタート!!」

ゲーム音「「スマッシュッ!!」」


 使用キャラ。十字は小さな忍者の「ニンニン」海老原は侍の姿をした「ラスト」と呼ばれるキャラクターを選択する。


十字(えっと、喜一くんのキャラは...。)

ラスト「我は...誰にも負けんっ!」

十字(ラストか。固有スキルは「不屈の魂」だっけ? 体力が少ないほど攻撃力上がるやつだよねぇ。必殺技は、カウンターの「つばめ返し」移動系の「神速しんそく」は、入れてるだろうなぁ。あと一個はなんだろ? 攻撃特化なら「雨斬あまぎり」スピードよりなら「雷刃らいば」らへんかな? ラストは魔法攻撃に振り分けはないから、その分をどこに回してるかだなぁ...。体力には、多分振らない。物理、魔法防御に半々か、スピードよりか...。)

十字(まぁ、なんだろうと不屈があるから長引かせるとこっちが不利...だから!!)


 ニンニンは、ラストへ向かって駆け出していく。


ニンニン「ニンニンニ~ンッ!」


十字(先手必勝!)


 ニンニンは、ラストへ攻撃する。


ニンニン「そーりゃ!」

ラスト「見切ったっ!」

十字「は?」

ラスト「燕返しっ!!」

十字「嘘!?」

十字(開幕初手で必殺技!? しかも、燕返しをここで使う!?)

ニンニン「あがぷぅ!?」

十字(しかも、不屈なしで体力結構持ってかれてる...! まさか、こいつ...!!)

海老原「さぁて、さっさと終わらせてやるよ...優等生が!!」

十字(物理攻撃に極振りか...!!)

十字「2回も負けてんのに、防御もスピードも捨てて...舐められたもんね...!」

海老原(さっきので、かなりスピードに振ってんのはわかった。優等生の必殺は「影分身」「変わり身の術」「忍法、大爆発の術」の3つ、もしくは「影分身」三積みの可能性が高い。)

ニンニン「影分身の術!」

海老原(分身は...一人か。つーことは、前者か...。)

ニンニン「おりゃ~!」

海老原(まずは、分身の方から...!)


 ラストは、刀を振り攻撃する。


ラスト「はっ!ふんっ!はぁぁ!!」

十字(分身で一気に削ろうと思ったけど...。)


 ラストは、ニンニンの攻撃全てをガードで捌いている。


ラスト「甘いっ! こんなもんか!?」

十字(うわ~全部ジャストガードされてる...。こりゃ防御に振らないわけだ。)


 ラストは、刀を振り下ろす。


ラスト「ふんっ!」


 攻撃を受けた、ニンニンの分身は、ポンッと音を立てて消えていく。


ニンニン「ぬぉぉ!?」

十字(分身、消えるの早いなぁ! くそっ、あの攻撃バカ...!)

海老原(次は本体!!)


 ラストは、勢いよく刀を振り下ろす。


ラスト「はぁぁ!!」


 ニンニンは、転がりながら斬撃を回避する。


ニンニン「おっと!」

十字(危ない危ない...。くそっ、初手燕返しが結構きてるなぁ...突っ込みたくても突っ込めないし...。しかもあいつ、武器は妖刀でしょ? こっちがなにもしなくても、体力じわじわ減ってくし...。マジでさっさと勝負決めないとヤバい。一撃でこっちが死ぬ。)

海老原「おいおい、どうした優等生? 元気なくなってない? 土下座する準備はできてっか?」

十字「私を、そこらへんの雑魚と一緒にしないでよ。クソ雑魚負け犬の喜一くん。」

海老原「この...! ぶっ潰す!!」


 ラストの、刀の横振り攻撃。


ラスト「はぁぁ!!」


 ニンニンは、しゃがんで回避する。


ニンニン「よいしょっと!」

海老原(なっ!? しゃがんで避けやがった!?)

十字(もらった!)


 ニンニンは、小刀で斬りかかる。


ニンニン「どりゃぁ!!」

ラスト「神速!!」


 ラストは、素早く後ろへと後退する。


海老原「くっ! 危ねぇ...!」

十字「神速使って逃げるってことは、マジで全部攻撃に振ってんだ。」

十字(神速は15秒間スピードが上がる。つまりこの15秒で...!)

海老原(決める!!)


 ラストは、ニンニンへ勢いよく接近する。


ラスト「はぁぁぁぁぁ!!」

十字(早いけど...落ち着けば...!)


 ニンニンは、ラストの斬撃を回避する。


ニンニン「よっと!」

十字(回避は簡単!)


 ニンニンは、小刀で攻撃する。


ニンニン「どりゃぁ!!」


 ラストは、刀でガードする。


ラスト「甘いっ!」

十字(ここもジャストガードかよ! マジでガード上手いなぁ! でも...!)


 ニンニンは、手を止めることなく攻撃を続ける。


ニンニン「どりゃ!どりゃ!!どりゃりゃりゃ!」

十字(手数はこっちのが上! ガードできるなら全部やってみろ!)

海老原「くっ!」

十字(神速、あと5秒!)


 ニンニンは、後方へと下がりながら手裏剣を投げる。


ニンニン「どりゃぁ!!」


 ラストは、前に転がり回避する。


ラスト「ふんっ!」

十字(ここで回避...雨斬りか!)

海老原(決める!!)


 ラストは、刀を振り下ろす。


ラスト「はぁぁぁぁぁ!」

十字(普通の攻撃!? まさか...!)


 ニンニンは斬撃を受けるが、白い煙と共に丸太へと変化する。すると、ラストの背後にポンッとニンニンが現れる。


ニンニン「変わり身の術~!」

十字(背後、とった!)

海老原「へっ!」

十字(避けようとしない...!?)


 ラストは腰を低くし、刀の鞘に手を当て、燕返しの構えをしている。


十字(あの構え...やっぱり...!!)

海老原(がら空きの背後に、攻撃してこないやつはいねぇだろ...? さぁ、攻撃してこい! この燕返しで、終わりだぁぁぁぁぁ!!)

十字「...私の、勝ちだね。」

海老原「なっ!?」

海老原(こ、攻撃してこねぇ!? まさか...!?)

十字「へへへ、読みどーり。」

海老原(読まれてた!?)

海老原「くそっ!」

十字「残念、あんたの負けだよ。」

海老原(硬直で、動けねぇ...!)


 ニンニンは、ボコボコとラストを殴りまくる。


ニンニン「どりゃりゃりゃ~~~!!」

ラスト「ぐほぁ!?」


 ニンニンは、軽く飛び上がりくるりと回転しながら、踵落としをラストに当てる。


ニンニン「せーーのっと!!」

ラスト「ぐぁぁぁぁぁ...!?」

ニンニン「よっしゃぁ! 僕の勝利だ! ではでは、ドロンッ!」

海老原「そ、そんな...!」

十字「ふっふっふ! 3回連続で負ける気分は、どうですか?」

海老原「こ、このぉ...!」

十字「さてさて、約束は覚えてるかな~? クソ雑魚負け犬の喜一くん♡」





 次の日、朝の教室。十字が元気よく教室へと入ってくる。


十字「おはよ~!」

押引「ロラ、おはよ。」

十字「牡丹ちゃんや、おはようおはよう! 今日も可愛いねぇ~!」

押引「あんたに言われると、嫌味にしか聞こえないんだけど?」

十字「えぇ~なんでぇ!?」

押引「ってか、朝からテンション高いわね? なんかあったの?」

十字「うんうん! なんかあったの!」

押引「へぇ。」

多田「あぁ...十字さんは、今日も可愛いなぁ~! 同じクラスになれて、ホントよかった!」


 目の下に濃いクマができた海老原が、教室へと入ってくる。


多田「おっ、喜一おはおは~...って、お前どうした?」

海老原「なにがだよ...?」

多田「いや、クマすげぇぞ? また遅くまでゲームしてたんだろ? 悪い目つきが、さらに悪く...。かわいそうに、これは重症ですね...。」


 海老原は、多田を無視して十字の元へと歩いていく。


多田「って、おいおい! 無視すんなよ!」

押引「え? ちょっ、な、なによ...?」

海老原「おい。」

十字「なにー?」


 海老原は入部届けの紙を、十字の机に叩きつける。


海老原「っ!」

押引「うわぁ!? ちょ、ちょっと! いきなり、なによ!? びっくりするじゃない!」

海老原「これで満足か?」

十字「うん、大満足。」

押引「は? あんた、なに言って...なに、これ? 入部届け?」

海老原「おい、優等生。」

十字「なに?」

海老原「今すぐ勝負しろ。」

十字「もしかして、遅くまでずっと特訓してたの? 私に勝つために?」

海老原「そうだよ。早くしろ、優等生。」

十字「あのさ、私は優等生って名前じゃないんだけど。」

海老原「俺が勝負に負けたら、名前で呼んでやる。」

十字「わかった。でも、勝負は放課後ね。」

海老原「は?」

十字「そんな状態で勝負して、寝不足だから~とか言い訳されたくないし。」

海老原「なんでいつもいつも、俺が負けて言い訳することになってんだ、このやろぉ...!」

十字「だって、あなたが私に勝ってるところなんて、想像できないんだも~ん。」

海老原「ぶっ潰す...!」

十字「まぁまぁ、落ち着きなさいよ。これからは同じ部活なんだし、放課後はいつでも付き合ってあげるからさ。放課後まで、脳内練習しておきなさい。」

海老原「こ、このやろぉぉ...!!」

多田「あ、あの~押引さん押引さん。」

押引「な、なに?」

多田「こ、これは、どういう状況なんですか?」

押引「知らないわよ...。」

十字(私に勝つために、遅くまで特訓してた...。つまりその間は、ずっと私のことを考えてたってことだよね?)

多田「お、おい、喜一くんや! お前、十字さんとどういう関係なんだ!? おい!」

海老原「なんもねぇよ!」

多田「なにもないわけないだろうがぁぁぁ!!」

十字(今も、放課後まではずっと私のこと考えてくれる。負けず嫌いな彼は、私に勝つまでずっと私のこと考えてくれるはず。)

十字(だから、私はあんたには絶対に負けないよ。私が負ける時は...ゲームがなくても、あなたが私のこと考えるようになった時だよ。)

十字「クソ雑魚負け犬の喜一くん。」





しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

声劇台本置き場

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:1

台本

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:156pt お気に入り:2

きみがわるい【声劇台本】【一人用】

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:0

台本保管所

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:540pt お気に入り:1

コント台本集

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:0

ストローの化石【声劇台本】【二人用】

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...