なんでも探偵部!

きとまるまる

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38話「どすこいっ!紙相撲!〜合宿編〜②」

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 五人は椅子に座り、花ノ山の話に耳を傾けている。


間宮「紙相撲部の合宿に?」

花ノ山「そうでごわす! 関先輩と張間ちゃんに、ぜひ特訓していただきたいのでごわす!」

 「おっす! お願いしやす!」

関「ちなみに、隣の子は部員ですか?」

 「おっす! 紙相撲部に所属してます!一年の津々浦 紅葉つつうら もみじと申します! よろしくおっす!」

張間「その「おっす!」は口癖ですか、おっす!」

津々浦「これは「おっす!」って言った方が強そう!という理由で言ってます、おっす!」

関「なるほどおっす!」

張間「たしかに強そうおっす!!」

関「調味料は?」

津々浦「お酢!」

張間「花ノ山 川角は?」

津々浦「雄!」

関「このボタンを?」

津々浦「押す!」

張間「みんな大好き?」

津々浦「おっ寿司!」

関「保険はやっぱり?」

津々浦「見直っす!」

間宮「おすおすうるせぇよ!!」

関「ところで、合宿はどこで行う予定なんですか?」

花ノ山「きくさん、という方の旅館をお借りして、そこでやる予定でごわす! 菊さんのお料理はとても美味しくて、さらに旅館には温泉があるでごわす!」

間宮「温泉だと!?」

関・張間「菊さんだと!?」

間宮「え? 食いつくところ、そこ!? 菊さんって誰よ!?」

関「菊さんといえば、紙相撲界の伝説レジェンドですよ!」

張間「神の手ゴッドハンドの菊...生きた伝説に会えるなんて...!」

間宮「あぁ、そうなんですか。」

花ノ山「ど、どうでごわすか...?」

関「うーん、私たちは別に構いませんけど...。」

張間「間宮先輩は、紙相撲に興味ないですから...。」

間宮「いつもは有無も言わさず付き合わせるのに、今日は優しいな、おい。」

関「私たちにも、人並みの優しさくらいありますよ! 失礼しちゃいますね!」

間宮「別にいいよ。お前らが紙相撲してる間は、温泉入ったりしてゆったりしてるから。」

張間「んん~~間宮せんぱ~い!」


 張間は間宮へと飛びつく。


間宮「ちょっ、張間さん!?」

関「ずる~い! 私も~~~!」


 関も間宮へと飛びつく。三人は勢いそのままに床へと倒れていく。


間宮「うぎゃぁぁあ!? 重い重い重いぃぃ!!」

張間「部長、早く退いてくださいぃぃぃ!!」

津々浦「とても仲がよろしいですね、おっす!」

花ノ山「おいどんと五山海森を見ている気分でごわす。」

張間「よーし! では、早速合宿の準備をしましょう!」

間宮「ところで、一つ聞きたいんだけど。」

花ノ山「どうしたでごわすか、間宮くん!」

間宮「津々浦さん...だっけ? 左腕どうしたの? ギプスしてるけど...。」

津々浦「おっす! 花ノ山さんのデスクタップを真似してたらボキッといきました、おっす! ですから、今回の合宿は皆さんの技術を目で盗もうと思います、おっす!」

間宮「どんだけ力強く叩いたんだよ?」

関「なかなかのバカだね、この子。」

張間「やれやれ、今年の一年はおかしいやつらばっかりですね。」

間宮「張間さん、あんたもそのおかしいやつらだからね。」

関「花ノ山くん、紙相撲部の顧問の方は、私たちの同行を許可しているんですか?」

花ノ山「大丈夫でごわす! 許可はとっているでごわす! 当日は、いらっしゃらないでごわすが!」

間宮「え? なにかあったの?」

津々浦「おっす! ぶつかり稽古してる時に、私が思いっきりぶつかったら、腰砕けて今入院してます、おっす!」

花ノ山「小さくて華奢きゃしゃなこの身体の、どこにそのパワーがあったのか...? この子は、将来が楽しみな子でごわすよ!」

津々浦「ほ、褒められると照れるです~~!! きゃぁぁ~! 嬉しいですぅぅ~~! うわぁぁ~~!」


 津々浦は花ノ山が手にしていた額縁を奪い取ると、勢いよくブンブンと振り回し始める。


花ノ山「あぁぁぁぁぁ!? お、落ち着くでごわすぅぅぅ! その額縁を離すでごわすぅぅぅ! 振り回さないででごわすぅぅぅ!」

津々浦「はっ!? おっす! すいません!」


 ハッと我に返った津々浦は、ピタリと動きを止め、額縁から手を離してしまう。額縁は勢いそのままに、開けられていた窓へと飛んで行く。


津々浦「あっ。」

花ノ山「ぁぁぁぁぁあ!? 五山海森ぃぃぃぃ!!」

間宮「すごい勢いで飛んできましたね、五山海森。」

関「あの子、なかなかクレイジーガールだね。」

張間「私、合宿中はなるべく関わるのやめようと思います。」

間宮「何事もなく終わればいいな...。」
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